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08:00
羽生氏の夏休み、繰り上げ終了しました!

「1年くらいじっくり休んでみなさい」
「知らなかったことを知ることは大切よ」
「ローマの休日でアン王女は成長したの」
「休日は誰にとっても必要なことなの」
「よかったら一度ウチに遊びにいらっしゃい」
「大丈夫、密会とか逢瀬とは言われないから」
「ヘンな友だちがいるんだな、程度で」
「ホームステイだと言い張れば大丈夫」
「2ndGしかないけどモンハンもあるから」
「スマホいじるだけの時間も悪くないのよ」
「楽しみましょう、人生を」

そんな言葉を心で唱えながら、今季は何があってもニコニコしていようとコチラは決めていたのに、羽生氏はちゃぶ台を蹴りあげて厳しい勝負の世界に帰っていってしまいました。フィギュアスケート・オータムクラシック・フリーを終えた羽生氏は、前日までの「楽しいなー」というポヤポヤした表情から一変し、苛立ちと怒りと闘争心を露わにしていました。おそらく例の早口でまくしたてられたであろう言葉たちは、何を聞いても答えは「スケートがしたい」に戻っちゃっているじゃないですか!

「休み終わるの早っ!!」

楽しむんじゃなかったのか。自分のために滑るんじゃなかったのか。しがらみから解放されたんじゃなかったのか。モチベーションは4回転アクセルだけだったんじゃなかったのか。コチラも羽生氏の性分はわかっているつもりなので「どうせそのうち」とは思っていましたが、まさか復帰2本目の演技で休みを打ち切ってくるとは思ってもいませんでした。ごちそうさまって茶碗を置いた直後におかわりを要求してくるくらい、話がちゃうやんけ!

↓楽しむんじゃなかったのか…?

自分のために滑るって言ってたやん…。

いろんなものから解放されたって言ってたやん…。

「誰だ、俺を戦わせるのは!」って主人公が振り返ったところに自分そっくりのヤツがいて、「僕はキミだよ」「キミの心が戦いを求めているのさ」「キミは戦わずにいられない鬼なのさ」って言ってる場面みたいな感じ!

みんなまだニコニコしてるのに、ひとりだけ燃え上がってるぞ!

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正直、コッチは余裕があるのです。二度や三度ポヤーンとした演技がつづこうが、永久不滅の世界最高記録と66年ぶりの五輪連覇があらゆる不安をかき消してくれるのですから。我が推しは誰が何をどうやっても揺るぎなき栄光と名誉を保持しているのだと。さながら歴史のなかの偉人のように、今さら落ちたり下がったりはしない絶対的な足場の上に乗っているのだと。

1年くらいは何があっても「ごめんなさいね、この子まだお休み中ですのよオホホ」で押し切ってやろうと思っていたのです。「4T+3A」などの新感覚コンボを繰り出そうものなら、「歴史とは誰かが白いページに新たな文字を書き込まなければ生まれない」「ルールには縛られない、ルールは私が作る」「earth music&ecology」とか言っちゃって、褒めちぎってやろうと思っていたのです。勝てば200%、負けても150%の熱量で。

それを本人が「やっぱり試合で勝ちたい」「火をつけられた」「今はもう勝ちたいしかない」「最短で強くなりたい」とか言い出したら、ガチ感が出ちゃうじゃないですか。道場破りを相手に「稽古をつけてやろう」ってニッコリ立ち上がった師範が、途中から自分の不甲斐ない動きにムカッときて(※相手は一応ボコった)、木刀投げ捨てて本身を握ったらめっちゃガチ感出ちゃうじゃないですか。気楽に見られるシーズンだと思ってたのにぃぃぃ。

こうなったら仕方ありません。戦いです。当面の目標は新ルールのもと初めて行なわれる世界選手権でのゴールドメダルです。母国日本で、旧ルールで永久不滅の記録を遺した王者が、新ルール最初の王者となる。100年先のウィキペディアを見た人でも、この時代の羽生結弦が永久不滅・空前絶後の絶対王者であることがわかるように、ルールの境界をまたいで勝ちにいきましょう。

