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日常を少し会計的に

2015年オンブズマン大賞を受賞いたしました

昨年、神奈川県の包括外部監査に従事させていただき、弁護士の橋本先生を筆頭に、弁護士や会計士の方々と神奈川県警の監査の仕事に懸命に向き合いました。

関連する法律や対象となる神奈川県警への理解の深度を深めるのが、正直なかなか難しく、ご一緒させていただいた方々の力に助けられながら、また県警の方々のご協力を仰ぎながら、それでもなんとか邁進し、報告書までたどり着くことができました。

その結果、毎年包括外部監査の講評を行っておられる全国市民オンブズマン連絡会議の方々から、2015年度のオンブズマン大賞をいただくことになりました。

オンブズマン大賞
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/
http://www.ombudsman.jp/houkatsu/150901.pdf


包括外部監査の結果
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p870781.html
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f491088/p16428.html


真摯に前を見つめた結果が評価され、本当に嬉しく思います。
自分にとっては高い壁でしたが、周りの方々の知性や創造力に助けられ、普段とは違う新しい視点に触れながら、手を伸ばし、乗り越えることが出来ました。感謝したいと思います。

対話型ナビ、ポケゴル、リリース!ゴルフ上達への近道!

フラッグという会社があります。動画製作やSNS運用、プロモーション等多方面にわたり、活躍しています。

その会社から、アプリがリリースされました。

フラッグ






ゴルフ動画アプリなんですが、ただ動画を見るというアプリではありません。

対話型で、適切なレッスン動画を提示してくれるアプリです。

対話の相手は、芝みどり、というキャラクター。

ポケゴル


使ってみると分かります。はまること間違いなし!
とりあえず、どんなものか1週間だけでも試してみてください!
http://pokegol.jp/

委員会制度を採用しガバナンスを効かしていたはずの東芝の内部統制の実態

東芝が揺れ続けています。
東芝2
YAHOO ファイナンスより引用


その昔、「内部統制」という言葉は、決してメジャーな言葉ではなく、監査論において出てくる非常にマイナーな概念であり、会計士試験を受験する人が、一所懸命その定義を暗記した程度の言葉だったと思います。

内部統制の認知度アップ
しかし、アメリカのSOX法制定から始まり、日本においても導入されたJ-soxで、「内部統制」という言葉は一気にメジャーになりました。wikipadiaにも当然載っています。

『内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。』

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%83%A8%E7%B5%B1%E5%88%B6 


内部統制の限界
多くの人がその存在を知ることになった「内部統制」ですが、内部統制の限界と呼ばれるものがあります。

・誤りや複数の担当者による共謀
  共謀があると牽制が効かなくなり、内部統制の機能が発揮されません。

・当初想定していない取引や非定型取引の発生
  イレギュラーな取引が発生すると、対処の正しさについて不明瞭になるため、内部統制が機能しません。

・費用対効果によって内部統制を構築
  そもそも内部統制が構築されていないので、統制は効きません。

・経営者が内部統制を無視
  牽制・承認行為のトップに立つ者が、自ら不正等を行う場合、誰も止められず、結果内部統制は機能しません。

これらの限界が生じてしまうと、内部統制は張り子の虎よろしく機能しなくなります。
監査論や会計士試験受験者は、典型論点ですからこれを必ず覚える必要がありますね。


東芝の場合
不適切会計に関し、経営陣からの指示があったとニュースでさんざんやってます。
http://www.sankei.com/economy/news/150711/ecn1507110009-n1.html

これがもし本当だとしたら、内部統制の限界の例示にある「経営者が内部統制を無視」に該当することになります。

「内部統制」は、経営者が、企業経営を円滑適正になすために構築するもの、という位置づけにあるゆえに、構築する側の人間が無視してしまったら、さすがに機能しなくなります。

あくまでも経営者による指示が事実だったとしたら、東芝の内部統制は、その一部において、破綻していたと考えることができるでしょう。



社会福祉法人向け、会計監査の概要

今回の衆議院で審議されている法案の一つに社会福祉法の改正があります。

平成27年度から新しい会計基準による財務諸表の作成が求められるようになったばかりですが、法案が通れば、財務諸表の適正性について、会計監査人による意見表明が必要になります。

