このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
11:00
CSはやっぱり必要だ!

日本シリーズの熱い戦いが終了しました。結果は4勝2敗で福岡ソフトバンクホークスが勝利し日本一に。これは戦前から予想されていた力関係そのままの結果ではありますが、勝ち星の差ほどにラクな戦いではなく、互角、あるいはひとつ噛み合えばDeNAの勝利もあったかもしれないと思うほどの接戦でした。

6戦目、1点をリードしてDeNAクローザーの山崎康晃がマウンドに立った時点では、これはもう第7戦へもつれこむものと思っていました。完全にDeNAの形でした。しかし、それでもソフトバンクが引っくり返してしまう。そこに改めてソフトバンクの強さ、ほんの少しではあるけれども埋めるのが果てしなく難しい差を実感するような決着でした。

思うに、このシリーズのソフトバンクは決して「強いソフトバンク」ではなかったと思います。1年のなかで一番いい時期のチームではなく、疲労感も含めてやや下り坂、特に打線に関しては尻すぼみに落ち込んでくるような向きがありました。シリーズ打率で言えば、今宮、中村晃、松田らが1割台に低迷し、数字だけならブレーキとなっています。

ただ、打たなければ勝てない、抑えなければ勝てない、「こうでなければ勝てない」というチームではない、強さの厚みを感じさせるチームでした。それは「先発が抑えて、クローザーにつなぎ、ロペス・筒香・宮崎の打棒で得点を相手よりたくさん取って勝つ」という形がしっかりとあったDeNAとは一味違うところだろうと思います。

ソフバンがめった打ちによって勝利した初戦。DeNA先発の今永に苦しみ、梶谷・宮崎らのホームランで一旦はDeNAにリードを許しながらも、DeNAのエラーにつけ込んで勝利を奪い取った第2戦。1勝1敗で終わっていて不思議がないような展開を「守備」「走塁」で2連勝としてみせた。ビデオ判定の要求で二度動いたベンチワークも含め、まさに総合力と言えるような戦いでした。

↓絶対に間に合わないようなタイミングで突っ込んできて、決勝点を奪った「神の手」!

いろんな点の取り方ができる!

いろんなアウトの取り方ができる!

それが強いチーム!

2017プロ野球総括BOOK 優勝!福岡ソフトバンクホークス (COSMIC MOOK)

価格:880円
(2017/11/5 10:06時点)
感想(0件)




横浜へ舞台を移してからも「総合力」の差はさまざまな形で見られます。ソフトバンクが自分たちの盗塁は成功させて先制点に結びつけ、DeNAの盗塁は1イニングで2つ刺した第3戦。立ち上がりに四球2つで崩れそうだったソフトバンク先発・武田を捕手の肩が救い、「投手が抑えなくても勝つ道はある」という多面的な戦いぶりを見せました。

攻撃の部分で特に印象的だったのもこの第3戦です。DeNAも決してチャンスがないわけではなく、一打で勝負を決める場面を何度か作っていました。しかし、そうした場面で打席に立ったのがピッチャー(ながら強打の)ウィーランドであったり、逆シリーズ男となってまったくあたりが出ていない桑原であったりと選手層という面での苦しさがありました。

「ここで代打の切り札がいればな…」「誰かおらんのか…」「うわ、ウィーランドが一番マシだ…」とベンチ入りメンバーを見ながらウィーランドのフルスイングに納得せざるを得なかったのは、やはりこうした厳しい戦いをモノにするには不足な部分だったと思います。「代打で乙坂を出すべきだったか…」と別のチャンスで代打・乙坂を送り込んだらやっぱりダメだったので、采配自体は仕方ないとは思いますが。

一方で、逆の立場になったときにDeNAは、4回表の守備で「一死二・三塁で捕手・高谷との勝負」を選択しています。歩かせて投手・武田で勝負するということもできた場面で、です。「一死二・三塁で高谷との勝負」と「二死満塁で柳田との勝負」の天秤だったかもしれませんが、柳田であることを差し引いても二死満塁のほうが守りやすいことは明らか。セ・リーグらしからぬ野球だったと思います。

あの1998年以来19年ぶりとなるハマスタでの日本シリーズ、真っ青に染まったスタンド、大歓声。もつれた試合だっただけに、この第3戦を取っていればと思わずにはいられません。どの試合も大事ではあるけれど、やり直したときに「こうすればよかった」がDeNA側にあるのは、第3戦なのかなと思います。「相手が勝った」ではなく「自分たちが負けた」という試合は。

↓「ベンチを見渡したときウィーランドが一番強打者だった」というのは、編成面で何かが違う!

