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12:00
結果的に高度な情報戦を仕掛けてきた侍ジャパン!

なるほど手強い相手だ…僕は改めてWBC準決勝への緊張感を高めています。それは準決勝で見たドミニカVSアメリカ戦の結果によるものではありません。そっちの試合はむしろ、「コッチとはやってる野球が違う」「勝つか負けるかはわからないが、負けるつもりはない」「何となく勝てそう」と手応えを覚えるものでした。

確かにドミニカやアメリカのパワーやスピードは凄まじい。しかし、野球はそれのみでやるものではありません。レンガを漆喰で固めた壁は強固でも、レンガだけを積んだら押せば崩れるハリボテにしかならないのです。逆に漆喰の間に木片を挟んだ壁は、ある程度頑張らないと崩せない。向こうがレンガなら日本は漆喰。強いユニットを集めることよりも、それをチームとしてひとつにまとめあげることが何よりも勝利への近道です。侍ジャパンは、その点においては世界のどのチームにもヒケを取るものではありません。

↓ドミニカの強打、アメリカのスーパーキャッチ、どちらも確かにスゴイ!しかし「スゴイだけ」!


プレーとしては確かにスゴイが、野球としてはどうなのか?

侍ジャパンの勝機は間違いなくある!


7回裏の攻撃、2点ビハインドという状況。もうそろそろ追い上げねばならないという場面、日本のバッターが考えることは「とにかく出塁」です。むしろホームランよりも出塁のほうがいい。どうせソロ1発では追いつかないのですから。走者を出して、かき回し、最終的に1点に終わるパターンであっても空気を取り返していく。そんな野球をまず考えることでしょう。

しかし、ドミニカの攻撃は全員が強振するもの。それが結果的にホームラン性の打球を2発飛ばし、うち1本はスーパーキャッチで防がれるという「スゴイ」の応酬になりました。ただ、そういう野球では勝てないことも多いだろうなとしか思えない。2点を「ソロ2発」と考える時点で確率は低いのです。どんな強打者でも1年で40本くらいしか打たないものを、残り3イニングで2本集めようという野球では、率は低い。

一方アメリカもアメリカで、相手がそういうスタイルの野球をやってくるなかで、カウント2-1から甘いところに真っ直ぐ投げ込んでいる。そりゃ手も出すでしょうし、当たれば飛ぶでしょう。「スゴイ」の応酬は最上級に立派であることは認めますが、そうじゃない野球でも勝てる。これならプエルトリコのほうがよほど強い。アメリカを敵地で下し、前回敗れたプエルトリコに決勝で雪辱する。最高のドラマが準備されました。

↓プエルトリコは状況を見てしっかりと野球をやってくる手強いチーム!決勝で侍ジャパンと戦うにふさわしい!

2次ラウンドアメリカ戦では初回の攻撃で単打6本をつないで、犠飛と合わせて一挙4得点!

投手陣は西武をクビになった外人なども含む陣容ながらキャッチャー・モリーナは手強く、内野の守備も固い!

侍ジャパンと気が合いそうなチーム!


そんななか、我らが侍ジャパンの不安は対戦相手よりもチーム内にあります。小久保采配とアメリカのスゴイ選手、あるいは小久保采配とプエルトリコのモリーナが手を組んだ場合、思わぬ形で足をすくわれるかもしれません。アメリカ戦で「よし、ピッチャー則本!」と一番得意そうなのをぶつけてみたり、逆にプエルトリコ戦で「相手のピッチャーはNPBをクビになった外人ぞろいだ、振っていけ!」とパワプロの強振ボタンを連打し始めたり。そういうことをしかねない不安が常につきまとっています。

大丈夫だろうか、ダメなんじゃないか、大丈夫じゃなさそう、ダメだと思う…期待と不安が振り子のように行き来する気持ち。手の平は「ダメそう」と「大丈夫じゃなさそう」の両端をドリルのようにグルングルンまわっています。

そんななか、僕のもとに新解釈が届けられました。何と、今までの小久保采配のすべては「高度な情報戦」だというのです。その解釈によれば、守護神牧田と言いつつときどき違う投手をぶつけて打たれることも、相手にプレッシャーをかける情報戦であるのだと。

↓この論法ならどんな内容でも最後まで擁護の論陣を張ることができる、ミ・ラ・ク・ル!