もともと財務諸表は数値の集計に過ぎず、いくらでも数値を虚偽のものにすることが可能であり、正しい財務諸表を作成するためには作成者の善意によるところが大きいものですが、外部の評価者を導入することにより、不正や誤謬を抑制するというのは、至極自然な流れです。

諸外国の法では、企業の粉飾決算を防止するために、規模にかかわらず一律に法定監査を義務付けていたりします。


会計監査について馴染みのない社会福祉法人も多いと思います。
本当に簡単ですが、会計監査について、まとめてみました。
ご相談等がありましたら、お気軽にメールで御連絡ください。

会計監査

Freeeが会社設立まで

クラウド会計ソフトのfreeeが会社の設立まで簡単にできるようにしてしまいました。

http://www.freee.co.jp/launch/

会社の設立というのは、基礎知識のある人だったらともかく、ない方には少し、いやかなり難しいものでしょう。

知っている人からすると、だいたい定型的なものなので、必要な事項さえ分かれば、登記用の書類の作成はできるわけで、これをfreeeが提供してくれる、はっきりいってかなり便利です。

法人の設立から、マネジメント、外部の会社との提携に伴う機能拡張、起業家のためのインフラになりつつありますね。

そのうち稟議や経費精算等の分野まで手を伸ばしていくのではないかと思います。、

今回の会社設立にかかるサービスで、電子公告サービスまでカバーしているのには驚きました。

なお、当事務所はfreeeの認定アドバイザーとして認められております。
http://advisors.freee.co.jp/tax_accountants/59906/result

東芝の追加損失?と経営陣の責任

週末に東芝の損失が新たに判明というニュースが流れ、その金額が1000億を超えるとのことでした。
http://toyokeizai.net/articles/-/75765

これに対し、7/6に企業側がIRで、否定的な見解を示しています。
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150704_1.pdf

第三者である各専門家が調査を始めて数か月、たった数ヶ月で本当にこれだけの問題が認識されたのであれば、現経営陣の責任は免れないのではないかと思います。第三者がわずかな期間で見つけた綻びを、もっと長い在任期間において発見できなかったというのは、任務懈怠があったのではないかと疑うのが当然ですし、あるいは共謀していたのかと、強い疑念さえも生じてしまいます。

東芝は委員会制度を採用し、コーポレートガバナンスに力を入れているように見えましたが、実態は全く機能していなかった。そう捉えられても、不思議ではないですね。

知人が、取締役の殆どを外部の人間に任せ、厳しく監督するのが良い、と自分が関与しているUS企業の例を挙げていましたが、日本企業もそういう時代がやがて来るのでしょうか。創業者と社内昇進を経たサラリーマン社長には、やはり絶対的な差が存在するのでしょうか?

伝統ある有名企業が不祥事を起こす際、いつもそんなことが頭に過ります。

それと、第三者委員会の組成を、法的に担保する時代もそろそろ来そうな気がします。

SONYが新株発行と新株予約権付社債を

ソニーが新株発行及び新株予約権付社債を発行するようです。

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/news/20150630_J.pdf

これに伴い株価は、「あっ」という間に下落しました。

IRを見てみると、

【本資金調達の背景】
当社は、2015年2月18日に「2015〜2017年度中期経営方針」(以下「中期経営方針」といいます。)を発表いたしました。事業運営の基本方針として、(1)一律には規模を追わない収益性重視の経営、(2)各事業ユニットの自立と株主視点を重視した経営、(3)事業ポートフォリオの観点から各事業の位置づけを明確化、の3点
を定め、高収益企業への変革を着実に進めております。また、株主資本利益率(ROE)を最も重視する経営指標に据え、中期経営計画の最終年度となる2017年度に、ソニーグループ連結で、ROE10%以上、営業利益5,000億円以上を達成することを目標としております。当社は、2014年度までの構造改革のフェーズから、現行の中期経営方針のテーマである「利益創出と成長への投資」のフェーズに移行しており、こうした転換を背景に、このたび本資金調達の実行を決定しました。


と記載されています。http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/news/20150630_J.pdfより引用

以前に策定された計画により、事業を進めるにあたり、資金が必要ということです。

ちなみに株式会社は、授権資本制度が採用されており、上場企業の場合、発行可能枠の範囲であれば、原則として新株式の発行を取締役会により決議することが可能です。会社法201条

ゆえに、ソニーが、取締役会決議に基づいて新株を発行することについて、特段の問題があるわけではありません。

また、新株発行が後発事象に該当する場合、有価証券報告書に記載しなければならないのですが、重要な新株の発行は、もちろん後発事象です。

参考 後発事象に関するエントリー
オーイズミが株主総会を延期!後発事象が原因??
http://blog.livedoor.jp/v6spirit/archives/53196417.html

でも、ソニーの有価証券報告書をながめてみると、新株発行にかかる後発事象の記載はありません。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/h26_q4.pdf

なぜでしょう?

