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12:12
おめでとうソフトバンク!ありがとう中日!

球史に残る冷戦、2011年の日本シリーズが終わりました。大方の予想を覆し、7戦までもつれた戦いは4勝3敗で福岡ソフトバンクホークスが制覇。2003年以来の日本一、ペナントレース・交流戦・日本シリーズをすべて制する完全優勝で有終の美を飾りました。一年を通じて見せたまったく隙のない強さは「最強」の冠をつけるにふさわしいもの。来年のシーズンを心待ちにするパ・リーグファンとしては「杉内出ていけ」「和田出ていけ」「川崎出ていけ」「ホールトン出ていけ」「内川地元ファンに本性見せろ」とソフトバンクの弱体化を願わずにはいられません。今年のままなら、とても勝てる気がしませんから…!

そんな最強ソフトバンクと中日との決戦にあたり、僕が立てたシリーズ予想は4勝0敗でソフトバンクでした。中日が勝つイメージはまったくわかず、ヤクルトよりはマシという程度の感触。実際にCSで肌を合わせ、1個も勝てずにおめおめと引き下がった西武球団を見ながら、史上屈指の糞シリーズすら覚悟したもの。

とにかくソフトバンクの戦力は圧倒的。和田・杉内・摂津・ホールトンとずらり並んだソフバン先発陣に対して、中日の先発で相手になりそうなのは吉見だけ。打線はまぁ話にならないレベルの大差があり、どこからでも点が取れるソフバンVSどこで点取ってたの?中日という構図。わずかに中日が上回る局面があるとすれば、8回9回にもつれたときの浅尾・岩瀬投入ぐらい。とは言え、ソフトバンクも今季のパNO.1中継ぎのファルケンボーグや、森福・馬原といったメンツが揃うわけで、浅尾きゅんのルックス面を割り引けば「どっこいどっこい」が関の山。馬原劇場という小さな穴を突くぐらいしか、中日の勝機はないだろう…となれば4勝0敗は大いにあり得ると。

しかし、中日は見事にソフバンの小さな穴を突き、乏しい戦力をやりくりしながら第7戦まで持ち込んでみせたのです。これは勝ったソフトバンク以上に賞賛したい奮闘でした。その戦いぶりを指し示すような落合監督の言葉が、先日発売された中日・落合監督の著書「采配」には記されています。

「0対1で悔しい敗戦がつづいた。チームのミーティングで何とアドバイスするか。普通なら『0』を改善しようと野手陣に奮起をうながすだろう。私は違う。投手陣を集めて『打線が援護できないのに何故点を取られるんだ。0点に抑えてくれれば打てなくても引き分けになる。勝てないときは負けない努力をするんだ』と言う。1点を守り切るか相手を0に抑えるかすれば、負けないのだ」

打線は水物、打てない日はあるという超一流打者ならではの諦観。それが現在の投手力を中心とした守りの野球、非情の采配につながる出発点なのでしょう。三度の三冠王を獲得したバットマンでも、打てないものは打てないのです。「糞つまらん」と揶揄されながらも信念を貫き、実際にこれだけの勝利と栄光を積み上げたのですから、落合野球恐るべし。

今回の日本シリーズなどは、まさに落合野球の真骨頂。糞打てない打線にキレることなく、本当に1点を守り切って3つの白星を奪ったのですから。僕が投手なら「ふざけんなよ」「24打席無安打って何だ」「ていうかCSから入れたら43打席無安打じゃねぇか」と7試合ほど打線の穴にキレていたはず。そんな状況でも心乱れず、「0に抑えよう」と投げつづけた中日投手陣は素晴らしかった。中日でなければここまでもつれる戦いはできなかったことでしょう。

落合監督は常々「勝つことが最大のファンサービス」と言ってきましたが、ようやく合点がいった想い。中日が3つ勝ったことで、2度の週末を楽しく野球見てすごすことができました。日本一になったソフトバンクにしても、あっさり勝つよりも死闘の末の勝利のほうが喜びが大きいでしょう。中日も、3つも勝ててよかったじゃないですか。ファンも納得でしょう、あれで3つも勝ったんですから。すべての野球ファンを喜ばせたこの「3勝」に深く感謝し、「よく頑張った」「お疲れ様」「ありがとう」という賛辞を中日に贈りたい…僕はそう思うのです。

ということで、落合監督には早くDeNAを率いて球界に旋風を巻き起こしてほしいと願いつつ、日本シリーズの激闘を振り返っていきましょう。



◆落合野球に誤算があったとすれば、秋山もまた名将だったということ…!


