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君子危うきに近寄らず!

最強の男とはどんな存在でしょうか。すべてのライバルを倒し、頂点に君臨した男でしょうか。確かにそれはある一瞬においては最強と呼ばれるでしょう。しかし、戦えばいつか敗れる日が来ます。些細なミス、天変地異、勝負では何が起きるかわかりません。そして、「何か」は戦うかぎりいつか遭遇するものです。敗れぬ絶対条件、それは戦わぬこと。最高峰に立つ術、それは頂点から降りないこと。必勝ではなく不敗、即ち不戦こそが最強の男の条件なのです。

月曜の夜、日テレのリアルボクシング中継を見ていた僕は、そのことにフッと気づいたのです。きっかけは王座防衛を果たした王者・山中慎介さんの言葉でした。「昨日の試合は見ていないんですけど、統一戦がやりたい」という発言。つまり、WBA世界バンタム級王者・亀田興毅さんと戦いたいと言っているのです。一般には山中さん圧倒的有利という下馬評が立つでしょう。しかし、僕にはどうしても亀田さんが敗れる姿が想像できなかったのです。

山中慎介30歳、亀田興毅26歳。横たわる4年の歳月。

圧倒的な若さ。時間の壁が山中さんの行く手には立ちふさがっています。

通常、王者たる強者は戦いを好みます。戦うことが生き甲斐です。目の前のすべてを殴り飛ばしたい。夜の校舎窓ガラスを壊して回りたい。行儀よく真面目なんて出来やしない。それが強者の心持ちです。ところが、その常識は亀田さんには通じません。まず亀田さんは山中さんの挑戦を鼻で笑うでしょう。「俺は4階級制覇で忙しいからな。やるヒマないで」と。よしんば世間からの突き上げがあったとしても、ベルトを返上すればまた1〜2年は「世界前哨戦」の繰り返しで時間を稼げます。

その間、山中さんはほかの強者と戦っているでしょう。王者である間にファイトマネーを稼ぎたいという現実的な問題もあります。年間2試合から3試合、試合をしなくてはなりません。練習・調整・試合・疲労・負傷…山中さんは傷つき衰えていきます。どこかで敗れれば亀田さんは「大したことないやっちゃな」と見下せばよい。たとえ勝ちつづけたとしても、先に年を取るのは向こう。秋口の蚊のようにボロボロになるのを待って、叩き落とせばよい。

よしんば試合を強引に設定されても、まぶたをちょっと切ったとか理由をつけて「負傷やからな。できへん」と入院すればいいのです。そして亀田さんは絶対に挑戦を受けてくれないレベルの選手…マニー・パッキャオとかノニト・ドネアとかをシャーシャーと挑発しつづけるのです。波打ち際でクジラに喧嘩を売るリクガメのように。

常識的に考えてそんな逃げ腰のボクサーがいるわけないと思うかもしれませんが、いるのです。日本に。ここまでの戦術は基本的に実話に基づいたものですので、確実に実行されるでしょう。山中さんはまずコレらの知略戦を突破する必要があります。リングの上に立てば殴り倒すことはできるでしょう。しかし、そこまで行けない、それが亀田戦の正念場。亀田さんは金では転びません。もう持ってますから。亀田さんは名誉では転びません。興味ないですから。亀田さんはじっと待っています。波が過ぎ去るのを。高台の上で。

亀田さんの最大の長所は「待てる」ことです。

何日でも何年でもじっと待つことができるチカラ。侮ってはいけません。巌流島の決戦、宮本武蔵のわずかな遅刻に佐々木小次郎は苛立ったと言うではありませんか。もし武蔵が5年くらい遅刻したら。ていうか永遠に来なかったら。小次郎はどうなるでしょうか。おそらく巌流島で死ぬでしょう。そのとき武蔵はめっちゃ遠くから「小次郎敗れたり!しゃーこらー!どんなもんじゃーい!」と叫ぶのです。こりゃ勝てる気がしませんね。

ということで、山中さんと亀田さんの対戦を夢想しながら、8日の日本テレビ中継による「WBC世界バンタム級タイトルマッチ 山中慎介VSマルコム・ツニャカオ戦」をチェックしていきましょう。


◆試合?アカンで、その日は子どもが幼稚園でお遊戯会やからな!


