この記事は、テトリス Advent Calendar 2017の8日目の記事です。
(12/8アップ予定でしたが、間に合いませんでした。すみません)

今回は、NESテトリスの「横タメ」に関するテクニックを紹介していきます。
当初は、画像や動画を添えて説明したかったのですが、時間が無いので文章のみでアップさせていただきます。申し訳ありません。

英語ですが、下記の参考文献を直接確認していただくのも良いかと思います。
ちなみに、「横タメ(移動)」は英語で「Delayed Auto Shift」略して「DAS」と呼ばれています。

参考文献:
・「Tricks of the Classic NES Tetris Masters」 By Brian Smith
 DAS解説動画シリーズ:NES Tetris: Basics of DAS (Delayed Auto Shift) Piece Movement, DAS Video 1 of 5
・Tetris (NES) — StrategyWiki, the video game walkthrough and strategy guide wiki https://strategywiki.org/wiki/Tetris_(NES)#Technical_details
・NES Tetris Strategy Guide Book - Need Feedback - Forums - Hard Drop http://harddrop.com/forums/index.php?showtopic=5953&st=30


テトリスにおける「横タメ」とは、一定時間、左または右を入れっぱなしにすることで、操作中のテトリミノが自動で入力方向に移動する事を指します。
この横タメという概念が存在しないと、プレイヤーは左右に移動したいマスだけ左右入力を連打しないといけなくなるので、大抵のテトリスには実装されています。
しかし、一口に横タメと言っても、ゲームによって「横タメが溜まるまでの時間」と「横タメが溜まった時の移動速度」が異なります。これが、そのゲームの操作性を決定づける大きな要因となります。

NESテトリスでは、横タメが溜まるまでの時間は16フレーム(約0.27秒)、横タメ移動速度は1/6G(秒間10マス)です。
GBテトリス(溜め時間24フレーム、移動速度1/9G)に比べるとだいぶマシになっているのですが、それでも操作しやすいとは言えないでしょう。


通常のテトリスでは、横タメは「左右のいずれかが押しっぱなし」の間だけ有効で、左右入力をオフにすると横タメが切れ、再び横タメ移動をするためには溜め直しが必要です。
接着時間の概念がなく、AREもほぼ無いNESテトリスにおいて、いちいち横タメを溜め直さなければいけないとなると、相当操作が大変になってしまいます。
しかし、NESテトリスには「左右キーを離す」だけでは横タメ状態はリセットされない、という独特な仕様があり、キー入力をしていない時でも横タメ状態が維持できるのです。

以下、NESテトリス独特の横タメ(DAS)テクニックを紹介します。

◼︎横タメの振り替え
NESテトリスにおいて、横タメのリセット条件は「テトリミノ操作中に、左右キーを新たに入力する」となります。
「横タメ状態が維持できても、左右入力でリセットされると結局ダメなのでは?」と思われるかもしれませんが、「テトリミノ操作中」でないタイミングで左右キーを入力できるタイミングが存在します。それは「ブロック消去アニメーション中」、そして「ARE(テトリミノ固定から次のテトリミノが出現するまでの間の時間)」です。
前回記事で「AREはほぼ無い」と述べましたが、0.2秒前後は存在していて、そのタイミングで左右入力をすると、テトリミノ出現と同時にその方向に横タメ移動させる事が可能です。しかも、直前の操作と逆方向に入力した場合でも、タメ状態が維持されて、入力方向にタメ移動できる、という事が、大きな特徴です。
すなわち、このゲームにおいては左タメと右タメは独立しておらず、「タメ状態になっているか、そうでないか」という見方ができます。

◼︎ビタ止め
先述の通り、左右キーを離しただけでは横タメ状態はリセットされないので、横タメ移動でテトリミノが置きたい位置に来た瞬間に左右キーを離すと、溜め状態をキープする事が出来ます。
横タメの移動速度は1/6G、すなわち、6フレーム(0.1秒)の間はテトリミノがそのマスに留まっているので、その6フレームの間に横キーを離せばOKです。簡単ではありませんが、慣れればかなり高い確率で狙って止める事ができます。
先に紹介した「横タメの振り替え」と並ぶ基本テクニックとなります。

◼︎壁チャージ
これはかなり面白いのですが、操作中のテトリミノをフィールド両端の壁or積んだ地形に左or右に接した状態で、その壁(地形)の方向に一瞬入力するだけで、横タメがフルに溜まる、という仕様があります。
ビタ止めに失敗したり、やむを得ず左右入力が必要な場面になって、タメ状態が解除されてしまった場合に素早くタメ状態に復帰できるので、覚えておくとかなり使えるテクニックです。

◼︎タメ回し(ヨガフレ、ファイヤー波動拳)
通常、ひとつのテトリミノ操作中に左右移動の振り替えを行うと、改めて横入力が入ることになるので、タメ状態がリセットされてしまいます。
しかし、下入力を経由して左右を振り替えると、なんとタメ状態が維持されるのです。
コマンド入力的には、左→下→右(41236)、または、右→下→左(63214)、となりますが、これは一気に入力しなければいけない訳ではなく、一旦下(2)で止めても大丈夫なようで、その場合、下入力はしていますが、通常の下入力(ドロップ)扱いにならず、テトリミノの落下スピードは自由落下時と同じままになります。
このテクニックを使うことで、タメ状態を維持したままでスライド入れが可能になる状況が出てきます。

ちなみに、「Tricks of the Classic NES Tetris Masters」では、その入力方法から『ストII』シリーズのリュウの「ファイヤー波動拳」に倣って「Red Fireball DAS Technique」という名前が付けられています。日本では「ヨガフレコマンド」と言った方がなじみ深いかもしれません。

◼︎最後の一押し
これは横タメテクニックとは少し違うのですが、横タメ移動中、テトリミノが移動した直後の一瞬のタイミングで横入力OFF→ON、とすると、最後の1マス移動が通常のタメ移動(6f)よりも素早くできる、というものです。理論上はキーのON→OFF(1f)→ON(1f)の2フレームで可能です。
地形が高くなって棒などを左端/右端に入れる時に、通常の横タメでは間に合わない! という時に特に有効なテクニックです。
しかし、テトリミノ操作中に横入力を入れ直す事になるので、当然横タメ状態は切れてしまいます。捨て身のテクニックです。


……とまぁ、ここまで紹介したように、NESテトリスは決して操作性が良いとは言えないゲームですが、そんな中でも、横タメに関するテクニックが充実しています。
「Classic Tetris World Championship」の殆どの出場者は、この横タメテクニックをマスターして戦っています。これらのテクニックを思い出しながら動画を観ていただくと、また見方も変わってくると思いますので、是非覚えてみてください。
また、NESテトリスをプレイする機会があれば、これらのテクニックを身につける事が上達への近道となります。

しかし、ここまで挙げたテクニックを一切覚える必要が無い方法がひとつだけあります。それは、
連打(Hypertap)プレイです!!!
このゲームの横タメ移動は秒間10マス分なので、秒間10発以上の連打力があれば、横タメ(DAS)プレイヤーよりも有利にプレイすることが可能です!
どうですか、Hypertap!?