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12:00
ルールよりも実益優先の心!

よく言えば柔軟、悪く言えば何でもアリの決定でした。間もなく開催を迎える平昌五輪に向けて、参加表明の期限を思い切って遅らせつつ、IOCは北朝鮮の参加を認めました。さらに韓国と北朝鮮が急ごしらえで言い始めたアイスホッケー女子での合同チームの結成についても軽やかに承認。大々的に「世界平和」「半島融和」へのアピールをすることに決めたのです。



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五輪憲章にある「オリンピック区域、競技会場、またはその他の区域では、いかなる種類のデモンストレーションも、あるいは政治的、宗教的、人種的プロパガンダも許可されない」と真っ向からぶつかりそうな決定ではありますが、あえて僕は清廉な精神性を捻じ曲げて、この決定を容認したいと思います。

スポーツを通じて平和な社会を実現するというお題目も1%くらいありつつ、残り99%の部分での「この大会に参加するアスリート・観客、そしてこの大会を楽しみにするすべての人を守る」という意味において、この決定は決して無意味なものではないと思うのです。

五輪において常に警戒されるテロ行為。今大会においては、世界で一番テロをしそうな国が地続きで隣にあるのです。夜の闇にまぎれて入り込み、何かをしでかそうとした場合、それを止めることは極めて困難です。もちろん韓国側は決してそのようなことを許さないと胸を張るでしょうが、それで安心せよと言われても無理というもの。むしろ手引きしそうで心配でさえあります。

向こうが気分よくなるのをシラーッとした目で見ていることで「保険」がかけられるなら、シラーッとした目で見ていればいい。「屈した」のではなく「平和に向けての前進」であるというお題目さえ整えば、実益を優先することに僕はやみくもに反対するものではありません。むしろ、急に途中で政治的パフォーマンスをやり始められるよりも、コントロール下でやってもらったほうがマシというもの。

できるならば先方の総書記にも開会式にきてもらいたいくらいです。カメラにアレが映ることに憤る向きも当然あるでしょうが、さすがに自分のいる場所にミサイルをブチ込むほどアレではないでしょうし、逆にそのまま永遠にスキーリゾートににご滞在いただくという「平和への大きな前進」もあり得るかもしれない。

そもそもが「出たい」とちゃんと言ってきさえすれば、出場すること自体はやぶさかではないのです。フィギュアスケートのペアのように、切符を持ちながら単に国の方針で行けずにいただけの選手もいます。その点については北朝鮮の参加申請が遅れたことで「補欠1番手」の日本ペアに出場権がまわってきたという複雑な展開もあったわけで、全力の反対というのも難しいところです。他人にクスリを盛って出場しようとするのよりは、期限遅れのほうがこちらの温度間も低い。



北朝鮮選手を加えた合同選手団となるという決定により、一番翻弄されたアイスホッケー女子チームについても、これが韓国であり北朝鮮なのであると思えば致し方ないものでしょう。今回決定された内容によれば、合同チームは本来の韓国代表23人に北朝鮮の代表12人を加えた35人で構成され、試合ごとに規程通りの22人(そのうち最低3名の北朝鮮選手を含む)を登録する仕組みとのこと。

杓子定規に原理原則を当てはめれば、「開幕までに国を統一せよ」「帰化すれば出てもよい」「百歩譲って合同チームを編成するにしても、合同したうえで23人にせよ」ということになるわけですが、それはあまりにも韓国側選手にとって不憫な話です。開催国枠での出場とは言っても、アイスホッケーは機械的に開催国枠を与える競技ではありません。バンクーバー大会のように開催国枠ナシ(※カナダは強かったので自力で出場)というケースもあります。そんななかで、強化方針を国際連盟に示し、韓国側の努力(※実力ではなく)で得た枠です。

それをあとからやってきた知らない選手に持っていかれるのは、さすがに酷というもの。アイスホッケーは交代が自由な競技でもあり、ベンチ入り人数まで増やすのは公平性の観点で問題があることを思えば、「韓国側選手数自体を減らすことなく、試合時には他国と同じ人数にする」という妥協点は、落としどころなのかなと思います。

アイスホッケーの22人はセットと呼ばれる「オフェンス3」「ディフェンス2」の編成をそれぞれ4組と、ゴールキーパーに相当するゴーリーと呼ばれる選手2人を入れるのが一般的。最低3人と言われた場合は「オフェンス3」「ディフェンス2+ゴーリー1」「5人入れてワンセットを組む」などのパターンで、もともとやり慣れた北朝鮮選手をある程度グループで使うイメージでしょうか。

どんな形にせよ、サッカーで3人入れるのとは違い、入った選手は使わずには済まないのがアイスホッケー。「韓国選手が必ず何人か出られなくなる」ことと「試合ごとに休める韓国選手が出る」というのを、采配上どのようにとらえ、どうチームマネジメントするかは難しいかじ取りになりそうです。

↓韓国女子代表の監督が当然めちゃめちゃ怒っていますが、それが韓国、それが北朝鮮です!


大統領が「メダル圏外だから別にいいじゃん」とか言い出す国だから!

そういうものだと思って頑張るしかない!

「体力的にはすごく大変だけど、北朝鮮の選手をベンチで干す」という手段もありますけど、北の工作員とかがきそうなのでオススメはしません!



ちなみに、平昌五輪のアイスホッケー女子の競技には、日本も出場することが決まっており、グループリーグでは韓国・北朝鮮合同チームとの試合が組まれています。アイスホッケー女子は「強いほうの4ヶ国で組むA組」と「弱いほうの4ヶ国で組むB組」の2グループで予選を行ない、A組のすべての国と、B組の上位2ヶ国で決勝トーナメントを戦う仕組み。日本女子代表はB組に組み込まれており、スウェーデン(世界ランクによる出場)、スイス(最終予選突破)、韓国・北朝鮮(開催国枠)とのリーグ戦を経て、決勝トーナメント進出を狙っています。

現時点の世界ランクで言えば、スウェーデンが5位、スイスが6位、日本が9位、韓国が22位、北朝鮮が25位という力関係。近年の対戦成績からしても日本は韓国には勝てる見込みではあったものの、「知らない選手が最低3人入っている」状態のチームであれば、より勝利が近づくことは間違いないでしょう。よしんば合同チームが勝ち上がっていくようなことがあれば、それこそ政治によってスポーツが捻じ曲げられた象徴的事例になりかねないというもの。そこはしっかりと実力で決着がつくような形にしていってほしい。東京五輪で味をしめたマネをしないよう、国威発揚にも地道な強化が欠かせないとしっかり相手に理解させてほしい。日本女子代表にはヘンなプレッシャーで恐縮ですが、頑張ってもらいたいものですね!


韓国で大きな大会を開催するのはまだ早いという、再度の学びでした!