うつろいゆく時代と共に

社会現象とりわけ経済問題を様々な科学的な切り口でユーモアを交えて分析しています。 管理人は、Coop LightsというGNUに対抗するライセンスをつくっている人です。

https://twitter.com/cooplights でもつぶやいてます。

最近のグローバル企業を見ると、敵の敵は味方という戦略で多くの組織が統廃合されていくという流れを見ることが出来ますが、統廃合が進んだ結果、市場がGoogleのような優れた戦略を組み立てられる企業による独占状態になり、最後には主役である個人がそういったグローバル企業に食われることになるのではないかという懸念を持つ人も多いかと思います。

私見ではGoogleはそのような下手な戦略はとらないと思いますが、将来的にそうなる可能性もありますし、もしそのような状態になった場合にマンモス企業に個人が対抗する方法について論じてみようかと思います。

Googleのようなネット企業の強みは、サービスを提供する側とサービスを受ける側の距離を極限まで狭めることができるというところかと思いますが、同時に、その機能を提供するインフラを維持するコストが甚大であり、また、今後もコストが増え続けるという弱点を抱えることになってもいます。
具体的に書くと、現在Googleのサービスを提供するのに必要なサーバマシンは200万台前後と膨大であり、また、ネットのコンテンツは増大していく一方ですし、配信されるコンテンツが高画質化すれば配信データ量も増大しますから、そのサーバ負荷は増大する一方ということになります。また、今後はtwitterのようなSNS型のサービスがより求められるようになると思いますが、SNS型のシステムは規模の増大に対して非線形的に負荷が増大するという特徴もあり、どこかでサーバの増強が追いつかずにサービスの質が悪化するという問題に直面することでしょう。

一方で、P2P技術という、利用者のPCのリソースを用いてサービスを提供する方法は、サービス提供者の負担を限りなく小さくします。また、適用可能なサービスも多く、ファイル共有、大規模ストリーミング、ビデオチャット、掲示板、SNSなどさまざまものが実現できます。そして、P2Pでは今までサービス提供者がサーバで提供していた機能を省略することが出来て、例えば数千台のサーバマシンを提供する必要があったところが1台のサーバマシンで済むようになったりするわけです。そうなると、ソフト開発者はインフラをほとんど持たずにサービスを提供できるようになりますし、個人の影響力がますます増大することになるのです。

ではなぜ今までP2P技術がなぜ流行らなかったのでしょうか?

動画配信技術としてのPeerCast、ファイル共有ソフトのWinnyなど単発では様々なソフトが出来ましたが、ブラウザに統合できなかったり、セキュリティの不安があったり、通信が安定しなかったり、ネットワーク全体のトランザクションを増大させてしまったり、通信エラー補正が脆弱だったり、ソフトの設定が面倒だったり、国内法の問題を回避できなかったりして、結果として流行りませんでした。このような問題はP2P技術の問題と捉えられがちですが、しかしそれらはP2P技術がメジャーでないことから発生する問題であったりします。

ではどうすればP2Pば普及するのでしょうか?

オープンソースプロジェクトでP2PのOSとも言えるようなソフトウェアの基盤となるソフトウェアをつくり、そのP2Pのプロトコルを標準化してしまえばいいのです。そうすれば、開発の敷居が高いといわれるP2Pソフトを簡単に作れるようになっていいソフトもたくさん生まれるでしょうし、P2Pプロトコルでデータアクセスするブラウザのプラグインも開発されることでしょうし、利用者が増えればより軽快な動作を求めるユーザのニーズからハード化もされることでしょう。また、簡単セットアップツールなども充実することでしょう。