「神の左」を持つ男。テレビがつけたあだ名をどこまで信じるかはともかく、乱立する王者群の中でも見るべきものがある試合であることは間違いありません。プロ19戦無敗、12KO。9連続を含むKOラッシュは足掛け4年に及び、世界タイトルマッチですら3戦3勝2KO、元王者を相手に2度ベルトを防衛中という力強さ。そしてこの日は現在の世界ランク1位にして、元WBC世界フライ級王者との対戦。元王者を3人呼びつけ、3人倒そうと言うのです。攻め、攻め、攻めのマッチメーク。さすが帝拳ジムの男。本物は違います。

↓山中さんはV3なら「亀狩り」を解禁すると宣言!
誰の挑戦でも受ける。山中の防衛戦について、所属ジムの本田明彦会長(65)は「和毅は世界挑戦をしたがっている。山中とやりたいのなら、こちらは構わない」と明言。和毅は兄でWBA世界バンタム級王者の興毅(26)=亀田=が7日にV6戦を行った大阪から帰京し、山中のV3戦を観戦する予定。近い将来の挑戦を視野に入れての偵察だ。

試合を中継するテレビ局の契約などで、これまで帝拳勢が亀田3兄弟と拳を交えることはなかった。ただ、山中は以前から「和毅が本気でやりたいのなら挑戦を受ける」と明言していた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/event/sports/news/20130408-OHT1T00028.htm

3号:「兄ちゃん、山中がワシに挑戦する言うてるで」
2号:「あんなん大したことないで。明日でも勝てるわ」
1号:「…ん?せ、せ、せやな」
1号:「あーでもアレやぞ。日曜日のS☆1見たか?」
1号:「視聴者投票では兄弟対決を見たい言うとったで」
1号:「兄ちゃんとボクシングするのが先やで、な、な」
3号:「山中ブチのめしてから最強の兄ちゃんとやるわ」
2号:「あんなん大したことないで。今日でも勝てるわ」
1号:「待て待て待てぃ!兄ちゃんがな、先やで」
1号:「兄ちゃんが王者やからな。順番は守らなアカンで」
1号:「兄ちゃんが山中をブチのめすんが筋とちゃうかな」
3号:「せやな。山中をブチのめした最強の兄ちゃんに挑戦するわ」
2号:「あんなん大したことないで。今すぐでも勝てるわ」
1号:「準備がな、時間かかるけど、列の後ろで待っとれや」
1号:「(5年くらい…)」

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中継スタジオには具志堅用高さん、ガッツ石松さん、鈴木奈々さん、ローラさんら歴戦のパンチドランカーが集結。緊張の面持ちで決戦のときを待ちます。ローラさんの「マルコムさんはどこの国の人?」「フィリピン!?」「ヘー意外」などの的確な戦況分析。鈴木奈々さんとローラさんが交互に発する「アー!」「イタイ!」「アブナイ!」などの奇声は、いかにこの勝負が大一番であるかを物語ります。主音声でクソうるさい声で叫ぶ上田晋也さんがジャマなので副音声に変えるとそこでは鈴木奈々が待っている…まさに視聴者を罠にはめるコンビネーション。ワン・ツー・パンチドランカー!

序盤は距離の探り合いから。ともにサウスポーの両者。右を伸ばして空間の奪い合いをジワジワと進めます。頭を大きく動かして自ら手を出していくツニャカオ。それをじっと見定めながら、大砲を当てるチャンスをうかがう山中。速さ・上手さ・勇気…そこにはボクシングの試合がありました。

試合が動いたのは第3ラウンド。1R、2Rはあまり左を出さず、右を伸ばして距離感とタイミングを測っていた山中が、左でボディをとらえ始めます。そして迎えた2分30秒過ぎ。ツニャカオが山中の右ガードを右拳で払って、空いたところを左で打とうとしたコンビネーションに対して、山中のカウンターの左がツニャカオの顔面にヒット。相手がタイミングをつかむ前にダウンを奪う、見事な一撃でした。さらに山中はフラつくツニャカオに左ボディ打ちを見せてからの顔面への左という上下のコンビネーションで追撃。左、左、左の連打でふたつめのダウンを奪います。これにはスタジオから渡嘉敷勝男さんの声で「KO早いね!」と確信の声があがったほど。

↓山中慎介が見せた電光石火の左!


