あっという間の夏でしたね。というか、長い梅雨でした。

 ということで、マスコミでも騒いでますが、今年の春〜梅雨〜初夏にかけての全国的な低温、日照不足、長雨、大雨により野菜の生育不足が発生し、野菜市況が上昇しています。

 野菜市況的にはこの期間どういう動きをしていたのでしょうか。いくつかの品目に絞ってグラフ化してみました。
(ベジワン http://www.vegeone.netより )

2009レタス2009馬鈴薯2009人参2009玉葱

 これらの品目は特に高くなったと騒がれているものですが、確かに8月に入るとどれを見ても平年の1.5倍程度になっています。というか6月〜7月が安かったということもよく分かります。まあ、最近の上昇は、お盆特需も重なったと思われるものもあります。本日現在では軒並み下降傾向にあります。



 政府は普段なら出荷しないような曲がったり小さすぎたりするC品野菜も出荷するように関係団体に要請したというニュースが流れていましたが、そんなもん値段が付くんだったら政府に言われなくてもみんな勝手に出荷するでしょう。

 また早出し(前進出荷)についても要請したということですが、早出しして小さいまま出荷すると言うことは出荷数量(箱数や重量)が減るってことですから、生産者は普通ならやらないことですよね。でも相場が高くて採算がとれると判断すれば政府が言わなくても、取引先との話し合いの中で勝手に出荷するでしょう。

 相場高騰に対して、"政府も何かしましたよ"的にああいうコメントを発表するっていうのはいかがなものかと思いましたよ。



 とにかく、高い高いと騒がれた8月の野菜。では生産者の手取りはどうだったんでしょうか。

 価格が上がれば、農家は嬉しいんじゃないの?なんて言う方もいらっしゃいますが、平年と同じ量が出荷できれば価格が高いに越したことはないでしょう。しかし、一般的には、出荷量が少ないから価格が高くなるわけです。「出荷量×価格=収入」で計算すれば高い時が良いのか安い時が良いかは一概には言えません。

 一番悪い状況は、出荷量が少ないのに価格が上がらない時です。これって最近結構あるんですよね。

 まあ、決まった量を出荷できて、決めた価格でちゃんと販売できればそれが安定した農業経営を行うことになるんでしょうけど、そこは自然相手のお仕事、そう上手くはいきません。



 秋冬野菜の産地では、種まきや定植が始まってます。この調子で変な天気が続けば秋冬作の野菜市況にも影響が出そうです。

 エルニーニョ現象により今年の夏は冷夏となるという気象庁の予測はズバリ当たってしまいました。現在のエルニーニョ現象は冬まで続くと予想されてます。

 生産者の皆さんも、実需者の皆さんも、流通業者の皆さんも気象情報や畑の状況に細心の注意を払って仕事に頑張って行きましょう。