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変わる!!消費税

消費税等の有利判定(還付か?免税選択か?簡易課税か?)


 昨今、消費税の増税が将来的に避けられない方向へ向かっていますが、消費税についての基礎的なことを考えておくだけでも上手な節税をすることができます。


 時々あることなのですが、弊社へ記帳代行の見積もりを依頼された場合に、以前に消費税の届出書のタイミングを逸してしまい、結果的に多く納税しなければならないという事例です。消費税は会社の利益構造と将来の利益計画を分析することにより、賢く節税することができます。

~還付か?免税選択か?~

消費税は原則として売上などにより収受する消費税から仕入、経費、設備投資などにより支払う消費税を控除した残額を税務署に納めることとされており、設備投資が過大な場合等、消費税還付を受けられる場合には、初年度から消費税の課税事業者の届出を行うことが有利とされています。ただ、将来の利益の発生見込みにより免税事業者としたほうが結果的に有利になる場合もありますので、事前に十分な検討が必要です。

~簡易課税か?原則課税か?~

簡易課税は「預った消費税」から、その「預った消費税」に一定率(みなし仕入率)を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなして、簡便的に納税額を計算する方式です。


【相談事例】

 昨年(22)からインターネットでの小売業を始めました。

売り上げが15百万円で、仕入れが13百万円です。

消費税の申告等はどうしたらよいですか?簡易課税制度を申請したほうがよいですか?


(回答)平成22年から事業を開始したとのことですので、平成23年まで消費税は免税です。

平成24年は、平成22(基準期間)の課税売上高が1千万円を超えていますので、消費税の課税事業者に該当します。

 簡易課税を選択した場合、みなし仕入率は小売業で80%です。

平成22年度の実績では売上原価だけを考慮した実際の仕入率は86.7%ですので、利益率が改善しない限り簡易課税の選択は不利になりますので、原則課税の選択となります。


当該消費税等の有利判定は、自社の会計帳簿をきちんと作成していなければ正確には判定できません。

また、課税事業者の届出書、簡易課税の選択届出書等については、事業年度開始日の前日までに提出する必要がありますので、事前に十分な計画を立てておく必要があります。



変わる!!消費税
 

622日、平成23年度税制改正法案から(1)期限切れ租税特別措置の延長、(2)政策税制の拡充、(3)納税者利便の向上、(4)課税の適正化のための改正項目を分離した「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」(以下、可決法律案)が成立しました。

注目するべき事項としては、消費税法の一部改正関係です。


95%ルールの見直し

現行は課税売上割合が95%以上の場合、計算の簡便上、課税仕入れなどの税額の全額を仕入税額控除にできる有利な制度があります。この制度は会社の規模に関わらず、本来控除できない消費税を控除できてしまうという指摘がありました。

そこで、課税売上割合が95%以上である課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)超の事業者は、課税仕入れなどの税額の全額を仕入税額控除できる制度を適用できなくなりました。適用は、2012(平成24)年41日以後に開始する課税期間から。

■事業者免税点制度の見直し

現行は、基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合は原則前々事業年度)での課税売上高が1,000万円以下の場合、個人事業者の事業開始後原則2年間、資本金1,000万円未満の新設法人の設立後原則2事業年度が免税事業者です。

今回の改正案で、免税事業者のうち次に掲げる課税売上高が1,000万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用できないことになります。

1. 個人事業者のその年の前年11日から630日までの間の課税売上高

2.  法人のその事業年度の前事業年度開始の日から6月間の課税売上高

3. 法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年以内に開始した前々事業年度があるときは、その前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(その前々事業年度が5月以下の場合には、その前々事業年度の課税売上高)

例えば、資本金500万円の新設法人の場合、現行は1期および2期ともに免税事業者です。改正案によると1期目開始から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円超の場合、2期目から課税事業者となってしまいます。

ただし、事業者は上記の課税売上高に代えて給与などの金額を用いることができることとします(届出書が必要)。なお、平成2511日以後に開始する事業年度から適用します。



