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08:00
内●正人氏(※柴ではなく田)の撤退、完了です!

目的に対しての達成度で言えば満点をあげてもいいのではないでしょうか。23日、緊急に行なわれた日大アメフト部による記者会見は見事に目的を達成し、日大広報部という謎の組織の力量と、危機管理学部なんていうよくわからない学部まで備える巨大組織・日大の骨太な強さを見せつけました。圧巻でした。

世間ではアレを「最悪だ」と評する人も多いでしょう。確かに、「日大ブランドを守る」であるとか「学生の未来を守る」であるとかが目標であるならば失敗会見と言わざるを得ないでしょう。心象は最悪です。すでに前日の選手当人による会見の時点で心象負けは確定的でしたが、全身に火を放って校舎から飛び降りるくらいの壮絶な心象負けをやってのけました。

ただ、それは一般論での話。

この会見の真の目的を「内●氏を守る」だと設定すれば、完璧と言っていい出来栄えだったと思います。2時間に及ぶ会見の焦点は、「選手は反則せよと指示を受けたと言っているが真実なのか」という点でした。その点について内●氏は「指示ではない」という従来の路線を貫き、反則行為については「ルールを守るのは暗黙の了解」と語り、敢然と否定しました。

また、試合当初に発していた「俺がやらせたと言え」発言や、今週の週刊文春に載るとされている「関学が一番汚いでしょ」発言などについては、もっとも問題視されている1プレー目の反則を「ボールを追っていたので見ていなかった」とすることで、問題を認識する以前の発言ということで処理しました。「見てなかった」「話してない」「知らない」ということで、関与を極めて希薄化し、この騒動からフェードアウトしていったのです。首は危険プレーのほうを向いていても、目玉だけボールを見ていたと言われたら、そうかもしれないのです!

↓試合直後は1プレー目の反則を見ていなかったのでこういう発言もしたけれど、今はそんなこと思っていないという姿勢!

家に帰ってインターネットで見てビックリしました!

向こうから抗議の電話でもくるかなーと思っていたら文書がきたので、お手紙でやり取りすることにしました!

「ネットで見たらすごい反則でワシもビックリ」というポジションからのお話でした!

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会見の最後に明かしたところでは、日大の常務理事職は一時停止となるとのこと。当面は謹慎し、今後設置される第三者委員会と日大の判断を仰ぐといいます。「一時停止」という処分によって身の振り方を決める期限を永遠に先延ばしとしたこと(※世間が飽きるまでずっと一時停止)。「謹慎」という処分によって公の場に姿を見せない正当性を確保したこと(※謹慎中なので記者会見はできません)。さらに会見後は日大病院へ入院したということで、政治家並みの華麗なる撤退戦を展開。これが「シェルターに入れる貴族階級」というものかと、羨ましささえ覚えます。

↓ワシは入院する!あとは頼んだぞ!

ちなみに司会の人も入院するぞ!

でも会見に同席したコーチは入院しないぞ!


ただ、これだけでは安心はできません。世間の怒りは飽きるまで1年でも2年でも謹慎で受け流すとして、刑事裁判となれば飽きて終わるということにはならないのです。プレー自体は極めて危険なものであり、選手側の主張が「指示された」である以上、火の手は我が身に及ぶ可能性があります。いくら金とシェルターを持っていても、「コチラのシェルターのほうが安全ですよ」「出入りは不自由ですが、その代わりメディアもきません」「個室で木工でもお楽しみください」なんてことになったら困る。安心を担保しておきたい。誰かに全部を受け止めてもらいたい。そう願うのは人情です。

↓そんななか、監督の身を守り抜くために登場したのは、剛毅果断なディフェンシブライン・井上奨コーチ!

きちゃダメだ、井上コーチ!

僕も昔の上司によくやられた「連れてきました、悪いのはコイツです」と言いながら、上司も謝罪先と一緒になって責めてくるパターンだぞ!

誰かひとり差し出さないといけない人身御供に選ばれてるぞ、なう!


