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- 東京五輪
2013年09月09日00:09
ベタでいいじゃん!ベタでもいいじゃん!
いやー、やりましたね東京。2020年夏季五輪開催都市に東京が決定した喜びと興奮は、いまだにおさまりません。7年後の未来に必ず明るい日がやってくる。その日までは死ねない。絶望しても人間をやめられない。7年間は生きる希望を持てる素晴らしいニュースでした。
僕自身は金曜夜から徹夜での仕事をこなし、にもかかわらず土曜日も所用で昼には外出しなければならないという状況。そこからさらに徹夜で発表を待つというハードスケジュール。もし落選していたなら、発表の瞬間ラモスのように地面に崩れ落ち、そのまま寝る感じのスケジューリングでした。
しかもパブリックビューイングで見ようなんてことで、駒沢のオリンピック記念公園に出向いたのですが、ゲストの中川翔子さんが「深夜2時だから貪欲にたぎってきましたー!」とか言って、めっちゃハードなライブをしてくれたのです。「引きこもりだけどオリンピックが見たい!」「次の曲は聖闘士星矢、ベガサス幻想!(←たぶんアテネ絡みで五輪つながり)」「せっかくだからスクワットしましょう!」というヘンなテンション。ぬめっとする汗が全身を覆い、発表前に死ぬかと思いました。
しかしまぁ、それも東京の素晴らしさ。東京は昼でも夜でも安全というアピールをしていましたが、真夜中の公園で女子が歩いていても何も起きない街ってスゴイですよね。タクシーに乗らなくても夜の街を移動できるんですよ?こんな素晴らしい場所、世界のどこにあるんでしょう。日本人はともすれば控え目に考えてしまいますが、日本人が思う「日本のちょっといいところ」は、思った以上に「すごくいいところ」なんでしょう。
僕はそのことを歓喜の最終プレゼンテーションで感じていました。ベタ、あまりにもベタ。恥ずかしいくらいの芝居っ気と、てらいのないアッピール。「あぁ、世界ってのはこれくらいベタに言ってやらないとダメなんだな」と改めて思いました。お菓子とかもそうですよね。日本ではわずかな甘味を鋭敏に察しますが、外国のお菓子って大概がクッソ甘いじゃないですか。アレが外人向けの味つけなんでしょう。
2020年に向けて、僕も、あなたも、東京都民・日本国民としてベタに慣れていきましょう。「ハーイ!マイク!」なんて爽やかな挨拶を朝っぱらからできるようなベタテンション。満面の笑みで観光客を出迎える観光地みたいなモード。日本のいいところを、しっかりと表現すれば、世界の誰もがきっと満足してくれるはず。
だって、こんなに社会や人生に不満の多い僕でさえ、日本での暮らし自体には満足しているんですから!
世界にうらやましい国なんてないんですから!
ということで、あまりにベタで改めて見ると笑っちゃう東京の最終プレゼンテーションについて、ちょっと落ち着いた目で振り返っていきましょう。
◆滝川クリステルさんのオススメするものには、基本投票しません!
イスラム圏初、ヨーロッパとアジアの架け橋となる意義を訴えるイスタンブール。長い準備期間と地元の熱狂度を掲げるマドリード。それぞれにアピールポイントは強いものがありましたが、両者はスネに深い傷をも持つ国。
施設・ホテル・運営実績がほとんどなく、しかもシリア情勢の影響など安全面が不安視されるイスタンブール。好調な経済で7年後までにゴリ押しするとは言っていますが、同様の主張で開催都市に決定したリオはいまだに競技場の建設も終わらない状況。「アヤしい…」というIOC委員の疑念は払拭されません。
施設はほぼ完成済みと言いつつ、深刻な経済危機を抱え、若年層の高い失業率にも悩むマドリード。最終プレゼンでは「我々には五輪が必要だ!」という金の無心のような雰囲気まで醸し出していました。「アヤしい…」というIOC委員の疑念は払拭されません。
東京は相手との違い、東京の強みをしっかり訴えます。日本式に考えると遠回しな嫌味みたいな内容であっても、それが世界基準。「あ、やっぱアッチはリスク高いよね。東京は安心だね」と思ってもらえるよう、しっかり強みを伝えること。笑顔、身振り手振り、ベタなストーリー。恥ずかしさやてらいを捨てて豪速球を投げる。それが2016年の反省を踏まえた東京の改善点でした。
↓ちなみに2016年の最終プレゼンは、今見るとどこかボケている!
