12:49
最前列良席にいてほしい客と、そうでもない客!

高校野球でいつもバックネット裏最前列に映っている名物客「ラガーさん」がやおら槍玉に上がっています。キッカケは「偽ラガーさん」なるほかの客と、ラガーさんとその仲間たちによる「8号門クラブ」(※8号門は甲子園のバックネット裏自由席最寄の入場口)との席取り合戦。この合戦において、8号門クラブ側が偽ラガーさんに「席を譲れ」的な圧力をかけるなど、自由席を私物化している動きが明らかとなり、非難の対象となったのです。

僕はそもそも「自由席」というモノ自体に否定的です。自由というのは何をしてもいいという意味ではないのですが、必ずそれをはき違える輩が出ます。そして、止められないのをいいことに、自由という名の無法地帯を「勝手に制定した独自ルールによる支配」で私物化していくのです。仕切りのない場所に跋扈する小悪党。たとえば「お祭りのカラス跳人」のようなものを生むのは、その場を仕切る正統な資格・権利を持った人間が無法地帯を放置しているからにほかなりません。

警察がいなければ暴れる、支配者がいなければ俺が支配する、そういう輩はどこにでもいるものです。映画「マッドマックス」の登場人物みたいな輩は。そうした輩の支配を黙認すればやがては、健康上の問題などさまざまな理由で独自ルールについていけない人をその場から排除し、あるべき権利を不当に奪うことにつながっていきます。

全員に等しくチャンスがあり、不当な競争を生まないようにコントロールするのは運営サイドのつとめでもあるはず。徹夜組が出れば、近隣からの苦情によって困るのは結局運営側なのです。徹夜するほど競争が激しくなっているなら、それはもうしっかりと仕切りを入れて、無茶ができる人間だけが得するような状況を是正していかないとフェアではない。無茶をする者も、無茶を放置する者も、ともにフェアではない。

その意味で席取り問題においては、「全席指定の事前抽選制」が一番フェアであり、唯一適切な方法だろうと思うのです。みんなが応募できて、無駄に徹夜したりする必要もなくなるのですから。10人とか20人とかの大人数で集まりたい需要に対しては、団体観戦チケットなどの手法があるわけで、自由席でなければいけない理由はひとつもないのです。

ただ、それはそれとして思うこともあります。

もし、あの席に座っているのがラガーシャツのオッサンではなく堀北真希さんだったなら、僕はどんなバトルがあっても許してしまったであろうな、と。堀北真希さんなら、仮に試合開始後に入場してきても「どうぞコチラへ」「私の座っている席へ」「ケツで座席を温めておきました」と最前列まで招いてしまった気がします。結局は愛していれば何でも許せるし、愛していなければ何もかも許せない。8号門クラブとやらが、感じのいい美少女で結成されたグループであったなら、僕も積極応援にまわっていたと思うのです。オッサンだったから灯油タンクをもって火災現場に駆けつけただけで。

いっそのこと、ああいう席には特別な人だけを座らせるようにしてくれたら、余計なやっかみとか炎上とかを生まなくて済むかもしれません。スポンサー様がそこに座るのなら「まぁせやろな」と思いますし、子どもが並べば「種蒔きですね」と思いますし、カープ女子・セレ女風の美女がズラッと並べば「サクラですね」と思いますし。売り物の看板とほとんど同じ位置に、無作為抽出の客を座らせるなんて、よく考えたら勿体ない。そこはもう見栄えもよく、見ていてありがたい客を選抜して座らせたい。運営側でそういう仕切りを導入するぶんにはアリだろうと僕は思うのです。

ということで、長々と説教風前フリを書いてきましたが、別にそんなこと言いたいんじゃなくて単なる中和剤であることを、以下の本題において表明していきましょう。


◆ラガーさんはひと肌脱がなくていい!理想的最前列観客ではないから!

