なるほどの素

小中高校生のみなさんがよく理解できていないこと、今更質問しにくいことをいろいろな角度からまとめてあります。 若い教育者の方々の参考になればとも考えています。

2023年の金星の動きと見え方

【2023年の金星の概略】
 2022年後半から夕方に見られる「宵の明星」であるが、
 まだ太陽に近いために観測できる時間は限られている。
 7月に向けて徐々に太陽との角度が大きくなり、観測できる
 時間も長くなってくる。
 8月12日の内合の後「明けの明星」に変わる。
 ただ、しばらくは高度が低い(太陽に近い)ために、
 夜明け前の東の空に見やすくなるのは9月頃からになる。

●明るい主な天体との接近
    2月22日   月の北 (2°5′ ) 
   3月 2日   木星の北 (0°32′ )
   3月24日   月の北 (0° 7′ )
= <食>
   4月23日   
月の南 (1°19′ )
   5月23日   月の南 (2° 12′ )

   6月22日   月の南 (3°41′ )
   7月20日   月の南 (7°52′ )
  11月 9日   月の南 (1° 1′ ) 
  12月10日   月の北 (3° 39′ )

※3月24日の星食は南西諸島で見られるが、
  
日没直後なので観望は難しそう。
 11月9日の星食は日本では見られない。


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地球から見られる天体の中では、太陽と月に次いで明るく見えるのが
金星です。夕方、「一番星見つけた!」と言われるのはほとんどの場合、
金星のことです。

最大光輝(最も明るい時)は-4.6等星にもなります。
これは、通常の1等星の100倍以上の明るさです。
等級100
金星と地球の距離は変わるので、その明るさも変化して見えます。
しかし、地球から最も遠く離れた時でも-3.9等星くらいの明るさが
あります。

つまり、地球と金星が最も近づいた時には約4千万kmの距離にある
のに対し、最も離れた時には約2億6千万kmになり、遠い時は近い時
の6倍以上になります。
このために、金星は大きさと明るさが変化して見えます。

【内合と外合】

地球から惑星を見た時に、その惑星が太陽と同じ方向にある時を
「合(ごう)」と言います。内惑星(水星・金星)の場合は、内合と外合の
2種類の状態があります。
言い換えると、地球から最も遠い位置にある時が外合、
地球に最も近い位置にある時が内合ということになります。
合の前後の時期は、金星が昼間、太陽の近くにあり一緒に移動している
ため、地球からは見えません。

2023年は8月12日に内合。

※地球も太陽の周りを公転しているが、分かり易く地球を止めて考えます。
VENUS_ANI

【最大離角】
地球から見て、太陽と金星の間にできる角度を離角(りかく)といい、
太陽より東に見える時を東方離角、西に見える時を西方離角と言います。
どちらの場合も、最も離角が大きくなった時、約45°になります。
●太陽-金星-地球の角度が直角(90°)になる時が最大離角で、
 地球からは金星が半月状に見えます。

【最大光輝】
 金星が最も明るく見えるのは、半月状の時ではなく、少し三日月形に
欠けた状態の時なのです。
三日月形の方が半月状の時よりも、地球に近いために、見える面積が
大きくなることと、光の明るさは距離の2乗に反比例するためです。

【会合周期】
  内合から内合、 外合から外合のように、地球との位置関係が元の
  状態にまで戻るのにどれだけかかるかというのを会合周期と言います。
  地球から見た金星の会合周期は約584日。

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◆太陽との離角の変化
離角


◆金星の明るさ(等級)の変化
※マイナスの絶対値が大きいほど明るい
等級



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《参考》
【金星の日面通過】 (撮影=2012年6月6日12:30頃)
kinsei2ka
金星が太陽の前を通過した時の写真です。
 (太陽上部の黒い点が金星)
太陽と金星の大きさの違いがよく分かります。

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《関連記事》
参考文献
  「天文年鑑 2023」(誠文堂新光社)
  「天文年鑑 2022」(誠文堂新光社)

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地理/レアメタル(希少金属)の産出高

レアメタル(rare metal) は産出量が少ないが、最近の精密機械(コンピュータ、携帯電話など)を製造するために需要が増え、重要度が増している。
中国が独占的に産出しているレアメタルの輸出を制限して問題にもなっている。

