「密約」の存在は、司法でも明確に認められた。

 9日、東京地裁で判決があった沖縄返還に伴う密約文書の開示請求訴訟。原告の一人で、39年前に密約の存在を報じた元毎日新聞記者の西山太吉さん(78)は、全面勝訴の判決に「超完全勝利。一種の情報革命が起きた」と喜びを隠さなかった。

 沖縄返還に伴う密約問題について、西山さんは1971年、その存在を示す文書を入手して報道。しかし、外務省女性職員に秘密漏示をそそのかしたとして国家公務員法違反に問われ、78年、最高裁で有罪判決が確定した。この事件で同社を退社、「天職」と感じていた新聞記者の道を絶たれた。

 「主権者である国民と国との裁判。私個人の裁判ではない」。今回の裁判をそう位置づけた西山さんは、密約の存在を否定する国側の姿勢に、当初、「難攻不落」と厚い壁を感じていたという。

 西山さんは判決後、東京・千代田区で開かれた記者会見で、「情報公開法がありながら、国は法の精神に逆行するように情報を隠し続けてきた。裁判所はその姿勢を断罪した」と判決を評価。さらに、「想像できないことが目の前で起きた。夢を見ているんじゃないか」と笑顔で語った。

 一方、外務省側は反発している。

 外務省は昨年9~11月、岡田外相の指示を受けて密約の関連文書を調べた。その結果、原状回復補償費400万ドルの肩代わりを示すものとして米国で見つかった文書は発見されなかった。しかし、判決では外務省の内部調査について、「十分な探索を行ったと言うことはできない」と指摘された。

 外相は9日の記者会見で「外務省に(文書が)ないことは明確だ」と不満をあらわにしたが、密約の関連文書の一部は破棄された疑いもあり、今後、国会審議などで文書管理のずさんさが追及される可能性がある。

 ◆沖縄返還に伴う密約…沖縄返還協定に伴い、米国が支払うことになっていた土地の原状回復費を日本が肩代わりするとした秘密合意。米公文書で存在が確認されたが、政府は密約は存在しないとの見解を維持。外務省有識者委員会は「広義の密約」と指摘した。

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