2019年09月07日

「赤旗」日曜版の感想

9月8日付「しんぶん赤旗」日曜版に目を通していて目を引いたのが4面の「『拝謁記』にみる昭和天皇」という記事でした。言ってしまうと、ああ、赤旗では「人格としての昭和天皇の戦争責任」という取り方をしているなと確認した事でした。池上彰さんがテレビ番組内で「赤旗新聞も元号として令和を使用するになりましたね?」という具合に日本共産党の志位さんだかに質問していたシーンを記憶しているのですが、やはり、機関紙たる「赤旗」では、そういう天皇観で行く気なのだな、とね。

決して、それも誤まりだという訳ではないと思う。実際に名のある学者さんの見解を記しているに過ぎない。

この「拝謁記」問題なんですが、私はNHKスペシャルを見逃してしまい、再放送の予定をチェックしていながら再び見逃してしまったので視聴できませんでした。あの24時とか25時からの再放送って日付を間違えやすいんですよねぇ。5日深夜に再放送だなって認識してしまうので5日の夜だと思ってしまう。しかし、4日の24時や25時の事だったりする。

とはいえ、新聞記事や週刊誌記事は目を通しており、週刊文春に到っては、「NHKは独自スクープだと大々的に宣伝しているが、田島メモについては月刊文藝春秋誌が過去に報じた内容なのにと悔しそうでした。NHKに言わせれば、初めて入手し、それを初公開するという意味で独自スクープだという事になるという事のよう。

で、先に当ブログなりに昭和天皇の戦争責任については論述した通り。この問題、「天皇」を一人格を有する一個人として切り取る事が可能なのかって問題になってしまうんですね。赤旗でも述べられているように、それは日本国憲法では「象徴」であり、大日本帝国憲法では「天皇大権を有する統治者」であるかのようになっているが、厄介な事に、実際、ここでいう「実際をみる」というのは、馴染みが薄い方が殆んどかも知れませんが、実際家という言葉があるように、実際の役割を見て物事を判断すると、大日本帝国は実際には天皇の独裁国家であった訳ではない。だから昭和天皇は大元帥だったのに戦争を止めなかったから責任があるという論法だと、矛盾になってしまう。しかし、その記述が赤旗の紙面では複数個所、見つけることが出来てしまう。

今年であったか昨年であったか、国会の質疑でも野党の女性議員から「皇族方の人権が…」という質問があり、それについて週刊新潮が苦言を呈していた記事がありましたが、確かに紛らわしいのですが、皇族方に対しては「人権」というものはない。特異な扱いなんですね。「皇族方の人権が…」と発言したからワーワーと騒げば、これも揚げ足取りになってしまいますが、おそらく、言わんとしている事は分かるし、通じる。

しかし、日本共産党的イデオロギーの中の反天皇及び反昭和天皇の根強さを見てしまった気がする。というのも、「昭和天皇は大元帥だったのだから、南京事件などについて何らかの措置を採るべきであった」とする一方で、昭和天皇が侍従に対して話したという政治的発言を批判している。「天皇は再軍備の立場から憲法改正に言及しており、これは天皇による政治的発言である」という主旨なのだ。或る時は積極的な政治介入を要求され、また或る時は政治的発言をすべきではないとしてしまうのは、二重基準で天皇を語っている事になってしまう。まぁ、そこに曖昧さが転がっているのは確かなんですが…。

決定的に、私の認識との違いは、赤旗は一切、天皇機関説(立憲君主制か絶対君主制)について触れていない事でしょうか。これは故意にか――と疑いたくなってしまう。文藝春秋社でも新潮社でも或いは中央公論社でも、当たり前に天皇機関説に言及していたと思う。仮に、昭和天皇を一人格を有する一個人として語ろうとするのであれば、そもそもからして昭和天皇が天皇機関説論者であった事に触れないのは明らかな片手落ちだろうと思う。冷静に検証すれば、天皇独裁ではなかったのは自ずから明らかであり、日本型ファシズムとは天皇制ファシズムであったと言えるが、ヒトラーに相当する実質的な独裁者が昭和天皇ではなかった事も自明なんですね。天皇を担ぐ体制を肯定する事で、そこに形成される国体という概念が、それを見えにくくしている。実際には当時の内務省などが官僚機構としては実権を握っており、もう一つは軍部ですね。

