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ブラボー!ブラボー!!みんなブラボー!!!

サッカーワールドカップで日本代表がやってくれました。日本時間23日に行なわれたグループEの最初の試合・ドイツVS日本戦において、先制を許しながらも怒涛の猛反撃を見せた日本が2-1で逆転勝利。優勝4回を誇る世界屈指の強豪ドイツを相手に、歴史的な勝利をおさめたのです。断言します、これは日本サッカー史上最高の試合です!



日本人の魂と誇りを持って、日本のために戦うこと―ー。

試合を前に日本代表・森保監督はそういう言葉を遺して、そういう言葉を選手にかけて決戦の大舞台に向かいました。ここまでの4年間、世間の風は非常に冷たかった。曰く、つまらない。曰く、何を考えているかわからない。曰く、戦術がない。曰く、華がない。勝った負けたで一喜一憂する世間とサッカー界から多くの日において「石」を投げられてきました。

しかし、この大舞台に立ってなお森保監督は冷静で、落ち着き払っており、泰然としていました。すべてを決めるのは自分たちであり、自分は誰よりも日本の選手たちと日本のサッカーを知っていると。自分が信じる最高の戦いを、迷わず、恐れず、勇敢にやるのである、そういう覚悟を見ました。普段は静かな瞳が燃え立ち、上気するように見えました。ずっと静かに燃えてきた、そんな立ち振る舞いです。

日本の布陣はやり慣れた4-2-3-1の形。主力として期待された冨安健洋さんと守田英正さんはスタメンには名を連ねませんでした。怪我の影響による出遅れか。耐える時間が長いであろう日本には少し苦しい状況です。ただ、そういう26人を選んだのは自分たちだし、そのなかでもできることをやるしかないのがワールドカップです。覚悟、覚悟、覚悟、世界を驚かせるには苦しいくらいでちょうどいい。簡単な勝利ではなく、困難な大勝利でなければ人の心は動きません。ドイツ、スペイン、大歓迎。食えれば美味しい鴨がやってきた、喜んでお相手しましょう。

↓ドイツVS日本!世界を驚かせる相手に不足ナシ!


↓熱く君が代を歌って歴史的一戦に臨む!


↓いけーニッポン!歴史の扉を開けるキックオフ!



立ち上がり、日本は熱く落ち着いています。事前の見立てにあったほどのハイプレスは見せず、最後方でのボール回しはおおむね放置といった構え。中盤にボールが入ったところから圧力を掛けにはいきますが「刈り取ろう」といった雰囲気ではありません。不気味なほど静か。開始1秒から男たちが吠えまくるインテンシティの高い試合をここまで見てきただけに拍子抜けするようなところも。

ドイツも「真の全力」ではないものの「舐めている」という感じでもなく、慎重に日本の強さを探っているよう。前半8分には中盤でのボール奪取から、右サイドを突破して一気にFWの前田大然さんにつなぐという「狙い通り」の攻撃でネットを揺らした日本ですが(※惜しくもオフサイド)、その狙いも「ほほぅそういう感じか」とばかりにドイツは微調整を施して対応してきます。うーむ、出会い頭で取れればよかったのですが、残念。

↓完全にオフサイドですが「ノイアーだろうが、蹴れば入る」という感触はつかめたのでヨシ!


しかし、ここからはドイツの時間。日本の右サイド・伊東純也さんの攻撃がカギと見抜くや、ドイツの左サイドは常に高い位置を取って日本を押し込んできます。登録上は4バックのシステムであろうドイツですが、攻撃のときは3バックでサイドに選手が張った形となっており、日本も外から攻撃には行きたいが、外に余っているドイツの選手がすごく邪魔、という感じに。こうなると日本は簡単には攻められず、個々のチカラに勝るドイツにジワジワと押し込まれてしまいます。

前半14分にはキミッヒさんの鋭いシュート。前半17分にはおそらく用意していた形であろうコーナーキックで「枠に入れれば1点」というヘッドをリュディガーさんに撃たれますが、ここは枠には入らず助かりました。さらに前半20分には再びキミッヒさんが鋭いシュートを放つも、ここはGK権田さんがしっかりとセーブ。前半28分にもエリア内からシュートを撃たれヒヤッとする場面がありました。じょじょにドイツは攻撃のアイディアを繰り出すようになり、日本の右サイドで常にフリー気味になっているラウムさん(※フィリップ・ラームさんではない)を起点にして、危うい場面が続出します。

そして前半31分、完全に浮いた状態のラウムさんに中央から長いパスが通り、エリア内でGK権田さんとの1対1に。権田さんも少し焦ってしまったでしょうか、ラウムさんの切り返しに飛び込んで倒してしまいました。痛恨のPK献上。日本の悪癖が出ました。GKとしては最後の最後まで倒れず飛び込まずに粘ってほしかったところですが、倒してしまったものは仕方ありません。

↓まぁこれだけフリーなら焦るのもわかるが…。


↓このPKを決めてドイツが先制!



