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08:01
諦めないとはこういうことだ!

ソチ五輪大会9日目、日本スポーツ史に残る伝説のメダルが生まれました。スキージャンプ・個人ラージヒル。この試合に臨むは葛西紀明41歳。五輪出場7回目を数える大ベテラン。ワールドカップ通算16勝のレジェンドです。その男が、7度目の挑戦でついに自分自身のメダル…銀メダルを手にした。この年齢で、今になってようやく。何という粘り。何という諦めなさ。まさに常人の想像の遥か先へ飛んで行く伝説的偉業です!

葛西さんの五輪は苦闘・困難の歴史でした。過去6度の挑戦で獲得したメダルはひとつ。しかもそれは、リレハンメル五輪の団体でのもの。つまり、金メダルがほぼ確実な状況まで進んだ試合を、原田雅彦さんの信じられない大失敗ジャンプで金を獲り逃した末の銀メダルです。手にしたものよりも、失ったものを思い出させるメダルです。

葛西さんは、あの歓喜の長野五輪では蚊帳の外にいました。個人ノーマルヒルでは7位入賞を果たすも、それは長野で期待されていたものからはほど遠い結果。世界王者・船木和喜を擁し、金メダルだけを目指すジャンプチームにあっては、個人7位は「不振」扱いだったのです。

葛西さんは個人ラージヒルと団体のメンバーから外されたことを、今も冷めぬ怒りを持って記憶しています。2014年のソチ五輪への抱負を聞かれているのに、「あの日、当日の朝まで自分が出ると思っていた(怒)」「知らなかった(怒)」「ビックリした(怒)」とギラギラした目で語る男の姿。仲間の歓喜を、仲間の金メダルを、「水を差さないよう自分を押さえるだけで精一杯」という顔で見つめる怒りの人。枯れることない情熱が血走っていました。

31位、26位、4位(団体)、5位、14位、2位(団体)、7位、不出場、不出場、49位、41位、不出場、20位、12位、6位(団体)、17位、8位、5位(団体)…ときて先日のノーマルヒルでの8位。これが葛西さんのこれまでの五輪での成績です。いかにもパッとしません。世界選手権ではちゃんと個人のメダルも獲っているのに。五輪は何故かダメになる。それが、今日になってメダルをつかもうとは誰が想像できたでしょう。

「諦めない」と言葉にする容易さと、実行する難しさ。

葛西さんは何度も何度も自分をスクラップ&ビルドしながら、いくつもの壁を飛び越えてきました。ソチ大会のPRで流れたVTR。そこに映る若き日の葛西さんは「スキー板を揃える飛び方」でジャンプしていました。そこからV字飛行を習得し、ダボダボのスーツで風を捕まえる時代を経験。度重なるルール改訂で、板の長さが変わり、用具の規定が変わり、体重にも制限が生まれ、そのたびに求められる技術・感覚も変わってきました。ときにはガリガリになるまでダイエットしてみたり、迷走の肉体改造も経験しました。

さらに、競技以外の部分でも壁は立ちはだかります。家庭の事情であったり、所属する企業のスキー部が廃部になることであったり、何度も何度も大きな壁が。そうした壁の手前に立つとき、普通なら二度目か三度目くらいで「俺はもういいよ」と投げ出してしまうのではないでしょうか。そして、思い出と共に古い時代に閉じこもってしまうのではないでしょうか。

しかし、葛西さんは「飛びたい」「勝ちたい」という想いだけを変えず、ほかのすべては容赦なく変えつづけてきた。変えつづけてきたから今日がある。今、葛西さんは誰よりも雄大なフォームを備えています。大きく大きくスキー板をH字型に開き、手を目一杯に広げる。指の先まで開き、自分の横をすり抜ける空気を少しでも多く捕まえようとする。まさに「翼を広げて」飛ぶフォーム。スキー板を揃えていた時代の選手が、2014年に翼を広げているなんて嘘みたいですよね?

