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井端ありがとう!

今、胸に去来する言葉。それは「井端ありがとう」ただその一言だけです。WBC2次ラウンド、日本はB組1位の台湾と対戦しました。すべてが終わり、会場の灯りが静かに落ちる頃、時計の針は午前0時を回っていました。5時間に迫るロングゲーム。本当はもっと言うべきことがあるはず。言わなくてはいけない言葉があるはず。しかし、それはすべて上書きされ塗りつぶされていきます。「井端ありがとう」その一言に。

井端は今大会決して主力として期待されたわけではありませんでした。年賀状に山本監督がつづった言葉は「キャプテンのサポート頼むぞ」。キャプテン阿部を補佐するベテランとしての働きを期待されての招集です。それも「稲葉の2番手」としての。ファンの間でも井端に守備面での仕事を期待はしても、日本の命運をわける一振りを託すことになるとまで思った人は少なかったのではないでしょうか。

しかし、井端はギラギラしていました。

ベテラン?精神的サポート?守備固め?それはやる。やるけど、それで終わるつもりはない。37歳のベテランは年齢や役割に萎れることなく、常在戦場、戦う侍としてここに来てくれていました。阿部でもなく、内川でもなく、日本の最後の一振りを託せる男として、侍ジャパンに馳せ参じてくれていました。

数年前、井端はオレンジ色のサングラスをかけ、目をパチパチさせながらプレーをしていました。それは視力矯正手術の失敗により、在りし日の栄光を失った「晩年」の姿でした。長年悩まされてきたドライアイを解消するため、コンタクトをやめて視力矯正手術に踏み切ったことが、逆効果だったのだといいます。

度重なる視力矯正手術、一向に効果が出ない視力。回復どころか目は炎症を起こしやすくなり、強い効果をもつ目薬が必要になってしまいます。その目薬の使用許可申請を球団が失念したことで、ドーピング違反としてけん責処分にされたこともありました。成績も年俸も急落。目も当てられない状態とはこのことです。

これはもう普通引退です。普通に引退だなと思いました。苦しんでまで野球をやる必要はない…それだけの栄光と富をすでに井端は持っていたわけですから。しかし、そのとき井端が引退していたら、諦めていたら、球史に残るこの試合は生まれませんでした。

夫婦力を合わせて全国を駆けずりまわり、やっと医者を見つけ、目を回復させ、そして最高の調子でこの試合を迎えてくれた。あの一本のヒットを打ってくれた。紆余曲折の果てにこんな日が待っていると誰が思ったか。誰も想像だにできない未来へ向かって、苦しみを乗り越えてきた男がいたからこそ、日本にこの歓喜が生まれたのです。

それは「よくやった」とか「偉い」とか「いいぞ」なんて話ではなく、「ありがとう」としか言えないもの。諦めないでくれてありがとう。枯れないでくれてありがとう。打ってくれてありがとう。勝ってくれてありがとう。ありがとうの打者一巡です。

今、この試合について1行でまとめるなら。

「井端ありがとう」です。

そして、もし、この試合について10行ほど書き綴るなら。それは、

井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!

です!

だって、ほかに、ないでしょうよ!

ということで、井端ありがとうを叫びつつ、8日のテレビ朝日中継による「WBC2次ラウンド 日本VS台湾戦」をチェックしていきましょう。


◆井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!

球場に集った大観衆。そこには空席などありません。日本への期待。侍への期待。世界3連覇への期待が渦巻いていました。その大観衆に、スタメン発表は軽く衝撃を与えます。ライト内川、サード鳥谷という不安の残る守備布陣。そして、1番・角中、2番・井端という今大会初のコンビ。打撃面で不振がつづく侍ジャパンが、思い切った策に出たのです。

序盤は互角のペース。日本は初回に井端・内川の連続ヒットが飛び出すものの、盗塁死などもあって台湾のエース・王建民から得点を奪えません。とにかく先制点がほしい日本ですが、どうしてもあと一本が出ません。

一方日本の先発・能見も抜擢に応え、1・2回を無失点。しかし、大舞台の重圧が急速にチカラを奪ったか、能見は3回で限界を迎えます。先頭に二塁打を許すと、四死球が絡んで一死満塁のピンチに。何とか二死は奪うも、ストライクが入らない能見は押し出しで先制点を与えてしまいます。重たい1点。

日本は攻撃が上手くいきません。ヒットこそ出るものの、二死からだったり、肝心のタイムリーが出なかったりの繰り返し。4回は二死から二塁打→安打が飛び出すも得点には至らず。5回は先頭の稲葉が出塁したあと、犠打→進塁打→四球でチャンスを作るも、タイムリーは出ず。

逆に台湾は5回裏、打ちあぐねていた2番手攝津から二塁打と安打を連続で放ち、集中打でアッサリ追加点。スコアボードには重たい2点と、ズラリ並んだ日本のゼロ、そして無駄に積み上がった7安打の表示。7安打で0点とは拙攻もいいところ。負けるような試合ではないのに、2点が遠く遠く遠く感じられます。

↓不振でスタメン落ちの長野を代打に使ってみたが…!


