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12:09
これが、なでしこJAPANだ!

試合が壊れた。そう思った。前半わずか3分、セットプレーで奪われた先制点。フリーな位置から突っ込んでくるロイドに、狙われていた。そして、そのプレーはほとんど同じような形で繰り返され、2分後の2失点目。またもセットプレーからロイドに突っ込まれるという同じ取られ方。チカラが抜けていくような辛い立ち上がり。

止まらないアメリカの勢い。岩清水のクリアミスを突かれた3失点目。GK海堀が前に出ているのを見て、ハーフラインから決められた4失点目。諦めるには十分な点差で、それに見合った失い方だった。さぁ仕事だ。月曜日が始まる。多くの人がテレビやラジオのスイッチを切り、心のスイッチを切ったかもしれない。もう、スイッチを切って、目を逸らしてしまいたかった。

しかし、そのスイッチをなでしこが入れて回る。

誰が諦めたとしても、自分たちだけは諦めない。試合が終わるのは90分が過ぎたときだけ。そこまでは何が起きるかわからないし、何だって起こせるんだ。そうやって咲き誇ってきたなでしこは、この絶望の中にあっても何ひとつ変わらなかった。ミスもあって大きく動揺する岩清水を下げて、精神にもう一度活力を込める英雄・澤の投入。さらに中盤の川澄を下げて、前線の菅澤を投入。戦うという意志が、残り時間で勝つためにできることを探し出す。少ない手立てを打たせる。誰も折れてなどいない。

あぁ、これがなでしこだ。

世界一になったからなでしこを好きになったのではなく、こういう姿が、決して満たされてはいない自分の人生にさえ、まだ希望があるかもしれないと思わせてくれるから、なでしこを好きなんだ。うなだれていても仕方ないと、頬を張ってくれるから好きなんだ。2011年の優勝がタダの優勝ではなく、特別なものだったのも、そこに希望を感じたからじゃないか。

思い出すのは北京五輪の準決勝、1-4と大量リードを奪われたあとの93分、荒川恵理子が決めたゴール。その1点で何が変わるわけでもないけれど、可能性がゼロになるまで戦いつづけた魂のゴール。頭でわかっていても、心がついてこない絶望の淵で、美しく凛と咲きつづける。この日の戦いはなでしこJAPANというチームのありよう、その原点を示すものだったように思います。

世界一になった伝説のヒロインも、少しずつピッチを去っていくでしょう。来年のリオ五輪はさておき、2019年のワールドカップまで何人が残れるかはわからない。そのとき、新しくこのユニフォームに袖を通す選手には、2011年よりも2015年を覚えていてほしい。0-4からどう戦ったか。0-4から何をしたか。目指すに足る高い目標、マネするのが難しい困難な目標、なでしこの頂は勝った試合よりも負けた試合にこそ垣間見える。これを見失わないチームで、これからもありつづけてほしい。

可能性がゼロになるまで戦いつづけたことを。

どんどん小さくなる可能性を懸命に追いかけつづけたことを。

ゼロになる前の小さな可能性、それが希望なんだということを。

なでしこJAPAN、希望のチーム、誇らしい。


◆アメリカが世界一を勝ち取り、日本は「世界二」をいただきました!

BCプレイススタジアム。決勝の舞台。北米での大会ということもあり、場内はアメリカを応援する大観衆で満たされました。その数、5万人。強い日差しが打ちつけ、緑の人工芝を光の絨毯のように輝かせる。世界一を決める舞台にふさわしい、素晴らしい環境です。

入場を待つ日本の選手たち。ベンチには山根恵里奈がオンブする形で、骨折離脱の安藤梢も帰ってきました。もちろん安藤のユニフォームを着た白いクマも一緒に入場。歓喜の世界一を決めたとき、骨折のコズコズをベンチに置き去りにし、クマだけ持ってピッチに全選手・スタッフなだれ込む…喜びボケの仕込みはバッチリです。

鳴り響くアメリカ国歌は戦いへの興奮を高め、君が代の響きにこの舞台の重さが一層増していく。世界一を争うにふさわしい両チームが、それにふさわしい戦いぶりでここまで上がってきた。女子サッカーという競技自体をも盛り上げるようなストーリー、その一端を日本のなでしこが担っているということに改めて誇らしい気持ちを覚えます。

↓山根とかいう圧倒的な運搬力!岩渕とかいう小物管理担当!

足が折れたら山根んとこにこい!

