法務省は、DNA鑑定の試料などを劣化させずに保管するための冷凍庫を全国13の大規模地検に配備する方針を固めた。足利事件や公訴時効廃止議論を受け、DNA型の再鑑定が実施される可能性や捜査・公判の長期化などを考慮し、長期保存するための環境整備が必要と判断した。今月以降、順次配備する。

 足利事件では証拠品が長期間常温で保管されたため、DNA再鑑定への影響が懸念された。公判の長期化や判決確定後のDNA再鑑定に備えた保管の必要性が指摘されているうえ、今国会で刑事訴訟法が改正されれば殺人事件の公訴時効が廃止され、未解決事件の証拠品を最長で100年近く劣化させずに保存しなければならない。

 こうしたことから、法務省は今年度予算に冷凍庫の購入費を計上した。配備されるのは高検所在地にある東京など8地検のほか、千葉、さいたま、横浜、京都、神戸の各地検。保管対象物は検討する。

 検察庁に送致された事件の証拠は、検察庁が保管する。鑑定に使用された試料や証拠品も同様だが、これまでは常温で保管されることが多く、腐敗など劣化の危険性が高かった。警察庁も全国約1200の全警察署にマイナス20度の冷凍庫を配備する方針を決めている。【石川淳一】

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