なるほどの素

小中高校生のみなさんがよく理解できていないこと、今更質問しにくいことをいろいろな角度からまとめてあります。 若い教育者の方々の参考になればとも考えています。

現在完了

英語・形式名詞「~ところ」の整理/英作文

現在完了を習ったばかりの中学生に、
「私は今からでかけるところです。」という文を英語にしなさいと
いうと、多くの生徒が現在完了を使おうとして間違ってしまいます。

新しいことを学習すると、以前に理解できていたはずの事柄と
混同してしまう間違いはよくあることです。
今回は「~ところ」が付く日本語について整理しておきましょう。

★「~ところ」は形式名詞
  「ここは彼が住んでいる所です。」という場合の「所」は
  <場所>の意味で、はっきりとした意味を持った普通名詞です。
ところが、次の3つの場合は、もとの<場所>の意味が消えた
形式名詞です。

※形式名詞はひらがなで書くのが正しい表記です。
 
① 眠っているところです。
② 出かけるところです。
③ 仕事を終えたところです。

この3つの表現が英語でどのようになるか、確認しましょう。

◆「~しているところです。」=現在進行形(過去進行形)

「ところ」の前についている「ている」は
 接続助詞の「て」+補助動詞の「いる」(連体形)になっています。
 この場合の「て」はその前に撥音便(ん)の動詞がくると、
 「で」に変わります。
 
   飛んいる、読んいる・・・
この「ている」「でいる」は動作が進行している意味で、
英語にする時は現在進行形を用います。
また、「ているところだった」「ているところでした」は
過去進行形を用いる。
 
  父は昼食を食べているところです。
  My father is having lunch.

  その少年たちは本を読んでいるところです。
  The boys are reading books.

  母は台所で夕食を作っているところでした。
  Mother was cooking dinner in the kitchen.

◆「~するところです。」=近接未来 

 「ところ」の前に動詞の連体形が来ると、これからその動作を
 しようとしている直前の意味になり、近接未来の表現を用います。

  「僕は宿題をするところです。」
  I am going to do my homework.

  「私は学校にでかけるところです。」
  I am going to leave for school.
  ただし、この leave は“往来発着”の動詞で、次のように進行形を
 用いるのがふつうです。
  I am leaving for school.
  
他にも、この意味の近接未来は“往来発着”の意味を持つことが多く、
現在進行形の形になることがよくあります。

  「母は自転車で買い物に行くところです。」
  Mother is going shopping by bike.


◆「~したところです。」=現在完了<完了> 

 「ところ」の前に過去の意味を表す助動詞「た(だ)」が来ると、
 ちょうどその動作・状態が終わったばかりの<完了>の意味で、
 英語では現在完了を用います。

※この助動詞「た」もその前に撥音便(ん)の動詞が来ると、
  「だ」に変わります。

    「読んところ」「やんところ」・・・

 この場合の「~したところです。」は「~したばかりです。」
 に置き換えができるはずです。

 「弟は宿題を終えたところです。」
  My brother has finished his homework.

 「私達は朝ごはんを食べたところです。」
   We have  had breakfast.

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「~ところです。」を英語にする時には、上の3つのどれに該当するか、
確認をしましょう。

 上のような例の他にもいくつかの「ところ」が考えられます。

●もう少しで車にはねられるところだった。
  I was almost hit by a car.

今のところここが気に入っています。
   I like this city so far.

聞くところによると、彼は交通事故でけがをしたそうだ
   I lhear he was wounded in a traffice accident.

さらに、
・それが彼のよいところだ。
・ここは笑うところではない。
・ちょうどよいところに来てくれた。
・見たところどこも悪くない。

などがありますが、中学英語の範囲ではそのニュアンスを
出すのが難しそうですね。

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英語・have been to, have been in, have gone to の違い

現在完了で用いられる have been to have been in
 have gone to は混同されがちです。
今回はその区別について確認しておきましょう。

have been to は「~に行ったことがある」<経験>
have been in は「~に(ずっと)居る」<継続>
have gone to は「~に行ってここには居ない」<結果>
という違いがありますが、いくつか注意しなければいけない点があります。

  have been to =「~に行ったことがある」
  I have been to Kyoto many times.
   「私は何度も京都に行ったことがあります。」
  Have you ever been to China?
       「あなたは今までに中国に行ったことがありますか。」
  I have never been to Hokkaido.
      「私は一度も北海道に行ったことがありません。」

のように、 have been to はふつう<経験>の意味で用いられます。
 ever, never, before, ~times, How often ~?
などの語句が付くと、より確実に<経験>と判断できます。
  How many times have you been to the park?
        「あなたは何回その公園に行ったことがありますか。」

have been to +(場所・地名)になりますが、
there
がその後に来る場合、to there(副詞)に含まれている
と考えて、
  My brother has been there several times.
  