会見の冒頭、僕は「やられた」と思いました。ギィーーーと不快な唸りをあげるマイクと、ぶっきらぼうな司会進行、すでに辞任している内●氏を「監督」と紹介するなど数々のツッコミどころは、大量にわいてくるザコモンスターのように内●氏へと向かうはずだった世間の「棒」を身を呈して受け止めていきます。そして、何よりもマイクを持ってクチを開いた井上コーチの何でも丸め込まれてしまいそうなフワフワ感は「棒でぶってください」と言わんばかり。

前日の選手会見がとても見事なものだったのとは対照的に、井上コーチは体育会系を絵に描いたような「身体で語る」という拙いコミュニケーション能力を発揮していきます。しどろもどろになりながら、「申し訳ございませんでしたー!」だけを力強く発音する話法には、警察が作った調書を読まずにハンコ押してくれそうな雰囲気も漂います。しかも忘れないうちの第一声で「監督からの指示はありませんでした」「私が選手に『潰してこい』と言ったのは真実です」と全部を被ってくれた。僕が横に座っている内●氏ならガッツポーズです。よっしゃ、ワシ門外漢。「コイツがやりました」でイケるぞと。

井上コーチは同じ質問に対して答えが毎回変わるようなしどろもどろ具合で次々に墓穴を掘っていきます。内●氏が「そのプレーは見ていなかった」と言っている横で井上コーチは「見ていました」とひとりで背負ってしまったり、「定期戦がなくなってもいいとは言ってないということでいいですか?」と念押しをされると途端に「言ってないかなー…」とグラッと揺れてしまったり、ノーガードと言ってもいいような受け答えをつづけます。

繰り返される「おもっきりいけ」という意気込み。それはまるで自分自身を鼓舞するかのよう。今まさに、刑事裁判になったとき誰が主犯なのかという爆弾をまわし合っているのに井上コーチはその爆弾をおもっきり抱き締めにいきました。抱き締めにいけば日大に残れるぞとでも言われたのでしょうか。これもまた閉鎖空間の忖度なのでしょうか。井上コーチは決してその爆弾を捨てようとはしません。

↓「心を育てるために過激な表現になってしまった」とほぼほぼ認めちゃっている発言もポロリ!

記者:「(前日の会見で明かされた)選手の認識は間違いないですか」
コーチ:「そういう表現をしてしまった私が」
コーチ:「未熟な指導と言いますか」
コーチ:「私が悪いと」
コーチ:「そういう表現をして」
コーチ:「(選手が)そういう気持ちになった」
コーチ:「それは本当に申し訳ないことをした」

「潰せとは言ったが、それはよくある表現で、断じて反則指示という意図ではない」とだけ繰り返せばいいのに、突っ込まれるとグラッと揺れちゃう!

表現を過激だと認めちゃったら、責任を問われても仕方なくなっちゃうんじゃない?

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会見の最初には弁護士先生が同席していることも伝えられていましたが、本来なら止めなければいけない場面でも先生は止めてくれません。認否に関わる、今後の刑事裁判を見据えたときに非常に不利益になる場面でも止めません。むしろ、ペラペラとしゃべってほしいのではないかと思ってしまうほど、おもっきり自由に発言をさせていきます。

十分な撮れ高…つまりは「監督からの指示ではない」「コーチである私が過激な表現をしてしまった」ということが録音録画されると、司会の方はもう十分とばかりに会見を打ち切りにかかります。「質問はひとつで!」「打ち切りますよ!」「もう(次の人に)まわしてください!」「もう1時間15分過ぎてますんで!」「9時半過ぎましたんで!」と声を荒げる態度は、不祥事の会見としては珍しいものですが、目的に照らせば妥当かなと思います。

この会見は謝罪ではなく地固め。自分たちが連れてきた尻尾が、自分で自分にナタを振り下ろすところを、たくさんのカメラに撮影させることが目的であり、用が済んだらとっとと終わりたい。尻尾がちゃんとナタを振り下ろすかを確認し、本体に間違ってナタが当たらないかを見守り、ズドンと尻尾が切れたので片付けに取り掛かった、それだけのこと。そりゃあ「見ても見なくてもいいんです」という言葉も飛び出すでしょう。

↓見てもらうためにやってるんじゃなくて、尻尾が自分で自分を切るところを証拠として記録しているだけです!
(司会の方が打ち切りを宣言)

