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12:15
この番組は「このレシピを考えた人の夫はプロ野球選手」だった!

僕には毎年楽しみにしているプロ野球関連番組があります。秋の「プロ野球戦力外通告」「壮絶人生ドキュメント 俺たちはプロ野球選手だった」の2本、俗に言う「プロクビ」。そして春の「壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち」、俗に言う「プロ妻」です。

秋の「プロクビ」はおもにクビになった選手のトライアウトの模様などを伝え、「契約の電話くるかなー」と待っている表情を見せる悪意系ドキュメント。そして、春の「プロ妻」はプロ野球選手の妻が意外に苦労しているんですよというところを映す苦労系ドキュメント。どちらにしても、栄光と挫折、その光と影を映す作品…のはず。しかし、ここにきて「プロ妻」では食事シーンの存在感が増してきています。

確かに、昨今のアスリート妻に対しては「まず食事」という期待感があることは認めざるを得ません。宇佐美貴史さんの妻・蘭さん、潮田玲子さんの夫の妻・潮田玲子さん、前田健太さんの妻・成嶋早穂さん、こうしたアスリート妻はいずれもジュニア・アスリートフードマイスター…いわゆる「野菜ソムリエ」の資格を取得しています。

彼女たちがブログで披露する食事は、彩り・栄養・品数いずれも一般家庭のそれを凌駕しています。僕の実家の食卓などは、1年365日判で押したように「トマトを4つに切ったもの」「ほうれん草を茹でたもの」を出してきたことを思うと、アスリート食卓は夢の世界のようであることは確かです。実際にテレビ的な需要も高いのでしょう。

ただ、いつの間にかレシピが野球を逆転してきてはいないだろうか。今年の「プロ妻」を見るうちに、いまや番組の主軸はメシに移行しているという疑念を強く抱きました。隙あらばメシを紹介してやろうとするアヤしい動き。どうにかしてメシの話を突っ込もうとするゴリ押し感。このままでは「プロ妻」ではなく「レシピ」になってしまうのではないか。

「プロ妻」と「レシピ」は相いれないコンテンツです。レシピは金があってヒマだからこそ充実するのです。赤貧にあえぎ、困窮する生活の中で、世間に見せびらかすようなレシピなど揉んでいる余裕はないのです。ウチの母親のように、すべての品が10文字でおさまる程度の料理しかしていられないのです。「鮭を焼く」「米を炊く」「トマトを4つに切る」「ほうれん草を茹でる」「味噌と大根を煮る」コレが標準的貧乏レシピでしょう。

「プロ妻」の本質は苦労話です。「こんなに苦労しているんだ」という場面を映してこそ、「私も頑張ろう」という気力が茶の間にもわいてくるのです。もっと苦労話を。メシもノドを通らないくらいの苦労話を。苦労こそが「プロ妻」であり、どうしてもメシを紹介する場合も「1ヶ月1万円生活」みたいなものであってほしい…僕はそう思う者なのです。

ということで、「レシピ」に浸食されメシ中心の構成になりつつある、20日の「壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち」をチェックしていきましょう。


◆油断するとちょいちょいメシの場面を織り込んでくる強引編集!

今年は4組の夫婦を紹介する「プロ妻」。まず最初に登場したのは、DeNAの国吉投手、紗知代さんご夫妻。紗知代さんは元アイドルという経歴の持ち主で、現在は専業主婦として家の仕事を担当しています。ナレーションが語る「彼をサポートしたいという想いで、あることを始めました」というフレーズ。その瞬間、僕の脳内にはピキーンというニュータイプ音が鳴り響きます。「おっ、メシの話だな」と。

↓早速だけど予告通りにメシの話を始めるぞ!
紗知代さん:「野球のことは全然わからないので」

紗知代さん:「何かないかなって考えて」

紗知代さん:「食事面だったらサポートできるかなって」

紗知代さん:「勉強しましたね」



早いな!番組開始11分でもうメシの話か!

アスリート妻を「飯炊きの人」とカンチガイしてないか!

ていうか、告知からすでに「メシの話」感満載だな!

「元タレント妻のオリジナルレシピとは…」って「…」をつければ苦労話に見えるとでも思っているのか!

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感想(1件)




交際当初の国吉さんは、寮の食事以外に、好き勝手に菓子パンを食べていたりしたそうで、食事についてはまったくの無頓着。うむ、ダルビッシュさんのように妻をまったくアテにせず、サプリとか飲んでいるタイプよりも100倍可愛げがあります。これならパートナーの支えは普通に必要でしょう。そこで紗知代さんはアスリート妻なら必須の資格「野菜ソムリエ」に挑戦。交際1ヶ月で資格取得に漕ぎ着けます。そこで紗知代さんは「筋肉の回復にはたんぱく質」などの重要な知識を身につけ、週3回の料理教室通いで料理の腕前を高めたのです。