ソニーの有価証券報告書の提出日は6/23であり、資金調達の意思決定をなす役員の選任も、6/23の株主総会で実施され、資金調達を決めたのが6/30で、今回の新株発行は、有報提出後における新任役員による意思決定であり、有報に載せるべき後発事象ではなかったと解釈することができます。

何度も言いますが、総会後の取締役会での意思決定事項であり、もしかしたら状況が変わるかもしれない、という可能性に配慮したのかもしれません。そのためか、株主総会においても、新株発行のことは一言もアナウンスがなかったようです。


けれど、そんな可能性は「0」といってもいいと思うんです。役員選任も資金調達も、ほとんど既定事実なので。

前もって策定した計画を達成するために、これだけの資金を必要としているのに、、資金調達を検討していることさえも株主総会でアナウンスしないというのは、いかがなものかと思うのです。

株主ではないので、あまり偉そうなことは言えないのですけれど、それでも、会社法や開示ルールを守っているから問題ない、という前に、せっかく直近で株主総会を行っている以上、株主に有用な情報を提供するということがあっても、よろしいのではないのか?と考えるわけです。

株主総会終了、一週間後に多額の増資をアナウンスというのが、どうにも株主を軽視しているように見えるのです。

経営ハッカーに寄稿させていただきました

住民税の滞納に関する記事を経営ハッカーに寄稿させていただきました。

http://keiei.freee.co.jp/2015/06/25/juminzei-tainou/

延滞金の割合が平成27年適用分から低下したとはいえ、まだまだ高いです。

普通徴収している方は忘れずに納付しましょう!

また特別徴収義務のある給与支払者が徴収や納税を怠ると、延滞金だけではなく、厳しい罰則もありますから、要注意です。

第三者委員会設置中の東芝の「自主チェック」って?いったい??

第三者委員会が設置され、現在混沌の渦中にある東芝の最新IRが6/12に公表されました。

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150612_1.pdf

このIRには「自主チェック」という言葉が頻繁に出てきます。
そしてこの「自主チェック」の目的や方法についても、丁寧な説明が付されています。

結果、自主チェックにより判明した営業利益への累積的影響が36億円ほど。

財務諸表監査においては「重要性」という概念が存在します。

「重要性」が僅少と考えられる場合、財務諸表にエラーがあったとしても、監査意見に影響はありません。
東芝の連結ベースの26/3月期の税前利益が1,809億円なので、単純に計算して、約1.99%ほどの影響とすると、当該影響額は僅少と判断することが可能です。

つまり、36億(あくまでも累積なので単年度で考えるとさらに影響は僅少になる)くらいの誤差なら、企業に対する投資判断に影響を与えないだろうと考えられ、その意味で財務諸表監査において、その意見形成において問題とされない状況にあるといえます。

でも、この「自主チェック」というものが、よく理解できません。

そもそも、J-soxって、財務諸表が組織的な牽制行為を経ながら、正しく作成されるプロセスを構築し、さらに評価しましょう、という主旨であって、さんざん「評価」なり、「改善」なりが行われてきたはずです。導入されたのが平成20年なので、今回の自主チェック対象年度は当然対象です。

自主チェックによる「結果」を個別にみると、費用の計上時期や、棚卸資産の評価減など、非常に基礎的な部分だと思います。

自主チェックって、聞こえは良いのかもしれませんし、その結果を公表していることも、それなりに評価できますが、今まで何してたんですか?等の声が、聞こえて来ても仕方がないわけです。

「本腰入れてチェックしたら、ぼろぼろだった」という答えは、J-soxが始まっている以上、合理的な回答ではありません。財務諸表を適正に作成するための内部統制の構築や整備・評価は、本腰入れてなかったんですか?と聞かれてしまいますから。

自主チェックで行われる手続や評価こそが、本来内部統制に組み込まれているべきものだったと思います。

オーイズミが株主総会を延期!後発事象が原因??

