なるほどの素

小中高校生のみなさんがよく理解できていないこと、今更質問しにくいことをいろいろな角度からまとめてあります。 若い教育者の方々の参考になればとも考えています。

算数

消費税10%の税込価格を暗算で計算する

消費税が10%に上がった一方、
¥3,980円(サンキュッパ)というように
消費者が安く感じる錯覚を利用した税抜き価格を設定する
ことがよくあります。
しかし、実際に支払う金額は¥4,378円となり、
さほど安くはないことに気づきます。

一瞬にして暗算できるものを店頭でスマホを出してペコペコと計算するのは
全然スマートじゃない。
では、消費税10%の税込み価格を暗算で計算する方法を考えてみましょう。

◆まず、0以外の数が1つだけの場合は次のように
 同じ数を2つ並べるだけでいいので、簡単にできますね。
【表1】
消費税1

◆次に、0以外の数が2つ並んでいる場合について考えてみましょう。
【表2】
消費税2
このような金額を暗算でするにはどうすればよいか。
ここで、×11のかけ算の性質を利用します。
【×11の暗算】
たとえば23×11の場合、2と3を両端において、
真ん中の数は2+3=5で5を置くだけでいいのです。

kake11_1

[例]
 15×11=165
 36×11=396
 52×11=572
と簡単に求められます。
これを利用して、
 150円×1.1=165円
3600円×1.1=3960円
5200円×1.1=5720円
と消費税込みの価格が求められます。

★ただし、2つの数の和が10以上の場合は繰り上がり
 あるので、最初の数に1を加えます。
kake11_2
[例]
 55×11=605
 38×11=418
 94×11=1034
となります。したがって、
 550円×1.1=605円
3800円×1.1=4180円
9400円×1.1=10340円
と消費税込みの価格が求められます
【表3】
消費税21

◆ではここで、最初の3,980円のような
 複雑そうに思える金額の暗算を考えてみましょう。
【表4】
税98
この表から分かるように消費税を加えた金額の最後の
2ケタがすべて*78になっていることに気がつきます。
このように*98で終わる数×11のかけ算の性質について
考えてみましょう。
kake11_3
のようになり、11をかけた数の答は、
最初の数は3+1や1+1と、1加えた数になっている。
またかけた数の答(積)の2番目の数は3や1をそのまま
入れるだけになっている。
そして積の最後の2ケタは必ず78になる。

別の言い方をすると、
3980はほぼ4000なので、最初の【表1】
見たように、一度4400と考えてそこから22を
引くと考えてもいいのです。
[考え方]
1980→2200-22=2178
2980→3300-22=3278
3980→4400-22=4378
4980→5500-22=5478
※22円は差額20円の税込価格

この暗算ができれば、消費者心理を利用した価格設定に
惑わされずに実際に必要な消費税込みの価格を考えることができます。
1,980円×1.1=2,178円
2,980円×1.1=3,278円
3,980円×1.1=4,378円
4,980円×1.1=5,478円

●1円の位が0以外の場合:
1円未満の消費税は切り捨てられるので、
次のような場合は、税込価格が7で終わります。
【表5】
切捨て


◆*990の税込価格
 UNIQLO がよく設定する1990円、2990円
 のように*990円で終わる価格のケースも
 見ておきましょう。
【表6】
uniclo99
税込価格はすべて*89で終わる
つまり、【表4】では22を引いた代わりに、
11を引けばよいことが分かります。
※11円は差額10円の税込価格

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【比較】
税抜き価格が39,800円の買い物をすると、
税込みでは43,780円が必要です。
一方、40,000円でも1%のポイントを付けてくれる店があるとすると、
ポイントが400円分で、実質的に43,600円 (44,000-400) 
になり、こちらの方が少しお得ということになります。
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最後に、もう一つ複雑そうに見えても簡単なケースを見ておきましょう
次の表のように0以外の2つの数が0を挟んでいる場合です。
【表7】
tax101H
これも×11のかけ算の性質を利用すると
【表1】の応用で、【表2】のケースよりも簡単ですね。
tax101

