脳や神経を持たない単細胞生物の粘菌がつくるネットワークをもとに、人間社会の交通網や情報ネットワークの最適化にもつながる理論モデルを構築することに、手老(てろう)篤史・科学技術振興機構研究員らの研究グループが成功した。22日発行の米科学誌「サイエンス」に発表した。

 研究グループの手老研究員や中垣俊之・北海道大准教授、小林亮・広島大大学院教授らは、「迷路を解く粘菌」の研究で、2008年に「イグ・ノーベル賞」を受賞している。

 実験に使ったのは、「モジホコリ」という真正粘菌。複数のエサを見つけたときに形成する栄養輸送ネットワークに着目し、輸送効率や迂回(うかい)ルートなどの機能を解析した。関東地方に見立てた寒天の主要駅に相当する場所にエサを配置し、粘菌をはわせたところ、JR東海道線など現実の鉄道網を、ほぼ再現するケースもあった。

 実験を重ねてネットワーク形成の“粘菌理論”を導き、コンピューターのシミュレーションで機能を検証した結果、現実の鉄道網よりも効率的で、事故などのリスクにも強いネットワークを見いだすことができたという。手老研究員は「理論の精度を上げ、インフラ整備などに生かせるようにしたい」と話している。

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