(株)オーイズミがIRで、株主総会延期のお知らせをアナウンスしています。

監査が終了していないことがその理由として挙げられていますが、その原因が、「後発事象の突発発現に関する監査手続きが完了していないことによるものです 」と記載されています。

http://oizumi.co.jp/pdf.php?c=2&n=222

で、後発事象とは?

後発事象は、決算日後に発生し、当期の財務諸表に反映させるべき修正後発事象と、次期以降の財務諸表に影響を与えるものとして注記が求められる開示後発事象に分類されます。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/other/2014-03-12.html

よく試験問題にもなります。

後発事象の対象となるものは、合併や多額の借財、取引先の倒産、火災等の発生、重要な係争事件の発生や解決等であり、その「発生原因」が、既に当期において生じていたか、否かを、判断基準として、当期の財務諸表に取り込むか、次期の財務諸表に取り込むかを検討することになります。次期の財務諸表に取り込むと判断した場合は、財務諸表に注記して当該事象を開示します。

後発事象の実質的判断は下記が参考になります。
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/other/2014-04-18.html


しかし、(株)オーイズミの場合、IRを読んでも、具体的にどのような問題が発生しているのか、正直よく分かりません。
(株)オーイズミ IRより 引用
当社は、当社が医療法人社団永潤会(現医療法人社団やまゆり会)との間で締結した土
地の売買予約契約(所有権移転請求権仮登記)に基づいて、同医療法人の債権者とする株
式会社アビックに所有権移転本登記承諾請求を提起していたものであるが、当社の前記仮
登記に対し、利害関係者とする前記株式会社アビックによる詐害行為取消請求を認める旨
の一審判決が横浜地方裁判所小田原支部において出されました。
当社は、原判決に事実認定に多数の誤りがあり、全部不服であるから、速やかに東京高
等裁判所に控訴を提起(控訴受付日5月29日)しております


「土地の売買予約契約」 (株)不動産流通研究所より引用 http://buy-athome.jp/yougo/print.php?n=2386
売買予約 ばいばいよやく
私法上の概念で、将来において売買契約を成立させることを約束する契約をいう。
予約により将来において成立する契約を本契約、予約によって本契約を成立させる権利を予
約完結権といい、予約完結権は形成権とされる。売買予約には、当事者の一方のみが予約完
結権を持つもの(売買一方の予約)と、当事者の双方が予約完結権を持つものとがあるが、当
事者が予約完結権を行使する旨の意思表示を行なうと、本契約が当然に成立する。
なお、不動産の売買予約については、所有権移転請求権を仮登記することによって第三者に
対抗できる。
また、予約完結権の行使について催告し、確答がないときには予約の効力をなくすることができる。


将来、土地を買う約束をしていたのに、実際には買えなかったという話でしょうか?
医療法人を舞台に、何が起きているのでしょうか?

これが後発事象に該当しているとしたら、重要な係争事件の解決。
ただ控訴しているので、完全に解決しているわけではないようです。

後発事象だとしたら、修正後発事象なのか、開示後発事象なのか、ということになりますが、開示後発事象であるならば、注記すれば良いだけなので、監査が終了しないというようなことは考えられません。

未確定事項という考え方が、監査論にあります。

未確定事項とは、財務諸表に影響を与えることが予想されるにもかかわらず、その影響がどの程度あるのか、よく分からん、というような事項をいいます。

もしかすると、すんごいことになるかもしれないし、もしかしたら、それほどたいしたことないのかもしれない、というような、とにかく確証を持って、合理的に判断し、見積もることが難しい事項をいい、この未確定事項が発生した場合、「どうすんべ、これ」、とたいてい会社の人も監査法人も頭を抱えてしまいます。

(株)オーイズミの「後発事象の突発発現」が、未確定事項にあたるのか否かは、当事者ではないので正確なことはわかりません。

ただ、間違いなく関係者の頭を悩ます複雑な状況が存在しているのでしょう。

(株)オーイズミの監査報告書には、「適正意見」、「限定付適正意見」、「意見差控」、いずれが付与されることになるのでしょうか?