昭和天皇が統帥権を発揮して、二・二六事件の鎮圧に当たった時のように行動していたじゃないかと言えてしまうが、昭和天皇独白録などで明らかになっている通りで、それを「若気の至りであつた」という具合に回想している事からすると、実際には天皇という名はあるが、一つの機関のようなものであると本人が認識している証拠でもある。

その地位にあったものという意味で、極めて道義的に責任を問う事は可能であったと思いますが、具体的に一人格としての昭和天皇に戦争責任を問うのは難しいだろうというのが、私の見解で、やはり、再確認することとなりました。

戦争責任について問われた昭和天皇が、「そういう言葉の綾については、文学方面はあまり研究していないので、お答えできかねます」と語った事、それに対して「どす黒く笑ってしまう」という詩を引用していたものが6面に掲載されていましたが、思うに、その天皇観は60年代か70年代のままでストップしてしまっているように思える。文藝春秋社あたりの歴史検証が進んでいるのに対して、赤旗さんはアレルギーがあるんでしょうねぇ。

天皇制及び国体の問題というのは、もっともっと複雑であろうと思う。今も昔も天皇そのものが統治者ではないというカラクリがある。無政府主義者は歴史の中で何度か天皇暗殺を試みられいますが、仮に天皇暗殺事件のようなものが起こっても、実は天皇が交代するだけで済んでしまう事に気づくでしょう。そのカラクリに気付いていない。天皇そのものが問題なのではなくて、国体そのものという無責任体制が問題を握っている。天皇は変わるが、国体は変わらないというのがホントの日本の特殊性で大失敗、大失態を犯しても頭を挿げ替えて体制は護持されるという統治システムになっている。中国では易姓革命が起こるが日本では易姓革命が起こりようがないという問題でもある。

ussyassya at 01:50│Comments(10)雑記 

この記事へのコメント

1. Posted by 優   2019年09月07日 07:19
NHKスペシャル、こちらでしょうか。

https://www.dailymotion.com/video/x7gj875

2. Posted by rakitarou   2019年09月07日 07:44
拝謁記問題

天皇とて所詮人間でしかも迷いの多い若い時に信頼のおける侍従に雑談的に「あの時はこうしてもよかった。」とかいろいろ仰った事は考えられます。その多くの雑談から一部を切り取って「公の最終的お考え」の如く報道するのは「明らかな誤り」です。「人間としていろいろなお考えがあったのですね。」ですませなければ宮内庁も公式発表ももういらないではないですか。その意味で今回のNHKの行為はかなり政治的であり恣意的なものと思っています。
3. Posted by メロンぱんち   2019年09月08日 00:45
今しがたEテレで再放送が視聴できました。番組のラスト5分で歴史学者2名の発言がありましたが、凡そ、同意見でした…。