例えば、導入障壁で使ってもらえないのは手間に対してリターンが小さいからであって、P2Pの標準プロトコルを決めて、それを動作させるLinuxOSのような標準プラットフォームを作って、その上にさまざまな人が自由にソフトを作れる環境を提供したらどうでしょう?いいソフトがたくさん生まれれば多少の導入障壁があっても導入するでしょう。
また、通信処理を安定化させたければハード化すればいいのです。P2Pにおけるネットワークノードの頻繁な切断が嫌ならばパソコンではなくルーターのような常駐型設備でバケツリレーのような処理をすればいいのです。P2Pがメジャーになれば、ハードベンダもそういったサービスの質を向上させるものを作るでしょう。
また、ネットワークのトランザクションを増大させたのは過剰なキャッシュや物理的なネットワーク配置を考慮しないトランザクションの影響であって、P2Pがメジャーになれば、通信インフラを管理する企業は、IPアドレスから物理的な通信機器の位置を簡単に取得する機能を提供してトランザクションの軽減に努めるでしょうし、ユーザ側も過剰なキャッシュや複雑なネットワーク経路によって重くなったサービスよりも、安定したサービスのほうを選ぶようになって結果として無駄なトランザクションが減る方向にバイアスがかかるでしょう。

以上の話を踏まえて、「Googleはそのような下手な戦略はとらないと思います」と言った理由を話しましょう。それはGoogleなど他のマンモス企業もいずれサーバを維持するのが辛くなりP2P技術を積極的に導入すると考えているからです。
そういえば、HTML5と並行して規格化されている技術にWebSocket、LocalStorage、Web Workersなどがあります。これらの技術はP2P技術に応用できる可能性がありますが、ひょっとしたらP2P技術に本格参入する伏線なのかもしれませんね。

しかし、こういう変化の時代に、日本には未だにP2P技術を潰そうという動きがあります。例えば、Googleのサーチエンジンにおいて当たり前に使われていたサーバキャッシュ技術は10年くらい前からメジャーな技術でしたが、日本のIT企業では今年までそのような技術を使うことが法律で禁じられていました。ようやく決まった法律も曖昧で運用が恣意的なものになりそうですし、また、P2P規制の意図を感じる法案もいろいろ通りそうだったり通ったりしています。
また、P2Pソフトの開発者の逮捕を契機に自分自身のプログラムコードを他人に流用されて逮捕されるというリスクを回避するために日本のオープンソースコミュニティは壊滅して、結果として、海外のオープンソースコミュニティに標準規格の決定権を完全に奪われてしまいました。
今でもねとらじやPeerCast利用者の逮捕などP2Pシステムの逮捕者が多いのが目に付きますが、その結果としてP2P利用者が激減していますし、やはりP2P技術を潰したいのでしょう。

しかし今はグローバル社会ですから、国内利権がこういう感じで国内の動きを封じている間に、外資に国内市場を奪われることでしょうし、日本は黒舟来航のときのように海外からの圧力からでしか変われないのかもしれません。

国内利権もこういうP2Pの技術を使ったほうが安くサービスを提供できるでしょうし、増大するネット世界に拠点を置いたほうが利用者も増えるでしょうし、結果として収益が増大するのですが、変われない組織というのは救いようがないものですね。

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時代はサービス中心へ(6)」で予告しましたように、今回は、ネットで募ったデザイナやプログラマーなどと共同でゲーム製作をされているチームの話をします。

まさログというブログをされているプログラマーの方が中心となってゲームを作っているのですが、ネット上で知り合ったデザイナーやプログラマーの方など様々な方と協力してゲームを作られているようです。
また、作られたゲームをコミケなどで販売もされているようですし、販売の手助けやブログ等での宣伝もしてくれる良質なファンの方もたくさんおられるようです。
また、まさ深聞を発行してファンの方のサイトや気になるニュースを紹介することでファンとの一体感を高めている点が新しいですね。
(ちなみに、この深聞ブログプラグインは無料で配布してます。)

時代はサービス中心へ(5)」にて、これからは個人の時代だということを書きましたが、まず、この視点でみていきましょう。

海外では、デザイナー、プログラマー、作家、作曲家などの創造的な仕事をする人は尊敬されますし高収入なことも多いのですが、不思議なことに、日本では創造性を排除する人の地位が高く、創造的な仕事をすればするほど地位が低くなったり出る杭として打たれる傾向にあります。
例えば、アニメなどのコンテンツの市場価値は高いですが、素晴らしいコンテンツを消費者に配信するだけの人たちが高給をとっており、素晴らしいコンテンツを作られているデザイナーの方は生活ギリギリの薄給で作品を作っていたりします。
また、例えば、初期のWindowsのコアは数名のプログラマーが開発しましたし、LinuxのカーネルやらWinnyは1人のプログラマーが開発しました。このように1人のプログラマーの社会に与えるインパクトは大きく、日本の平均レベルのプログラマーならシリコンバレーに行けば収入が上がりますし、できるプログラマーであれば高給が得られますが、日本ではプログラマーの地位は低く扱われています。