監査意見の種類については、会計士協会のサイト「ハロー!監査事典」を参照ください!
https://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/cpainfo/student/ke_word/2007/10/post_54.html

原価計算ってどこまでいっても難しい

原価計算、いかに原価を正しく計算するか?あるべき原価を算出するか?

ああだ、こうだと喧々諤々。

どこまでいっても、所詮は配賦計算、絶対的な正解なし。

どこかで妥協する。それも一つの選択肢です。

間接費、あるいは共通費、これの取扱いには本当に頭を痛めます。

設備や人的資本が、目一杯、フルに100%稼働しているような状態では、問題はあまり見えてきません。

操業が低下した場合や、新規事業を起ち上げるような場合、これはどうとらえるべきなのか、そういう疑問が経営会議や生産会議など、ブレーンの頭に充満していくことはよくある現象です。

不稼働による単位当たり生産コストの増加、あるいは、新規事業ゆえに作業が増え、配賦される間接費や共通費が増加してしまう。

結果、このコストって正しいのだろうか?

このコストに基づいて意思決定を行うべきだろうか?

事業の状況や操業に無関係に発生する固定費を、どうとらえ配賦していくべきか?

悩ましくて、禅問答のような問いにひたすら向き合うしかないのですが、ABC(活動基準原価計算)やABM(活動基準管理)、直接原価計算等々、検討しても答えは遥か遠くにありそうです。

直感的には、直接原価計算によるコスト算出、固定費の製品への配賦は行わない、というのが、合理的な方法じゃないかと思います。

けれど、この方法は、会計的には、税務においてもリスクを抱える方法なので、採用は難しい。

元同僚たちが原価計算の本を出版しています。実務に着目した本なので参考にしたいと思います。

図解&設例 原価計算の本質と実務がわかる本
関 浩一郎
菅野貴弘
中央経済社
2013-09-04





会社法を参照しながら、トヨタのAA型種類株式を確認してみる

トヨタが開発資金を調達するために、種類株式を発行しようと計画していることがニュースになりましたが、6月に開催される株主総会でその是非を問うことになります。

トヨタ自動車、中長期保有を前提とした「AA型種類株式」の発行に向けた手続きを開始
-発行株式総数の5%が上限、あわせて同数の普通株式の自己株式取得も実施-
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/7764179/

このニュースを見て、トヨタクラスの企業が種類株式を発行する時代になったのかと、資金調達方法の多様化を感慨深く感じると共に、同様の資金調達が他の企業にも波及していくことを容易に想像することができます。

そして、数年前に種類株式にかかるエントリーを書いたのを思い出しました。
http://blog.livedoor.jp/v6spirit/archives/52728518.html#more

そこでトヨタのAA種類株式がどのようなものか、会社法に定められている種類株式に照らしてみようと思います。


会社法108条1項により発行できる種類株式は以下のとおりです。

1号:剰余金の配当  
配当の受取が、他の種類の株式に優先する、あるいは劣後することを決められる

2号:残余財産の分配  
残余財産の分配が、他の種類の株式に優先する、あるいは劣後することを決められる

3号:株主総会において議決権を行使することができる事項 
株主総会の決議の一部や全部について議決権を行使できないとすることができる
  
4号:譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
株式譲渡承認を一部の株式に限定して付すことができる

5号:当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること
株主が会社に対して保有株式の取得を請求することができる権利を付すことができる

6号:当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること
会社が株主に対して株式の交付を求めることができる

7号:当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること
会社が株主総会の決議によって、株主に対し全部の株式の交付を求めることができる

8号:株主総会において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
株主総会等の決議事項について、その決議だけではなく、当該種類の種類株主総会の決議が必要とすることができる(買収防衛で力を発揮する黄金株が一例)

9号:当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること
役員の選任権限を与えることができる






これに対し、トヨタのAA型種類株式の内容を要約すると次のような感じになります。
・配当金が予め決められていて、普通株主とは相違する
・残余財産の分配が普通株主と相違する
・会社に普通株への転換請求あるいは金銭を対価とした取得を請求できる
・譲渡が制限されている
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20150428/997c7g/140120150428454540.pdf


108条1項に照らしてみると、

・配当金が予め決められていて、普通株主とは相違する   →  1号:剰余金の配当

・残余財産の分配が普通株主と相違する  →  2号:残余財産の分配 

・譲渡が制限されている  →  4号:譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること

・会社に普通株への転換請求あるいは金銭を対価とした取得を請求できる  →  5号:当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること

1号、2号、4号、5号の規定を活用していることがうかがえます。


投資対象として魅力的か否かは・・・・・よく分かりませんが、多様化する資金調達方法の一つのモデルとして、今後証券会社が多くの企業に提案していくのでしょう。


ちなみに起業のファイナンスで高名な磯崎氏がエクイティファイナンスの本を出されているようです。強気な価格設定ではありますが、きっとためになるはずです。







東芝、不適切会計の対象範囲が拡大???

