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12:00
「俺の胸に飛び込んでこい!」

半裸のオトコと半裸のオトコが見つめ合い、立ちすくむ。やがてひとりは両手を広げ、さぁ俺の胸に飛び込んでこいと誘いをかける。心を決めたオトコたちの熱い抱擁。汗と汗を混じり合わせながら、オトコたちは互いの腰布に手をかけ最後の一線を越えていく……。「ただいまの決まり手は、寄り切り、寄り切って白鵬の勝ち」。

大相撲名古屋場所の四日目、土俵上では珍しい取組が見られました。鶴竜の休場によって押し出されるように結びの一番となった白鵬VS貴景勝の一番。20歳の若武者はこの大舞台で思い切ってデブデブドーンと行くかと思いきや、距離を取って組み合わない形での相撲を展開。横綱もそれに付き合った結果、土俵上でのにらみ合いが発生。両者が見つめ合ったまま動かず、ついには白鵬が「こい」とアピールするような展開となったのです。

↓見つめ合ったまま動かなくなるふたり!


何だこの少女漫画みたいなのwww

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立ち合い、白鵬は左で張って、右はかち上げて懐に飛び込ませない構え。一方、貴景勝はもろ手で突いていきます。「飛び込ませないぞ」と「突いていくぞ」がガッチリと噛み合って、小石がはじけるように跳ねかえって距離を取るふたり。

すると白鵬は長いリーチを活かし、サウスポーの構えからワン・ツーと張っていきます。貴景勝はバックステップで間合いを広げると、上下のフェイントをかけてボディを狙う。しかし白鵬はそれを落ち着いてガードすると、再び離れた間合いからノーモーションの左フックで的確に貴景勝の顔面に有効打を当てていきます。

貴景勝も右フックを浅く当てますが、白鵬もすかさず右を返して主導権を渡さず。白鵬の右フックに対して、ガードが下がったままの貴景勝はまったく対応ができません。さらにインファイトに持ち込もうにも、白鵬の右ジャブが鋭く、動こうとした瞬間の貴景勝を突き刺して釘付けにします。

やはり公称192センチの白鵬と、174センチの貴景勝とではそもそものリーチに大きな差があります。白鵬のジャブは届くけれど貴景勝のパンチは届かないという形で、中間距離では白鵬が圧倒的に優位。貴景勝は思い切って飛び込むしかないのですが、上に意識を持っていってからボディというフェイントの動きが完全に見切られており、なかなかそのきっかけをつかめません。

するとここでまさかの動きが。何と白鵬は両手をダラリと下げたノーガードの構えに。さらに手を広げて「こい」という誘い。しかし、貴景勝は先ほどまでジャブで釘付けにされていた流れもあってうかつに動けない。その結果、約8秒間に渡り、距離を取ってのにらみ合いがつづいたのです。

最後はもう勢いというかやけっぱちというか、白鵬・お客・レフェリーの「行けよ」という圧に押されるようにして、貴景勝は飛び込んでいきます。しかし、自分からクリンチに持ち込むようにして、何とかこのラウンドの生き残りを図りますが、逆に白鵬の攻勢に押し返されて、最後はチカラなくニュートラルコーナーへ。第1ラウンド終了を待たずに、あえなくTKO負けとなりました。

↓途中展開も含めて完全にボクシングの動き!


「白鵬の右が効きましたね」
「やはりリーチの差が大きいですね」
「貴景勝はサウスポーに不慣れだったかもしれません」

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珍しいもの見たさで言えば、このまま10分でも20分でも見つめ合っていてほしかった。このまま第1ラウンドのゴング…というか水入りにでもなったなら、歴史に残る珍事だったはずです。その意味では、性急に動いてしまった貴景勝はもったいなかった。

ただ、相撲ということで言えば、やはり貴景勝が行くしかなかったろうと思います。174センチ169キロのボールみたいな体型は組んでどうこうではなく、突き押し一本に懸けるという考えでの人体改造の結果でしょう。やはり飛び込んで突いていくしか勝ち筋はないのです。

この取組でも引き技を試みるような場面もありましたが、まず突き押しで崩して、「このままでは押されてしまう。前に体重をかけよう」となるからこそ引き技も効くというもの。白鵬が落ち着いたスウェーからカウンターの左フックを打っている状況では、引き技が効くはずもありません。

一部の新聞では白鵬のあのポーズをして「挑発」とした記事もあるようですが、あれはむしろ「指導」と呼びたい動き。腰を伸ばして、脇を空けて、「さぁ得意の相撲を見せてみろ」「それしかできないんだろ」「自分の型を持つのだ」と稽古をつけてくれたのです。おそらくはその形で一気にいくしか貴景勝の勝ち筋がないという形になってくれるというのですから。

ただ、やはりチャンピオンは強かった。ノーガードの構えからでも、貴景勝の動きを見てからの反応でしっかりと形を作り、相手の突進を組み止めてみせた。長いリーチでまわしをつかむと、持ち上げて突進の勢いごと止めてしまいます。あとは一方的に寄るばかり。相手の得意の型を誘ってなお圧倒するのですから、さすがチャンピオンです。

↓白鵬は相手のパンチがよく見えている!

有効打、攻勢、ディフェンス、リングゼネラルシップ、すべてで上回った!

これは大きく採り上げられる一番だろうと思いきや……


↓むしろ世間は将棋の藤井四段のほうに夢中!


こんな注目の人がきていたとは!

なら、もっとアピールすべきだった!


↓新聞の一面も見つめ合うボクサーの話ではなく藤井四段との記念撮影に!

もはや土俵上の話は眼中にない感じ!

せっかくの珍事がかき消されてしまった!

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いやー、そうきたか。結果的に話題を持って行かれるなら、相撲のことは忘れて完全にボクシングに振り切ってもよかったかもしれない。「こいよ」「お前がこいよ」からのファイティングポーズ。見つめ合いながらグルグルと土俵際をまわって、ときどきジャンプしてみたり。もうひと押し足りなかった……いろいろな意味で反省の一番となりました。惜しい!


次回は一歩下がってファイティングポーズとってから飛び込もう!