2018年12月16日

生物の分類と種類って、つまりどういうことなの?

この記事は「クイズやるひとアドベントカレンダー 2018」のために書かれました。


クイズ仲間のみなさんからは、あしゅりんの得意ジャンルは動物で、特に虫に詳しいと思われているかと思います。
確かに僕にとって一番得意なジャンルは動物でしょう。
しかし、作問しようと動物の事を調べれば記憶と違う情報がぼろぼろ出てきて、自分の知識が古いままだと気付きます。
また、高レベルの虫マニアや研究者の話を聞くと、いかに自分の知識が浅く偏っているのかを痛感することも多く、我が身の不甲斐なさに一周回って楽しくなっている程です。
そんな穴の多い知識で恐縮なのですが、クイズでもよく出題される生物の分類についてお話ししたいと思います。
非常にざっくりした説明になりますので、頭から信じず、裏取りをしていただけると更なる知識が得られると思います。

さて、ここで言う生物の分類とは、◯◯科とか××目などと表記されるもので、学術的な目的で設定されています。
生物の分類は住所表記に似ていて、日本国/東京都/新宿区/新宿/1丁目…のように大きなくくりから小さなくくりを経て、最終的にひとつの種を表します。
大きな方から、ドメイン/界/門/綱/目/科/属/種となります。
人間の場合は、真核生物ドメイン/動物界/脊索動物門/哺乳綱/サル目/ヒト科/ヒト属/ヒトですね。
更に、亜目とか上科とか亜種とか、もっと細かい分類が入ったりもします。

実は、このような分類は結構変わります。
科学者の研究によって、新しい事実が発見されたり、新しい考え方が提示されて、所属する「住所」が変わるのです。
特に近年は、遺伝子解析によりこれまでと大きく分類が変わることが増えています。
例えばクジラ目とウシ目(偶蹄目)が近縁であることがわかって、これを合わせたクジラ偶蹄目が採用されることがあります。
植物の分類も、花の形態などを基にしたクロンキスト体系から遺伝子解析によるAPG体系が主流になっていますし、そもそも植物の分類体系がこの二つだけというわけでもありません。
つまり、分類というのは研究者が行なっており、科学技術の発展や学説によって、いくらでも変わる可能性がある「時事」なのです。
ですから、生物の分類について作問をする場合は、自分が知っている分類が変化している可能性を頭の片隅に置いておいた方がよいと思います。

ところで、生物の分類に関連して、学名もよくクイズの問題になりますね。
ホモ・サピエンスとかニッポニア・ニッポンとか、ゴリラ・ゴリラとか。
この学名とは、先程述べた「住所」、ドメイン/界/門/綱/目/科/属/種の中の属と種を抜き出したもので、世界共通で使用されています。
学名として使う場合は、前半を属名、後半を種小名といいます。
「ゴリラの学名がゴリラ・ゴリラって、繰り返さなくてもひとつでいいじゃん」と言われたりしますが、これは別に繰り返しているのではなく、ゴリラ属ゴリラ種であることを表しているので、ひとつでいいというわけにはいかないのです。
なお、余談ですが学名ゴリラ・ゴリラは、ゴリラの中でもニシゴリラのことを指しています。

ここで「そういえば、ゴリラの学名がゴリラ・ゴリラ・ゴリラって聞いたことあるぞ?」と思われた方がいるかもしれません。
学名は属名と種小名の二つで構成されているのに、何で三つなのでしょう?
実は、この三つ目のゴリラは「亜種名」なのです。
種の更に下位の分類が亜種で、種として独立させる程ではないけどちょっと違う、くらいに考えてください。
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラは、ニシゴリラという種の中のニシローランドゴリラという亜種を表しています。

さて、ここで問題です。
日本に生息しているヤマネコは何種でしょう?
答は当然2種…ではありません。
「そんな馬鹿な!日本のヤマネコは、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコの2種類だろ!」と思われるかもしれません。
しかし、イリオモテヤマネコもツシマヤマネコも学名はプリオナイルルス・ベンガレンシス、つまり同種なのです。
では何が違うのか。
先程述べたゴリラ・ゴリラ・ゴリラ=ニシローランドゴリラがニシゴリラの亜種であるように、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種なのです。
ですので、日本に生息しているヤマネコは、種としてはベンガルヤマネコ1種となります。
生物学でいうところの「種」と、我々が日常的に使う「種類」は同じものではありません。
ちなみに、よくクイズで出される「日本の2種類の動物」の中では、ニホンイノシシとリュウキュウイノシシはどちらもイノシシの亜種、ヒグマとツキノワグマは独立した種です。

いろいろ面倒な生物の分類ですが、それは取りも直さず作問の種がたくさん埋まっているということでもあります。
クイズでは圧倒的に科が問われることが多いですが、別に属や目で問題を作っても構わないわけです。
僕は最近、目の問題を作ることが多いです。
というのも、最近は目の名前を、そこに属する動物の特徴(食肉目、齧歯目、半翅目など)ではなく、そこに属する代表的なグループの名前(ネコ目、ネズミ目、カメムシ目)で呼ぶことが増えていて、かえって紛らわしいのですが、この紛らわしさがクイズのアイデアになるのです。
犬は何目かを問うとかね(ネコ目)。

こんなこともありました。
ヒアリが港湾で発見され、テレビ番組で取り上げられたときに、その毒性の強さの説明として「ヒアリはスズメバチ上科のアリなんですよ!」と言っていたのですが、どんなアリでも全てスズメバチ上科に含まれるのです。
科のレベルではアリ科なので気付きにくいのですが、目や上科のレベルを確認するとアリがハチの仲間であることがわかります。
こんなところにも作問のヒントがありました。

生物分類の問題は、わりとベタ問であることが多いように思いますが、ちゃんと調べてみればまだまだ多くのヒントが眠っている宝の山です。
ぜひ、いろんな生物の分類を調べてみてください!


usubakagerounikki at 19:16│Comments(0)

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