若者に夢を!安全な都市!安定した運営能力!
言っていることは大して変わらないけど、世界の環境問題とか話がデカすぎるわ!
そして鳩山さんが出てる時点でダメな気がする!トラスト・ミー!
2020年の東京は相手の理解力に期待せず、「伝える」ことの修練を積んできました。ロビー活動も積極的に行ない、アフリカ・アセアン地域を中心に訴えかけてきました。僕はテレビで最終プレゼンを見守りながら「勝ったな」と思ったもの。もともと2連続立候補2回落選のマドリードと、5回立候補で5回落選のイスタンブールが相手です。相手には今までも選ばれないだけの理由があり、それは基本的に変わっていません。強く念押しさえできれば負けるはずなどなかったのです。
↓日本のオープニングを飾ったのはプリンセス・タカマド!
作戦会議:「スペインはどうせ王族出てくるだろ」
作戦会議:「皇室は表向き協力はできないけど、来てくれればいい!」
作戦会議:「プリンセス●●が出てくればそれでいい!」
作戦会議:「言ってる内容はたぶん関係ない!」
皇室が出向く。しかも先陣を切る。ロイヤルファミリーが支援するというシチュエーションは、ベタですが世界市民の胸にはグサッと刺さるもの。日本の皇室の立場からは積極的協力はできないところでしょうし、プレゼン内容も「スポーツって素晴らしい。復興支援ありがとう」という選挙とは無関係のものでした。しかし、プリンセスとして登壇してくれただけでも、マドリードの強みをひとつ相殺する有効打。これがベタパワーなのです。
つづいて登壇したのはパラリンピアン・佐藤真海さん。骨肉腫により足を失い、さらに東日本大震災で故郷の町が津波に襲われたという、ドラマのような悲しみを背負ったアスリートです。これだけの強いメッセージ性を背負ったキャラクターが、スポーツの力で人生を取り戻したとアピールするのです。子どもが夢を語るよりも、ハートにズドンと響く一撃。世界に通じるベタパワーとはこういうことでしょう。
↓そしてベタなドラマで恐縮ですが未来へ希望をつなぐ「Feel the Pulse」上映です!
作戦会議:「何でこんなとこにバスケのゴールあるかって?」
作戦会議:「しかも何で外人だらけのチームが来たんだって?」
作戦会議:「さぁ………?」
作戦会議:「でもホラ、このほうが切ないじゃん?」
作戦会議:「グッと来るじゃん?」
作戦会議:「細かいことはいいんじゃん?」
そして登壇した竹田恆和理事長。理事長はオリンピック精神の遵守を掲げたベタアピールをします。「ドーピング、違法賭博、八百長行為」を敵視し、日本にはそれがないということを強く主張したのです。昨今、オリンピックの華である陸上競技はドーピング渦によってスター選手が一斉摘発を受けています。自転車競技ではほとんど全員やってるんじゃないかという勢いで、医師がクスリを集団処方していたケースも見つかっています。その点、東京ならばクリーンな五輪が開催できる。そういう精神性がある。オリンピック・ムーブメントという大正論によって、ベタに東京の強みを訴えたのです。
さらに連続して登壇した水野正人副理事長(ミズノの元会長)は、財界人らしく財界からのベッタベタなアピールを展開。画面に掲示されたスポンサーロゴの山・山・山。そして蝋人形みたいな笑顔。日本人の感覚だと「うわっちょっと怖いです…」と思うところですが、「いいですねースゴイですねー」と思う、それが世界標準ベタに違いありません。
↓21社もの企業スポンサーがついているとベタにアッピールしたぞ!
作戦会議:「おっ、めっちゃいっぱいある」
作戦会議:「ってオイ!ANAが2回、TOYOTAも2回、JALもGREEもミズノもエクセルヒューマンも丸大食品もダイワハウスもアシックスもデサントも読売新聞も2回ずつ表示されてるじゃん」
作戦会議:「しかも日清オイリオと日清食品が別々に載るって…」
作戦会議:「完全な水増しではないかと…」
作戦会議:「企業スポンサーとスポンサーシップは別扱いだからいいの?」
作戦会議:「これでいいんだ…なるほどね…」
作戦会議:「どうでもいいけど、7年後、GREEあるかな?」
↓幕間のVTRでは小谷実可子さんが東京のベタなデートコースを紹介!
