壱岐対馬シーライン「みかさ」
"Mikasa"

まず初めにお断りしておくが、現在この船を運航しているのは
「壱岐対馬シーライン」ではなく「壱岐対馬フェリー」さんである。

そして、見た目は明らかなカーフェリーだが
2018年1月現在、本船は「旅客船」ではなく「貨物船」である。

一体どういうことなのか。


2018.01 壱岐島・芦辺港
K-5IIs, Samyang135mmF2

まず先に正体をばらしてしまうと、この船は紛れもない「旅客フェリー」である。
しかし諸般の事情で「貨物フェリー」として運航をおこなっている。

沖縄県・伊是名村の村営船「ニューいぜな」として南の海で活躍し、
新造船と交代で引退したあと、紆余曲折(←想像)を経て
旅客フェリーとしての運航を目指す「壱岐対馬シーライン」が買い取った。
(実際の所有者は「なかはら」グループの壱岐商業開発)


2018.01 壱岐島・芦辺港
K-5IIs, Samyang135mmF2

その「壱岐対馬シーライン」という会社は、壱岐島を地盤とする
土木系の「なかはらグループ」が中心となって設立。

高速船とカーフェリーを取得して定期便の就航を目指したものの、
諸般の事情で定期運航には辿りつけない状況に陥ってしまった。

しかし本船はすでに購入した後で、このまま係留しておくわけにもいかず
既に博多~壱岐~対馬間を貨物専業で運航していた
「壱岐対馬フェリー」社に傭船されてRORO船として運航を開始した。


2018.01 壱岐島・芦辺港
K-5IIs, Samyang135mmF2

本船は主として博多~壱岐間のピストン輸送を担っている。

さすがは貨物フェリーだけあってシーズンごとに、
荷物の量に応じて柔軟にダイヤを組み替えている模様。


2018.01 壱岐島・芦辺港
645Z, D FA645 90mmF2.8 Macro



2017.05 対馬海峡
K-3II, Samyang135mmF2

ちなみにファンネルマークは"ITSL"という独自のものだが、
どうやらデザインが2017年のうちに変わったらしい。

さて。
元の「ニューいぜな」時代は、定員245人だった本船も
今はRORO船であるから、旅客定員は12人である。

一般的な旅客フェリーとしての設備をそのまま残しつつ
RORO船として再起する稀有な現象が起きてしまったのだ。
(芸予型を貨物フェリーに魔改造するような事例はともかくとして…)



2018.01 壱岐島・芦辺港
K-3II, Sigma8-16mmF4.5-5.6

ありがたいことに、壱岐対馬フェリーさんは空きがあれば
徒歩客であっても定員の範囲内で受け入れてくれる。

この最高に興味深い「貨物フェリー」の船内が
一体どうなっているのか、見てみよう。



車両甲板から階段をのぼって旅客室に入ると、
一瞬ごく普通のフェリーに乗り込んだような感覚に陥る。

…だが果たして本当にそうだろうか?



まず船首側にサロンコーナーが設けられている。

おそらく以前は椅子席がズラズラと並んでいたであろう区画が、
完全にくつろぎスペースへと進化を遂げている。



謎のカウンターと土禁エリアが忽然と現れる。
一体ここで何が始まるというのか。



有り余るスペースを有効に活用するべく
雑然と放置されたキーボードやドラム、スピーカーの数々。

貨物フェリーとは一体何なのか、哲学せざるを得ない。



立派な自販機の見本が備わる。
(中身の入った自販機は後部デッキに飲料のみある)



階段を登ると、土足禁止の展望サロン。
これで定員12人なのだから本当に贅沢である。

なにしろここまで見てきたエリアは全て
「パブリックスペース」なのだから。

では、一般旅客室はどうなっているのか?


こうなっている↓↓↓



かつて2等升席だった区画に、強引に寝台を12区画設置。



乗船旅客には、徒歩でもドライバーでも
必ず1人1つ寝台が割り当てられる。



なんという異様な、胸躍る光景だろう。
こんなワクワクする寝台室は他に思い当たらない。



解放感あふれる後部デッキ。



天気が良ければ、2Fの展望デッキでくつろぐのもよい。




Spec
運航:壱岐対馬フェリー
航路:博多⇔壱岐(芦辺)
総トン数:671t
航海速力:19kn
旅客定員:12人
建造所:山中造船(1998)

乗船歴

①2018.01 壱岐(芦辺)→博多 2等寝台