今回は、主なレアメタルの生産量の多い国についての資料を
まとめてみました。

●Mineral Commodity Summaries 2022 に基づき
  一部、2020年の産出高に改訂済み。
nickel_H
●ニッケルは銅との合金(白銅)として五十円、百円硬貨にも使用されている。

moli1

anti

コバルト

vana
※クロム鉱は精鉱量で千t単位。
  その他は金属含有量で、t単位。
zir
※ジルコニウムは千t単位。
※リチウムは電池に利用されるなどの需要によって
 生産量も急増している。


********************

◆中国が1位を占めるレアメタルと占有率 (2020)
   タングステン=84.2%
   アンチモン=55.0%
   バナジウム=66.7%
    モリブデン=40.3%

※レアメタルの産出高の順位は圧倒的に多い国以外は、年度によって
 入れ替わることがよくあります。

Mineral Commodity Summeries 2022 はこちら
  (英語版ですーー 2021年の推計値も見ることができます)

《関連記事》


  

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地理・工業地帯と工業地域の出荷額統計

「日本国勢図会 2022/23」
「データでみる県勢2022」
の資料に基づいて最新データに改訂しています。


愛知県の自動車産業を中心とした中京工業地帯がゆるぎなく1位を占めている。
工業帯C
工業19
※かつて四大工業地帯の1つとして、明治以降の近代化に
 役割を果たした北九州工業地帯は3%程度に減少し、
 最近は、中京・京浜・阪神で三大工業地帯と呼ぶことが多い。

◆各工業地帯・工業地域を形成する都府県
 中京工業地帯=愛知県・三重県
 阪神工業地帯=大阪府・兵庫県
 京浜工業地帯=東京都・神奈川県
 北九州工業地帯=福岡県

 瀬戸内工業地域=岡山県・広島県・山口県
         香川県・愛媛県
 関東内陸工業地域=栃木県・群馬県・埼玉県
 東海工業地域=静岡県
 京葉工業地域=千葉県
 北陸工業地域=新潟県・富山県・石川県・福井県

●工業地帯・工業地域の比較
  それぞれの品目の特徴を覚えておこう。
  特に、中京工業地帯の機械(輸送機械)
      阪神工業地帯の金属
      京葉工業地域の化学
  の割合が多いことをよく見ておこう!
工業bar
【ポイント】
・合計出荷額も明示されていたら、一番多いのが中京工業地帯
機械類だけで60%を超えているのは中京工業地帯だけ。
化学工業が40%以上占めるのは京葉工業地域。
 機械の割合が最も少ないのも京葉工業地域の特徴。
・阪神・瀬戸内はどちらも金属工業が多いが、瀬戸内工業地域は
 石油コンビナートが多く、化学工業が金属工業を上回っている。
・3位、4位の瀬戸内と関東内陸工業地域 は年度によって
 順位が入れ替わることがある。

●中京工業地帯の内訳。
中京工C

愛知県は輸送用機械器具の他、鉄鋼業・食料品・繊維工業・
     家具・プラスチック製品・ゴム製品・窯業土石製品
のいずれでも都道府県別の1位
を占めているが、出荷額(つまり金額)で
統計を取るために、機械の比率が大きくなる。

京浜工業地帯は出荷額の順位は5位に下がっている。
神奈川県を中心にした輸送用機械が占める割合が大きい。

●京浜工業地帯の出荷額の割合
京浜BAR
その他、よく出題されるのが、京葉工業地域の化学。千葉県には石油コンビナートがあり、石油の精製や石油化学製品の工業が発達している。
京葉品目
都道府県別に見ても、千葉県の化学工業製品の出荷額が最も多い。
化学工19

◆工業製品出荷額の合計
都道府県別にみると、愛知県が断トツで1位。
出荷2019

工業製品出荷額(2019年)の上位8位をグラフにすると次のようになり、
愛知県が圧倒的に多いことが分かります。
工業順19
※2018年に比べると、静岡と大阪、茨城と千葉の順位が
 入れ替わっている。