ふたりぐらいはホテルまで運んでやるぞ!


そして始まった試合。日本の先発は決勝トーナメントにきてからはすべて同じ。ここまで勝ち上がってきた形で、決戦に臨みます。首尾よくリードを奪い、勝利が見えてきたなら、澤魔神を投入して逃げ切り&有終の美を飾ろうということでしょうか。一方、アメリカはワンバックをベンチにおき、途中から入れてこようかという格好。レジェンドに捧げる世界一、実現できるのは1チームだけです。

しかし、ここから悪夢のような時間が訪れます。前半3分、コーナーキックから低くグラウンダーのボールを入れると、一番遠くでフリーになっていたロイドが突っ込みます。あっという間の先制点。日本はすぐさま宮間キャプテンがチームを呼び集め、虚を突かれたような失点からの修正を図ります。

だが、止まらない。前半5分、セットプレーから再びロイドが突っ込んで2失点目。さらに前半14分には「日本は今日はウィークデーだろ!」「ホリデーじゃねぇんだよ!」「仕事しろ!」と現実を突きつけてくるホリデーのゴール。さらに前半16分にはロイドのロングシュートが決まってあっという間の4失点。3失点目は岩清水のクリアミス、4失点目は海堀のポジションが前に寄りすぎたところを突かれてのもの。決めたアメリカの上手さは讃えるにしても、少しアメリカの勢いに押されるようにガタガタッといってしまった、勿体ない2失点でした。

↓前半16分で4失点!試合は終わりだ!ありがとう、お疲れ様、なでしこJAPAN!


心:「ピシッ」
心:「ポキッ」
心:「ポキポキッ」
心:「ボキィィィィンッ!!」

折れた…。もう会社に行きたくないよ…。

「なでしこが4失点したので今日は休みます」って電話しよう…。

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この舞台が、この試合が、4年間が無駄になっていく…。絶望的な点差を前に外野の心が音を立てて折れていく。テレビから目を逸らして、大きく息を吐くような時間。それは、特に責められるいわれはない、一般的な人間の姿でしょう。4失点で心が折れたとしても、恥ずかしいとは思いません。

だからこそ、なでしこの強さ・美しさに心が震えるのでしょう。彼女たちはこの4失点を絶望ではなく、「大差」ととらえていた。苦しい状況であることは否めないけれど、試合はまだ終わっていない。4点取らなければいけないのは大変だけれど、4点取られたんだから仕方ない。心が折れるどころか、なでしこはリスクを負って猛然と攻めに打って出ます。

↓前半27分、日本に勇気を与える大エース・大儀見の反撃弾!


立てぇぃ!

日本、立てぇぃ!!

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まだだ、まだまだ。立て、なでしこ。サッカーで4点差を追いつくことは、まれにあることじゃないか。相手が4点取ったなら、自分たちにだってできないはずはない。「苦しい」だけで「できない」じゃあない。苦境の中で枯れずに咲くなでしこは、誰も戦いを止めようとしません。世界一を争う戦いで、無様な姿は見せられない。誰の心が折れようが、なでしこは小さな可能性を追いかけて走ります。

最初の交代は前半33分。自らのミスで動揺を見せる岩清水を下げて、精神的支柱・澤を入れて立て直しを図ります。ベンチで涙を見せる岩清水は、4年前につづき決勝のピッチを試合半ばで去ることになりました。これにより日本は阪口をCBに移し、澤をボランチに入れる形に。さらにつづけざまの39分には、川澄を下げてFWの菅澤を投入。変幻自在のなでしこが、この大一番で攻撃的超変身です。延長戦とかスタミナとか、そんなこと考えても仕方ない。試合時間残り60分ほど、そのすべてをパワープレーでいくという決断です。

前半を1-4で折り返す苦しい流れになっても、できることをやる、という姿勢は変わりません。時間が少なくなるごとに、より難しいことにチャレンジしなければならなくはなりますが、ゼロになったわけではない。なでしこは前半終了の笛を聞くや、小走りでロッカーを目指します。どうするんだ、どうしていくんだ、意志を統一し、逆転への策を練る時間を1秒も無駄にはできない。急げ、急げ。この15分、相手が休んでいる間に追い上げるんだ。