しかしながら、ネット上に広がるグローバル市場では個人当人の実力と実績がすべてですから、素晴らしい作品のクリエーターにはかなり高い地位の人であっても敬意を持って接しますし、クリエーターから直接作品を買って応援したいという人も多いです。また、アマゾンやPayPALなどを用いたネット販売などクリエーターとファンを繋ぐ流通の場を安値で提供するサービスもたくさんあります。
つまり、この製作チームのような、クリエイティブな個人がものを作ってファンに直接販売するという活動は、彼らの本来の市場価値を引き出すことになるでしょう。
また、多くの日本の大企業が外資に市場を奪われて衰退・消滅する中で、実績のあるクリエイティブな人たちの地位は相対的に向上しますから、時間が経てば経つほどこの製作チームは有利になるでしょう。

クリエイティブな人たちが本来自分で作りたいものを作って世界に認められるようになるのですからモチベーションが高くいいものができることでしょう。
創造的な仕事をする人たちには、大きなチャンスの時だと思います。

時代はサービス中心へ(6)」では、ファンを作ることが成功の条件だという話をしましたが、この視点ではどうでしょう。

こういうチームはタスクフォースではなく互いにファンという関係なのだと思います。
クリエーティブな仕事というのは、お互いに実力を認め合っていないと良いものができないと思いますし、お互いに力になれるところは力になりたいと思っていないと精錬度があがってこないですから。
デザイナーやプログラマーなどが個別に活動するよりも、このチームのように、ファン同士であるクリエーター同士で協力した方がやれることの幅も広がりますし、相乗効果も狙えます。
例えば、デザイナーの方は、描いたキャラをゲーム、漫画、アニメ、本の表紙(私が以前寄稿した「ソフトウェアにおける革命」という本の表紙にはこのキャラが使われています)など様々なサービスに応用できます。また、音楽家や小説家などでもこういったコラボレーションでコンテンツの幅が広がります。
また、プログラマーの方も、何かのコンテンツと絡めてプログラムを作った方が収入に結びつくサービスに結びつけやすいかと思います。
また、分野の違う人同士が協調すれば、異なる種類のファン層を取り込むことができますから、ファン層の拡大にもつながるでしょう。

このようにこれからの個人の時代の立役者になることが期待される創造的な人たちが、ファンともうまい関係を築きながら、ネット上で活動していくというのがこれからのビジネスのやり方なのでしょうね。

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前回予告しましたように、今回は鉄工所などを巻き込んで自作EVバイクを作られている開発者の話をします。

この開発者は、鉄工所のおじちゃんなどを巻き込んでEVバイクの開発を個人でされていて、「自由の対価」というサイトにて、自身のEVバイクの開発日誌を書いておられます。また、このようにネットで公開することで良質なファン層を得ているようです。

EVバイクというのは日本ではあまり知られていないのですが、エンジンで動作するバイクと違いEVバイクは製作が容易なこともあり、中国では開発が活発に行われています。日本はこの動きが遅く今月になってようやくホンダがEVバイクの発売予定を発表するなど完全に出遅れている感があります。

時代はサービス中心へ(4)」で技術の流れを読むことの重要性を話しましたが、まず、この観点でみたときにEVバイクはどんな位置づけになるか見てみましょう。

電気自動車の開発に各社がしのぎを削っていることから、電気で稼動するシステムの弱点であったバッテリーのエネルギー変換効率や容量が今後革新的に改善されるでしょう。また、エネルギー源も原油中心から太陽光、風力、水力など多彩になってくるでしょうから、バッテリーの需要は増し、かつ、価格も安くなるでしょう。それと、原油価格の高騰というトレンドは長期的に続くでしょうし(人口増大、原油枯渇、戦争による需要増)、より少ないエネルギーで生活をする必要性や多彩なエネルギー源に頼らないといけなくなるなどの理由から、自動車からバイク、ガソリンから電気への乗り換え需要は大きくなるでしょう。

