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08:00
ルールのお勉強の時間です!

(※以下、相撲審判員の口調で)。ただ今の協議結果についてご説明申し上げます。行司軍配は奈良クラブのPK勝ちとみて西方に上がりましたが、競技規則適用ミスによって東方・名古屋グランパスの勝ちではないかと物言いがつき、協議の結果、どっちを勝たせてもしこりが残る感じですごい面倒臭いことになったので、同体と見て取り直しといたします!(※観客大歓声ワー)。

なかなか珍しいことが起きました。6日に行なわれたサッカー天皇杯2回戦の名古屋グランパスVS奈良クラブ戦について、一旦は奈良クラブのPK戦勝ち上がりとなったものを覆し、PK戦を再度やり直すというのです。日本サッカー協会が試合から5日間の熟考を経て11日に開いた説明会では、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミスがあり、競技規則を正しく適用していれば名古屋グランパスの勝ちだったのだとか。

具体的には、奈良クラブが2-4と負けている状態で迎えた、4人目のキッカー・金久保選手のキックに対する裁定が問題であったとのこと。このキックにおいて金久保選手は、キック直前にケンケンをするような動きを見せたのですが、これを主審は不正なフェイントであるとみなし、反則としました。当日は「ダメだよ、蹴り直して」とPKの蹴り直しを指示し、これを決めた奈良クラブが粘って逆転勝利をしたわけですが、正しく競技規則を適用していれば「不正なフェイントで反則を取られた場合はそのキックは失敗扱いとなり、その時点で名古屋グランパスが勝利」していたというのです。

↓まずは一回見てから考えていきましょう!


このPKをやり直させたことが間違いであったと!

不正なフェイントと判定したなら、即失敗扱いが正しいと!



競技規則における、ペナルティーキックでの反則行為を規定する項目には、「競技者が一度助走を完了した後、ボールをけるためにフェイントをする(助走中のフェイントは認められる)。主審は、そのキッカーを警告する」とあり、その場合は間接フリーキックで試合が再開されるとあります。

そして、「ペナルティーマークからのキック」と題された、いわゆるPK戦について記載した項目では、「他に規定されていない限り、競技規則の関係諸条項が適用される」としたうえで、「主審がキックを行うよう合図した後に犯した反則でキッカーが罰せられる場合、そのキックは失敗として記録され、キッカーは警告される」とあります。

つまりは、PK戦の途中でキッカーが反則となった場合は、やり直しなどと言うものはそもそも存在せず、不正なフェイントと判定された時点で「PK失敗」であると。となれば、4人目までを終えた時点で「奈良2-4名古屋」という状態ですから、5人目が蹴るまでもなく奈良クラブが及ばないことが確定しますので、PK戦はそこで打ち切られて終わりとなります。「正しく競技規則を適用していれば名古屋が勝ちだった」という点については、まったく異論はありません。

以上、終わり。

……でもいいのですが、ここから先は蒸し返しという意味ではなく、スッキリするための勉強をしていきます。

JFAの説明によると、試合翌日の7日に一般の3級審判員からの問い合わせで、競技規則適用のミスに気づいたとのこと。そして、国際サッカー評議会に確認したうえで、「適用ミスは審判団の判定ミスとは異なる」「PK戦は試合の一部ではない」「PK戦そのものが成立していないものとみなす」という筋立てで、PK戦からのやり直しを決めたのだとか。

スッキリしないのは、適用ミスはそうなのでしょうが、何故それがやり直しという裁定になるかということです。PK戦は試合の一部ではないと解釈できるのだとしても、「プレーに関する事実についての主審の決定は、得点となったかどうか、または試合結果を含め最終である」という記載が競技規則にある以上、「終わった話はそこで終わり」という精神を遵守すべきではないのでしょうか。FIFAも、JFAも。

これが試合中の小さな競技規則適用ミス…たとえば「スローインに対してオフサイド判定をした」などであれば、まずもって再試合などしないわけでしょう。それをPK戦だから、試合結果に影響を及ぼす重大な部分だからといって「この試合だけやり直す」というのは、場当たり的に思われます。試合以外の部分は場当たり対応でもいいのなら、いっそウイイレのオンライン対戦モードでPK戦をやり直したほうが、移動の手間もなくていいんじゃないかと思うほど。

↓何でPK戦1本目からのやり直しになるのか、その理屈は競技規則を読んだだけではわかりませんでした!