我が家:「それにしても打ちよらんの!」
我が家:「ていうか鳥谷の打率ゼロ割って何だ!」
我が家:「阿部ちゃんもいつまで打率ゼロ割なんだよ!」
我が家:「角中も当たりがいいだけで打率ゼロ割じゃねぇか!」
我が家:「長野が代打で出てくるわけだわ!」

いや、松田先に使えよwww

松田は調子悪くないだろwwww

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そんな空気を変えたのは中継ぎに昇格した田中将大。3番手として6回からマウンドに上がると、6回・7回を三者凡退のパーフェクトピッチング。台湾打線が手も足も出ないようすに、俄然日本は盛り上がります。「追いつけば勝てる」という勇気がわいてきたのです。

そして迎えた8回表。何とかして先頭が出たいこの回、期待に応えたのはサンキュー井端。センター前にキレイに弾き返して出塁します。打率も6割を超えてきました。このヒットをきっかけにボテボテながらも外野に抜ける内川の安打で無死一・三塁。迎えるバッターは、今大会ノーヒットの4番・阿部慎之助。さぁ、いい加減目覚めろ打率ゼロ割!どう考えても日本が世界一になるにはキミのチカラが必要だ!

↓そして阿部が目覚めた!


我が家:「打率ゼロ割がひとり消えたぞ!」
我が家:「でも、まだ主戦で2人も打率ゼロ割がおるぞ!」
我が家:「鳥谷は全試合出場&世界一&打率ゼロ割の記録でも作る気か!」

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なお無死一・二塁という絶好機。しかし、流れに乗れない日本は、ここで糸井がセーフティ気味の送りバントを試みますが、相手の好守に阻まれランナー入れ替わって一死一・二塁に。つづく坂本がヒットで同点に追いつくも、三塁を狙った糸井はアウト。送りバントの失敗、走塁死と余計なアウトを挟んだことで「同点止まり」でこの回を終えてしまいます。

それでも勝算はありました。台湾は王建民も退き、継投策に移行した状態。同点のまま回が進めば投手の質は下がっていきます。質・量とも上回る日本の投手陣との差は歴然。粘っていれば先に崩れるのは台湾のはず。8回、9回、10回をゼロでいけばその間に1点くらい取るやろ…そう思っていたのです。

ところが8回の裏、田中が突然の乱調。それまでの2イニングが完璧な内容で、3イニング目にいきなり3連打で失点するなんて、無茶苦茶です。崩れるにしても急すぎて、ベンチの対応も後手に回ります。まるで西武の中継ぎのような手の施しようがない急転落。同点でも山口→牧田とつなぐべきだったか…後悔してもしきれない乱調劇で、日本は窮地に追い込まれます。

↓それでも日本は後続の山口・澤村が無死一・三塁のピンチをゼロでしのぐ力投で粘る!坂本のファインプレーも光った!


我が家:「マーさんは完璧や!打てんよ!」
(3連打で1点取られる)
我が家:「最初から山口出すべきやったで!自宅待機に昇格や田中!」
(二死を取ったあと山口が下がって澤村登場)
我が家:「って、オイ!澤村出すのか!これはない!まだ涌井のほうがマシ!」
(澤村がピンチを切り抜ける)
我が家:「澤村さん最高や!サンキュー澤村さん!」

我ながら手のひら返しがすさまじいなwwwwww


さて、これは大変なことになりました。私事ながら、僕には必死になる理由がありました。僕は日本が勝つ前提でチケットを買ってしまっているのです。日曜日のGAME4。そして最終のGAME6。日本が勝つ前提でおさえた4枚ずつのチケットはどうなってしまうのか。僕は台湾VSオランダ戦を見ることになるのか。僕はそれでもいいけれど、知人はちゃんとチケット代を払ってくれるのか。胃が痛くなってきます。

