今週は非常に大きなニュースが飛び込んで来ました。

日本の大手自動車メーカーのホンダがグーグルを傘下に持つアルファベットと完全自動運転車の開発に向けて共同研究を検討したとのことです。正式な発表は以下の通りです。

「ウェイモ社と米国にて自動運転技術領域の共同研究に向けた検討を開始しました。両社の技術チームは、ウェイモ社の自動運転技術であるセンサーやソフトウェア、車載コンピューターなどをHondaの提供する車両へ搭載し、共同で米国での公道実証実験に使用していきます。」

それでは、ホンダはなぜウェイモとの共同研究をしようとしているのでしょうか。
ウェイモの方では、もともと親会社のアルファベットが今年5月には、フィアット・クライスラーとも提携を発表しています。様々な自動車メーカーと提携して、自社の自動運転プラットフォームを提供していきたいのでしょう。
これはスマホのアンドロイドと似た戦略だと思います。

ホンダの方はと言えば、完全自動運転に向けて、他社に遅れをとっていた部分を補強することが目的であると考えられます。
それでは、日本の代表的な自動車メーカー×関連業界の中で、代表的なプレーヤーの関係を見ていきましょう。

・日本の代表自動車メーカー3社×関連業界プレーヤーマップ
NIG13

*公開情報を基に筆者作成


図の中で赤く表示されているのが、ウェイモです。
ウェイモはまさにホンダの欠けていた1ピースなのです。

トヨタ、日産、ホンダはもちろん各社素晴らしい技術を持っていますが、自動運転競争に勝つためには、仲間が必要です。
トヨタは人工知能研究所(TOYOTA Research Institute)をアメリカに設立したり、マイクロソフトと合弁会社を作るなど、自動車の頭脳の部分を大幅に強化してきました。
また、日産もマイクロソフトとコネクテッドカーの共同研究をするなど、自動運転競争に向けて仲間づくりをしてきました。

しかし、ホンダの場合はどうでしょうか。
ホンダは上の図の中で、「情報」プレーヤーとの提携がありませんでした。
ホンダは従来自前主義を貫いてきましたが、それではダメだと感じたのか、近年はオープンイノベーションを推進しています。

例えば今年、ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所は、ソフトバンクと協力し、ソフトバンクグループ傘下のcocoro SB株式会社が開発したAI技術「感情エンジン」のモビリティへの活用に向けた共同研究を開始するとしています。
また、ホンダは知能化研究開発のオープンイノベーションを更に強化するために、東京・赤坂に知能化技術の研究開発を行う新拠点「HondaイノベーションラボTokyo」の開設準備を進めています。今回の共同研究は、AI技術のオープンイノベーションの取組みの1つとなっています。

ただ、AI技術において、自社開発をするだけでは開発競争に勝ち残るのは難しいです。また、ホンダはソフトバンク傘下のcocoro SBと提携をしていますが、当社が持つAI技術はあくまで感情を解析する技術であって、自動運転に必ずしも寄与するものではありません。そこで、自動運転に向けて車の「頭脳」の強化が必要だったのです。

ホンダは ウェイモが持つ自動車の頭脳だけでなく、膨大なデータも欲しいのではないでしょうか。
現在、アメリカでは多くのグーグルカーが街を時速40kmで走っています。けっこう遅くてイライラするそうです。
ゆっくり走行しながらグーグルカーは何をしているかというと、走行中に膨大なデータを収集・解析しているのです。
ウェイモはこのような実証実験を繰り返してきました。街中に自動運転車が走行していない日本と比べて、アメリカの方が自動運転実験の規制が緩い状態になっています。そのため、自動運転をするためのデータを蓄積しやすいのです。


ホンダは、ウェイモがこれまで集積してきたデータをきっと欲しいはずです。そして、ウェイモの頭脳とデータを提供してもらい、完全自動運転に向けてさらなる飛躍を目指しているのでしょう。


追記:
プレーヤーマップを見ると、ホンダ派閥ではテレマティクス保険を提供している会社はいません。
ウェイモと提携するとデータ収集もしやすくなると思うので、どこかの企業がホンダの車に関連してテレマティクス保険を始めるかもしれませんね。