私の13歳からのヒーローがハーバードに講演に来ると聞き、心が躍った。
ビルゲイツである。

1994年、私が中学2年生の時、ふと朝日新聞の1面を見ると「ビルゲイツ氏、総資産1兆円で世界一の資産家に」といった表題が。コンピュータにはまり始めた直後だった私は直ぐに彼に関する本を数冊読み、彼が13歳でPCをはじめたこと知った。丁度13歳だった私は、知的好奇心を刺激され、未来が明るそうなこの分野に嵌った。プログラミングの本を読み漁り、14歳のときに第二種情報処理技術者(現在の基本情報処理技術者)の資格を取り、高校のときに企業で大人に混じってプログラマーとしてバイトをし、将来はビルゲイツのようにIT分野で会社を作ろうと心に決めていた。


あの日から16年がたち、やっと会えた。だが、今回は彼の資産ではなく、視点の高さに感銘を受けた。世の中には素晴らしい人がいるものである。

端的にいうと、彼は世界中にある様々な問題の中で、人類へのインパクトの大きいものが何か特定し、それに人類の資源を適切に配分しようとしている。具体的には、世界のヘルスケア問題・アメリカにおける教育問題は、その問題の大きさに比べ、資金面・人材面で割り当てられている資産が少なすぎる一方、金融業界には本来割り当てられるべき以上の人的資産が配分されていると述べる(ちなみに彼は”I'm a capitalist, there must be a financial sector"ともいっている)。彼の財団は、これらを含むいくつかの問題に対して取り組んでいる組織を支援している。そして、資金だけでなく、人的資産の非均衡を直すべく今回の"College Tour"を行い、学生に対し問題の大きさを訴えたのだろう。

質疑応答を含め1時間程度の講演なので、見ていない方は是非見て欲しい。
http://www.ustream.tv/recorded/6342637

Bill & Melinda Gates Foundation

私の今回の留学の目的は、いい成績をとることよりも、価値観を広げること、もう少し噛み砕いていうと、世界で何が起きていて、どのような問題が存在し、何がその原因で、どのようなアプローチ・打ち手オプションが議論されているのか、それぞれの打ち手案の背景にある前提条件・優先順位はなんなのかを自分の腹に落とすことである。今まで勉強していなかった遅れを取り戻すべくもがきながら進んでいるつもりなのだが、ゲイツ氏はこの点でもはるか遠く先に行ってしまった。13歳のときに目標にしてから少しも近づけていない。そもそも、少し勉強して理解を進めると、それ以上に答えを出したい論点が続出し、指数関数的に勉強しなければいけないことが増加して困っている。

仕事なら好奇心に引っ張られずさっさとばっさり枝葉を切っちゃうのであるが、価値観を広げるフェーズでそれをやると、「既存の価値観でばっさり切った枝葉が、もっと広い世界の中では実は凄く大きい幹だった」というケースを見逃して小さい人間になってしまうのでやっていない。
一歩一歩進んでいくしかないか。

もっともっと、考える時間が、欲しい。