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13:13
仕方ない、ポストシーズンだ!

6日に決着を迎えた2014年のJ1リーグ戦。今年も最終節までもつれる激闘は、ガンバ大阪の優勝で幕を閉じました。J2からの昇格1年目での優勝。すでに優勝を決めているナビスコカップ、決勝進出を決めている天皇杯と合わせて「昇格即3冠」という夢物語が完全に現実のものとなってきました。改めてガンバ大阪というチームの底力、脱帽です。

それにしても、もつれまくった終盤戦。32節には優勝に王手をかけていた浦和が、追いかけるガンバ大阪と直接対決に臨みますが、ガンバ大阪が勝って決着は次節以降に持ち越しに。さらに33節では、ここでも「浦和が勝ち、ガンバが引き分け以下」なら優勝が決まるという状況で、「浦和分け・ガンバ勝ち」という裏返しの結果に。ついに最終節はガンバ・浦和・鹿島の3チームが可能性を維持した三つ巴となったのです。

「相撲じゃねぇんだよ!」

僕の心に響くNHK編成部の声。

最終節、ついに優勝争いが決着したとき、僕は静かにテレビに向かって頭を下げました。どうせ毎日中継すると決めている相撲なら、優勝が十三日目に決まろうが十四日目に決まろうが千秋楽に決まろうが、大した手間はないでしょう。新聞のテレビ欄に「優勝の行方」とか書くだけですから。しかし、サッカーの場合はそう簡単ではありません。優勝の可能性が具体的に見えたときに、「ヨシそろそろやるか」とNHKが立ち上がるのです。よくぞ3節連続で立ち上がってくれた。ありがとう公共放送。

32節、決着するかと思いきや、せず。33節、決着するかと思いきや、せず。しかも、「●●すれば決まるかも」の大前提であるところの「●●」すら達成しやがらない。しかも、その情勢は結局最後まで変わらず、「勝てばほぼ確実に優勝」の「てば」は達成されず、「引き分け以上なら可能性あるかも」の「なら」も達成されず、「勝てばわずかに逆転の可能性が」の「てば」も達成されない。誰ひとり、何ひとつ、達成しやがらない。

「し、勝負弱ぇ…」「ワザとやってるのか…?」「優勝決める決める詐欺」という恨み節を編成部がグッと飲み込み、3節に渡って展開された優勝決着モチャモチャを最後まで追いかけてくれたNHK。とにかく絶対に決着の瞬間を「みなさま」にお届けするのだと地上波全国生放送&BS全国生放送を敢行してくれたのは「みなさまの公共放送」という強い使命感あればこそでしょう。

しかし、これはとても民放では対応がきかない離れ技です。せめて「てば」「なら」を達成した上で相手も頑張ったことでモチャモチャするなら、中継側・視聴側にも一定の納得感があるでしょうが、3節に渡り失速モチャモチャを見せられ、最後の最後まで引っ張られつづけたのです。そう言えば昨年も横浜F・マリノスが「勝てば優勝」を2節取り逃して逆転負けを喫していましたが、「混戦」というよりは「優勝決定力不足」という新たな課題感が漂います。

エンターテインメントコンテンツとして見たとき、同じ結果であっても「達成VS達成」と「未達成VS未達成」では満足度に大きな違いが生まれるのは当然のこと。ファンは勝てばどっちでもいいでしょうが、第三者はそうではない。優勝を争う3チームが勝負の試合で3チームとも負けに等しい結果になるというのはいかがなものか。

豪速球を空振り三振するなら見栄えもしますが、ヘロヘロのボールを見送って三振じゃ、客も拍子抜けするでしょう。その意味で、「どっちかは必ず“てば”“なら”を達成して決着します」というポストシーズン導入は必然の流れでしょう。とにかくどっちかのパンチがバチコーンと当たってどっちかが倒れる、そうした試合でこそテレビに映る価値がある。1年に1回とか2回だけ映る試合は、そうあるべき。NHKさんが「どうせモチャモチャするから最終節まで中継するのやめよう」「あ、33節で決まった」「じゃ最終節も中継するのやめよう」となる前に手を打ったJリーグの動き、僕は改めて評価したいと思います。

ということで、「勝てばほぼ確実に優勝で、首位と最下位の対決だから絶対ココで決まるな」と思って始まったJ1リーグ最終節について、6日のNHK「Jリーグ 徳島ヴォルティスVSガンバ大阪戦」についてチェックしていきましょう。


◆名古屋お疲れ!西野アシストにより優勝決定試合の中継が辛くも成功!

