心霊テレビ番組の収録中、スタッフが首を骨折して死亡した。
密室での出来事は事故死と処理されかけたが、ＳＴ（警視庁科学特捜班）は殺人の可能性を追う。
スタッフ間の反目、霊能者、タレントらの人間関係が入り組む事件の真相はーー。
警察小説の名手が放つ、ＳＴ文書担当の青山翔が活躍する「色」シリーズ第一弾！
ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル (講談社文庫)
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誰もが息を飲むような美形男子ながら、いつもやる気がなさそうな青山の口癖は、
「ねえ、僕、もう帰っていい？」
警察による捜査現場で、この言葉を平気で言ってしまうＫＹな青山が、なんと本作では実に積極的に動く。
ＳＴシリーズのどの作品かを読んだことがあり本作を未読の方なら、このことを知っただけで読みたくなるのではないだろうか？
超個性派なＳＴ五人の面々だが、それぞれ超一級品の特技を持っている。
青山はプロファイリングが専門である。
その青山が興味を示すのは、売れっ子霊能者の安達春輔だ。
「霊による障（さわ）りが、ディレクターの死の原因だ」とする安達の言葉を「可能性がある」と言って疑わない青山の様子は、ただ心霊現象に興味があるだけなのではないか？ともとれる。
しかし、それは違っていたということが最後に解る。
著者である今野敏氏は、警察小説をたくさん著しており、その実力は「隠蔽警察」（2005）で第二十七回吉川英治文学新人賞、続編である「果断」(200)で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞をダブル受賞したことで証明された。
この実力があるので、本シリーズのような一見キワモノに思う作品も素晴らしい謎解きがある。
期待にそぐわぬ面白さだった。
4.5点！！
ちなみに、私が初めて今野敏の作品にふれたのが「隠蔽警察」だった。
竜崎にゾッコン（死語？笑）だ。
青山は、安積警部補シリーズ短編集「陽炎」の中の「科学捜査」にも登場する。
青山ファンにはたまらない作品なので、まだ未読の方は絶対に読んでみて欲しい。
何を隠そう、私がＳＴシリーズを読むきっかけになったのが「科学捜査」だったのだ。
陽炎 (ハルキ文庫―東京湾臨海署安積班 (こ3-16))
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著者紹介：〈今野敏〉１９５５年北海道三笠市生まれ。上智大学在学中「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞しデビュー。卒業後、レコード会社勤務を経て作家となる。2006年「隠蔽警察」で吉川英治文学新人賞受賞。2008年「果断 隠蔽警察２」で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞をダブル受賞。
ざ 今野敏 わあるど（公式ホームページ） 空手道今野塾大阪支部
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私的☆読書ランキングbest１０候補２０１１
（年末のベスト10発表の参考にしています）
５．０ポイント
◇ 神様のカルテ（夏川草介） ◇ マリアビートル（伊坂幸太郎） ◇ １Q８４book３（村上春樹） ◇ 錨を上げよ（百田尚樹） ◇ 親が死ぬまでに聞いておきたい４５のこと（米山公啓） ◇ at home（本多孝好） ◇ 神様のカルテ２（夏川草介） ◇ ミレニアム２火と戯れる女（スティーグ・ラーソン）
４．５ポイント
◇ 巡査の休日（佐々木嬢） ◇ コフィン・ダンサー（ジェフェリー・ディーバー） ◇ バイバイ・ブラックバード（伊坂幸太郎） ◇ 隻眼の少女（麻耶 雄嵩） ◇ エンプティ・チェア（ジェフェリー・ディーバー） ◇ 石の猿（ジェフェリー・ディーバー） ◇ 折れた竜骨（米沢穂信） ◇ 国際問題がわかる！世界地図の読み方（池上彰） ◇ 魔術師・イリュージョニスト（ジェフリー・ディーバー） ◇ 絶望ノート（歌野晶午） ◇ いけちゃんとぼく（西原理恵子） ◇ 凍土の密約（今野敏） ◇ 悪の経典（貴志祐介） ◇ ST警視庁科学特捜班 毒物殺人（今野敏） ◇ I LOVE YOU（伊坂幸太郎、本多孝好他） ◇ アドリアネの弾丸（海堂尊） ◇ 獣の奏者（上橋菜穂子） ◇ 麒麟の翼（東野圭吾） ◇ プラチナデータ（東野圭吾） ◇ ST 警視庁科学特捜班 青の調査ファイル（今野敏）
