住民の代表が身近な問題解決のために市予算の使い道を決める名古屋市の地域委員会の交流会が9日、市内で開かれ、モデル学区での取り組み例が報告された。

 河村たかし市長は、この制度を「民主主義の宝物」として、市内全区に拡大する意向だが、対立する市議会は「制度の検証が不十分」との姿勢を崩しておらず、予算が認められるかどうかは今なお不透明なままだ。あいさつの中で、議会の姿勢に問題があるとの持論を繰り返す河村市長に、委員たちからは「もう少し市議会とうまくやって」との声が上がった。

 議会との対立を鮮明にする河村市長の政治手法については、8日に開催されたシンポジウムでも支援団体の元代表が「説明不足が目立つ」と指摘している。市長に賛同する、いわば身内からも、議論の進め方に注文が相次いだ格好となった。

 市中区役所であった交流会には、制度がモデル実施されている8学区の地域委員54人が参加。それぞれの地域のテーマに基づいて決めた「街路灯の設置」や「防災訓練実施」などの事業について、議論の過程や地域予算の使い方が報告された。8学区全体の事業に必要な地域予算は計約7300万円で、6月定例市議会に、市から補正予算案として提出される。

 河村市長はさらに、6月議会にモデル学区の実施対象を市内の全16区に広げる予算案も出して可決を迫る考えだが、同じ内容の予算案は、4月の臨時議会で否決されたばかり。議会側は、「制度の検証は緒に就いたばかりで、現行のままで拡大する意味はない」(自民幹部)と態度を硬化させている。

 8学区では今後、制度の継続を前提に、来年度の地域予算の使い道を議論するが、実現の成否は議会の決断次第とも言える。このため、市長を交えた意見交換では、「議会でけられればどうにもならない。これまでの努力が水の泡だ」と、不安を訴える声が出たほか、「市長も柔軟に市議会とうまくやって下さい」と求める意見も出た。

 河村市長は、「柔軟にと言ってもどうすればいいのか。地域委員会をなしにするのは議会の議決で、私が決められることではない。戦いの中で勝ち取らないといけない」と締めくくったが、田代学区(千種区)の委員で、名古屋大法学部4年の玉置真悟さん(25)は、「市議会が地域委員会の予算案を否決すれば憂慮すべき事態だが、『私が決められることではない』と言った市長も、地域委員会の将来に責任を感じているのか」と疑問を投げかけた。

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