徳島のホーム・鳴戸大塚ポカリスエットスタジアム。季節外れの大雪に見舞われた徳島県でしたが、太平洋側には雪が来ないとのことで快晴のサッカー日和。スタンドには青と黒のサポーターがつめかけ、まるでガンバのホームかのような盛り上がりです。

最終節、NHKが選んだのはガンバ大阪の試合でした。まぁ当然でしょう。首位ガンバは2位浦和と勝点で並んでこそいますが、得失点差では7点の大量リードを築いています。同じ勝点ならガンバの優勝はまず揺るぎません。「勝てば確実」という試合です。しかも相手はすでに降格も決まっている最下位の徳島ヴォルティス。徳島さんには言いづらいですが「ココで決まり」と思うのは自然なこと。

それでもまだまだ別の可能性もあるかもしれない。そこでNHKはBSで他会場の試合を生中継し、「ガンバ・浦和が引き分け以下、自分たちが勝ち」ならわずかに可能性が生まれる鹿島戦にもカメラを配置。三元中継で「絶対に優勝決定の瞬間をお届けする」ことを誓ったのです。

しかし、試合開始からまもなく、NHKにはイヤーな報せが届きます。何と、2位浦和が開始早々に先制したというのです。まだ時間はあるとは言え、このままの情勢なら2位浦和が逆転優勝という格好になってしまったのです。「大丈夫だよな?」「ここまできて向こうが優勝だったらおさまりつかんぞ」「ガンバれ…」と編成部も早くもお祈りを開始したに違いありません。

↓前半2分、槙野智章さんのゴールで浦和逆転優勝への先制点!


どうでもいいけど、こういう点でもチーム全員が抱き合ったりしないものなんだな!

「まだまだ試合は始まったばかり説」「俺たちは最低8点取る必要がある説」「槙野がチーム内で森脇以外全員から浮いてる説」のどれが正しいのか、気になる!

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早速NHKでは浦和戦の模様をVTRで紹介し、現時点での優勝争いについてテロップで整理します。「このままいくと…」のテロップに示された「優勝浦和」の文字。「…」に込められた編成部の想い、はたしてガンバに伝わるでしょうか。ちょっと困る、ちょっと切ない、なら32節で決めてくれ、さまざまな願いがスタジアムを駆け巡ります。

↓そしてNHKは「このままいくと…(困るよしっかりしてくれよ何のためにコッチ映してると思ってるんだよさすがに今日は勝つだろ三冠目前のチームが最下位相手の試合なんだからココはビシッと決めてくれよていうか歴史上勝てなかったことあったっけ?)」のメッセージをガンバに向かって掲示しつづけた!
●前半8分:「このままいくと…浦和優勝」というお知らせ
実況:「現在の状況でいくと浦和が優勝ということになります」
解説:「これは時系列でわかんないですよね!」

●前半25分:「過去のガンバVS徳島戦では2013年にガンバが2-0、5-1で大勝、2014年もガンバがホームで3-0大勝」というお知らせ
実況:「ガンバ大阪、まだシュートがありません」
解説:「今季は前半の終わりぐらいにカウンターでパトリックが得点というケースをよく見ました」
実況:「徳島戦は宇佐美が相性がよく、昨年は4得点、5月の対戦でも復帰初ゴールを挙げています」

●前半32分:「このままいくと…浦和優勝」というお知らせ
実況:「ガンバこのままいくと勝点1、浦和が逆転優勝となります」
解説:「……」

●前半36分:「ガンバ大阪の今季成績はJリーグ杯優勝、天皇杯決勝進出、J1で首位」というお知らせ
実況:「三冠の可能性を残すガンバ大阪です」
実況:「サポーターは宇佐美のゴールを期待するチャントを歌っています」

●ハーフタイム:「このままいくと…浦和優勝」というお知らせ
実況:「残りは45分です」
解説:「まだ45分ありますからね」

●後半開始前:「このままいくと…浦和優勝」というお知らせ
実況:「ガンバ大阪、プレッシャーという面はどうでしょう」
解説:「プレッシャーがないということはまったくないと思います」
解説:「今日徳島との戦いですけど、勝ったら得があるわけですよね」
解説:「得しませんって言っても、得があるわけですから」
実況:「得しませんでは得しません…ね…?」
解説:「徳島戦で得します」

●後半13分:「このままいくと…浦和優勝」というお知らせ
実況:「じょじょにじょじょにガンバにとっては重い重い1点になっていきます」
解説:「今日のガンバは勝って終われば、というのが一番の目的ですからね」

焦るなNHK!まだ時間はあるぞ!

徳島は33節までで無失点の試合は2つしかないんだ!

絶対にガンバなら点を獲ってくれるはずだ!


じょじょに重苦しくなる空気。そのうち取れるだろ…くらいの甘い気持ちでいたはずが、得点の気配すらなくなっていきます。後半に入ると、逆に徳島が猛攻を仕掛け、ゴールに迫る場面まで。NHK編成部も刻々と変化する状況に「ま、ここで負けるならそれはそれでアリやね…」「去年の中村俊さんの土下座みたいなヤツの遠藤バージョンあるかもな…」「首位のガンバ、最下位徳島に痛恨の敗戦で優勝逸…いいじゃない!」と逆方向でちょっと盛り上がってくる感じさえ。

しかし、そうは問屋が卸さない。お前たちがメインで中継している試合でイイ場面は見せない。決着は総合で起こっているんじゃない、他会場で起こっているんだ。恐るべきJリーグの混戦力がNHKの思惑をドッチ方向でも打ち消していきます。何と、後半27分、浦和がセットプレーから失点し、同点に追いつかれたというのです。

↓浦和痛恨の失点!このままいくとガンバが優勝です!(27分頃から)