そこには誰もうなだれる者などいません。骨折の安藤梢さえ、自分の足でロッカーを目指して歩き出します。「立て安藤!」「歩け安藤!」「自分の足で!」と山根の声が心で響く中、安藤の傍らで肩を貸すのは試合を退いた岩清水と川澄。もう試合に出ることはないから、せめてほかのことでチカラになろう。誰もが自分にできることをやり、可能性をめいっぱい追いかけます。

そして迎えた後半。日本は立ち上がり、確かな反撃の狼煙をあげます。後半7分、大儀見が倒されて得た、ゴールからかなり遠い距離でのFK。普通ならチャンスにすらならない位置から、日本はあの伝説のゴールを再現します。宮間が蹴り込んだ長いFKは、絶妙な精度で狙いどおりの位置へ。そこに飛び込んだのは澤!あの伝説のゴールを彷彿とさせる宮間⇒澤での背面ゴールは、日本の可能性を大きく広げる追加点!

↓おおおおおおおおおお!!宮間ぁぁぁ!!澤ぁぁぁ!!


この決勝の舞台で、レジェンドが全盛期の輝きを放った!

澤、そこまでのチカラを持った選手だったか!

さすが日本が誇るホットラインだ!


↓しかし、反撃の直後に5点目を奪われる…。


まだ、まだまだ!

頑張れ、なでしこ!


4点を追って攻めつづけるというのは、いつも攻めへと心を傾けているということ。守っている時間も含めて、ゴールへつながるプレーをしている。それは失点のリスクを少なからず増すもの。超攻撃モードに入ってから60分以上もある試合を無失点でいけるほど甘くはないということか。ならば、ここからさらに3点取る。取れるかどうかはわからないけれど、どうすればその可能性が生まれるか、そういうプレーをしよう。なでしこの戦いは、この決定的な5失点目でも変わることはありません。

後半23分には、澤がエリア内で倒されたかのように見える場面。後半31分には菅澤がエリア内でフリーで合わせる惜しいヘッド。少なくなる時間の中でも、まだ3点が取れるんじゃないかという戦いをなでしこは見せます。ついにベンチからは有吉を上げた阪口・熊谷・宇津木の3バックへの変更まで指示され、1-2-3-4とでも言うべき逆三角形のような超々攻撃的モードへ。

これが「追いかける」ということだ。残り時間が少ないのにもっちゃらつないでいるような戦いではなく、可能性をを最大化するために自分たちを変えていくチカラ。その引き出し。負けてはいるけれど、やはりなでしこは強いチームだ。そう感じさせるものが2-5からの残り時間にはありました。「やるだけやった」と思わせるに足る、最大限の攻めが。

↓だが、アメリカにはワンバックという切り札がまだ残されていた…!

クローザー・ワンバックか…!

強いな…アメリカは…!


↓死闘を誓う、両雄!

素晴らしい敵がいるってのは幸せだな!

お互いに!

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澤とタッチしながらピッチに入るワンバック。レジェンドとレジェンドの激突。2-5ではなく5-2の側で、この場面を迎えていれば、日本は負ける気などしなかったでしょう。3点勝っていて、クローザー澤を投入したのだから、試合はもう終わりなのだと。逆になれば、その結果は言わずもがな。アメリカは強かった。0-4から引っくり返すには、大きすぎる相手だった。一瞬、その巨体を揺らした手応えはありましたが…。

↓そして、試合終了へ…!

負けたな!

こんな強い相手に全力で負けられたんだから、幸せじゃないか!


後悔はない。4失点をやり直したい気持ちはありますが、追い上げてからトドメを刺されたことを含め、アメリカが強かった。強い相手に負けるなら、それは仕方のない実力です。日本選手には涙もありますが、笑顔もありました。澤も、宮間も、出し尽くした満足で、笑顔を作るだけの余力がある。泣かずにはいられないような、後悔だけの試合ではない。出だしはどうなることかと思いましたが、やはりこの試合は世界一と世界二を決める一戦でした。負けて嬉しい試合はありませんが、胸を張って負けたと思える試合はあります。それが、今日です。

↓おめでとうアメリカ!素晴らしい試合だった!

日本が相手でよかったろ!

ま、コッチも2011年にどうしても勝ちたかったから、今日は負けて帰るわ!


↓大ハシャギするアメリカ代表の選手たち!惜しむらくはここに大野がしゃしゃり出ていかなかったことくらいだ!

バカがバカなことの準備してきてるwwww

どこも似たようなもんだなwwww



後悔はない!不満はない!誇りはある!リオ五輪では必ず勝つ!