静岡県は、輸送用機械の出荷が愛知県に次いで多く、
紙・パルプ工業の出荷額は最も多い。
輸送機19

パルプ

●鉄鋼業がさかんな府県
鉄鋼業H
阪神工業地帯・京葉工業地域では、鉄鋼業の出荷額が全体の約2割を占める。

●関東内陸工業地域では輸送用機械の製造が多い。

栃木
栃木工B

群馬
群馬工B

 埼玉
埼玉工B

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【確認問題】
 少し難しいかも知れませんが、次のア~カのグラフがそれぞれどの工業地帯・工業地域の品目の割合を示しているか考えてみましょう。
●京浜工業地帯・中京工業地帯・阪神工業地帯・京葉工業地域
 東海工業地域・瀬戸内工業地域 
のいずれか。
工業b_M


【考え方】

 アは機械が圧倒的に多い。機械が60%を超えるのは中京工業地帯。
 イとウは金属が同じくらいだが、機械より化学の方が多いのは京葉工業地域。
   食料品が機械より多いのは京葉工業地域だけ。
 ウは金属が多いが、化学が比較的少ないので、阪神工業地帯。
 エは化学が京葉工業地域に次いで多く、金属も比較的多いので、瀬戸内工業地域。
 オとカは傾向が似ているが、食料品が化学よりも多いオが東海工業地域。
 カが京浜工業地帯。

 出荷額が表示されているときはそれも判断材料になる。
 金額の最も多いのが中京工業地帯。
 京葉工業地域・東海工業地域はそれぞれ千葉県・静岡県
 1県だけの出荷額なので、比較的少なくなる。


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生駒山系で見られる野鳥

大阪府と奈良県の県境にある生駒山系は金剛生駒紀泉国定公園の北の部分に位置し、最も高い生駒山でも標高642mと、比較的なだらかな山並みが南北に連なっています。

生駒山が有名なのでタイトルに使っていますが、ここでは主に、八尾市・柏原市付近からハイキングに行ける高安山 (488m)、信貴山 (437m)で見られる野鳥について紹介します。

生駒山系は逆断層によってでき上がっているために、大阪側ではやや急な坂が多く、東側の奈良にはゆるやかに下がって行く地形が見られます。
奈良側は樹木が少なく、裾野には住宅が広がっているので大阪側の方がハイキングには適していて、野鳥にもよく出会います。

私の場合、大きな高性能の望遠レンズを付けて何時間も粘って野鳥の撮影をする訳ではなく、散策が主な目的で歩いている時に出会うことができる野鳥をコンパクトカメラで撮影するというやり方です。したがって、野鳥の撮影が得意な方にはピントも甘くもの足りなく感じられるかと思いますが、ご容赦ください。
町から気軽に散策できる里山で見かけることができる野鳥の紹介です。

ウグイスはたくさん居て、2月の暖かい日から長い期間美しい声で楽しませてくれます。

姿はなかなか見せてくれないですが、ホトトギス、コジュケイの声もよく聞こえてきます。

「メジロ」
キリキリという数羽の鳴き声が聞こえて見上げるとこのメジロが
枝から枝に飛び回っているのに気づきます。
mejiro


「ヤマガラ」
これはとてもよく見かける野鳥の代表で、あまり人間を恐れずに近づいてきます。
冬のエサが少ない時には、手のひらのエサを食べに来るほどです。
yamaga1

「エナガ」
数羽が群れを成していることが多くよく見かけられます。
enaga


「シジュウカラ」
最近は、都会にも順応したのか、市街地でもよく見られるようになりました。
sijukara


「ゴジュウカラ」
 木の幹に止まる時は、頭を下にする習性があるそうです。
gojuu


「アオジ」
いつも決まった場所に数羽が居ます。
人の気配を感じると薮の中に隠れてしまいますが、地面を歩いている
姿もよく見かけます。
aoji



「モズ」
山の中だけでなく、里にも飛来して、特に寒い季節にいろいろな
鳴き声を聞かせてくれます。

mozu


「ジョウビタキ」(オス)
目がくりっとしてかわいいのが特徴で、これも最近は市街地にも
住み付いているのを見かけますね。
JOBI_M1
「ジョウビタキ」(メス)
jobi_F