そのための武器はあります。ポヤーンとしたなかでも、自身の原点がナマクラを用意することは許さなかった。「origin」と名づけられた新フリープログラムは、人生を懸けて演じるに足る器があります。何よりも羽生氏本人の思い入れがある。敬愛するエフゲニー・プルシェンコさんの「ニジンスキーに捧ぐ」と同じ楽曲を使用した、「プル様に捧ぐ」とでも言うべき演目は、半端な完成度で終わるわけにはいきません。それは羽生氏にとって「恥」でしょうし、捧げものを半端で済ますのは礼を欠く行為です。

羽生結弦が「あなたを想って一生懸命に演じました」と胸を張って言える状態にしたのなら、それは当然ゴールドメダル相当でしょう。勝負は相手があることですし、怪我やアクシデントはいつ起きるかわかりませんので絶対とは言いませんが、「普通にやったら勝つ」ところまではいっていないといけません。それが「捧げる」ということです。

↓衣装はプル様を意識した金黒!ただの金黒ではなく羽根つき、胸アキ、透け手袋!

プル様のチカラを取り込んだ天使が闇堕ちした的な!

髪をかき上げて魔王が降臨する!

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注目の「origin」初披露、ルーティンの所作を繰り返しながらスタートポジションに羽生氏がつきます。翼を広げた魔王が切りつける風の前に立つ最初の動きは、「マネしたくなる羽生氏の振り付けランキング」に早速飛び込んでくる印象的なもの。銅鑼の音に合わせて跳ぶ4回転ループは入りも慎重で、着氷もこらえながらとなりました。初披露にちょっと固さも感じる滑り出しです。

ベスティスクワットイーグルでの蛇行は、こういう音にこういう衣装で乗せると魔王感が出るポーズなんだなぁと新鮮な気持ちにもなります。僕がマネすると100%「すしざんまい」になると思われますが、これもマネしたいランキングに入れておきましょう。

つづく4回転トゥループは、この大会のなかでようやく「いつもの羽生氏の成功ジャンプ」と思えるジャンプ。ここでは複数のジャッジがGOEで+5をつけてきました。キッチリやれば+5がもらえるということが採点として表現されたのは、収穫と言えるでしょう。

そこから足換えのコンビネーションスピンは、スピンの入りにヒザを曲げてまわるシットツイズルをもってきました。入りのバリエーションも工夫して、新たな装いで魅せてくれます。あの伝説のニース世界選手権「ロミオ+ジュリエット」でも見せた得意技の導入は、「今季はみんなが見たいものを全部見せてあげる!」というサービス精神によるものでしょうか。

しかし、採点では減点となるVマークがつきました。おそらくはシットスピンについて、ショートプログラムで指摘されたのと同様に「大腿部がリンクと平行になっていない」という難があり、基本姿勢が抜けてしまったのでしょう。こちらはレベル要件に影響する難ポジションでのものでしたので、Vもつきレベルも下がるという合わせ技のロスとなりました。

つづくステップシークエンスは曲の盛り上がりとも重なる見せ場。最終的には羽生氏がバイオリンを弾いているかのように、腕の動きと楽曲とがリンクする振り付けなのでしょう。ただ、まだ滑り始めたばかりのプログラムですので、羽生氏の「最終的な音ハメ具合」には届いていないかなという印象。ハマってこそ盛り上がる場面だと思いますので、捧げられる状態になるまで引きつづき練習というところでしょうか。

曲調変わって一度落ち着いたところでトリプルループと4回転サルコウを入れていきますが、両手と尻もちをつく大転倒をしてしまいました。GOEでも−5がつき得点はわずか4.85点に。旧ルールでは出来栄え最低でも6.50点はもらえたことを考えると、改めて出来栄えの良し悪しで大きく変わってくるルールだなと思わされます。「美しいフィギュア」を追求しないといけません。

その後、演技後半に入ってのジャンプでは抜けて2回転のトゥループとなります。4回転トゥループからのコンボとすべき場面でしたが、コンボごと抜けて10点以上の大きなロスとなりました。ここに「4T+3A」という大技を入れるという話もありましたし、少し気構えてしまったかもしれません。