不撓不屈。

今大会に臨むあたり、葛西さんが掲げた言葉だといいます。強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさまを示す言葉、まさに葛西紀明そのもの。時間にくじけない。ルールにくじけない。年齢にくじけない。敗北にくじけない。廃部にくじけない。病気にくじけない。怪我にくじけない。「また4年後か」という落胆にくじけない。勝つまで絶対にくじけない。そのくじけなさに、スキーの神様も根負けしたのかもしれません。「わかったよ、1個やるわ!」「勘弁してよ!しつこいよ!」「もう帰ってください」…と。

今、同じ五輪で、耐えがたい挫折を経験した人がいるはずです。しかし、その耐えがたさはどれほどのものでしょうか。葛西よりも大きいのか、否か。伝説は嘘じゃない、夢じゃない。今日ここにある現実です。ならば、葛西紀明が飛び越えたように、自分もその挫折を飛び越えられるのではないでしょうか。

くじけるには、まだまだまだ早すぎる。

また、頑張っていきましょう。

伝説をその目に刻みつけながら。

ということで、生ける伝説が起こした現代の奇跡を、15日の「スキー・ジャンプ 個人ラージヒル」からチェックしていきましょう。


◆原田さんがヘラヘラしてるのがイラッとくるんですよね!わかります!

気がつけば日本のお家芸・ジャンプも、随分と栄光から遠ざかってきました。単発の勝利はときおりあるものの、五輪に関しては16年間メダルなし。それはつまり、長野五輪団体を最後に栄光が途絶えたということです。あの歓喜を最後に、花が散るように。

しかし、伝説は今なお生きている。葛西紀明。今季10シーズンぶりにワールドカップで勝利したリビング・レジェンド。リレハンメルで原田雅彦さんのせいで取り逃がした金メダルを追いかけ、長野五輪で原田雅彦さんだけちゃっかり金メダルをもらったことにイラつく、カミカゼ葛西が!

↓葛西さんが10季ぶりの勝利をはたした試合では、世界の王者たちが脱帽・敬礼した!


異国の地で揺れる日の丸!

他国のコーチが葛西の勝利を祝う!

ドイツのジャッジは飛形点に20点をつけた!

脱帽・敬礼する世界の王者たち!

シュリーレンツァウアーが!プレフツが!クラニエッツが!

伝説を目撃した誰もが歓喜した!


↓こんな時代から空を飛んでいた男が、今なお飛ぶ!


まったく別物だな!

やってることが全然違う!

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先ほどの勝利以外にも3度表彰台に上がるなど、絶好調で迎えた7度目の五輪。思えば、葛西さんは五輪のときはちょっと調子を落としてくるのが常でした。多分、勝ちたすぎてピークがズレるタイプなのでしょう。ようやく本人と時間とがバッチリ合った五輪。今回こそは…という想いで、得意のラージヒルに臨みます。

解説の原田さんも「自信満々ですよ」と葛西さんの状態に太鼓判。若いライバル選手が出てきても「葛西に比べてキャリアが少ない」と言い放つなど、「そりゃそうですけど」としか言いようがない論法で、葛西さんに対する絶対的評価を表明します。

さらにノリノリの原田さんは、フィンランドのアホネンについて「アホネンが金メダル獲ってないなんて信じられませんねェ(ヘラヘラ)」と語ります。そのヘラヘラの奥にフワッと漂う、「僕は金メダル持ってます」感。これだ、このイラッだ。このイラッこそが葛西さんに怒りパワーを充填するはずだ。僕はテレビを見ながら、原田さんもまた葛西伝説成就を祈願しているのだと確信します。飛べ葛西さん!このイラッを原動力に!1994年と1998年のイラッを思い出すのだ!

まず1本目。最後から3番目で飛ぶ葛西さんは、いつものように大きく翼を広げるとヒルサイズに迫る139メートルの大飛行。飛形点でも19.0点を揃え、その時点でトップに立ちます。最後に跳んだノーマルヒルの金メダリスト・ストッフに抜かれはするものの、ポイント差で2.8点。飛距離にして約1.5メートルの僅差で、金メダルを争う2本目に臨みます。

↓葛西が吠える!ついにメダルに手をかけた!

吹けよカミカゼ!

葛西にメダルを!


2本目、葛西さんは順位の逆順…つまり最後から2番目で登場します。飛んだ時点で1位になれば銀メダル以上が確定する。まずはそれを目指したいところです。しかし、ことは簡単ではありません。この会場、なかなか風が安定せず、強い向かい風になったり、急に追い風になったりと落ち着きがないのです。

向かい風が強まるたびに、運営側は「飛びすぎて危険だ」とゲート位置を下げていきます。ゲートが下がれば、当然距離は出づらくなります。しかし、金メダルを争うならその中でも大ジャンプを出せるチカラが必要です。葛西さんの2人前で飛んだスロベニアのプレフツは131メートルの大ジャンプ。直前に飛んだドイツのフロイントも129.5メートルを飛び、上位につけます。葛西さんがトップに立つには、およそ132メートルのジャンプが必要です。飛べるか…飛べ…葛西さん!