    「兄はそこに数回行ったことがあります。」
 のように、to はなくなります。

  has been there =「そこに行ったことがある。」

ところで、 have been to が<経験>以外に使われる場合があります。

<完了>の意味の have been to 

       I have been to the restroom. の文を
   「私はトイレに行ったことがある。」
 はなんだか少し変ですね。トイレに行ったことがあるのは当然で、
 <経験>の話にするのはおかしい。
 この文は「トイレに行ってたところです。」の意味で、
 『今、戻ってきたばかり』という完了の意味に理解します。
  We have just been to the station.
  のように、just が付くとより確実に<完了>です。

   Where have you been?
   も<完了>で「どこに行ってたんですか。」の意味で、
 どこかから戻ってきたばかりの人に尋ねる文です。
※ Where は there と同じように副詞なので、 to は不要!

      Where has Hiroshi been?
         「ヒロシはどこに行ってたんですか。」
       He  has been to the library.

         「図書館に行ってたところです。」
のように、主語が3人称でも使うことができます。


  have been in は<継続>
   Father has been in Kyushu for two weeks.
         「父は2週間前から、九州にいます。」
   How long have you been in Japan?
      「あなたはどれくらい日本に居るのですか。」
のうように、have been in は「ずっと~に居る」という<継続>の
意味になります。
for, since, How long が付くと、より確実に<継続>と判断できます。

  have gone to は<結果>

まず、 gone 自体に「なくなってしまった、もう無い」の意味
含まれていると理解しておきましょう。
したがって、現在完了でなくても、
  Sugar is gone.   「砂糖がなくなってる。」
のような表現もあります。

 また、Margaret Mitchell の有名な小説(映画)「風と共に去りぬ」の原題は
     “Gone With the Wind”  です。
『去りぬ』の意味に含まれているように、風と共に去ってしまって、
今ではもう無いの意味になります。
19世紀のアメリカで、南北戦争という嵐のように吹いた「風」によって、
奴隷制度を基盤にしたアメリカ南部の一部白人の裕福な栄光の時代が
過ぎ去ったことを示しています。
【注】若い人達には、一度は小説を読むか、映画を見ておいてもらいたい名作です。

さて、本題の have gone to にもどります。
    Father has gone to work.
          「父は仕事に行ってしまいました。(今居ない)」
という<結果>の意味になり、自然に「だから今居ない(もう無い)」
の意味が含まれてきます。
結果の意味の場合は、副詞が付かず、短い簡潔な文になります。

        Mother has gone shopping.
     「母は買い物に行ってしまいました。(今居ない)」
のように、to の付かない文もあります。

    Has our teacher gone home?
           「先生はもう帰ってしまいましたか?」と
疑問文にも使えますが、<結果>の意味で否定文にすることはほとんどありません。

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★最近はアメリカ人が have gone to を<経験>の意味に使っている例をよく見かけます。
前後関係からそれが<経験>だと分かる場合、あるいは、主語が1人称、2人称で、
<結果>とは取れない場合が多いようです。
    I have gone to the museum.
     「私はその博物館に行ったことがある。」
  
    Have you gone to the department store?
 
            「そのデパートに行ったことがありますか。」
1人称・2人称が主語で、「~に行って、今居ない」という文は内容的に
あり得ないので、<経験>と考えられる。
いずれにしろ、これらはアメリカ英語の特殊な使い方と考えて、
日本の中学生は
英作文にはこのような使い方はしない方がいいでしょう

 
また、
       go fishing, go hiking のように
go の後に~ing (動名詞)が付く場合は、
  I have been fishing before.
おかしいので、
    I have gone fishing before.
   「私は以前、魚釣りに行ったことがある。」
 で<経験>に用いることができます。




最後に、英語圏の子供たちが幼い頃に親しむ
「マザーグース」(Mother Goose)から有名な一節を紹介しておきましょう。
メロディーが付いた歌にもなっています。
   ( have been to が<結果>で使われています)

   Pussy-cat, pussy-cat, where have you been?
   "I've been to London to look at the queen."
   Pussy-cat, pussy-cat, what did you there?
   "I frightened a little mouse under her chair.