おそらく会場やテレビで見ている戦術通の人ほどイライラする展開だったことでしょう。何故修正しないんだ。何故サイドで浮いている選手をずっと放置しているんだ。手を打たないのか、打てないのか。ホワイトボードにマグネットを投げつける感じで苛立っていたことでしょう。後半に入ったときの一部解説者にも「なんすかこれ」という表情でスーンとしている姿が見受けられました。

ただ、これこそが「肝」だったなと思います。賭けと言ってもいい。日本ベンチはおそらく「前半僅差負けならヨシ」と負けている状態まで受け入れて、この苦しい時間を勝利への必要なステップと考えていたのでしょう。ドイツというチームの戦術理解度、遂行力を考えれば戦術の指し合いに臨むのは得策ではないと。あえて苦境を放置することで、自分も何の手も打たない代わりに、ドイツにも何の返し手も打たせず、後半勝負に懸けるのだと。

もし、もしも前半のうちにドイツが2点・3点と挙げていれば、このチームとこの監督は「無能無策」というマグネットを投げつけられ、一生分笑われていたことでしょう。それぐらいやられた前半でした。よく1点で済んだものだと思いますが、そこはドイツには本当に試合を決められるスペシャルな存在はおらず、特にゴールを奪えるストライカーはいないという弱点を見越してのものでしょう。「ドイツなら、もしかしたら、勝手に外すかもしれない」という見立てに命運を託した。ハイリスクで勝ち目の薄い賭けですが、そこに細い細い勝利の道筋を描いていたのでしょう。手を打つべきときは、今ではないと。

↓「日本、攻守に冴えず」と言われるような前半を0-1で終えたこと、これが勝利への布石だった!


もしも前半で手の内をさらしていればドイツはハーフタイムで完全に対応をしてきたでしょう。優れた戦術眼のもと、次の攻略法を見出し、選手に授け、布陣を整えてきたはずです。しかし、日本が無能無策のまま「今大会でもっとも低レベルのつまらない前半」を1点差で終えたことで風向きは変わってきました。

日本は後半に入ると冨安健洋さんを送り込んで布陣を3バックに変更します。直前のカナダ戦でもほんの少し見せていた3-4-3の布陣です。これにより日本はサイドに浮いた選手を捕まえることができるようになり、前半のようにメタメタにやられることはなくなりました。もちろんそれでドイツが手詰まりになるわけではありませんし、引き続き危険な場面は数多く生まれるのですが、日本もまたいい攻撃が繰り出せるようになりました。ようやく五分五分といった感じに。

↓ドイツは引きつづきシュートを外しまくっています!


そして、ある程度この形ならやれるということを確かめたうえで、今度は攻撃へと転じます。後半12分、長友佑都さんを下げて三笘薫さんを、 前田大然さんを下げて浅野拓磨さんを投入した日本。守備に強い長友さんを下げてドリブル突破が魅力の三笘さんを入れ、前線からのハイプレスの軸である前田さんを下げて「攻撃のために走る」浅野さんを入れるというのは、反転攻勢への狼煙でした。

さらに日本は後半26分にボランチの田中碧さんを下げて堂安律さんを投入。後半28分にはサイドバックで入っていた酒井宏樹さんを下げて南野拓実さんを投入します。守備でも強みがあるメンバーを下げて、さらなる攻撃のカードを切りました。この時点で日本の守備的なフィールドプレーヤーはは3バックとボランチの遠藤航さんだけになり、残る6枚は攻撃の「矢」となりました(※もちろん守備でも頑張るが)。

確かに得点が必要な状況ではありますが、もはや布陣もバランスもクソもない攻めダルマです(※システム的に言えば3-1-1-5か)。どうやって併用するかを悩んでいたはずのカードを、森保監督は全部一度に盤面に並べ始めたのです。狂気すら感じる采配です。さっきまでコタツでミカンを食べていたおじいさんが、急にコタツを跳ね上げてナタを振り回している感じです。何だこの狂戦士モードは!

↓3対3の場面で「1対1を3つ仕掛ける」日本の矢たち!


↓スピードで仕掛ける日本と、懸命にエッサホイサと守るドイツ!


↓GK権田さんも確変に入り、連続ナイスセーブ!


↓遠藤さんは二人ぶん守る感じで奮闘中!


そして運命を動かした後半30分。日本は5枚の攻撃がドイツの守備に「5つの1対1」を仕掛けます。連携で崩すなんてオシャレなものではなく、「三笘が持ったらドリブルで仕掛けろ!そして勝て!」「勝つと信じで俺たちは裏に走る!」「あとは決めるだけだ!」という単独突破のユニゾンのような動き。僕はこの攻撃を見てバレーボールを思い出しました。相手のブロックがどれだけ整備された3枚であっても、4人が攻撃に跳べば「誰かは必ずフリーになる」というシンクロ攻撃の仕組みが、サッカーで再現されていました。

ワールドクラスのドリブルでドイツの守備を翻弄した「戦術三笘」は、相手守備3枚を引きつけたうえで、エリア内でフリーになった南野さんにパス。南野さんは鋭く身体をひねってシュートを放つと、名手ノイアーさんが弾いたボールを堂安さんが詰めて同点弾!耐えに耐え、攻めに攻めた日本がついに追いついた!

