野菜・農業ニュース

野菜・農業に関する最近のニュースからピックアップして一言物申す!

原発事故に農家への補償問題(農水省のQ&A)

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による甚大な被害は言葉を失うばかりです。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、将来にわたって国を挙げて復興に尽力していく必要をひしひしと感じています。

東北地方での今後の農業に関して言えば、莫大な農業資産が失われたわけですが、特に塩水を大量に浴びた農地を使えるようになるまでの作業も計り知れないなと思っていました。

しかし、そこへ来て今は、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射線漏れが大きな問題となっています。それにより、福島県及び茨城県の一部の農産物の出荷制限、摂取制限の指示が出されました。当然の様にその影響はこの2県に留まることはなく、風評被害として広範囲にわたって買い控えや出荷停止などの被害が発生しています。

根本的な問題は原発事故の早急な解決が求められるわけですが、今のところ見通しは立っていません。

ところで、このような放射線漏れによる出荷制限対象となった農家に対する賠償は誰がどのように責任を持つのだろう、と誰もが思うのではないでしょうか。

それについて、暫定的ですが、農水省が3/28に見解を発表しています。
農家の方は、後に被害額を出来るだけ客観的に証明できるように、その根拠となる伝票や数字などをまとめて置くことが望まれます。


政府が「農地バンク」設立検討

昨日(2/8)の日本経済新聞によると、政府が農地集約へ向けて取引仲介するための「農地バンク」を設立する検討に入ったらしい。

今回の構想はTPP(Trans-Pacific Partnership)の流れをにらんだものであるが、日本農業の規模拡大、大型法人化、他産業からの新規参入などの推進には確かに農地の流動性を高めて集約化することは重要なことだろう。

この「農地バンク」に登録される遊休農地、耕作放棄地などの情報は各自治体の中にある農業委員会から出されるものになる。今まで各自治体の中で管理して農地売買や賃貸借を仲介していたものを、「農地バンク」によって全国的なレベルでネット化して、日本中の余った農地情報を共有化しようというものらしい。

つまり全国の農業委員会がここに情報を出さなければ「農地バンク」は機能しないのである。農業委員会を構成するメンバーは地元の自治体の役職者や主要農家の代表達である。普通に考えれば政府から半強制的に情報登録を通達されたとしても、『使い勝手が良く畑に適した農地』は自分たち身内で流通させて、『使い勝手が悪く畑に適していない農地』の情報を中心に「農地バンク」に登録することは推測される。

空いた土地に外部(他の町や県、または他産業界)から人が入って来て、隣でいきなり農業を始められたら、良い気持ちがしないのは人間であれば当たり前のことだから。

また逆に、その土地で新たに農業を始めよう考えている法人や農家が、小さい農地がバラバラに散在している情報を見たとしても、それを買ったり借りたりしてその土地で農業を新しく始めることは無理だろう。


当然ながら今回の農業バンクの検討は、他産業からの参入規制の緩和と既存の農家への補償の上積みなどと合わせて検討されるだろう。

正しいかどうかは別問題として、農業の大型化のために農地集約を進めたいのであれば、先に参入規制緩和を徹底的に行い、あらたに埋め立てや耕地整理による大規模な農地を作り出して行くことが必要であり、いま余ってる農地を全国規模で共有してもどれだけの意味があるのか想像もできない。


どちらにしろ、今後政府がとってくる農業政策は、長年にわたる日本農業の良さを崩壊させるという荒治療になる可能性はあるだろう。確かに、古き良き時代の日本農業をそのまま継続しているだけでは今後は事業として成立しないであろうことは多くの人が思っていることだと思う。

長年日本農業を支えて来た農家の中でも、特に専業で大規模に日本の農業をこれからも支えて行く覚悟で経営されている人たち。また規制緩和により新たに他産業から参入して農業を大規模に始める人たち。それらの人たちが継続して農産物を再生産できるような仕組み作りがこれからの政府農政に求められることになるだろう。

「農地バンク」はその辺りの現実性を踏まえて、実効性のあるものにする必要がある。もしそうでなければ、また単に天下り団体を増やして、そのシステム開発のための多額の投資を捨て金にしてしまうという結果になるような気がするのは、僕だけじゃないと思う。

農業の第6次産業化って何?