中日が勝つとすれば守って守って守って1点で勝つしかない、それは多くのプロ野球ファンの共通の意見だったはず。しかし、実際にはそんなことできやしないだろうとタカをくくってはいなかったでしょうか。「そもそも1点取れるのか」「守り切ることができるのか」「ソフバンの方が攻守両面で上」という絶望感すらあったのでは。まさか本当にそんなサッカーみたいな野球を見せられることになるとは思いもせずに…。

●11月12日 ○中日2-1ソフトバンク×

大方の予想を覆し、先発にチェンを立てた中日。吉見用の打線を組んだソフトバンクの出鼻をくじくと、チェンは8回1失点の好投。ソフトバンクのキーマンであり、チェンを「12球団の投手でもっとも苦手」と言い放つ内川を封じることで主導権を奪おう…そんな意図すら感じてしまう、中日ならではの投手起用。

ちなみに落合監督の著書「采配」によれば、「8年間で俺が先発投手を決めたのは2004年開幕戦の川崎憲次郎だけ。あとは森ヘッドコーチが決めている。だから俺に聞いたってわからないよ。知らないんだもん」とのこと。秘密主義もここまでくればアッパレです。

チェンの好投ですっかり勢いを削がれた最強ソフトバンク打線は、1点を先制するも5回以降は沈黙。逆に中日は和田のソロホームランで同点に追いつくと、延長10回に出てきたソフトバンクの穴・馬原から小池がソロホームランを打って勝ち越すという大量2得点。結局その2点で勝ってしまうという、ロースコアシリーズが幕を開けたのです。


●11月13日 ○中日2-1ソフトバンク×

中日はセ最多勝・吉見を立てて、今日は絶対勝ちたい、ていうかほかいつ勝てばいいんだ、という一戦。しかし、ソフトバンクも先発・杉内ということで、2戦連続のロースコアゲームに突入。ともに1点ずつを取り合う互角の打撃戦の中で迎えた延長10回。ソフトバンクが穴をマウンドに送ると、中日は一気呵成の猛攻。何とこの回2安打で1点を勝ち越し。毎回のように走者を出しながら、どうしてもあと1本が出ないソフトバンクを、「おや?」「また負けるのか?」「CSの呪いは振り払ったけど…」とイヤーな気持ちにさせることに成功したのでした。

↓大事に大事に取っておいた小ネタ「滑り止め巻きすぎ」で内川を揺さぶる、嫌らしさ全開の落合野球!



いつからやってるかはともかく、ずーっと知ってて黙ってた落合wwww

8年間の最後の大舞台で小ネタ放出してきたwwwww

横浜時代に教えてやれよwww「長いよ」ってwww


●11月15日 ○ソフトバンク4-2中日×


2連勝で地元に帰った中日ですが、本当の戦いはここから。相手はまだまだ潤沢だけれど、中日側は徐々に頼りなくなる先発陣。「ネルソンでどうでしょうか」とおずおず差し出しては見たものの、初回からパカパカ打つソフトバンク打線。4回までに絶望的な3点差をつけられた時点で、貴重な浅尾・岩瀬は封印して捨てゲームに突入。

ちなみに落合監督の著書「采配」によれば、「私の巨人時代、長嶋監督は全試合を勝ちにいっていた。0-10の大敗でも、5点くらい取ると惜しげもなくリリーフ陣をつぎ込んでしまう。逆転できなくても7-10くらいまで追い上げると『ファンも楽しんでくれたかな』と満足する。ファンには申し訳ないが、私は翌日の試合を勝ちにいく。今日負けても翌日に力を残すべきだ」とのこと。「シリーズは3つ負けられる」という言葉も、あながち強がりではないのでしょう。勝てそうな日に全力を出し、負けそうな日は力を温存する。なるほど、つまらんわけです。


●11月16日 ○ソフトバンク2-1中日×

メディアもファンも「誰が投げるのか」と悩み始めた第4戦。山井と川井の二択から、中日は相性を考慮してか川井を選択。しかし、初回に被安打3、2失点という体たらく。それでも何とか1点を返すと、6回裏には安打→二塁打→四球で無死満塁の大チャンス。しかし、まったく打ちよらん打線はこの局面を三振→小飛球→内野ゴロで完封。スタンドにこだまする「ねーらーいーうちー!」のチャンステーマに、「狙っても打てねぇんだよ!」と選手が応える…そんな美しいハーモニーを見た想い。

↓谷繁さんの気のないバッティングが哀愁を誘う「森福の11球」!


秋山:「ピッチャー交代、森福!」
落合:「……」
秋山:「代打、松中!」
落合:「……」
秋山:「ピッチャー交代、ファルケンボーグ!」
落合:「……」
秋山:「代打、カブレラ!」
落合:「……」
秋山:「馬原は封印」
落合:「ピッチャー交代、浅尾。次の回は岩瀬ね」

できることに差がありすぎるwww

落合は腕組んでボーッとしてるんじゃなく、出てく機会が少ないだけなんや!