「イカル」
ikaru


「ルリビタキ」
rubitaki


「シメ」
sime


「ソウシチョウ」
外来種で、あまり好ましくないとされますが、近年増えているようです。
きれいな色をしています。
sousi

「ホオジロ」
 高い枝の上に止まる習性があるようです。
hojiro


「カワラヒワ」
hiwa

「シロハラ」
sirohara


「コゲラ」
kogera2

「チョウゲンボウ(若いオス)」
bird2

(2021.11.26撮影)

「ヤマドリ」
比較的よく人々がハイキングに訪れる道にこれが運よくひょっこりと現れると
少し驚きます。二上山の奈良側にも住みついている場所があります。
yamadori
以前はキジもよく見かけたのですが、最近は奈良側に少しだけ居る程度のようです。

*******************

「オシドリ」
信貴山・朝護孫子寺(奈良県)の入り口にある開運橋の下のダム池に冬の間やってきます。
数十羽が住み着きますが、暖かくなると北の国に帰ってしまうようです。
オシドリ2


大阪側ではため池が比較的少ないのですが、心合寺山古墳の堀など
ではいろいろな種類のカモ類が見られます。

「キンクロハジロの
kin1

「キンクロハジロの
kin2


「ハシビロガモ」
心合寺山古墳の堀には毎年冬になると、ハシビロガモなどのカモ類が
やってきます。カイツブリは常住しています。
hasibiro


ここには写真を掲載していませんが、他にもコゲラ、クロジ、カシラダカ・・・
などが樹木や薮の中に居て、特定の季節だけにやって来る野鳥も少なくありません。
コジュケイの大きな声もよく聞こえてきます。
他には、サンコウチョウやオオルリも居るようです。


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Japanese Religion 「日本の宗教」を英語で読む

多くの日本人は、クリスマスにはプレゼントを楽しみに、パーティーを開き、大晦日には除夜の鐘を突き、正月には神社に初詣をする。
お盆には休みがあり、仏壇にお供えをし、お坊さんにお経を上げてもらう。
結婚式はウェディングドレスを着てチャペルで式を挙げ、七五三には神社にお参りをする。
お葬式は仏式。

一神教を信じる外国の人たちから見ると、日本人の宗教観は節操がないようでもあり、説明に困ることがあります。
この本を通して、日本の宗教について英語で説明をするための最低限の用語を知ることができます。

宗教の歴史や、神道と仏教の違いから新興宗教まで、あらためて日本人にとっての宗教を考え直してみる材料にもなります。

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Japanese Religion 「日本の宗教」
(ラダーシリーズ レベル5)
著者=James・M・Vardaman
発行所=IBCパブリッシング
定価=1,000円+税
***********************************

●What is a kami?
 「神」を英語では "god/gods " を思いつくのですが、
 この著者は It is safer to translate it as "deity/deities".
 としています。
 なるほど、アジアの宗教について研究した native でないと
 こういう語は思いつかないのかも知れません。

おみくじ、お守り、門松、鏡餅・・・と言った日本人の日常生活に溶け込んだ宗教についても書かれていて、あらためて考えさせられます。

外国から知人を神社や寺に案内したときに、意外な質問をされて説明に困ることがあります。
神社の建物の構造や寺院の伽藍についても書かれていて、英語で観光案内をする前の予習にも役立ちそうです。


religion


【ラダーシリーズ】
ラダーシリーズはレベル1~5の5段階に分類されていて、
レベル5は  TOEICで700点以上、英検の準1級レベルというのが難易度の目安になります。
知らない単語は辞書で調べるのが最もいいのですが、読書の流れも大切です。
ある程度は前後の関係から判断しながら読むのもいいし、巻末に Word List が付けられているのでそれを参考に読むのもいいでしょう。

また、学習者の英語力に応じて段階分けしてくれてあるので、読者が自分の力量に合わせて本を選ぶことができます。
レベル1=英検4級、レベル2=英検3級 が目安になるので、中学生でも充分に読みこなせるでしょう。
対象分野も幅広く、自分の興味にあった内容のものから選んで多読に挑戦するのもいいでしょう。


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