記者:「今日はみなさん見てるので、ひとり1問にしますから(つづけてもらえませんか)」

司会:「何十人もいるの全部やるんですか」

司会:「何時間かかるかわからないじゃないですか」

司会:「無理ですよ、みんな手挙げてるんだから」

司会:「30人、40人」

記者:「同じ社で質問がまわっていて、質問できていないところがあるので、1問にしますんでお願いします」

司会:「もう終わりにします」

記者:「刑事事件にもなっているような話なので、短くしますので!」

記者:「監督に決めてもらいたいんですけど」

司会:「いやいやもう」

内●氏:「どうぞ」

(再び質問タイム)

司会:「もうやめてください」

司会:「これ以上やってもきりがないし」

司会:「これで会見の質問は打ち切ります」

記者:「違う質問します!」

司会:「違えばいいというもんではありませんよ」

(中略)

記者:「日本大学が会見をされると言って、私たち訪ねてきてるんですよ」

司会:「だから全員からは聞けないですよ!」

司会:「すでに十分聞きました!」

記者:「納得している人がどれだけいると思っているんですか」

司会:「十分聞きました!」

記者:「それはそちら(の考え)ですけれども」

司会:「そうです、こちらです」

記者:「この会見はアメリカンフットボールに関わる方、みんな見てますよ」

司会:「見てても見てなくてもいいんですけど」

(記者一同、思わず笑う)

(司会も笑いにつられて思わず笑う)

司会:「すでに十分(質問は)出たので、やめてください」

記者:「何で打ち切るんですか!」

司会:「これだけ聞いたら十分ですよ!」

(中略)

司会:「もうしゃべらないでください」

記者:「監督、(進退について)お話されたあと質問の時間を設けていただけますか」

司会:「しません!」

記者:「司会者のあなたの発言で、日大のブランドが落ちてしまうかもしれないんですよ!」

司会:「いや落ちません!」

(記者一同、思わず笑う)

司会:「余計なこと言わずに聞いてください!」

(中略)

司会:「これでもう打ち切ります」

司会:「やめてください」

司会:「やめてください!」

司会:「やめてください!」

司会:「無理やり聞かないでください!」

記者:「おふたりが止めてくれと言ったら止めます」

司会:「おふたりがじゃないですよ」

司会:「さっきからあなたしつこいけど」

(中略)

(マイク、ギィーーーーーー)

司会:「以上で会見を終わります」

司会:「キリがないんですよ」

(中略)

司会:「最後に監督から身の処し方をお願いします」

(内●氏、常務理事の一時停職と謹慎を発表)

(井上コーチ、辞任を発表)

司会:「以上でございます」

(内●氏退場、井上コーチはひとり残されフォトセッション)

(マイク、ギィーーーーーー)

内●氏用の棒を使ってでも先に司会の方を叩きたくさせるスタイルwwww

義経をかばって矢を全身に受ける弁慶型広報wwww



全体にしどろもどろで何を言っているかはよくわからない会見でしたが、追い詰めたのはコーチであるということは内●氏もコーチも日大も総じて認めたというか、そういう形で事実を固めてきたということは言えるのではないでしょうか。この会見と同じ発言を取り調べなどでも繰り返した場合、いわゆる「秘書がやりました」という決着になるような内容であったと思います。

日大のイメージというのは確かに悪化したとは思いますが、大学にとってそのイメージが問題となるのは、受験の時期であったりするものでしょう。半年もあれば世間の風も変わり、「まぁ言うてもアメフト部の話だし」という形でおさまる人も多いはず。体育会系コーチによる行き過ぎた指導という構造はいかにもありがちな話ですし、巨大な日大のなかでは一部の問題ということに落ち着くという読みもあろうかと思います。

日大広報部を中心とした炎のディフェンスは、井上コーチという消火担当を現場に残し、こうして撤退戦を完了しました。もはや何を叩けばいいんだかわからなくなるくらいのツッコミどころを残し、燃えても燃えなくてもそれを見守るのは井上コーチという状況を作って。「僕は監督からそういう指示を受けたと認識しています」とは決して言わない、井上コーチの男気に感謝です!




井上コーチも体調キツイと思うんで、入院させてあげてください!