「1ヶ月で取得できる資格…」「寮で3食摂ってそれ以外を食わないよう説教するほうがいいのでは…」「もっと気楽に食べても大して変わらんと思うで…」などのやっかみは無用。「なるほど、アイドルで無理に頑張るよりも、一回家に入ってからメシブログ中心のアスリート妻芸能人という角度で攻めたほうが効果的かもしれない!」という下衆の勘繰りもノーサンキュー。紗知代さんの愛というスパイスは、食事面から国吉さんの活躍をしっかりと支えているのです。

↓そして紗知代さんは数々の料理を作り、それをテレビで披露する!
<紗知代さんの料理へのこだわり>

●料理を作る前に、ノートに今晩の食卓のイメージ図を描く

●メニューを書き込む際、冷蔵庫にある食材は黒、ない食材は赤で書き込む。こうすると買い物する必要があるものがすぐにわかる

●さらにその食材で摂れる栄養素も書き込む

●イメージ図が完成したらスマホで撮影し、買い物に出発

●買い物では「美味しそうな色のもの」「旬のもの」「新鮮なもの」を選ぶようにしている。トマトは「一番真っ赤なの」を選ぶ。肉はもちろん脂身の少ないものを。鶏肉はモモ肉より胸肉を

●夫が出場するかどうか、何球投げるかで、筋肉の回復を促進するためのたんぱく質の量を調整する

●ちなみに、この日のメニューは以下の通り
・メインの肉:「豚肉の冷しゃぶ」(豚肉:たんぱく質/レタス/きゅうり)
・メインの魚:「さば さば」
・主食:「ごはん」
・ご飯の友:「なっ豆」(ネギ)
・汁物:「おみそ汁」(あさり:鉄分・ビタミン・ミネラル)
・酢の物:「もずく酢」
・野菜物:「サラダ」(アボカド:世界一栄養価高・ビタミン・ミネラル/トマト:リコピン・抗酸化物質/ブロッコリー)
・その他:「かぼちゃ煮」
・その他:「枝豆」
・その他:「キムチ」
・その他:「おひたし」(小松菜:ビタミン)
・その他:「茶碗むし」(しいたけ/とり肉)
・デザート:「フルーツ」(キウイ:みかんの2.3倍ビタミン!/バナナの2倍食物せんい)

ずっとメシの話だなwwwwwwwwwww

ひたすらメシ作ってる話wwwwwwwwww

「メシ作ってる人の夫はプロ野球選手だった」に改題させたいwwww

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感想(3件)




紗知代さんは料理を作りながら国吉さんの試合中継を見始めます。登板の有無によって、たんぱく質の量を調整するためです。本義的にはココで心配そうに見守る妻の映像をおさえてこそだと思うのですが、何と国吉さんはこの試合投げずじまい。「野球見ながらメシを作る」映像をひたすらに映しつづけることになったのです。「もう一日待とうよ」「国吉さんが投げた日の映像を撮れるまで粘ろう」「何だコレ」などという茶の間の驚き。しかし番組は、野球選手としての国吉さんについては特に紹介せず、クライマックスの食事場面へと移行していったのです…。

↓国吉家の夕食が完成!さぁ食べるぞ!


一品ずつ丁寧に紹介して、最後に全体像ドーン!

こうやってグルメ用の接写で映されると、納豆にネギのせたものまでスゴイ立派に見えるwww

タダの料理番組じゃねぇかwwww


しかも驚かされたのは、紗知代さんが料理をする映像の下に出てきた「※このレシピはクックパッドに載っています」という注意書き。これはクックパッドを見て作ったという意味ではなく、紗知代さんレシピをクックパッドで特別掲載しているという意味。そうです、これはクックパッドコラボです。もはや、メシを紹介すること大前提で、炊事の上手な奥さんを取材ターゲットにしてきているのです。苦労話とか関係なく、完全なるメシ番組にシフトしようとしている。プロ妻の根幹を揺るがす問題作だった…僕も戦慄を隠せません。

↓ここまでメシの話がしたいなら、いっそ国吉さんも一緒にメシ作ったらいいのに!


どうでもいいけど紗知代さんレシピの「アボカドとパプリカのサラダ」が、「材料を切る」「切る」「切る」「切る」だけで完成してて潔いwww

「切る」は載せなくてもええんちゃうwwww

せめて自作のドレッシングをかけるチャンスをwww


↓よく見ると、ほかの夫婦の話でもレシピを紹介するチャンスはしっかり入れてある!

●香川伸行さん・弘美さん夫妻
・高校時代に遠征中のハワイで運命的に出会ったふたり
★思い出を振り返りつつ弘美さんメシ作り映像挿入
・香川さんは一目惚れしたらしくやたら積極的
・20歳のときにはプロポーズされる
・しかし、弘美さんは恋愛感情を抱けず疎遠に
・その後、お互いに別の人と結婚し、子を授かる
・ふたりが再会したのは33歳のとき
・香川さんは「お前、幸せなん?」と問い掛ける
・実は弘美さんは夫と死別していた
・香川さんも離婚し、ふたりは再婚することに
・だが、香川さんはその頃、病魔に侵されていた
・糖尿病だった
★弘美さんは糖尿病について独学で勉強
★栄養学の本の映像挿入
★糖尿病対策メニューの映像挿入