いわゆる「ヘの字」の変形ランジ姿勢やレイバックイナバウアー、ハイドロブレーディングなど得意技で魅せながら世界一のトリプルアクセルを連発していく演技終盤。羽生氏比では着氷のこらえや伸びの無さなどが見られます。トリプルアクセルは新ルールでの勝敗をわける最重要ジャンプとなりますので、早く「オール+5」の採点表を見たいところ。全世界・全選手のジャンプのなかで「オール+5」にもっとも近いのが羽生結弦のトリプルアクセルのはずですから。

最終盤にはスピンをふたつ。この大会で苦しんできたシットスピンはハイドロブレーディング(沈んで起きる)⇒デスドロップ(跳んで沈む)という屈伸運動のような入りからしっかりと決めてきますが、最後のコンビネーションスピンではまたもシット姿勢が認定されなかったようでVマークがつき減点となりました。

最高潮に盛り上がっての決めポーズ後、動いたクチは「くそー」なのか「ちくしょー」なのか、とにかく悔しい気持ちが顔に表れています。そして、まるで少年時代のように肩で息をしながら疲れを見せます。4分に短縮された演技時間に対して、減った要素はジャンプがひとつだけということで、忙しさは昨季以上。「数秒呼吸を整える」ことができればもう少し違うのでしょうが、その余裕がないぶん同じ体力では滑り切るのも難しいかもしれません。

↓「ハァハァ」する姿を見られるのも何だかとってもフレッシュな感じでイイ!


昨季は4分30秒で13個の要素!

今季は4分で12個の要素!

本当なら4分10秒欲しい!

あと10秒欲しい!

「あと5分寝かせて」くれたら全然違う、あの感じ!

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総じて言うと低調な演技で、フリー単体では2位という結果でしたが、心配するものではないでしょう。シット姿勢での腰高や演技後のハァハァは滑り込みの不足からくるもの。時間をかけて右足を休ませてきたのですから、そのぶんの緩みは当然あります。新プログラムを身体に馴染ませながら、状態を上げていけば自然と解消されるはず。

つなぎや振り付け、曲の解釈といった部分も、ここから上げていく部分。「バラード第1番」や「SEIMEI」は2シーズン・3シーズンを使って磨き込んだ演目であり、そこと比べても仕方ありません。スピンの構成やつなぎの構成をガラリと変えてくれたことに感謝しながら、ここからの試行錯誤を見守るべきでしょう。去年やっていたことを並べ替えて「新プログラム」と言い張ってもいいところを、憧れの人への敬意を込めて、得意技を山盛りに詰め込み、新たな挑戦を加えようというのですから。

本人に火がついたという話でもあるので、コチラもさらに欲を出していきたいところ。プルシェンコさんに捧げるのならば、「プルシェンコさんが同じ楽曲で成し遂げた芸術点オール満点のオマージュとなる、どれかの要素でのGOEオール+5の達成」「プルシェンコさんがルール上の勝機よりも自身のスケート観を貫いたことへのオマージュとなる、4T+3Aの実施および、それをやってもなお勝って新たな世界を切り開く」「プルシェンコさんが得意としたビールマン姿勢」といったあたりは、目指すべき最終形として意識してもいいでしょう。

五輪を3連覇するような選手というのは、満足を知らない勝ちたがりぞろいです。「6年間119試合を勝ちつづけてきたのに1回負けただけでボロ泣きしながら実家に電話する」とか、それぐらい勝ちたがりでないとできないことです。今大会、羽生氏はそういう人であることを改めて確認できました。それはファン側の願い…成すべきことを成し遂げた羽生氏に対してもはや強制することはできない願いである「五輪三連覇」にも可能性を示してくれるものです。

羽生氏も自分が生粋の勝ちたがりだと、今回の試合を経て再確認したのではないでしょうか。自分の身体が動く間に誰かの勝ちをニッコリ見守るなんてことは、どうせできない性分なのです。正直、苦しい時間を越えるためにガマンしてきたことを楽しむ「遊びの1年」があってもイイと僕は思うのですが、本人がそれすらこらえきれないならしょうがないですね。衣装の色はブラックの黒。「羽生結弦の休日」はこうやって最短で終了していくんですね!


最後に「スーパーアリーナでは負け知らず」という情報をお知らせしておきます!