原宿、渋谷、お台場海浜公園!
「ポパイ」のデートコースみたいだけどベタでいい!
「裏原」とか「裏」はいらないのです!
↓4番手で登場した猪瀬東京都知事は「four point five billion US dollars ready right now to pay」の名言を残した!
作戦会議:「まずマドリーはんに見せつけまひょ」
作戦会議:「ゼニや、ゼニを見せつけまひょ」
作戦会議:「マドリーはんの言うてるんは手形でっしゃろ?」
作戦会議:「手形はアテになりまへんなぁ」
作戦会議:「ホンマに信頼できるんはゼニや、現金や、キャッシュでおま」
作戦会議:「45億ドル、マドリーはんにありまっか?」
作戦会議:「わてらコレ、キャッシュで、銀行にありまんねん」
作戦会議:「今すぐ使えるキャッシュで、銀行にありまんねん」
これはキツイなwwwwwwwwwwwww
札束で対戦相手のほっぺたを全力で引っ叩く仕事は、猪瀬氏にしか託せないわwww
僕なら恥ずかしくて言えないwwwwwww
さぁ、そしてやってきました滝川クリステル女史。外人風の顔立ちと流暢なフランス語。作られた笑顔で夜のニュースを席巻した彼女ですが、日本国内ではすでに「なんか内容が薄い」という空気が漂い、見かける機会も少なくなってきました。しかし、世界にはこれがハマる。美人が笑顔で何か言う、それが鉄板ベタ。余計な変化球はいらないのです!
↓「オ・モ・テ・ナ・シ」のサインでクリステルスマイルが世界を魅了した!
作戦会議:「ブレーキランプ5回点滅〜♪」
作戦会議:「オ・モ・テ・ナ・シのサイン〜♪」
作戦会議:「いい笑顔するねぇ」
作戦会議:「さすがニュースじゃなくて笑顔で天下取っただけはある!」
作戦会議:「でも、何かちょっとアヤしいCMみたいじゃないです?」
作戦会議:「効かないクスリみたいな」
作戦会議:「まっ、いいか!」
ここで幕間に「Pulse of the city」動画を上映。日本庭園、スカイツリー、雷門、東京タワー、芸者、寿司、相撲、メイドカフェ、盆踊り、花火、屋形船…完全にベタな観光VTRです。しかし、その途中途中には先進的な都会が映し出されています。オリエンタルな文化と快適な文明の融合。「タダで旅行に行きたい!」としか思っていないIOC委員のハートをガッチリつかみます。
↓そして登壇した太田雄貴さんがアスリートの立場からガツンとイスタンブールとの違いを打ち出す!
作戦会議:「太田さん、ガツンと言ってやってください」
作戦会議:「東京が、アスリートにとっても一番いい環境だって」
作戦会議:「今更感もありますけどアニメパワーも言っちゃいましょう」
作戦会議:「キャプテン翼も映しまして」
作戦会議:「メッシ、これ翼に憧れ、スペインで頑張ってます」
作戦会議:「カカ、これ翼に憧れ、スペインで頑張ってました」
作戦会議:「ウチムラ、これ日本が誇るレジェンドです」
作戦会議:「で、トルコは…?と」
作戦会議:「いや、これ言いにくいですよ」
作戦会議:「言いにくいですけど、言っていきましょう」
作戦会議:「ガツンと!」
↓つづけざまに安部首相が「the situation is under control」と力強くアピールし、世界の不安を払拭!
作戦会議:「いい演説じゃない…ウチの首相かっけーな…」
作戦会議:「政治家がこんだけ強く言ったら逆に嘘っぽいですけどね」
作戦会議:「それは言っちゃダメだよー」
作戦会議:「でも、意外に言ったもん勝ちって感じもあるな」
作戦会議:「デカイ声でビシッと言ったら大体通ると見た!」
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
ここで、先ほどの「Feel the Pulse」動画の続編を上映し、受け継がれるハートを表現。さっきの子どもが大人になり、今度は自分が孤独なバスケ少年に手を差し伸べるというベタなストーリー。しかし、ベタで強いメッセージは胸に来るものがありました。ほとんどの演者が外人という、全然日本じゃない感は拭えないVTRですが、これでいいんです。外人に見せるVTRなんですから!これが「伝える」ということなのです!