迎えた9回表。今日3安打の稲葉が先頭でしたが、あっさりアウト。アカン、チケットが。つづく打者は打率ゼロ割の鳥谷。当然代打かと思いましたが鳥谷はそのまま打席に。アカン、チケットが。しかし、鳥谷は四球を選んで出塁。前の回からマウンドにあがっているイニングまたぎの陳鴻文が乱調気配です。チケットが盛り上がってきました。ところが、ここで長野は相手の様子をうかがうでもなく1球で凡フライ。アカン、チケットがもう風前の灯です。

ここで打席には6割バッター井端。井端から内川とつづく2・3番が、今一番期待が持てる打順。頼むぞ…と天に祈った矢先、鳥谷が盗塁を試みたのです。何をしている鳥谷。アウトのタイミングだぞ。これで刺されたらチケット代を請求するぞ。僕は思わず目を覆いますが、何かよくわかりませんがセーフの判定。チケットが助かりました。チケットが助かったのです!得点圏に走者を置いて6割バッター井端の打席ならば、これは打つに決まっています!サンキュー井端さん!僕のチケットを救ってくれて!!

↓6割バッター井端は地響きする大声援を浴びて、センター前に美しい弾道の同点タイムリー!


うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!

井端ありがとぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!

球史に残る名場面だぁぁぁ!!!!!!!!!


この一打は完全に日本に火をつけました。誰もが立ち上がり、井端の名を呼んでいます。ベンチから飛び出してくる仲間たち、日本が燃えていました。

9回裏、マウンドに上がった牧田は相手が小フライにした送りバントをキャッチするため、怪我をも恐れずダイブしました。気迫の無失点。

10回表、先頭の相川がクリーンヒットで出塁すると、四球→犠打で一死一・三塁。この場面で中田が期待通りに大きなフライを打ち上げれば、別に調子が悪いわけでもないのにスタメン落ちし、この場面の代走で出場していた松田が、犠飛で生還。自分に与えられた役割をキッチリこなしました。

この試合初めてリードして迎えた10回裏。マウンドには何やかんやあったばかりの杉内が登場。「もう許した!」「嫁以外はみんな許した!」「むしろ許せないのは大会期間中に記事を出してきたFRIDAY!」と全員が杉内を後押し。台湾も粘りますが、最後は「延長戦でもまだ沢村賞を残している」日本の地力が勝りました。苦しんで、苦しんで、苦しみ抜きましたが、侍ジャパン勝利です!

↓僕のチケットが救われた!井端ありがとう!杉内は許した!


助かったぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!

杉内の奥さん、旦那さんに恩赦をぉぉ!!!!

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同点タイムリーの興奮のあと、9回裏の守備につく井端は、観衆の声援に応えながらも一塁線を越えるときにラインを踏まないように気を遣っていました。本人の野球史でも屈指の興奮を覚えたであろうとき。何千回、何万回と繰り返してきた習慣を、興奮の絶頂においても変わらずに遂行したのです。そんな何気ない場面に現れる職人気質。

ボールを捕らえヒットにすることも、同じように何千回と繰り返してきた仕事です。そして、どんな絶体絶命の場面であっても、やること自体が変わるわけではありません。自分が打たねば負けるとしても。大観衆の期待がすべて自分にかかっているとしても。バットを振り、ボールを捕らえる。ただそれだけです。浮つかず、怯えず、諦めず、仕事を遂行した職人が日本にはいました。まさしく、いいバッターが。

試合後のヒーローインタビュー。終電を気にしながら居残る観衆は、井端をずっと待っていました。口々に井端を呼び、井端の名が書かれたボードを掲げ、この日のヒーローを待っていました。しかし、井端は現れず、決勝の犠牲フライを放った中田翔がバツ悪そうにお立ち台に向かいました。一気に弛緩する球場の空気。ここは殴ってでも井端をお立ち台に乗せてほしかったところですが…(苦笑)。

まぁいいでしょう。戦いはまだつづきます。職人の仕事はグラウンドにあるとか、声援に応えるのは言葉ではなくプレーでとか、いつまでもスポットライトから逃げ回っていられるはずもありません。このチームのラッキーベテランは間違いなく井端弘和その人。世界3連覇を果たすとき、その輪の中央には井端がいるはずです。いないようでは、もはや世界3連覇はおぼつきません。そのときこそ、MVPとして歓喜のヒーローインタビューをやってもらいましょう。

とにかく僕が言いたいのは、

井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!井端ありがとう!

ということです!


次戦で一気にアメリカ行きを決めるぞ!サンキュー井端とともに!