0以外の最初の数と最後の数を2つずつ並べるだけでいい訳です。

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《関連記事》



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算数/水槽算(仕事算)の考え方

ここでは、2種類の管(蛇口)から水槽をいっぱいにするのに
かかる時間についての基本問題で、その考え方をマスター
できるようにしましょう。

この水槽算は仕事算とも考え方は同じで、これが理解できて
いると、中学校理科の並列回路の合成抵抗を求める計算にも
役立ちます。

【例題】
ある空の水槽の中にA管で水を入れると10分、
B管で水を入れると15分で満水になる。
では、A管とB管の両方を同時に入れた場合は
何分でこの水槽は満水になるでしょうか

sui0
suiso_ani
【考え方1】
 まず、A管、B管それぞれが1分間に入れることが
 できる水の量を考えます。
 水槽全体を1とすると、A管は1/10、B管は1/15
 入れることができます。

1fun
次に、A管とB管の両方を同時に入れた場合は、
1分間に1/10+1/15の1/6だけ入れることが
できることになります。
bunsu
sui_kei
2本同時に入れると、1分間に1/6ですから、
水槽を満水にするには、
kotae6
で、6分間。これは暗算でもできますね。
     
       答え 6分    


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【考え方2】---最小公倍数の利用---
  上のように、分数を使うのがふつうの考え方です。
 しかし、分数の計算が苦手で、通分や分数の割り算が混ざると
 間違えるという人のためには、最小公倍数を利用する
 方法もあります。
 上の例題の場合、10分と15分なので、10と15の 
 最小公倍数30を利用します。
 水槽がいっぱいになると30L入ると考えてしまいます。
 すると、A管は1分間に3L、B管は1分間に2L水を
 入れられることになります。
LCM

 したがって、A管とB管の両方を同時に水を入れると、
 1分間に5L(3L+2L)の水を入れられることになります。
 このことから、30Lの水槽を満水にするには;
   30÷5=6
 で6分でこの水槽をいっぱいにすることができます。

 つまり、2つの管それぞれに要する時間の最小公倍数を
 もとめて、その水量をいっぱいにするにはどれだけ時間が
 かかるかを考えればよいことになります。


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【考え方3】---比例配分の利用---
A管とB管だけで要する時間の比が
  10分:15分=2:3
ということは、同じ時間だけ同時に2つの管から水を
入れた場合は、それぞれの管から入る水の量は
A管の方が多いので、
 A管:B管=3:2 
のように、要する時間の逆の比になります。

sui3
つまり、A管で考えると全体の3/5だけ水を入れることに
なりますから。満水にするのかかる10分の3/5で
よいことになります。したがって、
  10×3/5=6
B管は全体の2/5だけ水を入れるので、満水にするのかかる15分の2/5でよいことになるので、
  15×2/5=6
でどちらから考えても答えは6分になります。

☆水を入れる能力は満水にするのに必要な時間と反比例
 なので、逆の比を考えてからそれぞれの管だけで要する
 時間を比例配分する。

●この方法は、池の周りを2人で逆方向に回る(出会い算)
 問題にも利用できます。

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【考え方4】---文字を使って計算する方法---
もう一つ、文字を使う方法を考えてみましょう。
水槽がいっぱいになるまでの時間を分とすると、
文字式1
という式が成り立つ。
これをxについて解くと
文字式2

で、やはり6分と求められます。
文字を使い慣れた人ならこの方法もいいでしょう。

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◆いっぱいになっている水槽から2つの管で排水するのに
 かかる時間の問題についても考え方は同じです。

◆最初は1つの管だけで、途中から2つの管で水を入れる
 というような応用問題もありますが、上の基本的な
 考え方を理解しておけば、解くことができます。

◆「仕事算」の場合
Aさんが1人ですると10日かかり、Bさんが1人ですると15日かかる仕事がある。
この仕事をAさんとBさんの2人ですると何日でできるか。
というのも水槽の場合と同じ考え方で求めることができます。
 答えは6日間ですね。

※この例題のような基本的な問題の場合、上のどの方法で求めて
 もよいのですが、もっと複雑な応用問題になると、【考え方1】
 の分数を用いる方法ができるようにしておく方がよいでしょう。