・しかし香川さんは外食では不摂生だったか、腎不全となる
・香川さんは仕事もままならない治療の日々
・弘美さんは教師の職を辞し、付き添うように
・2014年、香川さん死去
★弘美さんメシ作り映像挿入
・今は子どもたちと支え合って暮らす日々
・香川さんの仏壇に手を合わせる弘美さん

●入来智さん・聡子さん夫妻
★まずはメシ作りの映像を挿入してスタート
・夫の現役時代のユニフォームを大切に保管している妻
・生涯獲得年俸は2億3270万円
・しかし、引退後は転職10回を繰り返す不安定な生活
・ふたりの出会いは高校時代
・入来さんは2000年戦力外となり、離婚も経験
・放蕩と慰謝料の支払いなどで貯金はゼロになる
・すべてを失って郷里に帰った入来さん
・入来さんと聡子さんは偶然再会する
・入来さんの捨て鉢な様子を見て聡子さんは放っておけない
・そしてふたりは結婚
・入来さんは聡子さんの実家の仕出し弁当屋で働くことに
★入来さんの弁当作り映像挿入
・しかし、入来さんは他人に注意されることが耐えられない
・入来さんは弁当屋を辞めてしまう
・「俺を誰だと思ってるんだ」
・鮮魚店、コンビニなど職を転々とする入来さん
・一部上場住宅メーカーに就職したこともあった
・だが、「プロ野球の入来」の看板でも営業は上手くいかない
・結局入来さんは仕事を辞めてしまう
・聡子さんは離婚を決意
・「離婚は嫌じゃ」
・「俺は野球しかしてこんかったから」
・「何したらいいかわからんとよ」
・しかし、娘の説得で思い止まる
・「パパに最後のチャンスをあげよう」
・入来さんは以前辞めた実家の弁当屋の系列店に再就職
・入来さんの担当は揚げパン作り
★揚げパン商品映像挿入
★揚げパン作り映像挿入
★揚げパン販売映像挿入

・これからも頑張っていこうと誓う夫婦

●辻内崇伸さん・こずえさん夫妻
・辻内さんは甲子園で活躍し、ドラフト1位で巨人へ
・ふたりの出会いは辻内さんがプロ4年目の2009年
・辻内さんの一目惚れで交際がスタート
・「すごいね」「いいね」「有名人だよ」などと驚かれる
・しかし、辻内さんは怪我で活躍できず
・気晴らしに外出しても「遊んでないで練習しろ」などという声
・インターネットでも心ない書き込みがつづく
・怪我につぐ怪我で野球ができない辻内さん
・ときには甲子園の映像を何十回も見返すことも
★そんな辻内さんのためこずえさんは栄養学を独学で勉強
★栄養学の本を何冊も読む
★辻内さんを食事面からサポートするこずえさん
★栄養学の本を紹介する映像挿入

・その甲斐あって辻内さんは初の1軍昇格
・手応えを覚えた辻内さんは結婚を決意
・こずえさんも夫のサポートに徹することを決意
・しかし、またも辻内さんは故障
・「俺の腕とこずえの腕、替えてくれんか」
・結局辻内さんは1軍で投げることなく戦力外に
・毎年の年俸はすべて使ってしまっていたので生活に困窮
・辻内さんは再就職して一家を支える
・仕事は女子プロ野球チームのコーチ
★こずえさん弁当作り映像挿入
★出勤する辻内さんに弁当を渡す映像挿入
★辻内さんが弁当食べる映像挿入

・これからもふたりで頑張っていこうと誓う夫婦



コレ全部、「あとでレシピ紹介しよう」という気持ちで映像をおさえてるだろwww

栄養学の本とかを映すときの白々しさwww

あと、予告映像にある「辻内の妻の節約話」が完全にカットされていたのは、納得いかないwww

節約レシピを紹介するつもりじゃなかったんかいwww

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感想(2件)




結局、今回クックパッドに紹介されたのは紗知代さんレシピだけでした。何故もっとほかの夫婦からもレシピをもらってこなかったのか。前年の同番組では、登場した5組中3組の料理を紹介していたというのに。ひとりから4品もレシピをもらったら、そりゃ「切る」も混ざるというものです。

ひょっとして、制作陣に対立の構造でもあったのでしょうか。スタッフ内での「レシピを紹介しろ派」と「苦労話だけで十分派」の対立が。その対立が、「苦労話があるならメシの話は不要」という妥協点を見つけ、苦労話が特になかった国吉さん夫妻にメシ需要が集中してしまったのかもしれません。

来年以降「プロ妻」がどうなっていくかはわかりませんが、どうしてもレシピを紹介するにしても、ひとりから4品ももらって、その結果「切る」が載るようなパターンは、せめて止めてあげてほしい。サラダのレシピを収録する場合はドレッシングで工夫をさせてあげてほしい。そろそろ杉内の嫁を特集してほしい。松坂の嫁が語る「私なりの苦労話」をおさえてきてほしい。「レシピ」に流されずあくまでも「プロ妻」でありつづけてほしい。じょじょに軸足をズラし始めた「プロ妻」に対する、いちファンとしてのお願いです…!


来年は「プロ妻」ラインナップに石川梨華さんも加わりますように!