平成22年度から農水省でも推進している一つのキーワードとなっている農業の「第6次産業化」。そもそもこの言葉は東京大学名誉教授である今村奈良臣氏が15年以上前から提唱していた言葉らしい。


そもそも第一次産業って何?から復習してみると・・・

第一次産業は、「農業、漁業、林業」である。いわゆる自然との関わりの中で直接的に富を得る産業。

第二次産業は、「製造業、建設業、工業、鉱業」である。第一次産業が生み出した原材料を加工して富を生み出す産業。

第三次産業は、上記以外の産業。「卸売業、小売業、情報通信業、輸送業、電気・ガス・水道業、教育、医療、福祉、金融、不動産などなど」

(注)この産業分類というのは1941年にイギリスの経済学者であるコーリン・クラーク氏が考えたものであるが、現状としては分類は国によって違いがある。


じゃ、第六次産業があるってことは、第四次産業と第五次産業は何よ???となると思うのだが。実は、ないのである。


今村奈良臣氏が唱えた「第6次産業化」とは、農業が農産物を生産するだけでなく、それを加工し販売するところまで視野に入れた事業展開をすることにより、農業者が多くの利益に関われる仕組みを作ろうという考え方。

そこで、農業=第一次産業の「1」と、加工=第二次産業の「2」と、流通=第三次産業の「3」の数字を使って、
1+2+3=6(または、1×2×3=6)で出来た「第6次産業」という造語というのが答え。

最初に、第六次産業って言葉を聞いた時、第四と第五って何だったっけ?って一生懸命考えた自分が恥ずかしかった。

ダンバー150人の法則(農業には関係ないけど)

今月、日本ソーシャル交流会の勉強会で福岡会場の分藤さんが講演された内容に「ダンバー数」というのがあった。


ロビン・ダンバーというイギリスの学者(人類学者、進化生物学者で専門は霊長類の行動)が唱えているのが「ダンバー数」である。

彼は、「人間にとって、平均約150人(100-230人)がそれぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限である」と述べている。

つまり人間が集団行動する上でそれぞれが他の人のことをある程度理解して、円滑なコミニュケーションや目標に向かった団体としての行動ができるのは、150人が限界ということ。

それは人間の脳の能力の問題であるので、人によって差がある。100人しか関係性を維持できない人もいれば、230人分できる人もいる。その平均をとって150人としている。

彼は多くの未開民族のグループの大きさが平均最大148.8人であることからこの150人という数字を得たらしい。日本でも昔古来の集落を考えると最大150人と言われれば納得できる気がする。

あまりに少ない人数だと集落として生きていく上での分業が人手不足で成立しない。また敵に攻められた時にもある程度の戦力が必要になることも考えられる。
逆に、あまりに人数が多くなると意見がまとまらないことが度々起こり新たなリーダーが誕生して、グループは2つに分かれ新しい集落先を見つけて去っていく、というようなことだろう。


例を挙げれば、軍隊も一つの作戦を遂行する上限人数が150~200人くらいになっているらしい。またゴアテックスで有名なアメリカのWLゴア&アソシエイツ社も工場における効率的な人数を経験的に150人と考えているらしく、150人以上の組織になると新しい工場を作ったり、新しいグループとして独立させる経営をとっているらしい。

これは、組織は150人以上になったらうまく機能しないという意味ではなく、人間と人間がそれぞれを把握して緊密なコミュニケーションができるグループは150人が上限の目安であるということである。



話は転じて、最近流行のソーシャルネットワークシステム(SNS)の話。SNSであるツイッター(twitter)やミクシー(mixi)やフェイスブック(facebook)などではフロワー、マイミク、友達などという表現で普段から書き込んだ記事やつぶやきを見合うグループをつくることになる。

そこで講師である分藤さんが言うには、1,000人フォローしたとかマイミクが500人いるとか友達が500人いるとか言っても結局それはほとんど意味がないことではないか、ということ。

つまり、情報の量と質の濃い有効なコミュニティを作りたいのであればそのグループの人数は100~230人くらいにしておいた方が良いのでは・・・、というお話しだった。なるほど。