↓「戦術三笘」は実在した!夢に見た通りのゴール!


さらに日本の猛攻はつづきます。後半38分、日本陣内でのフリーキックの場面。3バックの一角である板倉滉さんは、何の気配もなくポーンとひと蹴りで一気にドイツゴール前までボールを送ります。そこに走り込んでいたのは快速ジャガー・浅野さん。浅野さんは完全にDFラインの裏を取ると、相手の体当たりを跳ね返しながら、名手ノイアーさんが守るゴールのニア上を突き刺しました。こんな攻撃が決まるのかという電光石火の一閃で日本逆転!よもやの逆転!世界が驚き、ドイツが狼狽する逆転!

↓相手が何人いようが、相手より速ければ守備戦術など無意味!




ドイツにはまさかの出来事だったでしょう。前半戦の戦いを見れば「雑魚」と認定されても不思議はない日本に逆転されたのですから。前半の日本は、戦術眼皆無、能力低め、気迫薄のチームに見えたことでしょうから。しかし、それは日本の罠だった。森保監督が指揮すると不思議とそうなると言われる「塩試合」にドイツは完全に飲み込まれていました。一度緩んだ気持ちは同点によって焦りへと変わり、燃え盛る闘志は湿気ってしまっています。ダラダラノロノロとしたローインテンシティの試合にはまり込んでいました。

もはや、ここに至るまであれだけ外しまくったシュートが、逆転された狼狽のなかで今さら決まるはずがありません。そこで決められるようなスーパーエースはドイツにはいません。チームで崩そうにも、日本は「矢」をつがえたままです。何人守備が残っていようが1対1で負けたら一気に持っていかれる単独突破の「光速の矢」です。賢くゾーンで守って全体が押し上げるなんてこと怖くてできるはずがない。間延びした状態で雑なボールを蹴り合う雑魚同士のような試合。これは世界最高峰のドイツの戦術を日本の「矢」が破壊した瞬間でした。

今大会は全体的に長めに取られているアディショナルタイムが7分と表示されたときも、まったく怖さはありませんでした。GKのノイアーさんが上がってきて全員攻撃を仕掛けてきたときには3点目のチャンスと思ったくらいです。やがて迎えた後半54分、ドイツは最後の最後までシュートを決められず、日本が2-1で勝利をおさめました。歴史的な勝利。日本サッカー史上最高の試合。この日の世界のスポーツ界におけるトップニュースは、間違いなくこの試合です!

↓日本、ドイツから歴史的な勝利!


「世界を驚かせる」という野望が、ついに成った、そう思います。これまで何度もベスト16に進み、チカラは示してきましたが本当のトップオブトップには敗れてきました。前回大会、優勝候補のベルギーを2-0とリードしながらグッドルーザー止まりとなったあの無念。あの無念を踏み越えて、今度はしっかりと世界の強豪を沈めました。

試合を終えたあと、笑顔と興奮とでブチ上がった選手たちを見る嬉しさ。一部ブチ上がり過ぎた選手はガン決まりの目で「みんなブラボー!ブラボー!!ブラボー!!!」とヤベー感じで吠えていましたが、これだけの試合のあとなら当然だろうと思います。ほかの選手のインタビューにまでブラボーの音声が乗ってきてうるせぇことも許すしかないでしょう。それぐらいの試合、それぐらいの勝利でした。

↓ブラボー長友うるせぇよwww黙れwwwwあと槙野もスルーすんなwww


ただ、これで終わればただの一発屋です。そういう事例もたくさん見てきました。この勝利をちゃんと成果として残し、今大会の歴史に刻むには、この先の試合でさらに勝利を重ねることが大事です。ベスト16ならボチボチで、ベスト8くらいでようやくこの勝利の価値が正しく歴史に刻まれる、そう思います。つづくコスタリカは難敵ですし、スペインは日本にとってはかなり苦手なチームのひとつでしょう。「ドイツは与しやすい」と何度も言ってきた僕ですが、同じクチで今度は「スペインに勝利が必要な状況は避けたほうが望ましい」と思います。

まぁその点も心配はしていません。試合後はさすがに興奮したような表情の森保監督でしたが、「次が大切だぞ!」「これを活かして次にまた勝利すること!」「しっかりと準備してやっていこう!」と余韻に浸る気配すらなくチームを引き締めていました。掲げた目標はベスト8。ベスト8のためにはドイツ撃破も通過点でしかありません。ベスト8までいってから振り返った道の眩しさに目を細める、この試合はそういう試合であるべきです。

コスタリカ戦に勝って、ベスト16を決めること。

決勝トーナメントで全身全霊を発揮するには次戦の勝利が大切で、必要です。

一喜一憂せずに次戦に臨みましょう!

↓静かに燃える森保監督の号令で日本は大切な次戦に向かう!

ありがとう!お疲れ様!日本代表!

行くぞ、ベスト8!


「日本サッカー史上最高の試合」を大会のなかでさらに更新してください!