Ubuntu 11.04に日本語TeX環境を導入しましたので報告します。
何か新バージョンが公開されるたびに同じ話題を書いてる気もしますが、毎回微妙に違うのでメモしておかないと自分が忘れてしまうのです。

今回は日本語セットアップヘルパが廃止され、それに伴って従来の「latex-env-ja」と「latex-extra-ja」が提供されなくなりました。

特に話題にも上がっていないのは、少数民族の悲哀という感じでしょうか…。若干の過不足があるかも知れませんが、必要なパッケージのインストール方法などを紹介しておきたいと思います。

日本語TeX環境のインストール

日本語のjarticleクラスを利用するのに必須と思われるパッケージは下記のコマンドで導入できます。Synapticパッケージマネージャで1つ1つ指定しても構いません。

$ sudo apt-get install texlive-base ptex-base ptex-bin dvipsk-ja xdvik-ja ptex-jisfonts gs-cjk-resource

jsarticleクラスを利用するには

より適切なレイアウトを提供する奥村先生の「jsarticleクラス」を利用するためには、まずokumura-clsfilesというパッケージが必要です。

$ sudo apt-get install okumura-clsfiles

次に、/etc/texmf/dvipdfm/config/configの最終行に「f jis-cjk.map」を追加しておく必要があります。下記のコマンドを使えばgeditで編集できます。

$ gksu gedit /etc/texmf/dvipdfm/config/config

最後に、次のコマンドで設定変更を反映させます。

$ sudo jisftconfig add

念のため、下記のコマンドも実行しておいた方がいいかも知れません。

$ sudo mktexlsr

これは、TeXシステムがインストールされている/usr/share/texmfフォルダ内のファイルが変更された場合に、設定を反映させるためのコマンドです("おまじない"と思っていただいて結構です)。

PDFやPostScript関係のフォントマッピングの問題を解決するファイル群

これは不要かも知れませんが、PDFでの文字化けなどがあるといけないので、入れておくと安心です。

$ sudo apt-get install cmap-adobe-japan1 cmap-adobe-japan2 cmap-adobe-cns1 cmap-adobe-gb1 cmap-adobe-korea1

スタイルファイルの追加

Ubuntu日本語フォーラムで話題になりましたので、スタイルファイルをホームディレクトリ内に追加して反映させる方法を紹介しておきます。

標準のスタイルファイルは「/usr/share/texmf/tex/latex」あるいは「/usr/share/texmf/ptex/platex」などにインストールされています。ここに直接コピーしてもいいのですが、追加したものを区別しやすいように「~/.texmf」などに分けて保存しておきたいですね。最近のtexliveのデフォルトでは「~/texmf」以下のものしか認識してくれません。

この保存場所は、/etc/texmf/texmf.cnfで指定されていて、

TEXMFHOME = $HOME/texmf

と定義されています。これを「$HOME/texmf → $HOME/.texmf」と変更して、下記のコマンドを実行すれば「~/.texmf」以下においたスタイルファイルを認識させることができます。

$ sudo update-texmf
$ mktexlsr ~/.texmf


(注意)環境変数のTEXMFHOMEを.bashrcなどで「TEXMFHOME = /home/username/.texmf」(usernameはログインしているユーザ名)と再定義しておくという方法もあります。

なお、スタイルファイルは、(ものによって異なると思いますが)「~/.texmf/tex/latex」などというサブフォルダを作成して、その中に入れておかないと認識してくれません。

サブディレクトリの作成には、次のようにmkdirコマンドのpオプションを使うと便利です。

$ mkdir -p ~/.texmf/tex/latex

ちなみに、emathの場合は「~/.texmf/tex/platex/misc」というディレクトリを作成してその中に入れます。

追記:需要があるかどうかわかりませんが、備忘録として書いておきました。ご参考になれば幸いです。