本日積極的に啓蒙していきたいのは、海外サッカーのとある試合で見受けられた理想的最前列観客について。蛍光イエローの帽子とか、日の丸入り金ピカ帽子とか「自分が目立つ」だけではいけない。理想の最前列観客は、テレビの視聴者はもちろん選手たちをも楽しませる存在でありたい。そのように力強く感じさせてくれる理想的最前列観客です。

その理想的最前列観客が見受けられたのは、8月14日にチェコで行なわれたFKムラダー・ボレスラフというチームとACスパルタ・プラハというチームによるサッカーの試合でのこと。ムラダー・ボレスラフのホームに乗り込んだスパルタ・プラハは点の取り合いを演じていました。前半8分にスパルタ・プラハが先制すると、前半40分にムラダー・ボレスラフが追いつく。後半3分に再びスパルタ・プラハが勝ち越すと、その4分後にムラダー・ボレスラフが追いつく。一進一退の攻防。

試合も終盤に入った後半33分、三度スパルタ・プラハが勝ち越しますが、まだまだ試合は予断を許さない状況。そんな熱い試合を前にサポーターは何を思うのか。「何とかチームを後押ししたい」「何かできることはないか」「少しでもチームを鼓舞するサポートを」などと思うのではないでしょうか。

↓熱狂的サポーターたちは熱い声援で選手を鼓舞する!



熱いな!熱い声援だな!

でも何か足りないな!

何かもう少しグッとくるヤツが!

甲子園のラガーさん [ 善養寺隆一 ]

価格:1,620円
(2015/8/18 12:41時点)
感想(1件)




ここでもうひとおし、グッとくるサポートができてこそ理想的最前列観客。目立つのではなく、奮い立たせる。自分が立つのではなく、相手を立たせる。そのために私は最前列にいる。最前列でなければ絶対に目に飛び込んでこないものを飛び込ませるために。もしそのサポートが目に飛び込んだなら、絶対に選手たちは奮って立つに違いない。僕は理想的最前列観客の奮闘に、この人になら絶対に席を譲りたい…そう思いました。地デジの高画質でその人を録画し、イイ場面だけを切り出して保存するために…!

↓見よ、ラガーさん!これが理想的最前列観客というものだ!
※削除済み

熱いな!これは熱いな!

ビンビン奮い立つ感じだな!

選手全然気づいてねぇけど!

ひと肌脱ぎます!雑用部1【電子書籍】[ 林久美子 ]

価格:464円
(2015/8/18 12:43時点)
感想(0件)




横にいるのは一緒にきていたナントカ門クラブの仲間でしょうか。「お前のサポートが必要だ」とうながし、理想的最前列観客により一層のサポートを求めています。それに応えるように、ひと肌脱ぐ理想的最前列観客の雄姿。残念ながら、あまりにもサプライズサポートだったため、肝心の選手はまったく気づいていない様子です。

しかし、一番近くの選手が気づかなかったとしても、最前列からのサポートであるならば、ほかの選手は気づいていたかもしれません。特にコーナーキックということであれば、大体あの辺に視線を送るものでしょう。コーナーを蹴る選手が見えているなら、最前列観客のことも当然目に入るはず。そのとき、「おっ!」と思えばわずかな隙が生まれるはず。いわゆる胸トラップというヤツです。

よしんば味方も奮い立たず、敵も胸トラップに引っ掛からなかったとしても、このサポートは多くの観客を楽しませたはず。極端な話、ラガーさんの位置にこの理想的最前列観客が座り、熱いサポートをしてくれるなら、8号門クラブの勢力を上回る勢いで、座席を譲れという動きが生まれたに違いありません。そして「家でこの試合録画してきてるんだよ」「フルHDで録画してきてるんだよ」「絶対に録画したい観客がここにいる」とラガーさんをモールで上段に押しやり、理想的最前列観客をその位置に招き入れることでしょう。

理想的最前列観客のサポートが奏功したか。あるいはムラダー・ボレスラフ側に「もう一回コーナー見てぇな」「ちょっと攻めてこないかな」「エンドライン割りたい」という欲目があったのか。このプレイの直後にスパルタ・プラハはダメ押しの追加点をあげ、4-2で勝利します。この理想的最前列観客がいれば、スパルタ・プラハは今後も多くの勝利を積み重ねるに違いありません。対戦相手も「今日はどこにいるのかな」「とりあえず一回コーナー蹴らそう」「さーて、あの客はどこに?」とボールよりも理想的最前列観客を探すのに躍起になってしまうでしょうからね。

↓スパルタ・プラハは理想的最前列観客のおかげで4-2と快勝!


理想的最前列観客のサポートによる会心の勝利だな!

ああいう人に、席を譲りたい!

女の身体、男の視線 浜辺とトップレスの社会学

価格:3,024円
(2015/8/18 12:44時点)
感想(0件)




いっそ8号門クラブもチアリーダーとかを補強したらアリかもしれない!