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正解は5年後くらいにわかるクイズ!

今年もやってまいりました。才能ある若者の人生をクジで翻弄する人身売買のお時間、プロ野球ドラフト会議が。「就職できるだけマシ」というご時世ではありますが、日本で上から10番とかくらいのチカラを持ちながら、自分の入りたい球団にも入れないというこの理不尽。しかし、それこそがプロ野球を盛り上げてきた仕組みでもあります。大貧民だってカードを配るときはランダムです(あとから抜くだけで)。大富豪が山札をめくって「いるやつ」だけを選ぶことは許されないのです!

↓さぁ、クジだクジだ!クジを引くぞ!



例年なら大勢のファンを集めて行われるドラフト会議。しかし、今年はコロナ禍ということでまさかのリモート開催となりました。各球団の代表がそれぞれホテルの個室に押し込められ、そこから指名をするという仕組み。もしもクジが発生した場合は、代表者がクジ専用の別室に向かい、そこで消毒のうえでクジを引くのだと言います。クジを外したあと、どんな顔をして帰ればいいのかわからない、例年以上に気が重い仕組みです。

注目選手は大学BIG2と称される早稲田大の早川隆久さんと、近畿大の佐藤輝明さん。早川さんは左腕から150キロ中盤の真っ直ぐを投げるという「それだけで絶対取るべき案件」で競合必至。そして佐藤さんはアマナンバーワンスラッガーと呼ばれ、大学リーグ戦では本塁打の記録も作りました。「柳田みたいな感じ」という呼び声高く、コチラも競合必至です。

少しカワイソウなのは高校球児。今年は甲子園もなくそこでの真剣勝負を通じた成長機会や、「物語」を背負うチャンスを失いました。実力とは関係ない部分かもしれませんが、その「のれん代」は確実に指名順位を上げ、契約金を上げ、選手寿命をのばすものだったはず。1位・2位を3年でクビにするのは獲ったほうも恥ずかしいですが、4位とかならまぁまぁドライにいけるわけですから。どうしようもないことですが「頑張れ」と祈りたいような気持ちです。

例年のような入場の演出もなく、個室にこもる各球団。楽天の部屋には知らないオジサンが監督みたいな顔で座っていたり、普段とは雰囲気もだいぶ違います。まぁもっとも、会場や部屋がどこに変わろうがこの建物自体が我が西武グループの持ち物であることは変わりません。すべての監視カメラ、各個室の盗聴器、情報を抜き放題のLANとWi-Fi、外から掛けられるホテル用のマスターキー、あらゆるものを駆使してクジを当てにいく覚悟です。

迎えた一巡目。指名はBIG2に集中します。早大・早川さんにヤクルト、楽天、西武、ロッテの4球団が競合。そして、近畿大・佐藤さんにはオリックス、阪神、ソフバン、巨人が指名を入れ、こちらも4球団競合となります。日本ハムは苫小牧駒大の伊藤大海さん、中日は中京大中京高の高橋宏斗さんを指名し、それぞれ地元の星を一本釣り。広島は森下暢仁を競合ナシでスルッと獲得した昨年の美味しいドラフトの再現を狙うようにトヨタ自動車の栗林良吏さんの交渉権を獲得。DeNAは「揉めてる余裕はないし、投手の枚数が足りないし、ぶっちゃけ会社が危ない」という緊縮現実路線で明大の入江大生さんを1位指名。クジというロマンはBIG2で競合する4×2=8球団に託されました。

まず佐藤さんの抽選。ソフバンと巨人なら「立派」に育ててくれそうだけれど、阪神とオリックスだと「自由」に育ちそうで、どこに行くのがいいのかは悩ましいところ。各球団の代表はしっかりと手を消毒し、クジを引いていきます。開封のとき、ほかの3球団が開け終わっているのにひとりだけモタモタしていた阪神・矢野監督は、たぶん世界で一番最後に「阪神が当たった」と気づいた人物だったことでしょう。お待たせした末の会心のガッツポーズで、地元のスラッガーを見事に引き当てました!

↓おめでとう佐藤さん!甲子園は佐藤さんのためにある!