3号:「何やアレ、あんなん亀ガードで防げるやん」
2号:「あんなん当たっても別にどってことないで」
1号:「…ん?せ、せ、せやな」
3号:「まず亀ガードで防いで、相手の打ち終わりに亀パンチや!」
2号:「相手のパンチを顔でブロックして、大ちゃんフックや!」
1号:「あーでもアレやぞ。モハメド・アリって知っとるか?」
1号:「アリは蝶のように舞い、蜂のように刺したんやで」
1号:「わざわざ受けてやる必要もないっちゅーこっちゃな」
3号:「アリやのにチョウってごっついのぉ!」
2号:「アリやのにハチってごっついのぉ!」
1号:「せやせや、世界はごっついんやでぇ!」


しかし、ここからがツニャカオの試合。まだヒザに震えが残る4Rをノーガードで構えてみたり、ガードを上げて防御に徹したり、距離を大きく取ったり、積極的にクリンチにいったり、とにかく手練手管で時間を稼ぎます。それを可能にさせたのも時折飛んでくる右フック・右アッパーなどチカラのこもったリードパンチ。この辺りは右利きのサウスポーという特性か。目とパンチにチカラがあるうちは、野放図に殴り掛かるわけにもいかない王者。とにもかくにも危険なラウンドを乗り切り、ツニャカオは望みをつなぎます。

↓第4ラウンド終了時点でのジャッジスコアは以下の通り!
●山中39-36ツニャカオ
●山中40-35ツニャカオ
●山中38-36ツニャカオ

3号:「兄ちゃん、コレどっちが勝ってるんや!」
2号:「ワシは数字が苦手でよくわからんで!」
1号:「…ん?せ、せ、せやな」
1号:「エエか、勝ってるほうが10点で負けてるほうが9点や」
1号:「ダウンすると2点取られて8点になるんや」
1号:「それが4ラウンドぶんあるんや、計算してみぃ?」
3号:「兄ちゃん、38と36ってどっちが多いんや?」
2号:「兄ちゃん、40引く35ってワシ習ってないで!」
1号:「最初のジャッジはツニャカオが1つのラウンドで勝って、山中がダウンの2点と合わせて3つのラウンドで勝ったっちゅーとるわけや」
1号:「次のジャッジはツニャカオの勝ったラウンドはなくて、山中がダウンの2点と合わせて4ラウンド全部で勝ったっちゅーとるわけや」
1号:「最後のジャッジはツニャカオが2つのラウンドで勝って、山中がダウンの2点と合わせて3つのラウンドで勝ったっちゅーとるわけや…?」
1号:「ツニャカオが2つ勝って、山中が3つ勝った…?」
1号:「2足す3は…5やったよな?な?」
3号:「兄ちゃん、リンゴで言ってくれなわからんで!」
2号:「兄ちゃん、2足す3ってワシ習ってないで!」

※第3Rはダウン2回で10-7採点となります。これで計算が合います。


採点は聞かなくてもわかっているでしょうが、ダウンを除けば決して負けていないことは確認できたはず。ツニャカオは35歳。まともにやっても世界戦のチャンスはそうそう巡ってくるものではありません。今日が最後。生きても死んでも今日が最後。挑戦者なのだから、どっちみちKOで勝たねばならない。倒せ、倒せ、倒せ。そんな強い気持ちでベルトへの挑戦をつづけます。

じょじょに盛り返してくるツニャカオ。第7Rには山中のマウスピースを吹き飛ばす場面も作ります。山中はそれを正面から受け止めつつ、ボディを執拗に狙い相手のスタミナと気力を削いでいきます。激しく手数を出すツニャカオ。距離を取ったり、当たったパンチも首をひねって勢いを殺したり、ロープを背負ってもクルリと体を入れ替えたりしていなす山中。空を切るパンチですら観衆を酔わせる、レベルの高い攻防が展開されます。