「こねこちゃん、こねこちゃん、どこに行ってたの?
「女王様に会いに、ロンドンに行ってたんだよ。」
「こねこちゃん、こねこちゃん、そこで何をしたの?」
「女王様のイスの下の子ねずみをおどかしてやったよ。」


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中学英語・現在完了への書き換え

「過去」と「現在」の文を1つの文に書き換える

[例題]次の2つの文を1つの文に書き換えなさい。
My friend came to Japan last month.
  She is still in Japan now.


こんな問題がよく出題されますね。
完全にマスターして、得意問題にしてしまいましょう!

まず、「現在完了」は過去に起こった出来事が今も何らかの状態で残っていることを表す文ということを確認しておきます。
つまり、「過去」と「現在」の文を1文にするということは現在完了の文にするということです。

ここで、大切なことは「継続」と「結果」の意味の2種類の方法があるといういこと。これによって、書き換えの方法が変わってきます。

◆【継続】の意味の場合:
最初に例示した、
My friend came to Japan last month.
  She is still in Japan now.

の場合、答は
 My friend has been in Japan since last month.
となります。

<ポイント>
前(過去)の文から主語と時を表す語句だけを使い、
重要な過去分詞は後ろ(現在)の文から使う。

過去の文の動詞(came)は消えてしまうことに注意
また、still, now は無視してしまいます。
My friend came to Japan last month.
  She
is still in Japan now.
基本的に、「現在」の文を現在完了にするということです。
ただ、後(現在)の文の主語は代名詞になっているので、主語は前(過去)の文から利用します。

次に、過去を表す語句を最後に付けますが、ここも重要なところです。
since と for の使い分けが必要になります。
◆yesterday, this morning, last week, last year  年号などその動作・状態がいつから始まったかを示すときはsince

◆ an hour, two days, three weeks, four years のようにその期間の長さを示す語を伴うときはfor を用いる。
(数字を伴った期間を表す語句が来る)
sincefor

ここでもう1つ注意しなければいけないことがあります。
Mother became busy two days ago.
  She is still busy now.

を1つの文にするとき、
 Mother has been busy since two days ago.
としたくなります。日本語に訳すと、
「母は2日前からずっと忙しい。」でいけそうな気がします。
しかし、現在完了の文でago を使うことはできません
したがって、この場合、
 Mother has been busy for two days.
のようにforを使わなければいけないのです。

※間違いやすい例:
   My uncle went to London last year.
   He is in London now.

を1つにする時、
 My uncle has been to London since last year.
は少し違います。 has been to は「~に行ったことがある」の<経験>の意味になってしまうので、since last year と共に使うとおかしくなります。
また、
 My uncle has gone to London since last year.
も、次に説明する<結果>「~行ってしまって、今居ない」の意味になるので、これもダメです。
正しくは、現在の文(He is in London.)を現在完了にした、
 My uncle has been in London since last year.
が正解ということになります。

【結果】の意味の場合:
現在完了の<結果>の用法は
Father has gone to work.
  「父は仕事に行ってしまいました。(だから今、ここに居ません)」
Spring has come.  
「春が来た。(そして今も春だ)」
のように、過去の出来事の結果がそのまま今も残っている状態を表すことができます。

たとえば、
Mother went shopping.
    She is not at home now.

この2文を1つの現在完了にする時は後(現在)の文を無視して、前(過去)の文を現在完了にするだけでよいのです。
Mother has gone shopping.
で、「今、家に居ない。」の意味が含まれて来るからです。

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「継続」と「結果」の見分け方
では、上で見てきた「継続」と「結果」のどちらのパターンかという見分け方についての説明をしましょう。
少しテクニック的になりますが、
My uncle came to Osaka last year.
  He lives in Osaka now.

のように、「過去」の文に過去の時点を表す語句が付いている時は、「継続」

My sister became a nurse.
  She is a nurse now.