東芝の不適切会計の疑義対象がだんだん拡大しています。

販促費の計上時期や、在庫評価なども調査対象とすることがニュースに取り上げられました。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150522-00000001-biz_fsi-nb

いや、さすがに問題ないと思いますが、もしも、そこに指摘すべき点があると、かなり影響が大きくなるでしょう。J-soxも、監査も、取締役や、監査役にも、広範囲にその影響が及ぶでしょう。

しかし、いつも思いますが、「第三者委員会」って何でしょうかね?法的には何の根拠も、何の権限もないはずなんです。

取締役や監査役が、「自らの職責」を第三者委員会に委託する、というような形が取られるのか。そうすれば、こういう場合の「調査」という職責に対する任務懈怠はなくなるのかな?

今の世の中は、何かあるとすぐに「第三者委員会」が設置されますが、本来その任に近いはずの、監査役はよほど信頼されていないということになるんでしょうか?

こういう状況を打破するためには、監査役を全員社外から選任するようにして、かつて会社の取締役や従業員(子会社含めて)から選任することは一切やめるべきではないでしょうか?監査役選任の議案を誰がつくるんだというツッコミはあるでしょうけど。

第三者委員会とは?

どんどん便利になって行くfreee

freeeの認定アドバイザ―となり、はや半年近く。

freeeの進化が止まりません。どんどん便利になっていきます。

購入に関するAmazonとの連携は既にありましたが、さらに進化しました。

Amazonに出品あるいは出店している方の売上や手数料データを簡単に取り込むことができるのです。

売上とそれにかかる手数料をデータ化するのってとても面倒なので、そういう部分は(そういう部分だけで那覇ないけど)ITに自動でやってもらえれば良いわけです。

例えば、銀行口座に入金された明細を確認し、売上が9000円、その手数料が240円、売上が8000円、その手数料が165円・・・・・・というようにたくさんのデータ、これをいちいち一つずつデータ化していたら、大変な手間です。

しかしfreeeだったら、そういうデータを同期して、ささっと取り込めてしまいます

こんな感じ。freeeヘルプセンターより引用
明細

自動車の運転が自動化されようとしている時代です。

日々の会計データの入力なんて、車より先に、自動化されるべきだと思います。







東芝の不適切会計って、直近二度目?

東芝メディカルシステムに関する不適切な会計処理が記憶に新しいですが、先日、再び疑念のある取引が浮かび上がった東芝において、特別調査委員会が設置されたニュースが流れました。
http://jp.reuters.com/article/FiscoTopics/idJP00093500_20150406_00620150406
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150403.pdf

今度は2013年度の工事進行基準に関連した取引が対象とのこと。

当期に入って急に部門の利益が圧迫され、おかしいなと気付いたのか、当期に入って驚くような当該プロジェクトのコストの見直しが行われたのか、あるいはコスト負担で他のプロジェクトにしわ寄せがいったのか、よく分かりませんが、だいたいこんなところではないかと推測されます。

監査法人の監査でも、多分指摘されている可能性は高そうです。あくまでも、私見、かつ、貧困な想像力を最大限発揮しているだけなので、本当のところは分かりませんが。

とりあえず、工事進行基準について知りたい方は、次の本が良さそうです。




こんな本もあるんですね。驚きです。
戦略的活用方法だなんて・・・・

神奈川県の平成26年包括外部監査を終えて

平成26年の包括外部監査の補助者として、神奈川県警を監査させていただきました。

皆で、県警を監査すると決めたものの、県警という、端から見ると、巨大で堅牢な組織に対し、どのように監査を行うことになるのか、必要な情報は入手できるのか、神奈川県警の協力を得ることは出来るのか等々、不安や疑念が、実は出航を前にした小さな舟の前にもくもくと暗雲として立ちはだかりました。

