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これが世界最高峰の戦いだ!

長い苦闘とドタバタの果てに、ようやく閉幕したF1韓国GP。韓国サイドは数々の恐るべき罠を仕掛けてきました。いつまでも完成しないサーキット。メディアをラブホテルに押し込め、インターネットを寸断する情報統制。ただでさえ滑る路面は雨によりさらにツルツルに。そしてワザワザ15時スタートという遅めの設定にした上で、50分弱に及ぶ長時間中断をはさみ、最後は宵闇の中のナイトレース(照明ナシ)まで強制。これでもかこれでもかと世界のF1チーム・ドライバーを苦しめました。

しかし、最速の男たちはこんなものに屈しなかった。

F1の世界で頂点に立つには、技術はもちろん体力・資金力・政治力・運に至るまであらゆるものが要求されます。彼らは日々、小さな戦争を繰り返しているようなもの。確かに韓国の仕掛けた罠は姑息なものでしたが、その程度の攻撃で音を上げるような弱い男たちではありません。元世界王者のアロンソが「ワーストコンディションだ!」と言うほどの難局をも乗り越え、手に汗握る最高のエンターテインメントを演じ切って見せたのです。もちろん、ひとりの死人もなく。

今回の韓国GPは主催者発表に合わせ「成功」として伝えられるでしょう。実際、さまざまな問題をはらみつつも、死者も怪我人もなくレースは終わりました。レースはフルディスタンスを走りきり、観客もそれなりに入りました。内容的には実に面白いレースでした。ただ、運営サイドは「韓国にモータースポーツの種を蒔いた」という点に限定して、その成功を噛み締めて欲しいもの。今大会を成功裏に収めた貢献者は、紛れもなく各チーム・各ドライバー。死なないでくれてありがとう、レースを成立させてくれてありがとう。あなたたちは本当にスゴイ。そう讃えたいと思うのです。

ということで、韓国運営のヒドさ程度ではF1を台無しにすることなどできないことを、24日にCSフジテレビNEXTが中継した「F12010 韓国GP 決勝」からチェックしていきましょう。



◆韓国でできるなら、もう月でも海底でもできるんじゃないかしら!

激しく雨が落ちるコリアインターナショナルサーキット。前座レースではスタート直後に多重クラッシュが発生し、わずか300メートルほど走っただけでレース終了。泥とゴミ、クラッシュしたマシンから漏れ出した不凍液(通常のレースでは使用禁止!)を路面に再塗布し、F1マシンをいてこます準備が完了。「所詮車だろ?」「スピード上げれば滑るさ」「ぶっ潰してやる!」と悪の組織の高笑いでも聞こえるかのよう。僕も上下黒のスーツに黒のネクタイを締めて、テレビの前に待機しました。

雨は降り続け、レーススタート時刻は10分間遅れます。前座レースのドライバーは「バックストレートは5速でもホイルスピンする」と答えたコンディション。セーフティカー先導でスタートしたF1マシンも、舞い上がる水煙と滑る路線に大苦戦。バトンは「ストレートが湖のようだ!俺のフロントタイヤも見えない」と困惑し、アロンソは「ワーストコンディションだ!」と戦慄。結局、4周でレースは赤旗中断。ここから約50分の長い長い中断に突入します。

ドライバーは続々とピットへ帰還。ルノーのピットクルーは何故か記念撮影を開始。会場内のお客さんは寒さと退屈で居眠りを始め、会場外のお客さんは渋滞に巻き込まれ「できるだけ長く中断しろ!」と祈りを捧げる。現地の作業員はモップやホウキで懸命にコース上の水をかき出す努力を続けますが、なかなか再開されないレース。

↓ちなみに山の上のタダ見客たちは、テント設置で遭難者の様相!
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まぁでも、会場で見るより気楽だなwwwwwwww

テントに泊まれば、行きも帰りも渋滞知らずだしwwwww


15時という遅めのスタートと長い中断。この日の日没は17時50分との予測。このまま中断が続けば、規定の55周が終わらないどころか、75%に当たる42周の消化も困難。全体の75%を消化できなければ、このレースで得られるポイントは半分になります。5人がワールドチャンピオンを争う状況で、特に追いかける立場のドライバーにとって、ハーフポイントは望まざる状況。しかし、日が落ちれば照明施設のないこのサーキットでの走行は不可能。解説の今宮純氏も「昨日の夕方、駐車場まで帰る道は真っ暗でした。ハミルトンと一緒だったんですが、何も見えませんでした」とブラックジョークで苦笑いするしかないほど。

一方、タイトル争いをリードするレッドブルのウェバーは中止大歓迎。雨が降るとドライバーを取りまとめて、「今日は中止にしようぜ」と言い出す政治力をこの日も発揮。各方面に接触を図り「もうやめようぜ」「雨だし滑るし」「暗くなる前に帰ろう!」とロビー活動を開始する始末。

↓実際問題、かなり厳しいコンディションであることは確か!