《関連記事》

 「並列回路の合成抵抗を簡単に求める」

 


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算数/扇形の面積の応用(葉っぱ型図形の面積)

1辺が10cmの正方形の中に円の一部が下の図のように交わっている
図形の水色の部分の面積を求める問題を考えてみましょう  
   ※円周率は3.14として考えます。

leaf_M

私立中学校を受験するような人たちは、短時間に答を出す必要がある
ので、次のような葉っぱ型の図形(水色の部分)の面積が
  正方形の面積の面積の0.57倍になる
ことを覚えていて、それを利用する方法を使うことでしょう。

【この問題とは別に基本形の確認から】
leaf1
この図形の面積は正方形の面積の0.57倍なので、
10×10×0.57=57    
                答  57c㎡  

そして、この方法を利用して、
leaf_s

最初の問題はこの基本形が4つあるので、1つの基本形の4倍。
ここでは、1辺が5cmの正方形が4つ集まっているので、
  5×5×0.57×4=57
                答  57c㎡  
 と簡単にだすことができます。

しかし、算数は暗記の学習ではなく、図形をいろいろな見方をできるように
する練習が必要です。
そこで、暗記に頼らずに、違った方法で考えてみましょう。

【考え方1】
最初の問題の左側半分を切って、右側に貼り付けると、
正方形の中に円が見えてきます。
これを利用してみましょう。
leaf_s1

正方形の中の水色の部分の面積を求めます。
まず、右上の図のように、赤い線をつなぐと、円の中にもう1つ正方形が
できあがります。
この赤い正方形の外側の部分(青色)の面積の2倍がちょうど最初の水色の
部分の面積になります。
つまり、青色の面積を求めてそれを2倍すればいいわけです。
赤い正方形の1辺の長さは分かりませんが、対角線の長さが10cmで
あることは分かります。正方形はひし形の一種なので、
ひし形の面積の求め方(対角線×対角線÷2)を利用して;
   10×10÷2=50 
(大きな正方形の面積の半分と考えてもよい)

円の面積からこの50を引くと青色の面積がでてきます。
   5×5×3.14-50=28.5
これを2倍すると、
   28.5×2=57  となり、
 やはり答は 57c㎡ になります。

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【考え方2】
  右下の図で、円の外側の黄色の部分と、内側の橙色の部分の面積は
  同じです。
  ということは、正方形の面積から黄色の部分の面積の2倍を引けば、
  水色の面積が求められます。

leaf_y
黄色の面積は正方形の面積から円の面積を引いて;
  10×10-5×5×3.14=21.5
   これの2倍を正方形の面積を引けばいいので、
  10×10-21.5×2=57 となり、

 この方法でも、答は 57c㎡ になります。 

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【考え方3】
 形がまったく同じ図形(相似)は長さが2倍になると面積は4倍になる。
ということを利用して考えてみましょう。
すると、1辺が10cmの正方形の中の緑色の面積は
1辺が5cmの正方形の中の水色の面積の4倍になっています。
ということは、水色の面積の4倍を求める代わりに、1辺が10cmの
正方形の中にできる緑色の面積を求めればよいことになります。


leafx4
(その計算は省略しますが)
この考え方でもやはり
      答は 57c㎡ になります。 

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《関連記事》



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算数/消費税の計算にも使えるかけ算の暗算

これは限られた条件の場合の暗算の方法ですが、
知っておくと便利なこともあります。

106×103=10918
109×108=11772
のように101~109の間にある2つの数のかけ算です。

消費税が8%になってから、本体価格から消費税込みの価格を出すには、
1.08をかける必要がありますから、ちょうどその計算に利用できることになります。

109×108=11772 がどのように暗算でできるかと言うと、

(1) 最初の数は 1 と決まっています。
(2) 次の2つの数は2つの1の位の数の和になります。
      9+8=17
(3) 最後の2ケタの数は1の位の数の積になります。
      9×8=72

上の(1) ~ (3) の数字を並べると 11772 となります。

ここで、気をつけないといけないのは、(2) (3) の和、積が
それぞれ1ケタの場合は、0を入れて、2ケタにする
ということです。

例  101×104=10504
    102×103=10506

soku1

この性質を文字を使って説明すると;
2つの数をそれぞれ文字を使って 100+a、100+b と表すと、
2つの数のかけ算は、
(100+a)(100+b)=10000+100×(a+b)+a×b
となります。