そして早川さんの抽選へ。コチラは正直、緊迫感はありません。楽天・石井GMの余裕の表情たるや。きっと腹の底では「ヤクルトと西武とロッテか」「じゃあ今クジで獲れなくても脂が乗った頃に金で抜けるじゃん」「今当たるかあとで抜けるかの違いだけで」「どっちみちウチの選手になるヤツじゃん」とほくそ笑んでいたことでしょう。結果的には「今当たる」になりましたが、まぁ「今当たる」のほうが今季成績に対する責任問題を回避できそうな感じもありますので、よかったんじゃないでしょうか!

↓楽天の控え室では監督みたいな顔した知らないオジサンもガッツポーズ!


↓監督みたいな顔した知らないオジサンはインタビューで喜びのコメント!


裏方さんが何年もかけて追ってきた選手ですもんね!

この出会いはすべての人にとって喜びです!



その後、各球団はハズレ1位の指名に向かい、順調にホープたちとの交渉権を獲得していきますが、「もっとクジが見たい!」というファンの熱い声に応えてヤクルトとロッテが法大の鈴木昭汰投手に競合する場面も。こちらはクジ引き強者の井口監督がファンからの「引け井口頼むぞ井口」の声援を受け、見事に当たりクジをつかみます。「チームもクジ引きも負けっぱなし」という現実の厳しさを見せつけられたヤクルトは、ハズレハズレ1位で慶応大の木澤尚文投手を指名。2010年に2回クジで負けた末に山田哲人を獲得したことを思い出しながら、「ハズレハズレに福がある」の再来を狙うことになりました。

まぁとにかく誰がどこに行こうが勝負はこれからですし、このクジが「当たり」だったかどうかがわかるのも先のこと。選手の側には明確に「この球団はハズレだな…」というのがありますが(金・環境・人気・オリックスかどうか)、球団の側には当たりやハズレはありません。全員がプロに指名されるほどの才能あふれる若者たち。しっかりと育てて、立派なプロ野球選手にしてあげてほしいもの。全員が未来への宝です!

↓ということで、5年後くらいの正解発表を楽しみに各球団への寸評などです!
●オリックス・バファローズ
1巡目で近畿大・佐藤さんの指名に向かったときは「え!?打者から!?」「山本由伸がいつまでもいると思ってるのか!?」「投手の補強をしつづけないとチームが成立しないぞ!」と慌てたものの、クジで外れて路線変更。1位は高校生大型右腕の山下舜平大さんを指名し、将来のエース候補の交渉権を獲得。その後も高校・大学・社会人から野手・投手・捕手を指名。「ゼロからチーム作る人みたいな指名だな…」「素材感とバランスがROOKIESっぽい」「将来、強くなりそう!今のチームが弱くなるぶんで相殺されるだろうけど!」という未来への希望あふれる好ドラフトとなった。

↓育成6位の古長拓さんに対しては早くも一部で「誰?」「何?」「どうやってつながったの?」と話題沸騰!


●東京ヤクルトスワローズ
唯一の2連続クジ引きハズレとなったヤクルト。TBSの中継では盟友の古田敦也さんが「(ハズレハズレ1位の)木澤くんはいい投手です!」と力説するなど、「本当の当たり」をこれから狙っていく構え。それでもクジが外れたこと以外は順調に補強ポイントに合致する指名を重ね、木澤さんのヤクルト感あふれる顔や、5位で指名の「50メートル5秒32」の男・並木秀尊さんなどキャラクター性も十分。昨年は指名を受けた奥川くんが渋い顔をしていたが、今年はみんな笑顔でよかった。

↓これはまさしくヤクルトの顔!チームがヤバイので明日からでも投げてください!


●北海道日本ハムファイターズ
地元の星を1位で指名し、「サニブラウンより足が速かった」と評判の中大・五十幡亮汰さんを2位指名。さらに6位で指名したJFE東日本の今川優馬さんは北海道出身の道産子選手ということもあって、意中の球団からの指名に号泣する一幕も。「北海道に移転してそんなに経つのか」と思うと同時に、「最近客入りがヤバイもんな」「新球場も作るし」「地域密着を改めて徹底」という球団の明確な方針も感じるドラフト。活躍できるかどうかはさておき、「泣くほど喜んでくれる候補」がいるなら指名するのはプロの男気です。さすがドラフト巧者の日ハム、今年は普通の好ドラフトです!

