福島原発事故の避難児童に対するいじめのニュース、その他の多くのいじめの報道に慣れてしまった人々にも、春らしく暖かい微笑ましいニュースが届きました。

そのニュース、412日の朝日新聞デジタルの記事をそのまま紹介させていただきます。

 

 一人のはずの卒業式、扉を開けると・・・

 327日の朝。僕はブレザーを着て学校に向かった。東京都葛飾区立青戸小学校。

3日前に卒業式があったけど、僕は39度の熱が出て出席できなかった。

ようやく熱も下がって、卒業証書を受け取りに行く。

毎日通った通学路。きょうは、お母さん、お兄ちゃん、弟も一緒だ。

あれ?同級生の男の子がいる。もう春休みなのに。

「どうしたの?」。声をかけたら、少し慌てた様子。

「卒業式の日に、お父さんが間違えて学校のスリッパを持ってきちゃった。返しに行く」。

僕のお母さんが「代わりに返してきてあげる」と言ったけど、「いいよ!」。

走って行っちゃった。

ほかにも同級生が学校へ向かっている。

学校に着くと、体育館に案内された。1人だから、校長室じゃないの?

体育館の扉を開けると、みんながいた。

40人が、一斉に僕を見る。「音楽がないと寂しいよな」。友達が言った。

入場曲の「カノン」を、誰かが鼻歌で歌ってくれた。

「堺 鳳煌(さかい ほうが)」。名前を呼ばれ、練習通りに背筋をぴんとさせて、校長先生から卒業証書を受け取った。

振り返ると、みんなの顔が見えた。

涙が出そうだったけど、唇をかんで我慢した。

「鳳煌(おうが)」から、みんなにひとこと。

集合写真を撮ったあと、担任の先生に言われた。

僕の卒業式は、友だちのお母さんがみんなに呼びかけてくれたそうだ。

「ありがとうございました」。

家に帰って、おばあちゃんに電話した。

「きょう、卒業式してもらったんだ。1人じゃなかった。みんな来てくれたんだよ」(円山史氏)


 では、明日。