「普通に一番強打者じゃないか…」
「代打の切り札として毎日ベンチに置くべき」
「いっそDHで起用したい」


第4戦はDeNAの試合というか、先発・濱口が7回を完璧に抑えて、宮崎のホームランなどでDeNAが6-0の勝利。19年ぶりのシリーズ勝利となるメモリアルな一戦でした。ただ、勝ったとは言え、送りバント失敗・牽制死・ボールを握り損ねて松田に振り逃げを許すなどなど、細かい部分で危なっかしい場面が多数見られました。ハッキリ勝つことはできるけれど、もつれながら勝つのは難しい…そんな戦いぶりです。

それでもひとつ勝ったことで、DeNAにも勢いが出てきます。第5戦は流れとしては先行するソフトバンクのものでしたが、突き放されるたびにDeNAの4番・筒香が流れを押しとどめました。逆転の2ラン、追撃のタイムリー、まさに4番の仕事。「筒香が打てば勝つ」というDeNAの形が出た一戦でした。「自分たちの野球」とでも言うような。

↓本物の4番はやっぱりスゴい!

「ハマスタで3試合やれたし」
「2つ勝ったし」
「筒香もホームランかっとばしたし」
「格好はついた!」
「これでお客さんも大満足だな!」
「負けても悔いナシ!」

横浜DeNAベイスターズオフィシャルイヤーマガジン(2017) ([テキスト]) [ 横浜DeNAベイスターズ ]

価格:1,300円
(2017/11/5 10:07時点)
感想(3件)




そして第6戦。DeNAは負けたら終わりということで、第2戦で好投の今永を先発に立てる必勝態勢。しかし、攻撃陣は序盤のチャンスで三振ゲッツーを喰らうなど、ソフトバンクの総合力の前に主導権を奪えません。それでもDHに起用した白崎がまさかの一発を放つなど、勢いは第4戦・第5戦のまま。3-1とリードしてDeNAは終盤戦を迎えます。

「8回まで今永に投げてもらって9回山崎で勝ちたい…」

ここまでの戦いでの「痛い目」を反省した結果、そういう戦いをせざるを得なかったDeNA。しかし今永は8回裏、先頭の長谷川にフェンス直撃の二塁打を浴びてしまいます。続投の判断の是非は置きますが、「もし信頼できる救援陣がいれば、6回あるいは7回で先発は退き、7回・8回・9回は救援陣が締める」のが現代野球の定石でしょう。それができる陣容がなかった、シーズン中のやり方に必ずしも絶対の信頼を置けなかった、そこは「弱さ」であり「差」でしょう。

結果的に、ここで二塁打⇒ゴロ⇒ゴロで1点を与えてしまったことが、9回裏ソフトバンク・内川の一発で同点にすることを許し、手駒が尽きた延長11回にサヨナラを許すことにつながりました。「三上を出すのはイヤだ…」と継投を渋った采配が、最終的に「三上を引きずり出されて負けた…」になってしまった。端的に言って「力負け」なのかなと思います。

↓延長までもつれた場合、打つほうでも守るほうでもDeNAの手駒は足りなかった!


欲を言えばあと1試合見たかった!

でも、足りない1勝は遠い遠い1勝だった!