 

 

 

 

 

非営利法人(認定NPO等)の税務~平成23年度税制改正から~

 政府は12月16日、臨時閣議で平成23年度税制改正大綱を決定し、発表しました。寄附金の税額控除制度導入や認定NPO法人の要件緩和、信託を活用した寄附促進税制の導入が実現される見通しとなりました。

http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf

 大綱は、「第1章 基本的な考え方」「第2章 各主要課題の平成23年度での取組み」「第3章 平成23年度税制改正」の3部からなっています。第2章では「市民公益税制」として、「市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境を税制面から支援すること」を基本的考え方に、①所得税の税額控除制度の導入、②認定NPO法人制度の見直し、③認定NPO法人の新認定法に基づく新たな認定制度、④地域において活動するNPO法人等の支援(個人住民税)、が盛り込まれました。③については、平成24年4月から開始できるよう次期通常国会で所要の法整備が行われることを目指すことになります。

(所得税の税額控除制度)
 ①の対象法人となるのは、認定NPO法人と公益社団・財団法人、社会福祉法人、学校法人、更生保護法人。ただし上記のうち認定NPO法人以外の法人は、認定NPO法人の認定要件となっているパブリック・サポート・テスト(PST)及び情報公開に関する要件を満たさねばなりません。現行の所得控除方式との選択で、寄附額から2000円を引いた額の40%分を所得税額から、10%分を個人住民税額から控除できることになります。

(認定NPO法人制度の見直し)
 ②では、認定NPO法人のPST要件として、従来の判定基準との選択制で新たに絶対数基準(3000円以上寄附者が100人以上)が設けられることや、都道府県又は市区町村で条例指定を受けたNPO法人についてはPST用件が免除されることなどが盛り込まれました。

(認定NPO法人の新たな認定制度)
 ③では、認定NPO法人の根拠法の法整備を経た上で、仮認定制度の導入、認定機関の地方移管、みなし寄附金制度の拡充などが行われます。

(地域において活動するNPO法人等の支援)
 ④では、都道府県や市区町村が条例指定した認定NPO法人以外のNPO法人への寄附金を個人住民税の寄附金税額控除の対象とすることや、個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額を5千円から2千円に引き下げることなどが掲げられました。

(信託を活用した寄附促進税制の創設)
 また、個人所得課税関係では租税特別措置として、特定寄附信託いわゆる日本版プランド・ギビング信託に係る利子所得の非課税が創設されます。公益社団・財団法人や認定NPO法人等への寄附を主たる目的とした特定寄附信託については、信託財産から生じる利子所得について所得税・個人住民税が非課税となります。

(寄附金の年末調整対象化)
 その他、寄附金控除の年末調整対象化については、源泉徴収義務者の負担や不正行為防止の必要性を踏まえ、検討を行うこととされました。

ガンバレ!ニッポン

平成21事務年度 法人税等の申告(課税)実績の概要|国税庁HPより

平成21事務年度の法人税、源泉所得税の申告(課税)の実績が国税庁HPで公開されています。

http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/hojin_shinkoku/01.pdf

すでに新聞等で公表されていますが
ざっくりまとめますと…

【法人税】

  • 申告件数 2,786千件(前年対比99.3%=▲19千件)
  • 申告所得金額 338,310億円(前年対比89.1%=▲41,564億円)
  • 申告税額 87,296億円(前年対比89.9%=▲9,781億円)
  • 黒字申告割合 25.5%(前年対比▲3.6%) *過去最低

【給与所得に対する源泉所得税】

  • 源泉所得税額 85,702億円(前年対比90.4%=▲9,081億円)

 申告所得金額は日本の景気のバロメーターです。また、黒字申告割合が過去最低というのも大変寂しい結果ですね。

 日本経済の地盤沈下を食い止めるために、みなさん一人一人がんばりましょう!

 ガンバレ!ニッポン!

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