このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
12:00
超進化・西野ジャパン!

心配から逆の意味での心配へ。つい数日前までは「クッソ弱くて恥をかきそう」と心配していたのに、今は「強すぎて警戒されてしまう…」と心配をしている。贅沢な悩みかもしれませんが、このような心境で大本番を迎えられるとは、応援する者としても嬉しい限りです。

急に3バックを採用してみたガーナ戦。旧来の形に立ち戻ってみたスイス戦。そして過去の経験をミックスして、メンバーをガラリと変えながら西野ジャパンのやり方にたどりついたパラグアイ戦。確かに僕も「3週間でチームは仕上がる」と言ってきました。でもそれは、病気で死にそうな人に対して「治りますよ」と言うような気持ちでのファンタジーな応援の言葉でした。

しかし、西野ジャパンはやり遂げた。普通のチームが3年くらいの試行錯誤を経てたどる道を、わずか1ヶ月ほどでやってのけた。それはさながら生命の進化の歴史を、単細胞生物⇒恐竜⇒人間と、途中どうなっちゃってんだか全然わかんない感じですっ飛ばしてくるかのような「超進化」でした。さすが当時世界最強のマンチェスター・ユナイテッドを追い詰めた名将・西野朗です。

日本の先発はGKにフェイスガードを外して本気を出した東口、DFラインには左サイドで本来のチカラを見せる酒井高、悪ふざけしないマン・昌子、やらかさないマン・植田、お疲れ様ありがとう遠藤と並べてきました。システムは4-2-3-1とやり慣れたオーソドックスな形で、やはりこれが基本形となってきそうな感触。

ボランチの位置にはキャプテンマークを巻いた山口蛍と、当時世界最強のレアル・マドリードを追い詰めた柴崎を並べる新しい形。前めには当時世界最強のバルセロナから2点を取った乾、当時世界最強のマンチェスター・ユナイテッド所属経験を持つ香川、武藤と並べ、1トップの位置には当時世界最強のイングランド・プレミアリーグを制した岡崎を9か月ぶりに起用しました。改めてこうして見ると、すごいメンバー、すごい布陣です。

↓ついこないだまで「無能が茫然と棒立ち」に見えた写真も、今は静かなる名将に見える!

オーーーーメイショーーー

メイショーメイショーメイショー

ヘイヘイヘイヘイ!(※以下、無限に繰り返し)



イスでビッシリと埋まったオーストリア・インスブルックのスタジアム。DMM.comなどの微妙な看板が立ち並ぶなか、ときおり日本代表のロゴ看板がポコーンと掲出されているなど、若干の隙間感も漂います。わざわざオーストリアくんだりまで呼び出されたパラグアイはどれだけやる気を出してくれるのか。客もいないし、ワールドカップも関係ないなかでどれだけ本気でやってくれるものか。不安は尽きません。

すると早速前半12分にはGKを交替してきたパラグアイ。聞けば、GKはこの試合が代表引退試合であるとのこと。「うわぁ…セレモニー試合や…」「日本代表戦なら妙な失点もしないだろうし…」「何か、ワールドカップで最高齢GK使われたことを思い出す…」と、一瞬「なめプかな?」という疑いも生まれます。

しかし、皆の祝福を受けてピッチをあとにするGKの姿を見ていると、この場に立ち会えたことが誇らしく思えてきます。2010年のワールドカップでベスト8をかけてPK戦まで争った「ライバル」の引退に、沈黙の無得点で花を添えられた。これぞ原点、まさにリスタートの位置。あの日、どうしたらベスト8に行けるのかと考えたことが、この8年間の道のりだったような気がします。その答えをこの試合でぶつける。そしてワールドカップで示す。そういう気持ちにさせてくれるいいセレモニーでした。

日本は岡崎が幅広く動き、それに連動して香川も動くことで、足を使い、相手を動かしてスペースを作りながらの試合運び。守備ではDFラインにプレッシャーをかけてボールを奪い、攻撃では柴崎からの縦パスがタイミングよく繰り出され、そこに香川がアクセントをつけるなど、この半年ほど「どんな相手に対してもまったく見られなかった」イイ具合の動きが生まれます。

↓しかし、先制点をあげたのはパラグアイ!すごいシュートを決められた!


うわーーーー、イイ感じだったのに一発でやられた!

浮き球を反転ボレーなんてめったに入らなそうなヤツに!