そして最後は再び竹田理事長が登壇し、「Vote for Tokyo!」三連打でトドメを刺します。結局、要するに、言いたいことはコレなわけじゃないですか。ニワトリは三歩歩くとモノを忘れると言いますが、人間だってしっかり強く言われないと忘れてしまうことに変わりはありません。一番大事なメッセージを、ぶっちゃけて、大声で、何回も、言う。それが世界との付き合い方だったのです。
それぐらいしていかないと、感動や感謝、そして尊敬も伝わらないという気持ちで、2020年を迎えたいもの。いきなりは難しいかもしれませんが、すれ違う知らない観戦者に「ようこそ日本へ!」「困っていることはないかい?」「ハハハそれは山手線外回りで池袋まで行き、そこで営団地下鉄有楽町線に乗り換えて豊洲へ、豊洲からゆりかもめ…鳥じゃなくてケーブルカーの名前だけど、ゆりかもめに乗ってお台場海浜公園駅を目指すのさハハハ」くらい言えるよう、声出しの練習もしておきたいものですね。
↓フワッとしたイメージは動画で伝え、言いたいことはハッキリ言葉で言う!面映ゆいけれど、ここまでやってこそのプレゼン!
どうでもいいけど、この動画何回でも見たくなるな!
ベタでいいじゃん!ベタでもいいじゃん!
↓決定の瞬間、すべての人が報われた!やったぞ東京!やるぞ東京!
沸き立つメンバー!
放心弛緩の猪瀬氏!
誰かをぶん殴ったあと、「もう一発ぶん殴ろう」としている総合格闘家みたいな小谷実可子氏!
強い思いがあれば、日本人でもここまでできるんだ!
招致委員会のみなさん、お疲れ様でした!7年後へ向けて頑張りましょう!
いやー、やりましたね東京。2020年夏季五輪開催都市に東京が決定した喜びと興奮は、いまだにおさまりません。7年後の未来に必ず明るい日がやってくる。その日までは死ねない。絶望しても人間をやめられない。7年間は生きる希望を持てる素晴らしいニュースでした。
僕自身は金曜夜から徹夜での仕事をこなし、にもかかわらず土曜日も所用で昼には外出しなければならないという状況。そこからさらに徹夜で発表を待つというハードスケジュール。もし落選していたなら、発表の瞬間ラモスのように地面に崩れ落ち、そのまま寝る感じのスケジューリングでした。
しかもパブリックビューイングで見ようなんてことで、駒沢のオリンピック記念公園に出向いたのですが、ゲストの中川翔子さんが「深夜2時だから貪欲にたぎってきましたー!」とか言って、めっちゃハードなライブをしてくれたのです。「引きこもりだけどオリンピックが見たい!」「次の曲は聖闘士星矢、ベガサス幻想!(←たぶんアテネ絡みで五輪つながり)」「せっかくだからスクワットしましょう!」というヘンなテンション。ぬめっとする汗が全身を覆い、発表前に死ぬかと思いました。
しかしまぁ、それも東京の素晴らしさ。東京は昼でも夜でも安全というアピールをしていましたが、真夜中の公園で女子が歩いていても何も起きない街ってスゴイですよね。タクシーに乗らなくても夜の街を移動できるんですよ?こんな素晴らしい場所、世界のどこにあるんでしょう。日本人はともすれば控え目に考えてしまいますが、日本人が思う「日本のちょっといいところ」は、思った以上に「すごくいいところ」なんでしょう。
僕はそのことを歓喜の最終プレゼンテーションで感じていました。ベタ、あまりにもベタ。恥ずかしいくらいの芝居っ気と、てらいのないアッピール。「あぁ、世界ってのはこれくらいベタに言ってやらないとダメなんだな」と改めて思いました。お菓子とかもそうですよね。日本ではわずかな甘味を鋭敏に察しますが、外国のお菓子って大概がクッソ甘いじゃないですか。アレが外人向けの味つけなんでしょう。
2020年に向けて、僕も、あなたも、東京都民・日本国民としてベタに慣れていきましょう。「ハーイ!マイク!」なんて爽やかな挨拶を朝っぱらからできるようなベタテンション。満面の笑みで観光客を出迎える観光地みたいなモード。日本のいいところを、しっかりと表現すれば、世界の誰もがきっと満足してくれるはず。
だって、こんなに社会や人生に不満の多い僕でさえ、日本での暮らし自体には満足しているんですから!