つまり安く簡単に高性能なEVバイクを作る素地ができてくるということですし、EVバイク自体のニーズもどんどん増えてくるということです。
この方のように時代を先読みすることで、時間がたつほど有利になるという状況になりますし、早くやることで認知度も上がります。Googleで検索していたら、この方のファンと見られる人のページがたくさん見つかりましたが、いち早くこの人が開発をしたことから、今後EVバイクの需要の増加とともにこの方の認知度が増してくることでしょうし、ファンも増えることでしょうし、ビジネスにも大いに役に立つことでしょう。

かつてPFドラッカーという方が「何によって憶えられたいか その問いかけが人生を変える」ということを言っていましたが、技術者の方はやはり進歩的な技術で覚えられるのがいいのかと思います。

では、「時代はサービス中心へ(5)」で個人でやったほうが開発力が高いことがあるという話をしましたが、この視点ではどうでしょう。

全国の零細鉄工所でも製作が可能!
主要機器を除いてホームセンターで調達可能!
製作期間は1週間以内に可能!!

デスマとやり直し作業がありましたが3ヶ月の土日のみで製作したので以後の車両は1週間で作れると思います。

[引用元] 皆さんに乗ってもらいました

大企業の内部の動きを想像してみまょう。企画部が企画をつくり、デザイン部がデザインを決め、設計部がデザインにあった設計を決め、解析チームや計測チームが設計内容にかんして強度や熱や電流などのシミュレーションをすすめ、製作部に仕様を出して試作機を作り破壊検査などをして、量産向けに本設計をして、試作して、品質部門に調査をさせて、実際の量産に入るのです。また、これらの部署間は縦割りになっていることが多く、各部署の上長の承認を得るためにプレゼンを作ったり会議をしたり他部署への根回しをするし、担当者間のコミュニケーションが阻害されることで作業の手戻りも多く、実に膨大な時間を浪費するのです。

それに比べて、デスマ続きのサラリーマンが3ヶ月で試作から量産設計まで終わらせてしまうとは何というスピード感でしょうか。しかも、自社利益とかそんなしがらみがないのでほぼ量産品のみで作れてしまうという利用者にとってありがたい仕様です。
また、この人の自作EV開発に協力した鉄工所の人は、自作EVを作ろうという人が増えたときにたくさん受注を受けることになると思いますし、うまく時流に乗れればいろいろな人の手助けも受けられる。なんという心強いことなのでしょうか。

検証などを労力かけてやっていないから品質が悪いのではないかという人もいるかもしれませんが、例えば、一般的な設計において実験によって物性データを集めたり有限要素法などの解析を駆使して得られる知見というのは有能な技術者なら解析をしなくてもわかることが多く(先端研究は除く)、多くの労力を裂いて得られるデータは管理職を納得させるためだけのものであったりすることが多いのです。
管理職のための無駄な作業をするよりも、ネット上で技術者同士が自分自身が培った知見を融通しあうほうが高い品質が保てると思いませんか?例えば、オープンソースのように、個人のプログラマーが互いに自分たちの知見を公開しあったほうが、企業内で独自開発をしたものよりも最終的に品質があがったということからもこのことが言えると思います。
会議のための会議、会議のための資料、資料のための解析、管理職の成果の視覚化のためだけの仕事などなど、大企業における無駄はほんとうに多すぎるのです。

もちろん、大企業の物量でうまくいくプロジェクトもありますが、個々の技術が容易に扱えるようになってくるという流れが見えている以上、大企業に頼らずに個人で活動する技術者のビジネスにおける地位の向上は加速的に増していくことでしょうね。

また、個人で活動することはリスク管理にもなりますし、それが結果として成功にもつながります。日本国内の横並びばかり意識している大企業は、流れに乗り遅れる傾向があるだけでなく、外資から奇襲攻撃を受けて一網打尽にされやすいことが多いという弱点もあります。こういう感じで個人の技術者がニッチ市場で戦っていれば、外資に狙い撃ちにされることもないですし、外資よりもフットワークの軽い個人は、外資の戦略をうまく利用して成功することもできるでしょう。

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