2019年11月15日

「共犯者」・「坂道のアポロン」・「瀬降り物語」

日本映画専門チャンネルにて、きうちかずひろ監督作品「共犯者」を視聴。主演は、竹中直人&小泉今日子でしたが、非常に面白かったという感想でもないのですが、相応に面白かったという感想でしょうか。一つ、気付いてしまった事は、おそらく30代であったのかな、この時期の小泉今日子のナチュラルな感じは惹きつけられました。雰囲気的には、長澤まさみ風の、飾り立てない中の美貌というか…。

クズ亭主から暴力を受けているところから始まり、ブラジリアン・マフィアのカルロス加藤(竹中直人)に助けられた偶然の成り行きを契機にして暴力団VSマフィアの抗争、更には、内田裕也演じるとんでもない殺し屋が登場、壮絶な殺し合いとなる。数日前まで暴力亭主から逃げられぬ蕎麦屋の店員であった小泉今日子演じる「サトコ」が殺し合いに巻き込まれて、自らの手で自動小銃をぶっ放すまで――。こう述べると「セーラー服と機関銃」を想像してしまいそうですが、実際、それを念頭にして視聴していました。

バイオレンスもの、また、ブラジリアン・マフィアに竹中直人というあたりは、好演をされていても、あんまりピンと来ない。終盤になって、暴力団が内田裕也演じる金髪老人な殺し屋を呼び出してからが、実は急に面白くなった気がする。演技がどうのこうのではなくて、やはり、あの個性を、そのまんま、危険な殺し屋として登場させているのが吉かな。「十階のモスキート」や「水のないプール」あたりもよりも「内田裕也」の商品価値が出ているような感じ。何をしゃべるにも「ファッキン」と入れる、そのファナティックな雰囲気に味がある。

きうち監督作品は渡瀬恒彦を主演とした「鉄と血」も過去に視聴していますが、「共犯者」の方がおススメ度は高いのかな。




「坂道のアポロン」は、これはどう評すべきか。これも非常に面白かったワケではないが、飽きずに視聴できたという感じ。主演の中川大志(?)が絵画のモデルとしてアポロンの扮装をしていたあたりは、「おお、それでタイトルが坂道のアポロンだったのかっ!」と感心してしまった。なるほど、ギリシャ神話風の扮装が似合っており、しかも、ロックであり、バンカラである。

小松菜奈演じるレコード店の娘、その優等生的な少女リツコの目線によって物語が描かれてゆく。ジャズ好きの東京から来た転校生のカオル(知念侑李)はピアノ、捨て子であった生い立ちからケンカばかり繰り返している千太郎(中川大志)がドラムを叩き、文化祭の演奏会まで…という思いの外、古風な作品でした。どこか安保闘争の時代の物語だったっぽい。

年月が経過し、昔の仲間はどうしているか…で、物語が終わる。ジャズを愛し、ピアノを弾いていて彼は医師になっていた。音信不通になってしまったアポロンを訪ねてみると…というストーリー。きっと、一定の年齢になってから青春時代を美化しながら回想できる趣向の作品だったのかな。




「瀬降り物語」は中島貞夫監督作品。1985年作品だったのか…。これも正直、退屈さを感じてしまいながらの視聴となりましたが、それでも見所は多かったかも知れない。この「瀬降り」とは天幕のことで、平たくいえば、サンカと呼ばれていた山の民を題材にした異色作。萩原健一、藤田弓子、内藤剛、早乙女愛、殿山泰司、永島瑛子、そして新人か河野美知子らが出演。

どこかしら今村昌平監督の「楢山節考」を彷彿させる映画で、おそらく、その頃、原始回帰のようなムーブメントがあったのでしょう。生々しく人間の営みを描こうとしている。協力・三角寛となっていましたが、この「瀬降り」たちは、太陽を「アヌさま」と呼んで神に見立てて崇敬し、スサノオの時代からの掟に従って生活しているという。掟に背いた者には厳罰が課される。藤田弓子が裸体を晒しながら性交、出産、赤ん坊殺しをドロドロしく演じているあたり、ホントは価値があるが、それは現代人が持っているエロ感覚とは明らかに異なる「地母神」の世界かも知れない。

「ミス映画村」と記されている若い女優さん(おそらく河野美知子)演じるヒデの濡れ場は、明らかに表情や体が瑞々しい。また、永島瑛子の濡れ場は典型的な美しい女の媚態のエロ描写である。つまり、地母神的な濡れ場、美女の濡れ場、青い性の濡れ場が並べられている。

ショーケン演じるヤゾーは、瀬降りの棟梁のような存在である。長老たちは、総動員法にのっとって山の生活を捨てて、戸籍を持つ日本人になるべきではないのかと言い出すが、ヤゾーは「山の生活を捨てられん」とポツリと反対している。物語的には、ややありましたが、最終的には山の中へ消えて行った幻の漂流民たち…という感じ。

佳作は佳作だし、藤田弓子の熱演は比類ないものでしょうけどね。

ヒデは、里で、東京帰りのジローという青年からハーモニカを与えられ、それをキッカケにしてジローと恋仲になる。恋仲といっても納屋で半ば強引に貞操を奪われるものですが、やがてヒデの方からジローに「嫁にしてけろ」と迫られる羽目になる。ジローは都会風を吹かせる人物である。その文明を武器にして山の民の娘を持て遊んだかのように見受けられるシーンがあるが、もしかしたら文明の持っている性に迫っているかも知れない。どこか不可触民と人との乖離が悲劇を招く。しかし、最終的にはジローは自分からヒデを追い掛けて、瀬降りたちが棲んでいる山の中へ入ってゆくことになる。



ussyassya at 00:02│Comments(0)DVD鑑賞記 

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