世界にうらやましい国なんてないんですから!
ということで、あまりにベタで改めて見ると笑っちゃう東京の最終プレゼンテーションについて、ちょっと落ち着いた目で振り返っていきましょう。
◆滝川クリステルさんのオススメするものには、基本投票しません!
イスラム圏初、ヨーロッパとアジアの架け橋となる意義を訴えるイスタンブール。長い準備期間と地元の熱狂度を掲げるマドリード。それぞれにアピールポイントは強いものがありましたが、両者はスネに深い傷をも持つ国。
施設・ホテル・運営実績がほとんどなく、しかもシリア情勢の影響など安全面が不安視されるイスタンブール。好調な経済で7年後までにゴリ押しするとは言っていますが、同様の主張で開催都市に決定したリオはいまだに競技場の建設も終わらない状況。「アヤしい…」というIOC委員の疑念は払拭されません。
施設はほぼ完成済みと言いつつ、深刻な経済危機を抱え、若年層の高い失業率にも悩むマドリード。最終プレゼンでは「我々には五輪が必要だ!」という金の無心のような雰囲気まで醸し出していました。「アヤしい…」というIOC委員の疑念は払拭されません。
東京は相手との違い、東京の強みをしっかり訴えます。日本式に考えると遠回しな嫌味みたいな内容であっても、それが世界基準。「あ、やっぱアッチはリスク高いよね。東京は安心だね」と思ってもらえるよう、しっかり強みを伝えること。笑顔、身振り手振り、ベタなストーリー。恥ずかしさやてらいを捨てて豪速球を投げる。それが2016年の反省を踏まえた東京の改善点でした。
↓ちなみに2016年の最終プレゼンは、今見るとどこかボケている!
若者に夢を!安全な都市!安定した運営能力!
言っていることは大して変わらないけど、世界の環境問題とか話がデカすぎるわ!
そして鳩山さんが出てる時点でダメな気がする!トラスト・ミー!
2020年の東京は相手の理解力に期待せず、「伝える」ことの修練を積んできました。ロビー活動も積極的に行ない、アフリカ・アセアン地域を中心に訴えかけてきました。僕はテレビで最終プレゼンを見守りながら「勝ったな」と思ったもの。もともと2連続立候補2回落選のマドリードと、5回立候補で5回落選のイスタンブールが相手です。相手には今までも選ばれないだけの理由があり、それは基本的に変わっていません。強く念押しさえできれば負けるはずなどなかったのです。
↓日本のオープニングを飾ったのはプリンセス・タカマド!
作戦会議:「スペインはどうせ王族出てくるだろ」
作戦会議:「皇室は表向き協力はできないけど、来てくれればいい!」
作戦会議:「プリンセス●●が出てくればそれでいい!」
作戦会議:「言ってる内容はたぶん関係ない!」
価格:1,260円 |
皇室が出向く。しかも先陣を切る。ロイヤルファミリーが支援するというシチュエーションは、ベタですが世界市民の胸にはグサッと刺さるもの。日本の皇室の立場からは積極的協力はできないところでしょうし、プレゼン内容も「スポーツって素晴らしい。復興支援ありがとう」という選挙とは無関係のものでした。しかし、プリンセスとして登壇してくれただけでも、マドリードの強みをひとつ相殺する有効打。これがベタパワーなのです。
つづいて登壇したのはパラリンピアン・佐藤真海さん。骨肉腫により足を失い、さらに東日本大震災で故郷の町が津波に襲われたという、ドラマのような悲しみを背負ったアスリートです。これだけの強いメッセージ性を背負ったキャラクターが、スポーツの力で人生を取り戻したとアピールするのです。子どもが夢を語るよりも、ハートにズドンと響く一撃。世界に通じるベタパワーとはこういうことでしょう。
↓そしてベタなドラマで恐縮ですが未来へ希望をつなぐ「Feel the Pulse」上映です!