↓そして第8ラウンド終了時点でのジャッジスコアは以下の通り!
●山中77-74ツニャカオ
●山中77-74ツニャカオ
●山中77-73ツニャカオ

3号:「兄ちゃん、コレどっちが押してるんや!」
2号:「ワシは数字が苦手でよくわからんで!」
1号:「…ん?せ、せ、せやな」
1号:「嫁〜!ちょっと来てくれや〜」
1号嫁:「5〜8ラウンドはダウンはないよって全部10点か9点やん」
1号嫁:「で、山中の点が全部77点で揃ったのは大ヒントやな」
1号嫁:「最初に40点つけとったジャッジから見ていくで」
1号嫁:「そのジャッジは山中に37点をつけとるわけや」
1号嫁:「これは山中が10点9点9点9点と取ったわけや」
1号嫁:「普通なら相手には39点入るわな」
1号嫁:「ほな、77-74になるわな。おったわな」
1号嫁:「山中に39点つけとったジャッジは38点増やしとるわけや」
1号嫁:「これは山中が10点10点9点9点と取ったわけや」
1号嫁:「普通なら相手にも38点入るわな」
1号嫁:「ほな、77-74になるわな。おったわな」
1号嫁:「山中に38点つけとったジャッジは39点増やしとるわけや」
1号嫁:「これは山中が10点10点10点9点と取ったわけや」
1号嫁:「普通なら相手には37点入るわな」
1号嫁:「ほな、77-73になるわな。おったわな」
1号嫁:「最初4ラウンド全部山中につけたジャッジが、今度は3つ挑戦者につけたわけや」
1号嫁:「あのダウン2つがなければもっと熱かったんやなぁ」
1号嫁:「でもダウンしたからこその挑戦者の攻勢やしな」
1号嫁:「いずれにせよ、残り4ラウンドやからポイント全部取るか、ダウンさせる必要があるわな。挑戦者苦しいのは変わらんで」
3号:「姉ちゃん、リ、リ、リンゴで言ってくれなわからんで!」
2号:「☆※●◎◆★☆※●◎◆★☆※●◎◆★!!」
1号:「どんなもんじゃーい!!」

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決死の追い上げも実らず、点差を詰め切れなかったツニャカオ。最後までKOを狙っていきますが、山中が逆に相手をグラつかせる場面を作り、さらにポイントを積み上げていきます。10Rにはツニャカオの傷を広げて大量の出血を誘った山中。ワンツー!ワンツー!ワンツー!徹底的にワンツーで叩きつづける山中。挑戦者ツニャカオも何度も両のグローブを打ち鳴らして、自分を奮起させます。最後のチャンスに食い下がります。しかし最終12R。時間いっぱいまでテレビに映り、ボクシングファンを引きつけ、「昨日見たのは何だったんだ」と視聴者を唸らせた山中は、最後の仕上げを行ない…

↓時間いっぱい使って最後の最後に左!右!左!TKO!



3号:「よっしゃ、山中かかって来いや!」
2号:「よっしゃ、山中かかって来いや!」
1号:「よっしゃ、ツニャカオかかって来いや!」
全員:「ん?」

客席もスタンディングで大興奮!

This is Boxing!


互いの健闘をたたえるように肩を叩き抱き合う両雄。世界1位・元王者の名に恥じない挑戦者の実力が、この名勝負を生みました。そして、その挑戦を受けて立った王者の心意気が。ツニャカオの所属する真正ジムの山下会長は、その心意気と、35歳の挑戦者を待たせず焦らさずキレイにチャンスをくれたことに感謝をこめ、満面の笑顔で「ありがとう」と何度も声を掛けていました。敗者サイドとは思えない振る舞い。敗者をも笑顔にさせる戦いだったということか。だとしたら、それはとても素敵な話ですね。

↓山中は試合後のインタビューで統一戦の意向をぶち上げた!
山中:「前日やったんで見れてないんですけど、統一戦というのはホントにひとつの目標であるんで、WBAでもIBFでもWBOでも統一戦がしたいです」

3号:「負けたほうめっちゃワロてたで!」
2号:「負けたほう何度も抱きつきに来てたで!」
1号:「ごっつう払ってるんやろなぁ」
全員:「ん?」

統一戦は出来ないぞ!WBA王者は階級を上げる予定だからな!

いつ上げるかって?強そうなヤツがケンカ売って来たらだよ!

逆に、階級を下げる可能性も捨てたわけではないからな!

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試合?アカンで、その日は家族でデズニーランドに行く予定やからな!