●11月17日 ○ソフトバンク5-0中日×

ソフトバンクはシーズン7勝と、唯一谷間っぽい山田を先発に起用したこの日。中日は「谷間相手に絶対勝ちたい」と今季初となる中4日でチェンを先発起用。第1戦のような内容ではないチェンは、初回から3安打1失点を許す苦しいマウンド。それでも何とか味方の好守などもあり、小差で凌ぎながら終盤戦に突入。しかしそれも、まぁ打ちよらん中日打線の前には限界があります。

7回に内野安打で先頭を出すと、盗塁の構えで揺さぶられるわ、変化球を投げにくくさせられたところで直球を狙い打たれるわ、送りバントの構えからバスターでタイムリーを打たれるわ…とソフバンの強さが光る攻撃で痛い痛い失点。しかもその裏には、中1日で昨年までの中継ぎエース・摂津がリリーフしてくる始末。「どこ切っても強いやん…」「2チーム組めよ…」「諦めたー!」とスタンドからもどんよりした空気が広がります。

そうした状況であれば、8回のピンチに今季でクビになる河原を送り込み大量失点したのも仕方ないことでしょう。落合監督の著書「采配」によれば、「私の巨人時代、長嶋監督は全試合を勝ちに(以下略)」



●11月19日 ○中日2-1ソフトバンク×

王手をかけられても落合監督はまだまだ余裕の表情。「シリーズは3つ負けられる(キリッ)」「ホームで3敗…そんな気がしていた(キリッ)」「楽しみだね博多が(キリッ)」と言い放つと、ファンも「よし、博多決戦だ」とばかりに試合途中でナゴヤドームから引き上げると博多へ大移動。本当に負けられない状況となった一戦をエース吉見に託します。

多くのプロ野球ファンもここにきて落合竜を熱烈に応援。「中日頑張れ!」「明日も野球が見たいんや」「どっちも負けてほしいけど、今日はソフバン負けろ」と温かい声を九州に送ります。すると、その声に後押しされるかのように中日は、ソフトバンク・和田を中日・和田が打つなど打者2/3巡の猛攻で一挙2得点。「もう大丈夫だな」「勝ったな」「吉見、あとはヨロシク」と主導権をガッチリキープ。終盤は浅尾→岩瀬の必勝リレーを崩し、岩瀬→浅尾の順で締めくくった中日。ついに、この糞打ちやがらねぇ打線を抱えたまま、最強ホークスとの決戦を7戦目に持ち込んだのでした。

ちなみに落合監督の著書「采配」によれば、「『もう僕にはストッパーはきついです』『そろそろ僕が浅尾の前に投げましょうか』というサインを岩瀬が出してきたら世代交代させる。それまでは相手打線との相性を見ながら、少しずつ浅尾にもストッパーを経験させていく」とのこと。岩瀬がサインを出したのか、なりふり構わず勝ちにいった結果としての順番入れ替えなのか、いつか確認してみたいものですね。



●11月20日 ×中日0-3ソフトバンク○

ついにやってきた第7戦。僕の願いはただひとつ、「引き分けにならんかな」それだけです。どっちが勝ってもいい、どっちが勝っても別にどうでもいい…そんな爽やかな気持ちになったのも、両軍の素晴らしい戦いがあればこそ。

しかし、最後の最後で勝負をわけたのは、やはり抱えている戦力の差でした。山井VS杉内という時点で勝負アリな感じもしつつ、3回・4回に1点ずつソフバンが得点すると完全に勝負アリ。無死満塁から押し出しの1点のみ、なんてのは普通なら逆に相手に流れがいきそうなもの。しかし、「どうやっても2点までしか取れない」中日打線では、その1点も重荷なのです。打率1割台をズラリと並べ、0割代もチラホラ見られ、ちょうど0割もいる状況。これで2点のビハインドを跳ね返すのは無理でしょう。むしろ、よくここまで戦い抜いたと拍手を送るべき。

「糞打てなくても戦える」ということを示してくれた中日さんには、多くの成果が上がらないビジネスマンも勇気をもらったはず。勝てないときは負けないように頑張ればいいのです。成果を上げるよりミスを減らそう…僕らも今日からそういう気持ちで仕事に取り組んでいきたいものですね。

↓糞打ちよらん中日を退け、ソフトバンクが日本一ダ!



名古屋:「えっ!馬原出ないの!?」
名古屋:「汚ないぞソフバン!馬原税払え!」
名古屋:「馬原を出さずにつかんだ勝利に誇りはあるのか」
名古屋:「ファンも馬原を待っていた」
名古屋:「マ・ハ・ラ!マ・ハ・ラ!」


↓ちなみに、秋山監督の大事なご挨拶が「南極大陸」で打ち切られる形で幕!


アナ:「アジアシリーズが待っています!」
秋山:「その前にですね、今シーズンのプロ野球は3月11日の大変悲しい震災のあとにスタートしましたけども」
秋山:「我々ができることは勇気を与えるということでね」
アナ:「このあと10時15分からは南極大陸です」
秋山:「……」
内川:「ウワーーーーン」

何か犬が生きてて泣いちゃったみたいな流れwww

アジアシリーズの話<震災とプロ野球の話<南極大陸

TBSが断固南極大陸を映す覚悟でワロタwwwwww



2011年もお疲れ様でした!また来年の開幕戦でお会いしましょう!