作戦会議:「何でこんなとこにバスケのゴールあるかって?」
作戦会議:「しかも何で外人だらけのチームが来たんだって?」
作戦会議:「さぁ………?」
作戦会議:「でもホラ、このほうが切ないじゃん?」
作戦会議:「グッと来るじゃん?」
作戦会議:「細かいことはいいんじゃん?」
そして登壇した竹田恆和理事長。理事長はオリンピック精神の遵守を掲げたベタアピールをします。「ドーピング、違法賭博、八百長行為」を敵視し、日本にはそれがないということを強く主張したのです。昨今、オリンピックの華である陸上競技はドーピング渦によってスター選手が一斉摘発を受けています。自転車競技ではほとんど全員やってるんじゃないかという勢いで、医師がクスリを集団処方していたケースも見つかっています。その点、東京ならばクリーンな五輪が開催できる。そういう精神性がある。オリンピック・ムーブメントという大正論によって、ベタに東京の強みを訴えたのです。
さらに連続して登壇した水野正人副理事長(ミズノの元会長)は、財界人らしく財界からのベッタベタなアピールを展開。画面に掲示されたスポンサーロゴの山・山・山。そして蝋人形みたいな笑顔。日本人の感覚だと「うわっちょっと怖いです…」と思うところですが、「いいですねースゴイですねー」と思う、それが世界標準ベタに違いありません。
↓21社もの企業スポンサーがついているとベタにアッピールしたぞ!
作戦会議:「おっ、めっちゃいっぱいある」
作戦会議:「ってオイ!ANAが2回、TOYOTAも2回、JALもGREEもミズノもエクセルヒューマンも丸大食品もダイワハウスもアシックスもデサントも読売新聞も2回ずつ表示されてるじゃん」
作戦会議:「しかも日清オイリオと日清食品が別々に載るって…」
作戦会議:「完全な水増しではないかと…」
作戦会議:「企業スポンサーとスポンサーシップは別扱いだからいいの?」
作戦会議:「これでいいんだ…なるほどね…」
作戦会議:「どうでもいいけど、7年後、GREEあるかな?」
↓幕間のVTRでは小谷実可子さんが東京のベタなデートコースを紹介!
原宿、渋谷、お台場海浜公園!
「ポパイ」のデートコースみたいだけどベタでいい!
「裏原」とか「裏」はいらないのです!
↓4番手で登場した猪瀬東京都知事は「four point five billion US dollars ready right now to pay」の名言を残した!
作戦会議:「まずマドリーはんに見せつけまひょ」
作戦会議:「ゼニや、ゼニを見せつけまひょ」
作戦会議:「マドリーはんの言うてるんは手形でっしゃろ?」
作戦会議:「手形はアテになりまへんなぁ」
作戦会議:「ホンマに信頼できるんはゼニや、現金や、キャッシュでおま」
作戦会議:「45億ドル、マドリーはんにありまっか?」
作戦会議:「わてらコレ、キャッシュで、銀行にありまんねん」
作戦会議:「今すぐ使えるキャッシュで、銀行にありまんねん」
これはキツイなwwwwwwwwwwwww
札束で対戦相手のほっぺたを全力で引っ叩く仕事は、猪瀬氏にしか託せないわwww
僕なら恥ずかしくて言えないwwwwwww
価格:1,260円 |
さぁ、そしてやってきました滝川クリステル女史。外人風の顔立ちと流暢なフランス語。作られた笑顔で夜のニュースを席巻した彼女ですが、日本国内ではすでに「なんか内容が薄い」という空気が漂い、見かける機会も少なくなってきました。しかし、世界にはこれがハマる。美人が笑顔で何か言う、それが鉄板ベタ。余計な変化球はいらないのです!
↓「オ・モ・テ・ナ・シ」のサインでクリステルスマイルが世界を魅了した!
作戦会議:「ブレーキランプ5回点滅〜♪」
作戦会議:「オ・モ・テ・ナ・シのサイン〜♪」
作戦会議:「いい笑顔するねぇ」
作戦会議:「さすがニュースじゃなくて笑顔で天下取っただけはある!」
作戦会議:「でも、何かちょっとアヤしいCMみたいじゃないです?」
作戦会議:「効かないクスリみたいな」
作戦会議:「まっ、いいか!」
ここで幕間に「Pulse of the city」動画を上映。日本庭園、スカイツリー、雷門、東京タワー、芸者、寿司、相撲、メイドカフェ、盆踊り、花火、屋形船…完全にベタな観光VTRです。しかし、その途中途中には先進的な都会が映し出されています。オリエンタルな文化と快適な文明の融合。「タダで旅行に行きたい!」としか思っていないIOC委員のハートをガッチリつかみます。
↓そして登壇した太田雄貴さんがアスリートの立場からガツンとイスタンブールとの違いを打ち出す!
