Fumble or Fumble



気ままに書いてみよう!!

2013年09月

「いつかかえるになる日まで」 栗本 薫

栗本薫氏の遺稿より発見された未発表作品。
4編が収録されている。


図書館の新刊棚においてあったので
何気なく読み始める。

作者が息子のためだけに書いた童話。
息子を愛しむ気持ちが伝わってくる。

そこには喪失の受容や、死の必然という、

これから息子が迎えるであろう人生の厳しさに対する覚悟も綴られている。

成人後どのように受け止められたでしょうか。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹

『ノルウェイの森』を彷彿させる小説、

主人公が高校時代の親しいグループから理由も告げられず、
妥協の余地もなく、突然に決別を通告される。

孤独に苦しみ、死を考えながら学生時代を過ごす。

彼は36歳になり、駅をつくる仕事に就く。

恋人から過去を解決するべきだ、と言われ、

かつての仲間を訪れる「巡礼」の旅に出る。

その過程がリストの名曲「巡礼の年」に重ねられて
描かれている。

タイトルの「色彩を持たない」というのは

登場人物の名字に色が含まれている
(赤松、青海、黒埜、白根)の比喩、

多崎つくるが、

グループのなかで個性という色合いを持たない凡庸な自分だった、
ということらしい


村上春樹の作品としては

最後のページ、最後の一文まで、読み終えたが、

気になる結末を明らかにせず、曖昧さで終わる。

物語の内容よりも文体を楽しませる小説なのか

平易な文章と難解な物語だった。

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