2016年08月23日

死神の浮力

作:伊坂 幸太郎

死神「千葉」を主人公に、その調査対象となった人間とのユーモラスなやり取りが展開していく。

「死神の精度」では調査対象が数人登場する短編集的な作りだったが、今作でのそれは一人だけだ。

「死神」は対象を7日間調査し、可か見送りかを判断する。
可であれば対象は事故や事件で命を落とし、見送りの場合は生き長らえる。
ほとんどの同僚達は対象に一度か二度の接触をしただけで、残りの調査期間を彼らが愛して止まない「ミュージック」を聴くことにあてているのだが、千葉は生真面目に対象と行動を共にしながら見極めていく。

たまに登場する同僚は「どうせ「可」なんだろ?」と言ってはばからない。
実際生真面目に調査した結果「見送り」になることは殆んどなく、千葉も自分の行動に若干の矛盾を感じながら「仕事とはそういうものだ」という理念に基づいて調査を継続していく。

これまでの伊坂作品に頻繁に登場したような「無敵の悪役」が調査対象の夫婦を翻弄し、常識の通用しない千葉に翻弄され、リズミカルに展開する物語りは人の生死を扱う作品にしては軽妙で軽快。
それでいて人の感情を解さない千葉に最後はホロッとさせられる。
  
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2016年08月16日

TENGU(てんぐ)

作:柴田 哲孝

一徹な雰囲気のあるベテランジャーナリストが主人公。

彼が駆け出しだった頃に担当した、とある寒村でおこった連続猟奇殺人事件を再び調べ直していく中で次々明らかになってくる事実、それに関わる闇を暴いていく、というストーリー。

物語りは第一の殺人事件の描写から始まり、その犯人である「天狗」の正体が明らかになるところで完結する。
その正体には衝撃というより違和感を覚えてしまったが、そこに至るまでの過程がフルボディで読みごたえのあるサスペンスになっている。

事件当時の回想パートでは江戸川作品的な淫靡な空気が漂う閉鎖的な昭和の寒村が描かれており、それを紐解く現在(2000年〜2001年)にはベテランとなった主人公が煩悶しながらも立ち向かう男気が伝わる。
  
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2016年08月05日

とまと

fe6667df.jpg小粒ながら味は良し。
ただ皮が固くて口に残る。
  
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2016年07月31日

オービタル・クラウド

作:藤井 太洋

地球軌道上で発生する前代未聞のテロと、それに対抗する人々を描いたSF小説。

イランから打ち上げられたロケットの2段目が、いつどこで大気圏へ落下して流れ星になるかを予測していた主人公は、その軌道が上昇しているという異常な現象を発見する。※軌道を上昇させる為にはその分のエネルギーが必要だが、打ち上げ後のロケットにはそれが無い。
原因となっているのがタイトルのオービタル・クラウド(軌道上の雲)なのだが、その正体が何なのかは重要な部分のネタバレになってしまいそうなので伏せておきます。
ただ宇宙人とか未来からの何とかではないので、ぶっ飛んだ設定に拒否反応があるような人でも大丈夫。

流れ星の予測サイトを細々と運営するWEBデザイナーを主人公に、JAXA職員や離島で浮世離れした生活を送る大富豪、北米航空宇宙防衛指令部(NORAD)からCIAまで巻き込んで、ストーリーはダイナミックに展開して行く。


持たざる者が大国の独占する領域へ足を踏み込む為に正攻法を取り得ないとすれば、彼らにどんな選択肢があるのだろうか。


日本人作家のSF小説はあまり手に取った事がなかったのですが、こういう作品に当たると次へのハードルがぐっと下がります。
  
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2016年07月24日

白バイガール

作:佐藤 青南

タイトル通り、女性白バイ隊員の成長を描いた青春(?)小説。

箱根駅伝を先導する事を夢見て神奈川県警に入り、念願の白バイ隊員となったものの、未熟な技術や違反者からの暴言に心が折れそうな毎日。
ある日、同僚が追跡していた暴走バイクが転倒し、運転者が死亡する事故が発生する。
また解散したはずの暴走族が復活したかと思われる形跡が見つかる。