↓葛西さん、大ジャンプだ!大ジャンプでキター!!

http://www.gorin.jp/result/SJSJM090/index.html?bctid=749784489002

解説の原田さんも「こっからこっから!」と絶叫!

葛西さんは着地もバッチリ決める!

トップに立ったことを確信するコーチ!

日本の仲間も駆け寄ってきた!


↓葛西さんのメダルを確信し、抱きつく仲間たち!

これは、長野五輪の「ふなきぃ…ふなきぃ…」からの抱擁のようだ!

伝説の再現だ!!


↓この時点のトップに立ち、銀メダル以上が確定!

おめでとう葛西さん!

信じて起きててよかった!

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最後の最後まで空気をつかみにいった葛西さんの飛形。それはまるで、メダルを抱きしめにいくかのようでした。今度こそ抱きしめさせてくれ。つかませてくれ。その願いが届いた瞬間。41歳までの長い時間。すべてが報われたに違いありません。すべてがこの日のためにあった道のりだと思えたに違いありません。

最後に飛んだストッフが、わずかに葛西さんを上回り金メダルはなりませんでした。しかし、出し切った上での敗北ならば仕方ありません。この手に銀メダルがある、銀メダルも悪くない。この銀は「金を逃した銀」ではなく、「金を争った銀」です。何も失っていない、愛すべき銀です!

↓葛西さんは7度目にしてようやく五輪で喜びを語った!
葛西:「ありがとうございます!」

葛西:「ノーマルヒルではメダル獲れなかったんですけど、メダルを獲るという難しさをすごく感じてて」

葛西:「ほんとにレベルの高い試合だったので、メダルを狙ってましたけど、簡単に取れるとは思ってなくて」

葛西:「いろんなことが頭でグルグル回ってて、失敗したらどうしようとか、メダル獲れたらどうしようとか、たくさん頭によぎってて…でも2本ともいいジャンプできたと思います」

葛西:「仲間たち…大貴・拓・礼留飛がすぐ駆け寄ってきてくれたので、絶対トップに立ったっていうのがわかったので、その時点でメダル確定ということですごく嬉しく思いました」

葛西:「初めてですね。個人戦でメダルを獲ったことがなかったので、明日メダルセレモニーでどんな状況になるか、ちょっとわかんないですけれども、本当に楽しみにしてます」

葛西:「(何故こんなに長い間、強くいられるのか)僕も不思議に思っていますね(笑)。でも、負けたくないっていう気持ちが強かったですし、たくさんの方に支えてもらえて、お父さん・お母さん、そして姉・妹、そして会社の方たち、ファンの方たち、ずーっと今までたくさん応援してきてくれているので、その応援に応えたいなっていうのが自分の一番の気持ちでした」

葛西:「金メダルを獲って本当に『レジェンド』と呼ばれたいなと思っていたんですけど、また目標ができたので、金メダルという目標に向かってまた頑張っていきたいなと思います。諦めずに金メダルを目指して頑張ります」



言うと思ってたよ!

金メダル獲ろう!

やっぱり金がいいですよね!


さぁ、次は団体戦。まだ金メダルという目標は未達成で残っています。ちなみに、ちなみにですが、天候その他条件は変わるということは置いておいて、この日のラージヒルの結果を団体戦に当てはめるとどうなるか。何と日本は4人合計1031.4点でトップに立つのです。オーストリアはモルゲンシュテルンが精彩を欠きラージヒルの2本目に2人しか進めないという体たらく。ドイツもフロイント以外はチカラが一段落ちる様子ですし、ポーランドもストッフ以外に3人揃えられるかというとちょっと難しそう。その点日本は、出場4名全員が2本目に進出し、その合計8本のジャンプすべてで120点以上をマークする抜群の安定感。葛西さんの次なる目標、わりと早く達成できそうな予感で、ちょっと震えてきます!

↓次はこの日の丸をセンターポールに掲げよう!

いけるぞ、金!

取り返せ、あの日の金!


↓現地の熱狂的ファンも葛西さんの悲願成就を応援しています!


これ国際映像絶対わかってないだろwwwwww

「日本から来た元気のいいファン」だと思ってるよなwwww

左は銅、右は金・銀・銅・世界記録だぞwwwwww

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歴史を作るぞ!長野を超えろ!忘れ物を取り返せレジェンド!