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農業に志を抱く男子高校生からの質問。

12/12、当ブログのコメント欄に「スカイツリー」さんという方からメッセージがありました。「農業分野」に志を抱く高校男子からのメッセージでした。彼の質問に答える意味でご紹介します。(一部修正してます)

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僕は北海道の高校一年生です。僕の親は農家です。将来は農業経済学を学び、「農家の現場」というよりは「農家の基盤・根本」を変えていけるような仕事に就きたいと思っています。まだ僕は戸別補償とか、詳しいこともわからない高校生です。そして、将来の夢を考えるたびに農業が抱える問題の重さと国家間の矛盾やしがらみに押しつぶされてしまうのではないか。と不安になります。
しかし、変えたい。改善したい。そんな思いを湧きあがらせるのは親の姿なんです。
どんなにつらくても、暑くても、寒くても、眠くても、しんどい体を休ませずに、体を壊すまで働く親の姿です。 
今まで兄弟が生まれてから18年間、両親はこの農業という世界の中で僕らを守ってきてくれたのかと思うと、本当に感謝の気持ちです。

すいません。長々と私情を書きました。

管理人の方に聞きたいのは・・・
(1)僕らは今から何ができるのか、どんな勉強をするべきか。
(2)これから日本の農業・農家はどんな形であって行かなくてはならないのか。
(3)僕が救いたいのは日本の農業ですが、日本の農業のことだけを救いたいと思うのはやはり良くはないことでしょうか。
(4)日本の農業を根本的基盤から救いたい、という目標を達成するには、どんな職業に就けばよいのでしょうか。


僕はこのブログには僕が知りたい農業のリアルが書かれていると感じています。このページに出会えて大変幸せです。

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以上がスカイツリーさんのコメントです。

本当に有り難い気持ちで一杯になりました。そして、こういう青年が真面目に日本農業の現実に目を向けて冷静にその問題点を直視して、さらには解決して行きたいと思っているということも嬉しい限りです。

ご両親の農業に向かう苦労を毎日見ながら成長してこられたのに、その苦労する農業から逃げずにさらに恩返しのつもりで農業界で仕事をしたいという気持ちにも心を打たれます。

そういうスカイツリーさんからの質問でしたので、コメント欄ではなく、この場できちんと答えたいと思いました。というか、その質問に対する答えを考えながら、私も自分の意見や気持ちを整理したり、いろんな情報を集めて勉強させてもらってるんですけどね。たいした事は答えられませんが、素直に私の意見と気持ちを伝えたいと思います。

さて、それでは質問に答えて行きたいと思います。続きを読む

講演会に行きました。自然農法、そして自然栽培。

今日、宗像ユリックス(福岡県宗像市)にて「食と健康・環境を考える永続可能な自然農法(自然栽培)」と題した講演があった。講師は、元田農園 元田祐次氏(熊本県)。主催はタッキーベジガーデンの滝口氏(宗像市)。

宗像ユリックス450

「自然農法とは、不耕起(耕さない)、不除草(除草しない)、不施肥(肥料を与えない)、無農薬(農薬を使用しない)を特徴とする農法。肥料や農薬を使用する従来農法(有機農法も含む)と異なり、基本的に播種と収穫以外の作業を行わず、自然に任せた栽培を行う。しかし、油粕や米ぬかだけは撒く人や、耕起だけは行う人、草を取らずとも刈ってしまう人なども自然農法の実践者として名乗る事があるためその栽培法は多様である。日本や世界各地に実践者がいる。」(wikipediaより

具体的な方法については、これを提唱する人によって違いはあるのもの、共通しているのは、自然の摂理に逆らわない栽培方法により環境や人間にとって悪影響のない農業を目指すことである。またその方法論として重要視するのは土の元来持っている力をいかに引き出すかを考えることだろう。


まあ、ここまで聞くと、普通の人は思うはず。「農薬を使用しないということは分かるけど、肥料を与えなくても育つのか?そもそも耕さないで作物が育つのか?」

答えは、「できる」らしい。

本来、土が持っている土壌菌が有効に活動できる状態であれば、土は自分の本来の能力を繰り返し発揮できる状態を保つらしい。また作物が健康に育つ事により、その根が土をほぐして行くために耕す事も必要ないということらしい。

