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07:40
羽生結弦、金メダルおめでとう!

誰の時代を選ぶのか。その選択こそが今回の金メダルだったように思います。6.0点+6.0点で採点した時代のように、審査員ひとりひとりが投じた票の積み重ね。パトリック・チャンと羽生結弦、そのどちらに1位票を入れるべきか。5.9点と6.0点。2枚のカードを残しながら、フィギュアスケート界の未来を選び取る。そして選ばれたのが羽生結弦だった…ソチ五輪フィギュアスケート男子シングルの結果を見て、僕はそう感じています。

確かに理屈はいくつもあります。羽生クンがSPで出した101.45点の世界最高得点。ここでつけた約4点差が最後の勝敗をわけたとは言えます。あるいは、2種の4回転に挑戦し、セカンドジャンプに可能な限り3回転を詰め込み、演技終盤に高得点のジャンプを並べるなど基礎点でライバルを上回っていたことが勝因だとも言えます。いや、5コンポーネンツでの地道な評価アップこそが、フリーでの逆転を許さなかった地力を生んだとも考えられるでしょう。

しかし、この勝負に理屈はない。

理屈を引っ込めようと思えば引っ込められる競り合いでした。

最終グループ、先に滑った羽生は演技冒頭の4回転サルコウで転倒すると、3回転フリップでも転倒。2度の転倒という大きなミスでGOEで4.9点、減点で2.0点…およそ7点を失う演技でした。完璧ではない。程遠い。SPの素晴らしさが際立っていただけに、「失敗」と言ってもいい演技内容でした。

もちろん、現在の採点方式では転倒=大失敗というわけではありません。羽生クンが転倒したサルコウも回転は足りており、10.50点の基礎点はしっかり取れています。転倒以外の部分では、トリプルアクセルからのコンビネーションなど雄大で流れのある、いわゆる「加点の取れる」ジャンプもありました。SPでの差を考えれば、誰がどんな演技をしても「銀メダル以上」には足りる演技内容です。

もし、羽生クンの次に滑るパトリック・チャンが完璧な演技を見せていたら、SPの4点差などは霧散し、逆転を許していたはず。今季の両者は総計300点に迫る戦いをしていたのです。羽生のフリー演技が終わった時点での総計275.62点は届かない数字ではない。五輪だから多少辛目に採点されるとしても、十分に超えられる程度のスコアです。

ところがパトリック・チャンも調子が出ない。冒頭の4回転トゥループからのコンボは完璧に…GOE加点3.0点という「すべてのジャッジが満点をつける」パーフェクトジャンプを決めたものの、つづくジャンプ要素2つはほとんど転倒に近いもの。両手を氷につき、倒れるのを回避するのがやっというものでした。演技終盤にはダブルアクセルで大きくステップアウトする場面も。

どっちもどっちのピリッとしない演技。

勝敗で言えば「両者負け」と言えるような戦い。

それでも、どちらかを選ばなくてはいけません。ジャッジの心情的には羽生クンに5.9点を出し、6.0点を握りながら待っていたら拍子抜けの演技が来たといったところか。もしそのとき、どちらかを選ぶとしたら、より未来の大きさを感じるほう。新たな時代を牽引するほう。基準に沿って機械的につける得点の積み重ねの中に、「時代への一票」が混ざっていた結果こそが、今回の結果なのだと思いたい。

これは個人的な好み…僕の「一票」の話になりますが、やはりスポーツである以上、限界を超えていく姿勢というのは求められて然るべきだろうと思います。より速く、より高く、より遠く。かつてスキージャンプのV字飛行が「美しくない」と飛形点で減じられていたことがありましたが、結局はより遠くに飛ぶその形は美しいものだと評価されるようになりました。フィギュアスケートは舞踊でありつつも、スポーツである。より困難な道を、より遠くを目指したものに、リターンがあってほしい。そう思います。

どちらも完璧でない同士、そのとき僕なら、より困難な道を選んだユヅル・ハニュウに1票を投じます。羽生クンはわずかにリードがある状況でも、自身の課題である2種類の4回転を入れることを当然とした。SPでの完璧な決まり具合からすれば、2回ともトゥループを跳ぶ選択があってもいい状況で。