編成部:「うわぁ…」
編成部:「BSでは降格争いを映すべきだったか…」
編成部:「大宮と清水はどっちもガンバっとるで…」

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BS側の試合でチョイチョイ映る選手メッセージ。阿部勇樹主将の「何が起こるかわからない」というメッセージを見るたびに、「それはガンバ側のセリフだろ…」と思ってしまうほどの痛恨・痛恨・また痛恨の3連戦。百歩譲ってガンバに負けるのは天王山なのでしょうがないとしても、次節鳥栖戦でのアディショナルタイムの痛恨同点弾、そして向こうは特に目標もなんもない名古屋戦で許した痛恨同点弾。

NHKでは早速「このままいくと…」のテロップを修正の上で再紹介。「優勝 G大阪」と真っ赤な文字で記されたテロップは、本来の希望とはだいぶ違うかもしれませんが、NHK編成部的にも落ち着きを取り戻す瞬間だったことでしょう。試合開始からずっと、一度も中継しているほうの試合が優勝しそうな状況になっていなかったのですから。ふー、やっとあるべき状態の中継に戻ったなという感覚で、「このままいくとガンバ大阪優勝!」という実況アナの声にもチカラがこもります。

さぁ、優勝の行方が見えてきたことで、あとは勝って決めてもらうだけ。選手たちは当然この他会場の様子は知りません。引き分けでも優勝という感じではありますが、完全には安心できないでしょう。笛が鳴り、即ガッツポーズへ。スッキリとした優勝決定場面を作るには、ガンバが勝つしかありません。

ところがガンバは決めない。後半30分、後半40分、時間が経っても全然決めない。仕上げのリンスを投入しても決めない。ていうか全体的にパッしない。浦和戦はいろいろな意味で盛り上がっているのに、コッチはパッとしない。F1とかでは首位を走るマシンは映さず、後続でモチャモチャしているバトルを映すように、地上波で浦和戦を映すべきだったか。NHK編成部も悩みは尽きません。

↓浦和の試合のほうでは、痛恨の逆転弾を主審が取り消すなど燃える場面が連発!(8分頃から)


絶対コッチだったわwwww

ヒヤッ、ドキッ、ヒヤッの連続wwww

ガンバの試合は動きがあったときだけでよかったんやwwww


↓さらに浦和の試合のほうでは後半44分、名古屋が逆転弾を決める!(13分頃から)


途中交代で入った鈴木啓太が最終ラインでひとりでモチャモチャして相手にパスをするという痛恨弾!

まさに最終3節の展開を象徴するかのような決着!

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さぁ、これで浦和は最低でも2点が必要な状況となりました。残り時間はアディショナルタイムを入れても5分あるかどうか。総合側に伝わったこの情報により、ガンバ大阪の試合自体は特に何の動きもなかったのですが、「優勝危うし」「優勝マジで危うし」「あ、優勝決まった」とジェットコースターを体験することになりました。

自分が勝って終わるわけではなく、相手が負けて終わるという決着。しかも、ここまで名前が上がりませんでしたが、わずかに優勝の可能性を残していた鹿島に至っては、せっかく上2つが分け・負けという状況になったにも関わらず自分たちも負けているという体たらく。ツルツル滑る上り坂での駆けっこで、最後まで止まっていたヤツが勝ったみたいな失速VS失速VS失速の最終決着。NHK編成部としても「あぁ、どこ中継しても一緒だったな」と、ある意味で安心できたかもしれませんね。

↓そしてガンバは不安の中で試合終了を迎え、相手の負けによって優勝を決めた!



惜しいな!何か惜しいな!

32節が事実上の決勝戦だったな!

でも、結果オーライで「優勝決定試合」の全国生中継は成功だ!


「今年初めてJリーグの試合をテレビで見ました!」というみなさんには、さぞやスッキリしない展開となったことでしょう。結果的に「優勝決定試合」であったことは確かですが、心躍る強者VS強者のバトルではなく、地上波で映っていないほうの試合で勝手に浮き沈みのひとり相撲が展開され、何やわからんうちに優勝が決まってしまったのですから。やはりリーグ戦の結末というのは、1年間追いかけてきてこそ楽しめるものなのです。その意味では、そもそも論として「今日だけ見ても楽しみづらいコンテンツ」をお送りしてしまったNHK編成部にも反省の余地はあったかもしれません。

しかし、ご安心ください。2015年からは「絶対にココで決まる」という試合が設定されています。しかも、他会場の結果など関係なく、「赤いほうと青いほうの勝ったほうが優勝」という感じで、その場でビシッと決まるのです。鈴木啓太さんが大の字になる姿が、「優勝決定試合」のその場で見られるのです。必ずスッキリとした結末になることをお約束しますので、どうぞ2015年をお待ちください。「どっちが勝とうが別にどうでもいいんだけど、勝ったほうが優勝で負けたほうがガックリと聞いたので見てみようかしら」というフワッとした需要、Jリーグ運営サイドはしっかり把握しております!

2015年のJ1リーグポストシーズンにご期待ください!


NHK以外なら「全試合を見たあとで、深夜に録画放送」コースですかね!