それでも小さな船は出航しました。努力と工夫と誠意と好奇心と知性と創造と勇気と熱意と敬意をかき集めて、もがくようにオールをこぎ出しましたたのです。

少し進むと、波の向こうに、渦潮や、激しい潮流が隠れていたことが分かり、自分達の想像力の乏しさに打ちのめされそうになりました。その度に船長が、怯むな、希望はある、必ず遥か遠い岸にたどり着けるとクルーを叱咤激励しましたしたのです。

クルーも誰一人諦めることはありませんでした。大きな波やうねりがあろうと、冷たい風が吹こうと、この海はどこかに繋がっていることを疑うこともなかったのです。今は見えなくも、目を凝らし続ければやがて色彩や輪郭がぼんやりと姿を現すことを分かっていたからでしょうかもしれません。

しかし、海に出てしばらく旋回するかのように、おなじような場所をぐるぐる回っている感覚に陥りました。けれど、いつのまにか太陽が海を照らし、進むべき航路を指し示しているかのような錯覚を覚えるようになりました。

辿り着いた先は、当初自分たちが必ずしも予想していたものとは違う大地だったかもしれません。
けれど、まぎれもなく自分たちが想像していたものより、大きな大地だったような気がします。

そして、その大地は神奈川県警の協力がなければ、たどり着けなかった場所だと思います。
また、船長はじめクルーの知見や発想やアイデアが、想像を上回る結果をもたらしてくれたのだと思います。

平成26年度の包括外部監査にたずさわった全ての方に感謝申し上げます。
どうも有り難うございました。

なお監査の結果は以下のとおりです。
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p870781.html

HOMEPAGEをリニューアル!

懸案だったHOMEPAGEをようやくリニューアル致しました!

HTML5とCSS3対応で、タブレットやスマホでもOKという感じに仕上げてみました。

まだ一部のサイトを構築中ですが、出来上がったらWEBの技術も少しはまともになっていたりして。

WEB作成も承れる会計事務所に進化中です!

お時間ある方は、試しに覗いてみてください。

http://www.tokyo-yokohama-accounting.com/


それとただ今、Accounting Exerciseという動画サイトを構築中です。
多くの方に会計に関する知識を少しでも身につけて頂いて、ビジネスという荒波に立ち向かっていって頂けることを祈念して作っております。
ほんとうにサイト構築中ですが、こんな感じです。もっとインターフェースを良くしたいなと思ってます。講座も充実させないと。

http://v.rentalserver.jp/test.tokyo-yokohama-accounting.com/#


完成したら、色々なチュートリアル動画を載せていきたいと思ってます。

その際はよろしくお願いいたします。



「破綻 バイオ企業・林原の真実」を読んで

Blog等でタイトルを目にする機会が多く、気になっていた林原靖氏の著書を購入し読了いたしました。



事業で成功した方の著作のみならず、残念ながらうまくいかなかった方の経験も、非常に勉強になるものです
この本の著者である林原靖氏のお話の中にも、そういう部分はたくさんあります。

けれど、頭を捻る部分もたくさん目につきました。

自社を中小企業と位置づけ、大事なことの第一を株主以外の関係者の生活を守ることとし、企業会計を上場会社中心の短期利益至上主義といったアメリカ型会計と認識されているところや、一方で、知的所有権の計上が見送られたこと(IFRSのことを言及しているんだと思います)を、世界標準への後れと指摘していること、などなど。

グループ全体で1300億円もの借入金残高があるような企業は、資本金がたとえ1億円でも、もはや中小企業とはいえないと思います。それほど巨額な借入金があれば、利害関係者は多岐にわたりますし、一社で200億円以上の負債があれば、財務諸表についても会社法監査が必要になります。大会社と自覚してその責務を果たすべきだと思うのですが、そういう責任みたいなものは著書からはあまり伝わってきませんでした。金融機関からの借り入れというのは、元をただせば、誰かが預けた預金なわけで、そういう意味ではそのお金の出所にもっと神経を回すべきでしょう。

本文中に幾度も出てくる財務諸表の借入金と報告書の借入金残高が相違しているという部分の解釈が非常に難しいです。
いつ頃からそうした事態が発生していたのか、古い過去の遺産がのこったままだったのか、あるいは大規模化した状態においても、会社の経理が正常に機能していなかったのか、答えは分かりません。