「高度な情報戦」という、ついていけない者を見下す感じのミラクルワード!

「能ある鷹は爪を隠す、隠しているだけ、いつまで隠しているのかはハッキリとは言えない、ただ出そうと思えば出せるよ、だってあるんだもん、いや見せないけど、見せたらあるってバレちゃうから見せないよ、でもあるよ、見せないだけで」という煙幕ド真ん中!

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この発想は、僕の曇った色眼鏡からは完全に抜け落ちていました。言われてみれば、4年前に就任した時点から真っ黒な色眼鏡で見ていたので、そこに情報戦があるかもという視点での検証はしていませんでした。もしかしたら、このWBCで勝利するために4年間無能と謗られることを、最初から小久保采配は覚悟していたのかもしれない。そして「敵を欺くにはまず味方から」を徹底していたのかもしれない。たとえそれによって味方の大半が敵にまわるかもしれなくても…!

↓米国に乗り込んだ小久保采配はカブスとの練習試合に先発・藤浪を立てる高度な情報戦!

1番、ショート田中広輔!(←先頭煙幕打者)
2番、セカンド菊池涼介!(←不動なので隠さず)
3番、センター青木宣親!(←隠す意味ナシ)
4番、指名打者筒香嘉智!(←守備を隠す)
5番、ファースト中田翔!(←不動なので隠さず)
6番、ライト鈴木誠也!(←外野の一角迷わす枠)
7番、サード松田宣浩!(←不動なので隠さず)
8番、レフト平田良介!(←もう使わない予定)
9番、キャッチャー大野奨太!(←使う気ナシ)
そして、ピッチャー藤浪晋太郎!(←最後の仕事)

なんだこの在庫一掃棚卸セールみたいなのwww

藤浪、とりあえず、おつかれ!

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おそらく相手方は生のデータを欲しがっているはず。当然のこととして日本ラウンドは見ているだろうけれど、実際にスコアラーの目で確認できる貴重な機会を逃すはずがない。……という高度な前提に立ち、そこに煙幕100%のメンバーをぶつけていく。並平凡な発想だと、日本ラウンド最後のイスラエル戦の終盤でこんな感じの起用をしていくところですが、高度な情報戦を仕掛ける小久保采配は、さらに奥まったところで煙幕をまいたのです。ちょっとしたバルサンみたいな感じで。

高度な情報戦では、公式戦で煙幕をはっても信じてもらえません。「どうせ使わないんでしょ」と見切られてしまう。しかし、公式戦でもないヒラの練習試合でやったことは、裏の裏で信用される。非公開練習を覗き見できたら全部真に受けるように、ヒラの練習試合はホンモノっぽい感じがする。「いや、この試合こそガチのメンバーで現地に慣らさないと」「大野絶対使う気ないやんけ」「思い出作りは負けが決まったあとで」という並平凡な発想が、みなさんのなかにもあるでしょう。そうです、その発想がすでに小久保采配の術中、「高度な情報戦」なのです。

相手方は並平凡な発想で、このメンバーに裏の裏でガチ性を感じ、混乱するのです。「貴重な現地の練習試合を棚卸一掃ゲームにするわけがない」という理が、目を曇らせるのです。自分で言っててもワケがわからんくらいグニャグニャしてる話ですが、相手方も混乱することは間違いありません!

↓高度な情報戦により、相手方のスコアラーに藤浪が4回91球も投げる映像を撮らせることに成功!

「藤浪、明日先発や!」
「もう決まっている試合や」
「誰かが投げねばならない」
「しかし、戦力は使いたくない」
「誰かが投げねばならない」
「イケるところまでいってくれ」
「できれば8回、9回まで」
「ここで投げたら、準決勝まで中二日」
「まぁ、無理やん?」
「先発と第二先発は使いたくない」
「しかし、誰かが投げねばならない」
「この試合はお前に任せると決めていた」
「理由は、あるけど言えない」
「言ってもいいけど言えない」
「言えばお前が傷つくから…」
「全球団からひとり選ぶ決まりだったなんて」
「俺にはとても言えない!」
「アメリカを楽しんでくれ!」

内容的にも起用法的にも「おつかれ」!

藤浪がはった煙幕を大事に使うぞ!


↓そして現地で暮らす生きた煙幕・カワサキも全力で侍ジャパンのバルサンモクモクをサポート!