↓探せばこんな選手がオリックスにもきっといる!頑張って探そう!


●広島東洋カープ
「絶対に森下で味をしめてる…」と思いつつも、競合を避けた単独1位指名・栗林さんの縦に大きく割れるカーブを見ると「これは活躍してしまうやろな…」と納得。「夢」よりも「実」を取る独自路線のドラフトは今年も健在だ。一部では「投げるときにめちゃめちゃロージンをつけて煙みたいになってるのが佐々岡監督の琴線に触れたのでは?」という声もあるが、いくら佐々岡監督でも「煙出すヤツ獲ろう」みたいな提案はしないと思う…。

↓相撲だって「俺が大量に塩まくタイプだから、そういう弟子を取りたい」なんて言わないですもんね!


●東北楽天ゴールデンイーグルス
石井一久GMの責任問題をクジで回避した。


●横浜DeNAベイスターズ
投手が次々に故障し、「このままではゲームが作れない(モバゲーだけに)」と大ピンチの横浜。「クジは当たらない、クジを作る側が当たるように作ってないから(モバゲーだけに)」という現実路線で、明治大生入江大生さんをガッチリと確保。指名数自体は育成入れても8名と元手のなさを感じさせるドラフトとはなったが、8人中6人が投手と「投手ガチャは引かなければ当たらない(モバゲーだけに)」という意気込みを見せた。当たるといいですね…。すぐに当たらないと困るもの…。

↓「常時募集!左手でボールを投げられる人」というドラフトで今年も左投手を大量指名!


●埼玉西武ライオンズ
1位クジを外したのち、何かが吹っ切れたのだろうか。ハズレ1位では175センチ110キロという渡部健人さんを指名。「自重で下半身を鍛える」(←そんなシステムあるのか?)だの、「ベスト体重は113キロ」(←何基準のベストだよ)だの、「好物はデミグラスハンバーグです」(←味指定)だの、入ってきただけで球団を明るくさせる逸材。正直、西武しか獲らないんじゃないかという気もしないではないが、デブは全部獲るのが我が西武のアイデンティティ。「逃したデブは大きい」とならないためにも強欲にパクつくしかない。多分、他球団も「西武が獲るならすごいデブなのかな…?」とあとから欲しくなってきている頃だ。

なお西武はそのほかにも「東京農業大学北海道オホーツク」(←東京なのか北海道なのか…)という属性てんこもり大学出身の「タイシンガーブランドン大河」選手や、「東京農業大学北海道オホーツク」(←北海道なのかオホーツクなのか…)という属性てんこもり大学出身の「宮本ジョセフ拳」選手を指名。一部の応援歌で選手のフルネームをコールするシステムを採用していることもあって、「タイシンガーブランドン大河」を言い切るための滑舌をファンも秋冬で鍛える必要がありそうだ。ロマンだけなら1000点のドラフト。夢とどんぶりは大きいほうがいい!

↓キミ、ショートができるらしいな!これで一塁・三塁・遊撃・捕手・投手まではぽっちゃぽちゃでいけるな!


●阪神タイガース
1位で狙った選手を獲れただけでも及第点だが、手広くバランスよく補強ポイントを埋めにいった「現時点の評価高そう」な好ドラフト。OB関本氏のジュニアを指名に行かなかったのは残念だが、まぁ大卒のタイミングでさらに成長して再会するという目算かもしれない。一部では交渉権が確定したときに1位の佐藤さんがめちゃ渋い顔だったと話題だが、阪神に指名されて「やったー、はんしんだー!」なんて言うヤツいないだろう。地元ファンならなおのこと。阪神の厳しさと、それゆえの熱狂を身をもって知っているのだから。外から見ているのは楽しいけれど、なかに入るのは話が違うというものは世の中にはあるのだ。動物園の虎の檻とか。

↓でも、檻のなかに入る覚悟はもうできている!