「おことば」を削ったことが、その後の日本の歩みにも影響を及ぼしたかも知れない。ただ、これも今となってからでしか語れないんですね。
4. Posted by 河太郎   2019年09月13日 01:59
もう部数が100万部を切った、しんぶん赤畑の協賛ととか、どーでも良いのね。
いや…俺は彼らに対する疑いは誤解と思う。
橘冷が言うているが、立憲民主や共産党を若者は「保守」として感じていると言う。
それは驚愕したが、筋は通る。
「組合」を中心にした左翼は、自分たち正規雇用を護る為に非正規の若者を疎んじてきた。
ほぼ団塊を護る為に(笑)
非正規が多い若者にとっては、組合左翼は「既得権益」者で、不公平を助長する者に見える。
それが左右逆転が若者の認識に起きている実情なのでは??
共産党は実は元「総評」側ではないのだが……
そういう事は「小さい差」と若者にはみられている??
さいきん「れいわ新撰組」の躍進が聞こえる。
:私は元極右だが、「保守」を名乗る半端な右翼もどきはリベラルを名乗る奴等と同類な浅い連中と思い、どちらも嫌い!!
半端な保守やリベラルより、敵でも極左が好き
なので、ハゲ(舛添)が太郎らを「ナチス」に比定しているのは、実は「褒め言葉」と思えています。ナチスが600万人の完全失業者0にして、庶民が文化住宅に住み、週末にドライブや
観劇を楽しめるようにして、禁煙と全粒粉パンの普及をさせた事を忘れるな!
れいわは言っている事が「実現性に乏しい」から相手にされていない。だが、彼らが実現する風を得たらどうなの??
保守側が必死に叩いているのは、その存在に危惧を感じているからでは??
死に体の共産党より、風向き次第では?と思うのですよね。現状はムリだけど(笑)
だが、どうなるか解らないのが政治ってものでは?? もう俺は日本国に住む全ての人が平和に暮らせる(豊かとは言わない)、それで良いし、実現するなら政党が何でも構わないと思うていますけれど!
5. Posted by 河太郎   2019年09月13日 02:18
>>4
そもそもナチスは「国家社会主義ドイツ労働者党」でして。社会主義を自認してた。
失業0については、若者を拡大する国防軍に吸収したり、婦人労働者を「家庭に戻す運動」などの「からくり」があるので、
一概には「偉い」とは言えませんが。
国民の1割の完全失業者を0にして、庶民を文化的な生活をさせて、健康を医学面から促進させたのは事実です!
ホロコーストしなけるばね!!
現状でれいわ新撰組がナチスのような変革を出来るとは思えませんが……風向きでは解りませんよ!
少なくともしんげるマザーや非正規の若者の中から賛同者が出るのは当然かと。
そういう事を考えてない組合系のリベラルさんや、自分は正規社員であれば良いとタカをくくる「保守」さんが、目の敵にするのは当然かと。でも、こういう勢力は目の敵にするほど、求心力を得るのだけどね。
そこんとこリベラルさんも保守さんも考えた事があるのですかね??
6. Posted by 河太郎   2019年09月13日 02:24
>>5
両翼とも、リベラルが「抵抗勢力」と若者に思われ、
同時に極左的な彼らに賛同者が集まるているのを保守も反省するべきでは?
今は少数派でも、将来に於いてそうかは解りませんよ!
そうならない……と考えているのは、
人口縮小も実質的な移民の急増(田舎の私すら珍しくない)とか、現実を直視してない人々でしょ??
別に「れいわ」に既定しませんが、政治など、状況変化でどうとも変わる!
その事を40〜50代の私と同じ中高年は忘れてませんかね??
7. Posted by 河太郎   2019年09月13日 02:27
>>6
いちおN国はNHK撃退シールのお陰で、うるせー勧誘を撃退できているので、敢えて口にはしません(笑)
8. Posted by 河太郎   2019年09月13日 02:35
>>7
どうせ保守もリベラルも「ナチス弁護した!」で叩きに来て、
「ホロコーストしなければね」は無視して叩くのだろ??
俺は民族浄化には絶対に反対派だが!
そういう事は無視して、勝手にナチス賛美とか言うのですよ。
半端な保守やリベラルてのは!
そういう連中です。
勝手にしろよ!
9. Posted by 河太郎   2019年09月13日 02:44
過日に元極左から、
「右翼とは「情」だろう?」言われた。
俺は極左だけど、その情は認めるぜ!と。
どちらも組合系のリベラルは大嫌い!
それが若者を追い詰めたのも同意見!
で、言われた。
お前らは「一人一殺」なんだろ?
なんで竹中平蔵を刺しに行かないんだ??
涙した。その通りすぎだから。
俺も奴を刺しに行けなかった臆病者の一人だから。すまない!
10. Posted by メロンぱんち   2019年09月13日 09:36
河太郎さん>
凡そ、同じ意見であろうと思います。総じて近年の社会保障政策で起こった事は、都合のよい自己保身であり、正規と非正規との待遇で正規の既得権を守った事であろうと思います。厚労行政全般についても同じような事を思います。フジテレビに出演していた名前も知らぬコメンテーター氏が言っていましたが年金問題一つにしても、ホントは色々と本来的な原則や主旨から逸脱して制度の温存をする為のシステムに移行してしまっている。

若年層の保守化は全体的傾向の話になりますが、おそらく事情が理解できて保守化しているのではなく、不満がないから保守化しているであったり、上の世代への反発から保守化しているという事のように思います。決して関心が高いという感じでもないので10年後以上、問題が噴出してくる可能性もありそうだと考えています。

皮肉なんですが、こちらの実際に進んでしまったので、後は竹中平蔵が指摘する方向へ進まないと日本人間の階層が拡大してしまう問題も落とし込まれてしまった、まんまと分断されてしまったという見立てをしています。

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