作戦会議:「太田さん、ガツンと言ってやってください」
作戦会議:「東京が、アスリートにとっても一番いい環境だって」
作戦会議:「今更感もありますけどアニメパワーも言っちゃいましょう」
作戦会議:「キャプテン翼も映しまして」
作戦会議:「メッシ、これ翼に憧れ、スペインで頑張ってます」
作戦会議:「カカ、これ翼に憧れ、スペインで頑張ってました」
作戦会議:「ウチムラ、これ日本が誇るレジェンドです」
作戦会議:「で、トルコは…?と」
作戦会議:「いや、これ言いにくいですよ」
作戦会議:「言いにくいですけど、言っていきましょう」
作戦会議:「ガツンと!」
↓つづけざまに安部首相が「the situation is under control」と力強くアピールし、世界の不安を払拭!
作戦会議:「いい演説じゃない…ウチの首相かっけーな…」
作戦会議:「政治家がこんだけ強く言ったら逆に嘘っぽいですけどね」
作戦会議:「それは言っちゃダメだよー」
作戦会議:「でも、意外に言ったもん勝ちって感じもあるな」
作戦会議:「デカイ声でビシッと言ったら大体通ると見た!」
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
作戦会議:「アンダーコントロール!」(←TMネットワーク風に)
価格:1,260円 |
ここで、先ほどの「Feel the Pulse」動画の続編を上映し、受け継がれるハートを表現。さっきの子どもが大人になり、今度は自分が孤独なバスケ少年に手を差し伸べるというベタなストーリー。しかし、ベタで強いメッセージは胸に来るものがありました。ほとんどの演者が外人という、全然日本じゃない感は拭えないVTRですが、これでいいんです。外人に見せるVTRなんですから!これが「伝える」ということなのです!
そして最後は再び竹田理事長が登壇し、「Vote for Tokyo!」三連打でトドメを刺します。結局、要するに、言いたいことはコレなわけじゃないですか。ニワトリは三歩歩くとモノを忘れると言いますが、人間だってしっかり強く言われないと忘れてしまうことに変わりはありません。一番大事なメッセージを、ぶっちゃけて、大声で、何回も、言う。それが世界との付き合い方だったのです。
それぐらいしていかないと、感動や感謝、そして尊敬も伝わらないという気持ちで、2020年を迎えたいもの。いきなりは難しいかもしれませんが、すれ違う知らない観戦者に「ようこそ日本へ!」「困っていることはないかい?」「ハハハそれは山手線外回りで池袋まで行き、そこで営団地下鉄有楽町線に乗り換えて豊洲へ、豊洲からゆりかもめ…鳥じゃなくてケーブルカーの名前だけど、ゆりかもめに乗ってお台場海浜公園駅を目指すのさハハハ」くらい言えるよう、声出しの練習もしておきたいものですね。
↓フワッとしたイメージは動画で伝え、言いたいことはハッキリ言葉で言う!面映ゆいけれど、ここまでやってこそのプレゼン!
どうでもいいけど、この動画何回でも見たくなるな!
ベタでいいじゃん!ベタでもいいじゃん!
↓決定の瞬間、すべての人が報われた!やったぞ東京!やるぞ東京!
喜びの瞬間の写真が届きました!! 2020年 オリンピック・パラリンピック開催都市は、東京です!! pic.twitter.com/1egE3XCDJU
— TOKYO●2020/東京2020招致 (@Tokyo2020jp) September 7, 2013
沸き立つメンバー!
放心弛緩の猪瀬氏!
誰かをぶん殴ったあと、「もう一発ぶん殴ろう」としている総合格闘家みたいな小谷実可子氏!
強い思いがあれば、日本人でもここまでできるんだ!
招致委員会のみなさん、お疲れ様でした!7年後へ向けて頑張りましょう!
東京版の出版も楽しみにしてますよ、フモさん!