●千葉ロッテマリーンズ
クジ引き強者の井口監督を後押しするハッシュタグ「#引け井口頼むぞ井口」がトレンド入りするなか、相思相愛といわれる早川さんのクジには敗れるも、しっかりと鈴木さんを確保。打線の補強には若干の不安が残るが、「来年は絶対に外人を当てる」「その先は藤原とかが大成する」「とにかく当面は外人を当てる」という強い決意があるのだろう。当てればいいのだ、当てれば。

↓クジにすべてを賭けてる、って感じの清々しさ!


●中日ドラゴンズ
1位で公言通りに地元の高橋さんを指名。これで中日は3年連続で地元の高校生を1位で指名することになり、地域密着路線をさらに明確にしてきた。個人的には大野はFAで移籍すると思っているのだが(※FAを獲って出て行かない選手がいるとは容易に想像できない/20億楽天スーパーポイントくらいくれるかも)、それを安易に穴埋めに行くのではなく、あくまでも東海地区に根を張り、本当に埋めなければいけない穴である「球場のスタンド」を埋めにいくという意志が貫かれている。今年は2位でフィニッシュできそうだし、夢を追いかけても許していただけるはず…。

↓真の1位・大野を獲れたら100点、そうでなければそれなりのドラフトという感じ!


●福岡ソフトバンクホークス
「とりあえず可能性のある素材を育成で取ってから考えよう」というグロース株投資みたいなことを毎年やってくるソフトバンク。今年も本指名は5位で切り上げ、育成で8位まで指名していった。しかも1位から5位まで全部高校生という将来性の塊で、田上OBの甥っ子を5位で入れてきたりするあたりの目配せのよさも憎い。孫さんもこんな感じでアリババを買って儲けたり、ウィーワークを買って損したりしているのだろう…。みんなが目をつけていないときに買うから大きく儲かるのだ。

↓余裕がある球団は違う!


●東京読売巨人軍
「何だコレ…」と世間をザワつかせ、2020年ドラフト会議の台風の目となった巨人。本指名7人、育成で12人という大量指名もさることながら、育成指名に入ってからの「岡本」「阿部」「坂本勇人」という影武者でも作っているみたいな指名は一体何だったのだろう。「坂本勇人指名してやったわwww」「これ何人獲っていいの?え?何人でもいいの?マジで?楽しいwww」「まだ指名しちゃうよー指名しちゃうよーwww」「でも田澤はダメー」「絶対ダメー」みたいな顔で阿部2軍監督がご機嫌大爆笑していた終盤戦は、阿部慎之介がキャッチャーだったら「ドラフトで遊ぶな!」と殴りにいってると思う。

↓それパワプロとかでドラフトごっこやってるときの客の顔だろwww

「明日からお前」
「坂本勇人Aな」
「で、お前」
「坂本勇人Bな」
「ダメ?」
「坂本勇人Aと」
「坂本・B・勇人でもいいけど」
「ダメ?」
「じゃ、真・坂本勇人と」
「偽・坂本勇人でどうだ」
「ダメ?」
「じゃ、お前坂本にしろ」
「で、お前が勇人」
「ダメ?」
「じゃあ、あれだ」
「昔同じようなことがあったとき」
「名前をわけてた感じで」
「坂本勇と坂本人でいこう」
「これなら基本違和感ないから」
「当分、坂本勇のほうしか使わないし」

最後まで残った巨人様の遊びで全部持っていかれた感じ!

たくさんの選手がプロのチャンスを得られてよかったです!



さぁ、コロナ禍のなかでも野球界はしっかりと新卒採用を行ないました。若者の夢が「すまん、コロナで金がないのじゃ…」で断たれずに済んだのはとてもよかった。しかし、チャンスを活かすも殺すも本人次第。正解がわかる5年後くらいに、みんながしっかりと「当たり」になってくれていることを祈って、今年もドラフトを終えていきましょう。出会いに感謝。運命に感謝。今日のところは全球団大成功です!


意外に「暗黒」と呼ばれたドラフトのほうが成功してたりしますからね!