イイ感じの試合さえも引っくり返してしまう「悪い流れ」。こんなんが入るか…という失点と、「これが入らないのか…」とうなだれるような乾の前半33分の宇宙開発シュート。柴崎のFKも直撃クロスバーとなり、麻雀で絶対にツモれない日のような巡りの悪さを感じます。この1点が入ったり入らなかったりする、ただそれだけで何もかもが変わるのに。そんな難しさのなかで、前半は0-1で終了。西野ジャパンの全敗ロード、無得点ロードがつづきます。

そして迎えた後半。日本は遠藤に替えて酒井宏、東口に替えて中村航輔が入りました。これで西野ジャパンは招集メンバーを全員ピッチに送り込んだことになります。着々とやるべきことをやってきた、そんな起用。ダメな日もできることをやりつづけてきた、そんな道のり。

西野ジャパンにようやく好転のキッカケが生まれたのは、後半開始直後の6分でした。昌子が持ち上がったところから、香川がワンタッチでさばき、それを受けた乾のドリブルからの見事なシュート。バルセロナから2点を取った男の本領発揮で、西野ジャパンがようやく始まった、そんな気持ちです!

↓この1点がキッカケになる、そんな気がする乾の見事なゴール!


乾を見い出した名将・西野!

世間のみなさんは驚くかもしれないけれど、名将・西野はずっと乾をマークしていたのです!



まるで呪縛から解き放たれるように日本の戦いぶりも変わってきます。変わったように見えてきます。ついこの間まで「クソやのぉ…」とばかり思っていた酒井高は、一流のブンデスリーガーとしてピッチを激しく上下動しながら躍動します。「スポンサー枠の邪悪な顔してるわ…」というイメージで固まっていた香川は、日本の攻撃にひらめきを生み出す黄金の輝きを放ちます。「目の前の人間に食いつくだけの犬」だと思っていた山口蛍は、大きなサイドチェンジを繰り出すなどまさに「ボランチ」の動き。やらかさないDF陣の頼もしさ。ベンチが似合う槙野。悪い夢から醒めるように、誇らしい日本代表がそこには帰ってきていました。

↓つづけざまの後半18分、乾が2得点目!


GKが触ってからコロコロっと入った!

こんなのが入るんだというのが入っちゃうのが、上手く行くときの流れ!

岡崎の走り込みも効いてる!


ほとんどパラグアイ側のピッチ半分で行なわれているかのような試合。次々に決定機を生み出す日本の攻撃は、ついにパラグアイのオウンゴールをも引き出しました。「あぁ!ヨシダがいたらヨシダがやらかしそうなことを相手チームがやるなんて!」「やらかさないだけでこんなに気持ちよく試合が見られるのか!」「絶対にやらかすDFが日本にはいない!」と世界すべてが眩しく輝いて見えてくるよう。

少し前の日本であればイヤな気分になっていたかもしれない後半45分に許したパラグアイの追撃弾も、イヤーな気分を感じる前に日本の至宝・香川真司が久しぶりの代表ゴールで払拭してくれました。ゴツゴツとした肉弾戦は向かないかもしれないけれど、狭いところでボールを持たせたらワールドクラス。それぞれのよさが出るシチュエーションでは、決して日本も劣るものではないと、改めて思い出させてくれるかのようなビューティフルゴール。そうか、そうなんだ、できることを頑張ればいいんだ。その結果は、どうなったとしても、愛すべき自分たちの結果なんだ。大本番に臨むにあたっての心構えを改めて教えられるかのような、素晴らしいゴールでした。スポンサー枠など、ここにはない!日本は希望を取り戻して大本番へと向かいます!

↓あとはこれを試合の早い時間帯で先制点として決めてもらうだけ!


もっと簡単な場面を3本くらい外してるからな!

そういうのを大本番ではキッチリ決めてください!



世の中は広いですから、いろいろな考えの人がいるでしょう。この選手が黒幕だとか、このチームは間違いだとか、それこそ「負けたほうが日本のため」と思っている人もいるかもしれない。しかし、選手はそんなつもりで戦うわけもなく、茶の間であーだこーだ偉そうに言っている人間には想像もつかない精進の果てに、人生をかけた大一番に臨むはず。まずは応援、気持ちよく応援していこうじゃないですか。ここに集った選手、その全員が一度くらいは素晴らしい活躍で日本に喜びを運んでくれた選手ばかり。あのヨシダさえ、ロンドン五輪では頼もしいリーダーシップでベスト4という快挙を演出したことがある…やはり「日本を代表する」選手なのです。

このサッカーが、この起用法が、この戦術が、誰の影響を受けたかなんてことはどうでもいいこと。そこにいるのが日本の代表で、そこで演じられるものが日本のサッカーなのです。ドキュメンタリーでもそうですが、語るのは終わってからでいいはずです。すべてを見届けてから、道のりは振り返ればいい。「ダメそう」という恐れはいらない。よしんば最悪の結果が起きたとしても「ダメだったな」とあとから思えばいい。この先もつづく100年の道のりを思えば、今考えるも、1か月後に考えるも、どちらも同じようなもの。ならば、まずはしっかりと受け止めることこそが大事なはず。

見守りましょう、何が起きても。

愛しましょう、そこで出た結果を。

それがひとつしかない自分たちのチーム「日本代表」なのですから!



目標は常に高く!頑張れ西野ジャパン、目指せ前回超えの勝点2!