のように、過去の時点を表す語が付いていない時は「結果」と判断してたいていの場合大丈夫です。

*動詞でも判断ができる
また、過去の文の動詞が bought, lost,  left のような場合も「結果」になります。
 have bought =「買って、今も持っている(使っている)」
   have lost    =「なくして、今もまだ見つかっていない」
   have left   =「出かけてしまって、今は居ない」
の意味になるからです。

※入試問題の場合、「結果」の意味の書き換えは単純すぎるので、「継続」の意味の書き換えがほとんどと考えていいでしょう。
もちろん、できあがった現在完了の文の意味がおかしくないか、確かめましょう!

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【付録】
 They came to Japan two months ago.
  They are still living in Japan.


を1つの文にするとどうなるか?
基本的に後(現在)の文を現在完了にするという考え方でいくと、答は;
They have been living in Japan for two months.
となり、これでも正解なのですが、 have been ~ing で「現在完了進行形」という文になり、中学校では学習しない文になります。
したがって、
They have lived in Japan for two months.
でよいことになります。このような問題では、ほとんどの場合、空所に当てはめる形式などで、語数に指定があるので、うまく合う方を使うといいでしょう。語数指定がなければ、どちらでもかまいません。

********************************************
【やや難問】少し特殊な例ですが、こんな問題もあります。
*次の文がほぼ同じ意味になるように空所に適語を入れなさい。
I went to the park and just came back.
I (       )(        )(         ) the park.
これは、どう考えればいいでしょうか?
テクニックでは済まないので、意味をよく考えてみましょう。
「私は公園に行って、ちょうど戻ってきたところです。」
これは、<継続>でも<結果>でもなく実は<完了>なのです。
正解は;
 I have been to the park.
have been to はふつう「~に行ったことがある」という<経験>の意味に使われます。
しかし、「トイレに行ったことがある」「公園に行ったことがある」と経験でいうのは少しおかしい。これは、「~に行って来て、戻ってきたばかり」で
『今ここに居る』という状態なので、「~から戻ってきたばかり」の<完了>
の意味になるのです。
<ポイント>
Where have you been?    「どこに行ってたの?」
I've been to the restroom. 「トイレに行ってたんだよ。」
のように、have been (to) は<完了>にも使われる。


《関連記事》



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高校入試・自由英作文「~がある」の巻

自由英作文「~がある」の巻

「○○には~がある。」の文を英語にする場合、まず思いつくのは
There is, There are でしょう。
しかし、意外にこの文は間違った使い方をしがちなので気をつけましょう。

There is Osakajo in Osaka.
      「大阪には大阪城がある。」
There is USJ in this city.
      「この都市にはUSJがある。」

とやりたくなるでしょうが、There is ~.の文の主語には、固有名詞やthe, my などの所有格が付く特定の名詞は使いません。したがって、上の2つの文は間違いです。
There is 以外の文が思いつかない時は、
There is an old castle called Osakajo in our city.
There is a tall tower named Tsutenkaku in Osaka.
のように先にa, an で主語を入れて、その後に修飾語を付けるといいでしょう。
called, named などの「分詞の形容詞的用法」も含めると、高校入試レベルにはちょうどよくなります。

また、There is の後は、it や this のような指示代名詞を主語にすることはできませんから、
「それは大阪の南部にあります。」のような場合、
 It is in the south of Osaka.
とします。

【 has をうまく利用しよう!】

There is にこだわらずに、has (have) を使って、
Our school has two big trees.
Our club has twenty members.

という文も利用するといいでしょう。
人間以外の物を主語にするのは、日本語では少し変に感じるかも知れませんが、英語ではごく普通で、むしろ英語的な表現と言えるでしょう。

◆<経験>の「~したことがある」
現在完了の<経験>がしっかりと理解できておれば、決して難しくありませんが、「こと」にこだわって、thing を含めたりしないようにしましょう。
 I have visited Tokyo twice.

 のように、visit を使う文では、visit to や visit in にする間違いがよく見られます。visit は他動詞なので、その後に直接、名詞が続きます
余分な前置詞を入れないように注意しましょう!

◆繰り返しを避けて代名詞をうまく使う
30語程度の英作文で、同じ語句や表現を繰り返し使うのは好ましくありません。一度出てきた語はできるだけ it や them に置き換えましょう。
◎この時、単数・複数の違いに注意。

There are many birds in the park.
  I like watching
them.

※自由英作文はたいてい、減点法で採点されますから、a, an の
  有無や単数・複数の違いも必ずチェックしよう!


Good luck!

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