サスペンス的要素も含めつつ、基本的にはほのぼのと感じられる展開は、主人公のキャラクターによるところだろう。
  
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2016年07月15日

ナイト&シャドウ

作:柳 広司

舞台はアメリカ。シークレットサービスに研修に来た日本人の凄腕SPが主人公。

日本で開催されたサミット警備の現場責任者を勤めた際、主要な出入口に金属探知機のゲートを独断で設置し、警備計画を立案した上層部から疎まれていた主人公は、アメリカ大統領を警護するシークレットサービスへの研修という名目で厄介払いされてきた。

その初日、銃規制を求めるデモ行進にナイフを持った暴漢が乱入、主人公は素早く暴漢を取り押さえ、少女を救出する。
そこで出会う日本人フォトジャーナリストや主人公をエスコートするシークレットサービスの担当者との関係、大統領を狙う爆弾テロ予告、物語りの結末に匂わされる意外な真相。

ジョーカーゲームで見せた冷酷に任務を遂行するマシンじみたキャラクターかと思わせつつ、その職務を忠実に勤めながら、裏には豊かな人間性も持ち合わせた主人公は魅力的。

ザ・ハードボイルド。
  
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2016年07月05日

神去なあなあ夜話

作:三浦 しおん

「神去なあなあ日常」の続編。

横浜でチャラく過ごしてきた主人公は、高校卒業に際して母の陰謀により携帯も通じないようなド田舎、神去村で林業に従事する事になる。
様々なカルチャーショックや人間関係に四苦八苦しながらも、林業の魅力に目覚めてそこに根を張ることを決意する。

と、いうところまでが「神去なあなあ日常」で描かれていた。

今作はその続編ということで、神去村にまだ隠されていた(?)秘密や主人公の色恋話し、また林業に従事する上で起こるハプニング等を主人公の主観で綴っている。

主人公をはじめ、登場するキャラクターが一々個性豊かで魅力的だ。

まったりほのぼのしたい時に最適。
  
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2016年06月28日

とまと

10cdacb8.jpg去年の最後になった実を食べずに埋めておいた。
もう苗の購入は不要ですな。
  
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2016年06月20日

とんぼ

8dd5be97.jpg撮影現場の控え室に紛れ込んできた。
あんまり見たことない種類。

くろいととんぼ?
  
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2016年06月14日

フィフス・ウェイブ

作:リック・ヤンシー

宇宙人からの侵略に対する少年少女の戦いを描いたSFサスペンス。

小型UFOと戦闘機のドッグファイや敵母艦へのミサイル攻撃といったものは一切無し。
その代わりに選択された侵略手順が、
ファーストウェイブ:軌道上から発せられた強力な電磁波で全ての電子機器を破壊。
これにより通信、交通、生活インフラや軍事施設はことごとく停止。
セカンドウェイブ:質量爆弾を海に落とし、大地震と巨大な津波を発生させる。
これで人口の集中している大都市が壊滅。
サードウェイブ:致死率97%の疫病。
鳥をキャリアにして媒介する。
フォースウェイブ:は物語り後半で明かされる。

物語りはサードウェイブ後、地球の人口が既に1%を切っている様な状況から始まる。
しかしここに至ってもなおエイリアンは直接その姿を見せず、生き残った人類は無政府状態の中で肩を寄せあい、あるいは暴徒となり、あるいは完全に孤立して生きている。

異性人からの侵略を描いた作品でありながらパニックものでもアクションものでもなく、サスペンスになっている点が面白い。
といってもアクションシーンはしっかりと用意されており、またそれがサスペンスにフィードバックされて展開を盛り上げている。

物語りは一定の結末を迎えつつ、続編もあるんだろうなと感じさせるところはまぁ良し悪しか。

ただタイトルの「フィフス・ウェイブ」については終盤で明かされているので、続編があったとしてもサスペンス要素は目減りしそうな気がする。
  
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