元田氏は、単に農薬、肥料などの問題だけではなく、そもそも地球上に植物が存在した理由までさかのぼって、地球の構造や月と太陽との関係なども勉強。そしてそれらを構成する分子や原子レベルで考えてきたそうだ。



しかし、普通にその辺にある畑を使っていきなり無農薬、無肥料、不耕起で栽培をしても、それは厳しい結果になることは明らかである。自然農法の畑としてまともに作物が採れる状態になるまでは5年から10年は必要だということである。

家庭菜園や趣味として畑を作ったり、精神論や宗教的な目的でこれを行うのであればそれも良しであろうが、農業を仕事として生活の糧として行うのであれば、作物がちゃんと出来て売上があって生活が出来なければ意味がない。私のように農業や青果物流通を仕事にしている人間にとっては、それがまさに「営農」でなければ意味がないと思うのである。


今回の講師である元田氏は、元々は原始的な自然農法に惚れ込んで取り組み始めたものの、「食と健康と環境に良いものをたくさんの人に作ってもらいたい、食べてもらいたい!」という気持ちがだんだんと高まってきたそうだ。
そうなると自然農法を始めようと思った人が、土が出来て独り立ちするまでに5年も10年もかかってはそれを行う農業者が育たない。そうであれば、たくさんの人に良い物を食べて欲しいというのも実現できない。そこで、まさに「営農」としての自然農法の重要性を考えるようになったとのこと。まさに「自然農法」から営農の意味を込めて「自然栽培」を目指すようになっらしい。


そこで、元田氏は最近、植物から特別な方法で取り出したエキスを使って既存の土壌菌の活動を促進させ土の活性化を急速に進める資材に出会い、それを推奨することにより慣行栽培からの転入農家や、新規農家の手伝いや指導を始めたらしい。

しかし元来の自然農法の信奉者たちからは、植物性のエキスと言えども何かを畑に入れることへの強い反対もあるそうだ。


また、マクロ的、経済的な観点から考えると、無農薬、無肥料栽培が広まれば、農薬メーカーや肥料メーカーはその売上に影響が出るし、堆肥も使用しないことにより畜産農家の方たちは自分達が出した動物性の排泄物の処理にも困るなどその影響は大きい。



しかし、元田氏は「良い物をみんなで作ってみんなに食べてもらいたい!」という強い信念を持っており、誰からどんなに言われようと、自然農法に営農性を組み合わせた自然栽培を普及させるために今からの人生を掛けることを力強く語っていた。



現在、TPP問題もあり強い日本農業の必要性が期待されている。単位面積当たりのコストをいかに下げるか、また売上をいかに上げるかという重要な課題もあるだろう。

逆に輸入品と国産の差別化を図るためにまたは外国の農産物に遅れない様に「有機農産物」「特別栽培農産物」「トレーサビリティ」「GAP」などの付加価値農産物の強化も必要だろう。

今回の「自然栽培農産物」もその付加価値の一つとして競争力アップの方法論として重要になるだろう。またそういう経済的背景とか関係なく「食と健康・環境に良いものをたくさん作って、一人でも多くの人に食べさせたい」という考えは、とりあえず手放しで応援したいとこである。


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TPP=環太平洋戦略的経済連携協定

最近新聞などのマスメディアを賑わせている用語で「TPP」というのがある。英語で書くと、「Trans-Pacific Partnership」、、、これって何?ちょっと調べて整理してみた。


2006年5月、太平洋を囲む国の中で結ばれた経済連携協定。シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヶ国で発足。2015年までに協定国間の貿易に関して関税撤廃と貿易の自由化を実現して行こうというもの。

現在は当初の4ヶ国に加えて、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9ヶ国で交渉している。さらに今これに参加に関心を示しているのが、日本、中国、カナダ、フィリピンなどである。


ここで注視するのは、中国の動向。中国は基本的には自由貿易に関しては消極的なのである。逆にどちらかと言えば保護貿易的であり、特にIT分野においては中国国内において外国企業を差別的に扱ったりしていると言われている。
この中国がTPPに参加するとなると輸出にしろ輸入にしろ相当大きな経済活動の流れが出てくるのは間違いない。