ウェバー:「正直雨は苦手だ」
ウェバー:「ぶっちゃけ帰りたい」
ウェバー:「みんなもそう思うだろ!?な?な?な?」


そんなロビー活動など華麗に無視して、再開されたレース。しかし、雨は路面に溜まりまるで池のよう。水煙で視界はほとんどなく、しかも走っても走っても水が引かない水はけの悪さ。さすが元々埋立地に作った田んぼだけのことはあります。一度溜まった水は絶対に逃がさないという、「水大好き!」な信念を感じます。

溜まった水は、ただでさえ滑りやすい路面をさらにツルツルにしていきます。韓国GPを雨天中止にさせたいF1の神と、韓国GPを雨天大波乱にさせたいF1の悪魔、その両者が手でも結んだかのような悪天候。そして、ついに最初の犠牲者が飛び出します。

↓現在ポイントリーダーのレッドブル・ウェバーがスピン後、惰性で後ろ向きに走行しメルセデスGPのロズベルグと接触大破!


ウェバー:「だからやめようって言ったのにぃぃぃぃぃ!」
アロンソ他:「よっしゃぁぁぁwwwwクソワロタwwww」
ニコ:「こんなの避けられるか…ひとりで壊れてくれよ…」



その後も荒れに荒れるレース。トゥルーリは最後方でツルーリとコースアウト。直線だけ頑張るフォースインディアの2台はストレートエンドで毎度飛び出して他車を妨害。アッチで飛び出しコッチでハミ出しの連続。事故が起きても係員の手際は悪く、基本は放置。たまにクレーンで助けに来たかと思えば、何故か泥だらけのクレーンがコース内を走ってやってくるという慌てぶり。

こんなやりづらい状況でも、日本の小林可夢偉は前後の車と激しいバトルを繰り返しながら、ポイントを狙っての滑走。バトンのタイトル獲得を絶望へと追い込む「あびるVS道端戦争」を制するなど、頭脳的な走りで最終的に8位までポジションアップ。このナイスランには、韓国関係者も地団駄踏んでいることでしょう。

↓しつこくアタックしてくるスーティルに対して、相手のブレーキが効かないことを見抜くや、ブレーキング勝負に持ち込み自滅を誘う!


さすがあびる関係者、手口が狡猾だ!


そんな中、トップ争いとタイトル争いも白熱。1位ベッテル、2位アロンソ、3位ハミルトンの順位で長く走行が続きますが、路面の水がやや引いてきたところで動きが。タイヤ交換のためにピットに戻ったアロンソは、右フロントタイヤを止めるナットを係員が落とすミス。これでハミルトンに逆転を許し、タイトル獲得はかなり苦しい状況に。

しかし、ここからがアロンソ・ラッキーデーの始まり。ピット作業のミスで先行を許したハミルトンは、突如フロントのグリップが足りないと言い出し、1コーナーのブレーキングでミス。アロンソはあっさり2位浮上。さらに「もう暗くてコースが見えない」と弱音を吐くベッテルはエンジンブローで炎上リタイア。自滅したウェバーも含めて、ライバル全員がアロンソ様のために道を開けてくれたのです。

↓ベッテル炎上!アロンソまさかのトップへ!


係員から消火器をひったくり自分で消火するベッテルの姿に、フェラーリはガッツポーズ、マクラーレンは大爆笑!

釘は拾うわ、消火活動はするわ、リタイア後は自分でバイクを運転して帰ってくるわ、ベッテルさんは働きものだなwww


コース上の敵を労せずして倒したアロンソ。最後の敵は、韓国GPの運営でした。日没が迫り、現地中継スタッフが「暗い」「見えない」「早く打ち切れ」と悲鳴を上げるサーキット。しかし、運営サイドは「途中で打ち切ったらどうなるの?」「チケットとか返金なのかな…よくわからん!」「じゃ、最後までやらすか」とばかりにレース続行。最後は画面でも周囲がよく見えないほどの暗闇の中、時速300キロでの走行を強制。アロンソVS韓国運営、暗黒世界でのラストバトルが始まったのです。

↓最後は暗闇の中を神がかりな運転で駆け抜け、アロンソが韓国GPに勝利!


フェラーリの赤い車体が真っ黒になる泥だらけの勝利!


↓アロンソは無線で高笑いが止まらない!


そりゃ笑いも止まらんわなwwwwwwwwww

まさかの勝利、まさかのポイントリーダーwwwwwwww


↓表彰式は完全に真っ暗な中で行われました!
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さすが暗黒の国だなwwwww真っ暗wwwwwwwwww


大爆笑の韓国GPもこれにて閉幕。しかし、これは新たな工事の始まりの合図でもあります。サーキットは埋めるべき穴、外したいフェンス、平らにしたい路面、広げたい排水溝など改善箇所満載。そして何より、当初の計画どおりに「市街地サーキット」とするためには、これから1年で田んぼに市街地を建てなくてはならないのです。休んでいるヒマなどありません。来年のレースが始まるまでには、何とか工事を終えてもらいたいものですね。



工事現場のみなさん、残り時間は1年しかないので本気出してくださいね!