今月はほとんど更新できませんでしたが、月が変わる前に一記事書いておきます。

理科系の大学生や大学院生にとって、WordやOpenOffice.orgでは数式を多用するレポートや論文を書くのに非常に不便です。数式を多用する文書を作成するには、LaTeXを使いましょう。TeXのコマンドを覚えるのは大変ですが、慣れてしまえば、綺麗な数式入りの文書をさくさくと作れるようになります。

ところが、Ubuntu 10.04(Lucid Lynx)では、PDFを作成するdvipdfmxを実行するのに必要なdvipsk-jaパッケージに不具合があり、そのままでは日本語PDFが作成できません。なので、そのあたりを改善する方法も合わせてまとめておきます。

2010/10/12 追記
Maverick(Ubuntu 10.10)では、dvipsk-jaが修正されているようで、latex-env-jaとlatex-extra-jaの導入だけで大丈夫なようです。


TeXのコマンドや使い方については下記のカテゴリを参照。
独学Linux:TeXカテゴリ


日本語TeX環境のインストール

Ubuntuでは、日本語セットアップヘルパを使って簡単に導入できます。まず、Gnomeメニューから「システム>システム管理>日本語環境セットアップ・ヘルパ」を起動します。日本語環境セットアップ・ヘルパでは、チェックを入れてOKボタンをクリックしていくだけで必要なパッケージが簡単にインストールできます。日本語TeX環境に必要なものは、3ステップ目に表示される以下の2つのパッケージだけです。
● latex-env-ja
● latex-extra-ja


以前はこれだけでよかったのですが、Lucidでdvipdfmxを利用するには、ひと工夫必要です。

PPAのdvipsk-jaを導入

前出のdvipsk-jaの不具合を改善したパッケージをJapanese TeamのShibataさんがPPAで配布されていますので、これを利用させていただきましょう。

※ PPAとは、Personal Package Archivesの略で、Ubuntuの開発に利用されているLaunchpadのメンバーが個人的なパッケージを配布できるシステムのことです。

以下のコマンドを実行します。
(2010.08.11 修正しました)

$ sudo add-apt-repository ppa:cosmos-door/dvipsk-ja
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install dvipsk-ja


必要なものは以上ですが、このままではまだエラーが出てdvipdfmxが実行できません。いろいろと調べた結果、以下の手順で日本語PDFの作成に成功しました。事前にアップデートを行い、最新のパッケージに更新しておきましょう。

エラー対処《その1》

ghostscriptのResourceを反映させる
$ sudo mkdir /usr/local/share/texmf/dvipdfm
$ sudo ln -s /usr/share/ghostscript/8.71/Resource/ /usr/local/share/texmf/dvipdfm/
$ sudo mktexlsr


ちなみに、mktexlsrコマンドは、TeXシステムの本体が収録されているtexmfディレクトリに変更を加えた際に、システムを再構築するために必要なコマンドです。

エラー対処《その2》

jsarticleクラスを利用する
日本語文書クラスには「jarticle」の他にも、より完成度の高い「jsarticle」という文書クラスがあります。これはMac版のpLaTeXで有名な奥村先生が作ったもので、上記の手順で導入したUbuntuにも標準でインストールされます。が、このままではjsarticleクラスを指定したtexファイルのコンパイルが通りません。

この不具合に対応するため、以下の手順でdvipdfmx.cfgという設定ファイルの変更を行ないます。念のため、バックアップをとっておきます。

● 設定ファイルのバックアップ
$ sudo cp /etc/texmf/dvipdfmx/dvipdfmx.cfg /etc/texmf/dvipdfmx/dvipdfmx.cfg.orig
● dvipdfmx.cfgの編集
$ gksudo gedit /etc/texmf/dvipdfmx/dvipdfmx.cfg

これで、dvipdfmx.cfgを開いて最終行に
f jis-cjk.map
という1行を加えて保存します。

最後に、例のおまじない。
$ sudo mktexlsr

エラー対処《その3》

cmapを認識させる
これでもまだフォントがらみのエラーが残りました。以下のコマンドで対処します。

$ mkdir -p ~/.texmf-var/fonts
$ sudo ln -s /var/lib/defoma/gs.d/dirs/CMap ~/.texmf-var/fonts/cmap


以上で、dvipdfmxが実行され、日本語を含むPDF文書が作れるようになっているはずです。

他にも、Karmic以前では、TeXのソースからHTML文書を作成するコマンド(latex2html)で、数式画像に下線が残ってしまうエラーなどもありました。Lucidではまだ試していませんので、同じエラーが出るようなら、改めて記事にします。