では日本はどうなのか。この貿易の自由化というのは、当然ながら工業製品に限らず農業製品の自由化も含まれる。
日本は国内農業保護という動きのために、簡単には参加すると手を挙げられないのである。当然ながら農業分野に支持基盤をもっている議員たちはTPP参加には反対だろうし、またTPP参加した場合の国内農業に与える影響を数値化して示すように政府に求めているようだが、その作業は中断している。


前原外相は、国内経済規模が1.5%の農業を守るために、98.5%の工業分野やIT分野などその他の産業の国際的競争力の弱体化を指をくわえて見過ごしていくのか、とTPP参加の必要性を訴えている。

韓国を筆頭に台湾、中国などのIT・工業分野の国際競争力アップは凄まじいものがある。周りの国々がTPPに参加して、貿易や経済活動を増やして行く中で、日本が参加しない場合は、そういう流れに乗り遅れるということだけでなく、それはそのまま日本の国際的な地位を下げるであろうと言われている。


政府は、貿易の自由化の中で国を開いて国際競争力を高めて行きながら、国内農業においてはさらに効率化や大規模化などの活性化を進める施策も併せて行う事が必要となるだろう。

政府の動きとは別に、各農業生産者においては、規模の大型化や生産者同士の横連携強化によるさらなる効率的な農業を行うための工夫や、有機農産物や栽培情報整備などの付加価値を高めた商品生産を行う努力をしていく必要があるだろう。


TPPへの参加表明は、11月13日・14日に行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で行うことが必要とされている。その後関係9ヶ国すべてから交渉参加の承認を得る必要がある。

それまでに政府は、国内の参加反対派や農業関連団体や農業生産者へ対して、国内農業への支援策、補償内容、改革案などをきちんと説明することが急がれる状況である。



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野菜が高かった夏、ここへ来て急落。

レタスH22-10月相場グラフ大根H22-10月相場グラフトマトH22-10月相場グラフ白ネギH22-10月相場グラフ

(上記グラフは、野菜のポータルサイト「ベジワン」より)

先週くらいからテレビで「野菜が高い!」とか政府が供給量を確保するために前進出荷をするための施策を・・・なんて騒ぎ出してましたが、だいたいそんな時は、もう高値のピークを過ぎてる頃なんですよね。

契約栽培、契約出荷、契約購入などの広がりによって、市場相場に関係ないところで商流が行われることが増えてきたとは言っても、その根本には需要と供給の中で価格形成されることは変わりません。いつまでも相場が高ければ、ある時点で逆に売れなくなることは当たり前でしょうから。

毎年だいたい体育の日を過ぎると、北海道、信州を中心とした産地から平坦地へ移行してくる季節。今年みたいに台風が少なくて暖かい秋を迎え、そのまま暖冬なんてことになれば、今年の冬は安値傾向間違いなしでしょうね。

日本気象協会の3ヶ月予報も平年より気温が高いところが多い予報です。あんまり当たらないかもしれませんが。

まあ、適当に高くなったり安くなったりしながらある程度の価格を維持してくれないと農業に関わる人たちはたまりませんよね。



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焼酎原料用甘藷の契約の落とし穴

今年は、焼酎用の甘藷(芋)が足りない。何故そうなったのか、またその状況を顧みて契約栽培の難しさを整理してみたい。

◆焼酎ブームの状況

焼酎、もちろん芋焼酎の原料は基本的に「黄金千貫(こがねせんがん)」という品種を使う。黄金千貫の生産は、鹿児島県や宮崎県の南部が中心である。

一時の焼酎ブームを受けて黄金千貫を栽培する農家が増えていた。他産業からの農業分野への参入も相次ぎ、建設業者などを中心に夏の作物として黄金千貫を栽培する例も増えていた。

