2011年08月14日

「エフェクサー(Effexor、一般名:ベンラファキシン、venlafaxine)開発中止

「エフェクサー(Effexor、一般名:ベンラファキシン、venlafaxine)は2007年の時点で日本での開発中止が正式に決まっています。

エフェクサーの製造・販売元であるワイス社(後にファイザー社に吸収合併されました)は日本で第1相、第2相、第3相とフルパッケージの治験を行いましたが良い結果を出せず、「もう日本でのエフェクサー開発に関しては投資はしない」という経営判断を下したのです。

日本での治験の結果が出た当時、すでに欧米ではエフェクサーは特許切れ寸前で、後継のプリスティク(エフェクサーの活性代謝物ですが)の開発が始まってましたから、古い薬にこれ以上は金も時間もかけられないということだったのでしょう。

したがって、全米でもっとも売れた抗うつ薬であり、欧米の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されているこの「大うつ病性障害(MDD)の標準治療薬」が、今後日本の精神科臨床にお目見えすることはありません。

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大うつ病性障害(MDD: major depressive disorder)とは

大うつ病性障害(MDD: major depressive disorder)は、一般的に「うつ病」と呼ばれる疾患とほぼ同義です。

抑うつ気分意欲低下、興味・喜びの喪失、食欲低下、不眠などが主症状です。

生涯有病率は約15%(全人口の約15%の人が一生に一度はMDDにかかる)ともいわれており、common diseaseとして認知されつつあります。

また日本では、自殺者数が先進国中で最も多いことや、近年増加傾向にあること、そしてうつ病が自殺の原因の約18%と最多であることなどから、社会的な問題として注目されています。

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大うつ病性障害の治療

休養、精神療法、薬物療法がMDDの治療の3本柱です。

しかし休養が難しい立場の患者さんも大勢おられ、現行の保険体制のもとでは精神療法はお金にならないため、精神科・心療内科での治療法の中心は薬物療法にならざるをえません。

MDDに対する薬物療法は抗うつ薬が中心であり、米国精神医学会(APA)の治療ガイドラインでは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と、選択的ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害薬(SNRI)が第一選択治療薬として挙げられてます。

SSRIには、プロザック(Prozac、一般名:フルオキセチン、fluoxetine)、パキシル、シタロプラム、セルトラリン、エスシタロプラム等があります。

SNRIには、エフェクサー(Effexor、一般名:ベンラファキシン、venlafaxine)、サインバルタ、プリスティク、トレドミン等があります。

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抗うつ薬とドラッグラグ

ところが、日本ではドラッグラグのために、欧米のガイドラインで推奨されている標準薬を用いることができるとは限りません。

ドラッグ・ラグ(drug lag)とは、日本と欧米との新薬承認の時間差、あるいは、海外で新薬が先行販売され、国内では販売されていない状態のことを指す言葉です。
欧米で開発・発売された新薬が日本で使用が認められ発売されるまでには、国内での治験実施と審査などのため、非常に長い時間がかかります。欧米との発売時間差は約2.5年と言われています(治験ナビより引用)。

そして、SSRIの代名詞とも言えるプロザック(Prozac、一般名:フルオキセチン、fluoxetine)と、同じく米国ではSNRIの代名詞であるエフェクサー(Effexor、一般名:ベンラファキシン、venlafaxine)は、開発が遅れているどころか、開発中止が決定されています。

抗うつ剤の海外の主要新薬の大半は日本に導入されていないが、神経系薬全般に厚労省は海外臨床試験に厳しく、このドラッグラグに改善の見込みはない。エフェキサー、プロザックとも中止。
うつ病患者は62.8万人(2005)と年々増加し、社会問題化しているのに、患者の選択肢が制限されているのは極めて問題だ。(引用:医薬品評価誌MedicalLetter

この事実、ご存知でしたか?

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