このシリーズが始まる前、おもに広島方面から「CSなんていらない」「シーズンで14.5ゲーム差をつけた価値は」「何だコレ」という大きな声が上がっていました。しかし、この熱い日本シリーズを見た今となっては、そうしたCS不要論はチャンチャラおかしいと改めて思います。

そもそもシーズンとCS・日本シリーズはまったくの別物です。それは「シーズン優勝」とCS・日本シリーズはまったく無関係であるという制度上の意味合いでもそうですが、試合の質・内容・戦い方がまるで違います。1年のなかで帳尻を合わせればいい戦いと、「この日この時この試合」に勝たねば意味がない短期決戦では、求められるクオリティがまるで違うのです。

シーズンのなかにおいてはミスや不運があっても挽回の余地があります。143試合もあるのですから。しかし、短期決戦ではそうしたひとつのミスや不運が取り返しのつかない差を生んでしまいます。1球の価値、ワンプレーの価値は「143試合対7試合」くらいの割合で違う。日本シリーズで言えば20倍ほど、ひとつひとつの重みが違うのです。

そうした視点で見たとき、ソフトバンクはミスが極めて少なく、DeNAは非常に多かった。エラーの記録が残らない部分でも、「ここで走塁できていれば」「ここで無用なアウトをやらなければ」「ここで無駄な走者を出さなければ」と思う場面がたくさんありました。WBCなら国民的にあげつらわれるようなプレーをたくさんしてしまったのです。

ソフトバンク自身も、かつては「秋の風物詩」と呼ばれ、シーズンは強いけれどCSで負けるような球団でした。しかし、そこでの学び・経験が足りないものを埋めることに向かわせたのでしょう。誰かが急に怪我したり不調になったらどうするのかという答えが、選手層であったり、どこからでも点が取れる野球であったり、そもそも怪我をしないようなケアの充実であったりする。打撃・守備・走塁・知略、さまざまなことができる個々のレベルアップであったりする。

どんなに重いミス、どんなに重い不運、回復が間に合わないほどの不調があっても、それを跳ねのけて勝てるようになろうとした結果、シーズンの143試合では途方もない差がつくほどの巨大戦力を持つにいたっている。それが今のソフトバンクです。短期決戦で必ず勝とうとすれば、どれだけ強くなっても足りるということはないのです。

かつての日本プロ野球では、短期決戦の機会は日本シリーズだけでした。高校野球を終えたあとは、「この日この時この試合」を経験しないまま現役を終える選手も多かった。しかし、今はそれなりの強さがあればCSという舞台でそういう試合ができる。それは自分たちに足りないもの、すなわち「弱さ」を知り、成長の機会を得られるということです。

CSは不要なものではない。

興行という意味でも大事だけれど、何より日本プロ野球のレベルアップに欠かせないものだと思います。

「何故、この試合に勝てなかったのか」

終わったあとでは取り返しのつかない試合、答えのない問い掛けに懊悩しながら、また来季に向かうのです。

ハッキリ言います、「CS・日本シリーズで負ける球団は弱い」のです。1年間をかけて「マラソンのように平均の強さを競う」戦いは、戦いの一面にしかすぎません。真の強さ、真のクオリティを問われるのは、CSであり日本シリーズのほうです。そこで勝つことなく、「1年間ダラダラ強かった」だけで勝ち誇るなど片腹痛いというもの。

「この日この時この試合」にやり直しはないのです。そこで負けたら、「1年間かけて何回もやれば俺たちが勝つ」などと言っても何の意味もないのです。オリンピックのメダリストは、そういうやり直しのきかない試合で生まれ、そういう試合で勝ったからこそ栄光がある。CSという仕組みが、日本プロ野球にもそうした真の強さをもたらすと、僕は思います。

20倍の重みのなかで問われる真の強さ。

CSを通じて、少しでも多くの選手が身につけられるよう、期待したいものです。制度に文句を言うのではなく、そのなかでも必ず勝つためにどうすればいいのかを考える。そんな日本プロ野球でありますように。

↓おめでとうソフトバンク!やっぱりソフバン強かった!

いい機会なので、野球伝道のためセ・リーグに引っ越してくれませんかね!

「田中」とか「大谷」とかバケモノ級がいないと勝てないパ・リーグは、イイ選手が全員出て行く西武にとって希望がなさすぎます!


143試合で勝つほうが、7試合で勝つより、「金」で何とかなるぶん簡単です!