そしてここ2年くらいは焼酎ブームも一段落し、若干供給過剰気味となっていた。

◆今年の植え付けは、どうだったのか・・・。

春に種芋の植え付けをする頃から、焼酎メーカーからの今年の焼酎原料用甘藷の発注量が去年比で3割減になるという話が流れてきた。

数年前までなら予定された数量の1.5倍くらい植えていても、結局、秋の出荷の時期になると全部売れてしまった状況だった。しかし、去年ぐらいからだんだんとあまり気味な状況になっており、そろそろ状況が変わってきたな、という雰囲気が産地に流れた。

そこで今年の春は、作付け面積を減らして注文分しか植え付けしない農家が増えたようだ。まさに去年の実績の3割減の植え付けである。

◆そして今年の猛暑

前段までの通り、減少した注文と控えめな植え付けとで、今年の場合は黄金千貫の需要と供給が一致する予定だった。しかし、そこに来てこの夏の異常気象である。

梅雨の大雨、そして夏の猛暑。野菜は積算温度によって収穫時期を迎えるのが普通だが、暑ければ育つものではない。というか今年の異常な暑さのために、生育不良を起こしたのだ。

さらに夏の間も夕方になるとスコールのような大雨が降ったりでさぞかし野菜もびっくりしただろう。明らかに例年の同じ時期と比較して畑に植わっている甘藷の大きさが小さいのである。

今の10月上旬の時期で、10a(1反)当たりの収量は、例年であれば3〜3.2トンであるが、今年の場合は天候の影響で同じ日数が経っているのものでも2〜2.5トンしかないのである。

◆収穫時期について焼酎原料用甘藷の事情

焼酎原料用甘藷は、葉物(白菜・キャベツ・レタスなど)や果菜類(ピーマン・トマト・茄子・胡瓜など)のように適期収穫というのが基本的にはない。

例えば葉茎物(葉物)の場合、季節によって種を撒いてから収穫するまでの日数の目安がある。この日数を目安に実際の畑の状況を見ながら適期収穫を判断していくのである。

基本的に、白菜であれば15kg箱に6玉入り、キャベツは10kg箱に8玉入る大きさが適期とされる。ピーマンやトマトなども色つきと大きさを見ながら収穫適期を判断していく。
その適期を過ぎると、大きくなりすぎて割れたり、トウダチ(抽苔)したり、過熟したりして商品価値が無くなるのである。

しかし、焼酎原料用甘藷の場合、簡単に言えば畑に置いておけば置いているだけ大きくなって収量(収穫できる量)が増えるというものなのである。

根菜類の野菜(根物・土物)には基本的にそういう傾向があるが、特に加工用となれば青果用の様に大きさの基準や制限が緩いため畑に置いておくほうが収量も上がるということになる。

◆契約の方法

黄金千貫の収穫は8月〜11月以降まで続く。先に述べたように同じ畑でも8月に収穫するのと、11月に収穫するのでは出荷できる甘藷の量が変わってくる。当然11月まで畑に甘藷を置いておく方が収量が上がるのである。

よって焼酎メーカーが甘藷を買い取る契約単価は、8月が一番高く、それから段々下がっていく単価になっている。4,5日に1〜2円の割合でkg単価が下がっていく契約になっている。(1kg当たりの契約の目安として、8月頭は100円以上、9月頭で60円台後半、10月頭で50円台半ば)

農家は、自分が栽培している他の作物との作業の関係を判断して、早くから収穫する人もあれば、遅くまで収穫する人もいる。遅くまで畑に甘藷を置いていると次の作物の植え付けが出来ないというデメリットもあるわけである。

契約の流れとしては、焼酎メーカーが年間の焼酎製造計画を立て、それに見合った必要な甘藷を、一時処理加工(洗って切って蒸かす等の作業)して納品してくれる加工業者と計画的な契約を行う。
加工業者は、農家と甘藷の契約をして集荷して原料を納品してくれる出荷業者と契約する。
出荷業者は、直接農家や同業者と甘藷の買い取りの契約をする。弊社の場合はこれにあたる。
そしての出荷業者と契約する実際に甘藷を栽培する農家がいる、という流れだ。

◆今年も収穫時期になったものの

例年であれば9月〜10月というのは出荷の最盛期である。他の野菜の冬春作の植え付けもあるため、11月、12月まで甘藷を畑に置いておく農家は少ないのでだいたい11月中旬くらいにはほとんど出荷も一段落するのが一般的である。