通常対応の「一度決まったことだから、もう変えない」はわかる!

百歩譲って「ルールを正しく適用していたら名古屋が勝ちだったので、名古屋の勝ち」もわかる!

でも、「ルールを正しく適用していたら名古屋の勝ちだったけど、全部なかったことにしてPK戦だけやり直し」は理解できない!


↓ちなみに2005年に行なわれたウズベキスタンVSバーレーン戦では、日本の吉田主審の判定がやはり「競技規則の適用ミス」とされ、再試合となったことも!


要するにあれか、「PK関係はやり直す」ということか!

大事なところはやり直す、そうでもないところは無視!

うーん、いい加減!

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そして、プレー自体についてもスッキリしないところがあります。主審の判定をどうこう言うつもりはありませんが、あのケンケンは「不正なフェイント」なのかどうか、僕にはわからないのです。そもそも全世界共通のサッカー競技規則には、「競技者が一度助走を完了した後、ボールをけるためにフェイントをする(助走中のフェイントは認められる)」のは反則だと書いてあるだけで、助走とは何か、フェイントとは何かについてはまったく記載がないのです。

↓たとえばこのプレーは「不正なフェイント」でしょうか?


不正かな?

不正じゃないかな?


↓こちらのプレーは「不正なフェイント」でしょうか?


不正かな?

不正じゃないかな?


↓こちらのプレー(PK戦の一番最後)は「不正なフェイント」でしょうか?


不正かな?

不正じゃないかな?


これらはいずれもゴールとして認められているように、不正なフェイントではありません。三者とも途中で止まったり、ヘンな動きをしていますが、「助走中のフェイントは認められる」のです。

↓ときには似たような動きで「不正なフェイント」と判定される選手もいるが…!


先の3つを見たあとだと、こっちは誤審な気がしますね!

何が悪いのかまったくわからない!



翻って奈良クラブの選手のPKについて。確かに左足を踏み込んだあと、ケンケンで一歩跳んでいる動きは、相手を幻惑させるようなものです。ケンケンの途中で振り上げた足が、頂点のところで一瞬止まっているかのように見えなくもありません。ただ、左足自体は一足分前に進んでいるわけで、単に「連続で左足を踏み込む助走法」だったと言えなくもありませんし、右足もいわゆるキックフェイントはかけておらず、振り上げてから振り下ろしただけ。そもそもケンケンは「不正なフェイント」なのでしょうか。サッカーでは左・右・左・右と踏み出す決まりでもあったでしょうか。

もちろん主審が不正なフェイントだと言えばそうなのですが、それをルールブックに照らして納得する方法がナイ…というのは非常にスッキリしないところです。本来なら「助走とは…」から始まる10項目くらいの長い説明があり、「フェイントとは…」から始まる10項目くらいの長い説明があり、実際の例をいくつか紹介しながら「これは不正」「これはOK」とするところまで書いてあってほしいと思うのです。これが野球なら一問一答形式のルールクイズみたいなものまで、公認野球規則に載っているのですから。

最大限に良心をもって解釈するなら、「ボールの近く(※近くってどのくらい?)に足を踏み込んだら助走は完了だよ」「そこから先は何も余計なことをせず、一連の動きでキックするんだよ」と言いたいのでしょう。そのとき、今回のケンケンは不正だけれど、「踏み込んだときに芝生がめくれて、軸足がちょっと動いた」というケースは不正じゃなかったりするようなら、それは猛烈に場当たり的だと思うわけです。誰かのさじ加減ひとつで決まるような。「この人は悪意がなさそうだから無罪です」みたいな。

まぁ、結論というのは何もないのですが、考えれば考えるほどスッキリしないということだけは確認できました。そして、スッキリしないなかでも決まったとおりにやるしかないということも。どうせPK戦をやり直すなら、それだけやり直してもバカバカしいので、せめて余興の練習試合とか、トークショーとかもセットで盛り上がってみてはどうでしょうか。PKやり直し記念グッズでも作ってみたり。JFA側も非を認めて柔軟に対応してくれそうなので、15時開演⇒17時まで練習試合⇒18時までルールに関するトークショー⇒19時までカラオケ大会⇒20時まで質問コーナー⇒休憩挟んで20時半からPKやり直しショー…とかでもいいんじゃないでしょうか。面倒を吹き飛ばす勢いで、楽しんでくださいね!


僕なら一般の方に5万円渡して「気づかなかったことにして」って言います!