カワサキ:「間違いなく世界一」
カワサキ:「僕が相手だったので相手が悪かった」
カワサキ:「ほかの国に日本が一番強いと言っておく」

冗談みたいな口調で言うと、本音が冗談に聴こえるという高度な情報戦!

カワサキは本気でこう思ってるけれど、みんな冗談だと思って笑ってる時点で、この情報戦は日本の勝ちだ!

(※なお、笑ってる記者は日本の記者)


せっかく入手した生データ、無下に捨てるのは忍びない。相手方のスコアラーが一応フジナミの分析にあてる数時間が、侍ジャパンを勝たせる紙一重になるかもしれない。メンバー発表前までに浪費させた投手オオタニと打者オオタニの分析時間、メンバー発表後に浪費させたシマの配球傾向の分析時間、そしてフジナミタイム。これを高度な情報戦と言わずして何としましょう。

思えば、あのプレミア12も高度な情報戦と考えれば筋が通ります。もし優勝していれば、ただでさえ世界ランク1位の日本は他国の激しいマークにあっていたはず。しかし、あそこで負けたことによって「所詮は日本」という油断を引き出した。僕も含めて小久保采配のてのひらで踊らされていたのだとしたら、あっぱれじゃないですか。

↓そして小久保采配は貴重な現地での練習試合第2戦に武田翔太を起用する高度な情報戦!

1番、指名打者山田哲人!(←隠しきれなかった)
2番、セカンド菊池涼介!(←不動なので隠さず)
3番、ショート坂本勇人!(←本番用打順テスト風)
4番、レフト筒香嘉智!(←本番用守備練習)
5番、ファースト中田翔!(←不動なので隠さず)
6番、センター青木宣親!(←本番用打順テスト風)
7番、ライト鈴木誠也!(←最後まで迷わす枠)
8番、サード田中広輔!(←もう使わない予定)
9番、キャッチャー炭谷銀仁朗!(←使う気ナシ)
そして、ピッチャー武田翔太!(←最後の仕事)

練習試合2戦目も煙幕先発投手でスタート!

そして「ここは迷うな…」のところは徹底的に迷わす方向性!

「Seiya Suzoki」「Ginjiro Sumitan」といったわずかな書き間違いも含めて、最後まで相手に先発メンバーは読ませない!


「もしかして見ているかも…」というわずかな期待感を胸に、この練習試合を中継したTBSも高度な情報戦に貢献。センターで背走しながら好守備を見せた選手がいれば、「これが誰だか教えないようにしよう!」とアオキの名前を連呼。これで相手方にとってはまったく興味がないであろうアキヤマという選手の存在は見事に隠されることになりました。もちろん侍ジャパン自身も「打たない」という高度な情報戦で、敵方をかく乱することに余念がありません。炭谷のゴロで得点など、まさに本番に向けてまったく相手に情報を与えない攻撃と言えるでしょう。すごく高度です。

↓字幕入りで高度な情報戦を展開!これでは相手方はアオキとしか思わない!

え?アオキの顔だけはわかるから、顔でバレるって?

そうかなぁ?


↓そして、1点リードの9回裏には守護神牧田ではなく松井を送り出す高度な情報戦!日本の守護神は誰なのかまったくつかませない!

「松井、9回頼むぞ!」
「僕ですか、じゃない」
「お前がいくんだ」
「いいか、相手は守護神を警戒している」
「どこの国もそうだろう?」
「もし我々の守護神が」
「前から守護神やってて」
「いつも打たれてる守護神なら」
「相手は余裕を持つだろ」
「巨人で澤村出てくるみたいな」
「澤村出るから9回勝負みたいな」
「そう思わせといて」
「お前を出さない!」
「絶対に出さない!」
「出して打たれたらワシの指導者生命絶たれるから」
「絶対に出さない!」
「パカーンといかれてこい!」
「頼むぞ!」

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とまぁ、情報戦は完勝といってもいいデキでした。少しでも相手を煙にまくことができればそれだけ侍ジャパンは有利になる。そのために小久保采配は今日も絶賛揺れていく。「高度な情報戦」説が真実かどうかわかるのは22日の準決勝。そこで勝てば、きっと高度な情報戦だったのだろうと思い直すこともできるかもしれない。できることならそうであってほしい。希望は最後まで捨てずにいきたいものですね…!


「ダースベイダーが実は味方だった」的なオチがあるわずかな可能性!