しかし、今年の場合は、メーカーが予定していた時期になっても農家がなかなか出荷したがらないのである。

契約の仕方によって、月日と数量をきっちりと明確に農家と契約している出荷業者もいれば、おおまかな時期とおおまかな数量を農家と約束していて、メーカーからの注文状況と畑の状況を見ながら順次農家に掘ってもらい出荷している業者もいる。

農家は今年のような場合でも、きっちりと厳格な契約を結んでいる業者へは仕方なく出すこともあるが、後者の緩い契約をしている相手先へはなかなか出さないのである。畑の甘藷が大きくなってないからである。

例として、ある時期の出荷が10aあたり、例年だと単価50円/kg×3,000kg出荷できるとして、15万円の売上があるとしよう。それが、今年の場合は単価50円/kg×2,000kg=10万円の売上しかないのである。

農家は、出荷時期を後ろにずらすことにより少し契約単価が下がったとしても、収量が増えるまで待とうと考えるのである。例えば単価45円/kg×2,500kg=112,500円になるまで。

◆今後の課題

今までで述べたように、最初から余剰的な作付けをしていなかったところに来て、天候の影響で生育が遅れているということが甘藷不足の現状を生み出している。当然ながら生育が悪いから絶対量も少ない。その上に、前述した農家の売上計算による掘り控えである。

青果市場を通して流通している一般的な野菜の場合は「相場」というものがあるので、このように供給不足になれば当然ながら相場があがる。それによって収量不足を単価で補われることにより総売上は例年と変わらなかったということになる場合もある。

しかし、焼酎用原料甘藷の場合は、単価は最初に決まっているので、収量が少なければそのまま売上減になるということだ。

目の前の畑に甘藷があってもまだ掘りたくない農家の気持ちもよくわかるが、しかしこれだと契約そのものが成立しなくなる。かといって農産物だからこういうこともあるのは当然だし、そのリスクを全部農家だけに押しつけるもの問題がある。

また、焼酎用原料甘藷は1玉の大きさが大きい分には問題ないが、1個が100gを下回るような小玉は選別後廃棄され、それは出荷元負担として納品金額から差し引かれることになっている。

今年のような場合は「選別基準の緩和」も認めないことには尚更出荷を渋る農家が増えるだろうし、焼酎メーカーまで遡って「緊急的な契約単価の見直し」まで含めて全体的な対応を取れるような仕組み作りが必要だ。

芋焼酎のメーカーは南九州に多いため、当然ながら焼酎用原料甘藷を生産している農家や出荷業者や加工業者も宮崎県・鹿児島県に多くいる。

地方に根付いた一つの産業として今後も繁栄させていくためには、焼酎メーカーから農家まで、相互に柔軟に対応できる仕組みを作らなければ、信頼関係のある継続的な取引を実現することは難しいと思う。



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JGAP 7月より消費者向け表示開始

 NPO法人である日本GAP協会は、7月1日よりJGAP認証の消費者向け表示を開始するとのこと。

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  (画像は、JGAPのサイトより)


 以前よりGAPについては書いてきた。これまでは認証制度があっただけで、その畑から出荷された商品かどうかを小売り時点で消費者が識別するのは必ずしも簡単ではなかった。

 今回このマークの表示がスタートし、消費者がその商品に対して安全と安心の指標として認識するようになれば、消費者の選択を得られやすくもなるだろう。またそれにより生産者側のGAPに対する取り組みもさらに促進されるだろう。

 ちなみに、2010年3月現在でJGAP認証農場は、902農場。現在、日本GAP協会は、グローバルGAP(2007年9月 ユーレップGAPから改称)との相互認証を取得している。

 日本GAP協会の理事には、生産者だけでなく、三菱商事アグリサービス、ダイエー、日本生協連合会、イトーヨーカ堂、イオンなどの大手の流通事業者も参加しており、国も含めてますます普及活動が推進されていくであろう。

 後は、このマークを偽造したり、不正認証をしたり、不正申請をしたりの事件や事故が起こらないで、正当な評価基準として広まっていくことを祈るものである。



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