【消費税の計算】
  たとえば、本体価格が1050円の商品の税込価格を計算してみましょう。
  105×108=11340 です。
 ここで、小数点が左に2つ移動させればいいのですが、
 本体価格が1050円ということは、8%を上乗せしても1050円より
 少し高いだけのはずですから、1134円と分かります。

*本体価格が108円の場合には
   108×108=11664 から小数点以下は切り捨てをして、
 116円ということになります。
 109円までの計算では、後ろの2ケタは切り捨てになるので、
 かけ算部分の必要はなくなり、
  100円と(8+8=16)の合計で116円だけで暗算ができます。

*本体価格が10600円の場合には、
    106×108=11448 がそのまま税込価格になります。

◆本体価格が101~109円の場合
  101円 ⇒ 109円、 102円 ⇒ 110
  103円 ⇒ 111円、 104円 ⇒ 112
  105円 ⇒ 113円、 106円 ⇒ 114
  107円 ⇒ 115円、 108円 ⇒ 116
  109円 ⇒ 117
で、1円未満は切り捨てられるので、十の位と一の位は
8とのたし算だけで求められることが分かります。

***************************************

【ちょっと難しいけど参考に!】
205×108 や 408×108 の場合はどうでしょうか?
これは少しだけ複雑になりますが、慣れれば暗算でできます。

205×108=22140
408×108=44064

soku2

(1) 最初の1ケタは2をそのまま使います。
(2) 次の2ケタは上の百のくらいの数2×8+5=21になる。
(3) 最後の2ケタは一の位のかけざんで5×8=40

上の(1) ~ (3) の数字を並べると 22140 となります。

408×108 の場合は
 (1) で 4
 (2) で 4×8+8=40
 (3)で 8×8=64
  (1)~(3) の数字を並べると 44064 となります。
 

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算数/直角三角形に内接する円と面積の問題

【問題】
  次の図のように、各辺の長さが5cm、4cm、3cmの
  直角三角形とそれに内接する円がある。
  この直角三角形と円の間にできる水色の部分の面積を
  求めなさい。ただし、円周率を3.14とする。


naraga1



【考え方】
 直角三角形の面積はすぐに求められるので、
 円の半径が分かればいいわけです。
 そこで、半径を求める方法を次のように考えていきます。


(1)  内接する円の中心をとして、A、B、Cとそれぞれ結ぶ。

(2) ここにできた3つの三角形の底辺の長さは分かっていますから、
  小さな三角形のうち1つの面積が判れば、その高さが分かり、
  円の半径が分かることになります。

naraga2

(3) 三角形ABO、BCO、CAOの面積の比を考えます。
  高さは同じですから、この3つの三角形の面積の比は;
    3:4:5になります。

(4) 直角三角形ABCの面積は6c㎡ です。
    ( 4×3÷2=6 )

(5) この面積6C㎡ を比例配分を利用して1つの小さな三角形の
  面積を求めます。
   三角形ABOの面積は 
       6÷(3+4+5)×3=1.5 
   から、1.5C㎡ であることが分かります。
  面積と底辺の長さが分かれば高さも分かりますから、
       (高さ=面積×2÷底辺)
      1.5×2÷3=1  
   で、高さつまり円の半径は1cm と分かりました。

(6) 後は三角形ABCの面積から円の面積を引けばいいので、
      6-1×1×3.14=2.86 

         答= 2.86c㎡  

***********************************

【文字を使った方法】

  上の問題は文字を使って解くこともできます。
  
  円の半径を cmとすると、
 
三角形ABO、BCO、CAOの面積の合計が直角三角形の面積
になりますから、
     3× ÷2+4× ÷2+5× ÷2=6
  という式ができます。
     (3+4+5)× ÷2=6  
         6 =6
          X =1
   で半径が1cm と分かりました。
   後は、上の(6) と同じ方法で

         答= 2.86c㎡  


MKJ_BTN


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