ただ、非公開の同族企業でたまに目にするケースとして、ありえないような取引が平然と行われていて、どこから資金が出て、どこに回っているのか、わからないようなケースがあります。本人達は商取引の正当性を特段意識もせず、あそこのお金をこっちに回して、それでこれをこうしようなどといった感じで、取引を行います。
林原さんもそうだったのかは分かりませんが、可能性は少なくないと思います。

それとずっと大黒字だったにもかかわらず、あっという間に資金がショートしてしまうという部分もよく理解できませんでした。黒字倒産というのは確かにありますが、黒字が出ているという状態は資金も生み出しているはずなんです。よほど配当や設備投資として資金を使っていたのか、疑問は残るばかりです。

林原という会社が保有していた技術やノウハウは素晴らしいものだったのでしょう。この著作を読んでそう感じます。このような会社が倒産してしまうのは、本当に悲しいことです。

もし投資効率や資金管理、あるいは情報の信頼性を確保するための体制を構築することにも配慮した経営がなされていたら、こんなことにはならなかったのではないでしょうか?

著書を読み進めていくうちに、「身から出た錆」、という言葉が頭の中を占めるようになってしまいました。

天気の良い日に傘を差し出し、雨の日に傘を取り上げる、なんていいますが、金融機関云々の前に、やるべきことがあったのではないか、そう思えてなりません。

それに、会社について、意図して書かれていない部分が多々あるような気がしてなりませんでした。

非公開企業から公開企業へ 効果的なファイナンスとは?

セブンオーシャンが民事再生法適用を申請、宅配すし「味ぎん」展開/川崎

最近ちらしが事務所のポストに投函されていたばかりで、残念なニュースです。。

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/kanaloco-20130123-1301230018/1.htm

民再申立ての原因の一つがデリバティブにあるようですが、宅配ずしの会社でどういうデリバティブを行っていたのか?興味のあるところです。

競争激化等による売上の減少は会社の資金繰りを当然逼迫させ、新規出店で成長性を保持しようとしても、すぐに採算にのる店舗ばかりではない。事業をうまくドライブすることは本当に難しいと思います。

特に店舗を広げていくような事業展開を行う企業は、常に資金繰りに頭を悩ましていらっしゃるのではないでしょうか。

必要な資金をいわゆる他人資本で調達しなければならない非公開企業は、よほど需要が絶えず消費者に受け入れられていなければ、事業をドライブすることがなかなか難しいはずです。

調達した他人資本たる資金は期限までに返済しなければなりません。運転資金に、借入金の返済資金確保、加えて蓄積された資金は成長のために再投資される必要があり、資金は出ていく一方です。

非公開企業でも、もちろんうまく行っている企業もたくさんありますが、ある程度の資金を必要とする規模の事業を行っている企業であれば、あるいはそう言う企業であればこそ、株式公開を検討し、長期かつ多額の資金として自己資本を拡充すべきなんだと思います。自己資本で調達した資金は借入金のように基本返還義務がないからです。株式公開により調達した資金は安定した長期の資金として使用できます。

株式公開は当然のようにビジネスモデルやビジネスセグメント、それに経営者の能力等が問われますが、サポートする人間も含めて能力補完されれば良いわけで。

味ぎんさんも株式公開によって資金が調達できていれば、また違った展開になっていたのかもしれません。

再生し見事復活となれば良いんでしょうが。

この会計ソフトはなかなか良さそう!

Google Leaderを眺めていたら、面白そうな記事があったので、早速覗いてみることに。

南の島のプログラマさんが紹介していた記事です。
http://blog.practical-scheme.net/shiro/20130119-gnucash


このGnuCashというフリー(実際は寄付を募っているようです)の会計ソフト、独立して事業を始めようとしている方、特にIT系の方なんかだと、とっつきやすいかもしれない。

記事も複式簿記の特徴を捉えていて素晴らしいと思います。

簿記は貸借一致の原則という考え方があり、それを等式として表していらっしゃるところなんかGood!

数式に置き換えて会計を考えると、妙にすっきりするものだと思い改めることができました。

確定申告でお困りの方、一読されてみてはいかがでしょうか?
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