だからこそ、その向こうに、未来を感じる。

4回転時代の再来。今はもう4回転は当たり前で、さらにそれを美しく決めた者だけが勝利する時代。そして今後は、4回転を美しく決めるのは当たり前で、さらにその中で得点の積み上げを図らなくてはいけない。2種の4回転を跳ぶ選手はどんどん増え、ハーフループを活用したセカンドトリプルジャンプの多様化も見られます。今大会でも多くの選手が3回転⇒1回転ループ⇒3回転サルコウという詰め込みにトライしていました。

行きつく先には、4回転トゥループと4回転サルコウをコンビネーションを絡めて2本ずつ跳ぶという世界が見えてきています。そしてセカンドジャンプに2回転を持ってくることがなくなる世界が。今すぐやれと言われても無理でしょうが、それを目指してこそやり甲斐がある。そういう未来が見えてきています。

ジャンプに比重を置いた時代から、ステップやスピンなどすべての要素にレベルアップを求めた時代へ、そして完成度を突き詰めた時代を経て、今度は新たな地平を切り拓く時代へ。その先頭を走る選手として、羽生結弦が新時代に選ばれた…そういう意味合いのものとして、この結果をとらえたい、そう思うのです。

皇帝・羽生結弦、新たな時代を牽引する者。

その印としての金メダルだと。

今が頂点ではなく。

未来への一歩だと。

これが「最初の金メダル」となるよう祈念して、お祝いの言葉と代えさせていただきます。

おめでとう、よかったね!!


↓勝った者しか見えない世界がある!勝った者しか行けない世界がある!キミはそこに行く人なのだろう!










<動画:男子シングルフリー ハイライト>
http://www.gorin.jp/result/FSFSM010/index.html?bctid=748911743002

何か、すごいな…。

光の速さで遠くへ遠くへ行ってしまうな、君は…。


↓金の上を目指せる人は、金に満足しない人なのだろう!
羽生:「緊張しました。すんません、ほんとに」

羽生:「やっぱりオリンピックってすごいなと思いました」

羽生:「やっぱり結果としてすごい嬉しいなと思うの半分、自分の中では悔しいと思うところが結構あるので…」

羽生:「ま、オリンピックで金メダル獲って言うのも何ですけど(笑)」

羽生:「やっぱりちょっと悔しいかなと思います」

羽生:「(昨晩は)時間もあんまりなくて、練習も朝早くからだったので、みなさん結構体調悪かったりしたと思うんですけど、今回の試合でほんとに緊張しましたし、その緊張の中でどれだけ自分の演技をできるようになるかっていう、ほんとにそういういい経験になったなと思っています」

羽生:「(パトリック・チャンの得点を見たときは)とにかく驚きしかなかったですね。嬉しいとかそういう感じはほんとになかったですね。自分の演技については悔しかったので嬉しい感情はなかったんですけれども、こうやって表彰台にのぼって、まぁまだ(もらったのは)花束ですけれども、もらってすごい嬉しかったです」

羽生:「(金メダルについて)そうですね。早く見たいです」

謝るようなデキでも金メダルをもらえたのは、時代に愛されている証拠!

世界が、ゆづに、恋してる証拠!

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感想(109件)




さて、もう眠いので手短にはなりますが、日本の2選手について。

町田樹クンは銅メダルまでわずか1.68点の5位。あとひとつ、あとひとつどこかでミスを失くしていれば、獲れたかもしれないメダルでした。最高の町田樹ではなく、弱いほうの町田樹が出ていたのかもしれません。ただ、それは伸び代があるという意味でもあります。最高の自分はメダルに届き得る存在だということです。高橋大輔さんが27歳。町田クンが23歳。もっと上に行くための原動力になる悔しさというヤツが世の中にあるのなら、今回のはそれなのではないかと思います。

高橋大輔さんは「勝った」演技だったと思います。ミスもあり、要素としても抜けるものがありましたので、得点は仕方ないところ。ただ、その「道」という意味では、しっかりゴールまで駆け抜けてくれたように感じます。足の痛み、思わぬトラブル、心を削るたくさんの出来事があった。コーチたちが「最後まで諦めるな」と言って送り出したということだけで、舞台裏の険しさが、絶望が思いやられます。

しかし、すべて笑顔で包み込んで締めくくった。心から笑えない日でも、笑って見せられる男。さすが。やりますね。このイイ男。たぶん今日、フィギュアスケートでない何かの競技で、高橋大輔は勝ったのでしょう。勝って、この舞台を去ったのでしょう。そう思わせてくれて、助かります。お見送りは互いに笑顔で…それがお約束ですから!

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日本男子お疲れ様!それぞれの次の戦いへ、ゆっくり休んでください!