こんなニュースが出た。

東日本フェリーは、2008年9月4日、北海道と本州を結ぶ3航路について、燃料費の高騰や利用客の伸び悩みなどから、2008年11月末で撤退する方針を青森県など関係自治体に伝えた、とのこと。
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このフェリー、去年11月に北海道から博多まで車で帰って来る時に乗ったフェリーだ。

うちの会社でも野菜の輸送に関してはフェリーも使ってる。というか、今の季節、20tトレーラーで北海道から本州や九州へ向けて野菜を運んでいるだが、このトレーラーはフェリーに載って関東、中京、関西、九州の港までいくのだ。


一般的にトレーラー輸送という時は、[シャーシ]と言われる後ろの箱の部分とそれを引っ張る[ヘッド]といわれる運転する部分に分かれる。

例えば、北海道の苫小牧から[ヘッド+シャーシ]でうちの産地である北海道清里町へ行き野菜を積んで苫小牧の港まで戻って来て、[シャーシ]だけを切り離してフェリーに載せる。

その[シャーシ]が京都の舞鶴港に着く頃に、関西の運送業者が[ヘッド]だけでこの[シャーシ]を引取に行く。(これをドレッジ業務という)

引き取ったドレッジ業者が、野菜を関西地区の納品先へ降ろす。降ろした後は、[シャーシ]を港かまたは次に積み込む荷物があればそこへ渡す。ということを繰り返している。

つまり、例えば北海道から関西の納品先までトレーラー輸送する場合には、引き取る会社とフェリー会社とドレッジする会社と3社が絡むことになる。


最近の原油高によるコストアップにより、フェリー代金が上昇している(燃油サーチャージも含む)が、このニュースはそれでも追いつかないことを現しているのだろう。

まだ問題なのは、フェリー会社よりも運送会社かもしれない。競合会社が限られているフェリー業界は燃油サーチャージによっていくらかの収入アップができただろうが、競争力が弱い中小企業が多い運送業界では取引先(うちみたいな会社)にそう簡単に運賃アップを了承させるわけにはいかない。というのも、取引先もそのアップ分を商品単価に上乗せできるような販売状況ではないからである。


そういう背景もあって、運送業者が廃業や倒産に追い込まれているケースがあるようだ。トレーラーの[シャーシ]を引き取りに行くドレッジ業者の数も激減している。

ドレッジ業者の激減というのは、うちみたいな流通業者にとっては大変苦労することになる。こうなると淘汰されて残った運送業者が強くなるのだ。

運送会社は、コストアップでただでさえ儲からないからこそ、時間が短くて作業が簡単で距離を走らないでよい仕事、つまり楽な仕事ばかりを選んでくるのだ。いくら不景気で仕事が少ないとはいえ、運ぶ会社が不足すればどうしても運ぶ方が強くなる。

運賃アップが難しいのなら楽な仕事を選別受注しようというのだ。まあ当たり前といえば当たり前のことだが、運んでもらううちみたいな会社にとってはとても苦労することになる。

3ヶ所降ろしはしないとか、遠距離配送はしないとか、工場配達はしないとか、2日仕事はしないとか・・・・、とにかく、近場で夜中に2ヶ所降ろしたら終わる仕事しかしないという流れがでてきている。

青果市場ばかりへ販売しているのであれば、夜中配送で大丈夫なんだが、漬物工場やカット野菜工場への契約販売商品の配送になると、どうしても昼間に工場などに納品することが多くなる。そういうお客さんへはトレーラーは使えないということである。

そうなると活躍するはずなのが、JRを利用したのコンテナ輸送なんだが、これも苦労している。北海道から本州へは商品は動くんだが、本州から北海道への商品の動きが悪いために北海道から商品を出荷するためのコンテナが不足している。
なるべくならJRは空(から)では北海道へコンテナを動かしたくないという考え方があるからだ。これはトレーラーのシャーシを空でフェリーに載せて北海道へ返したくないのも同じである。


原油高、不景気はいろんなところに影響を与える。
今年は北海道や信州からの輸送手配も担当しているんだが、毎日どきどきの連続である。商品はある、お客さんへは納品しなきゃいけない、しかし、トラックやトレーラーやコンテナの手配がこんな感じだから。