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08:00
各地で紡がれる物語が、やがてひとつに!

いよいよか…奮い立つ心を静かになだめて、「その時」を待つような気持ち。今季最大の戦いとなるであろう日本開催の世界選手権を見据え、今季のフィギュアスケートは佳境へと向かっています。世界各地で起きるそれぞれの物語、今はまだ交わらないそのひとつひとつが川となってより集まっていくかのよう。特に男女シングルは大河のようにいくつもの物語を飲み込み、はたして我が身が耐えられるだろうかと案じるほどの激流となっています。

男子シングル、絶対王者・羽生結弦氏の不在は、王座交代を期待する向きにとっては意欲が高まる出来事でしょう。世間というのは総じて「新しい」ものを求めがちです。そんな向きをなだめるように、盟友ハビエル・フェルナンデスが有終の欧州7連覇を飾り「ここにハビエル・フェルナンデスを超える選手はいない」と西方を統べる…も束の間、東ではネイサン・チェンが全米選手権で4回転4種5本を決めるフリー演技を見せ、驚異的なスコアを叩き出していました。その通りのスコアが国際試合で出せるなら、王座にも届き得るほどの得点を。戦いはまだ終わっていないぞ、とばかりに。

女子シングルは、まさに新時代到来。ロシア生まれるジュニア選手たちは4回転を続々と跳び、つい一年前に五輪の表彰台をわけあっていた先輩たちをも脅かしています。日本からもまた、トリプルアクセルで新時代の旗手となった紀平梨花さんが飛躍し、さらにその紀平さんを上回って坂本花織さんが全日本を制し、日本のエース・宮原知子さんを脅かすという似たような構図。アメリカでも13歳のアリサ・リウが前年女王のブレイディ・テネルを下して優勝するという、新時代の戦いが起きたばかり。今季の戦い、その頂点ですらまだ前哨戦であり、新時代の選手たちがシニアに上がってきてからが大本番という空恐ろしさ。そうした戦いのすべてが、今はまだ交わらないからこそ一層の熱さを備えて世界選手権へと流れ込んでいくのです。どうなるかが知りたいから、ますます楽しみになる。観戦冥利に尽きます。

8日から始まった四大陸選手権もまた、大河へと流れ込む大きな物語のひとつ。羽生結弦氏は不在、ネイサン・チェンも不在。女子のロシア勢も欧州じゃないから当然不在。だからこそ、期待が高まります。ここでチカラを示し、新たに名乗りを挙げる強者の登場に。タイトルを手に、日本の「世界」に乗り込んでくる覇者に!はたして誰が勝ち名乗りをあげるのか!

↓まさに群雄割拠!ISU公式もさまざまな選手に期待している!

うむ、紀平さんを好きなのはわかった!

でも、かおちゃんがいなくない!?

ボーヤンとかもいなくない!?

そして真凜ちゃんがいる!

真凜ちゃんは四大陸選手権出たことないけど、いる!



中継を担うフジテレビも連日のゴールデンディレイ中継で、この物語に熱視線を送ります。「もはや我々が普通に番組を制作するより、録画のフィギュアスケートを流したほうが視聴率が取れるのじゃ…」「19時台に急にテレビショッピングとか始まったらヘンじゃろ?」「ワシらもヘンじゃと思う。ヘンじゃと思うからスケートをそっちにまわしたのじゃ」「ちなみに、土曜日は本来のライブ時間に山村美紗サスペンスの棚卸しをするつもりじゃ。2014年くらいに撮影したヤツじゃが…」「なお、テレビ朝日も偶然にも山村美紗サスペンスを放映するそうじゃ」「この国のコンテンツは山村美紗サスペンスしかないのじゃ…」という清々しい割り切りも感じさせます。

初日のディレイは男子シングルのチャ・ジュンファンから。4回転サルコウ、セカンドジャンプをループとしたトリプルトリプルのコンボを組み込み、レベルも加点もしっかりととる演技。さすが、中継のオープニングに選ばれるだけのことはあります。あるいは中継側としては「ん?羽生選手かな?」という見間違いにも期待していたでしょうか。コーチも一緒だし、見間違う人がいてもある程度仕方ないと思います!

↓本人よりコーチがめっちゃワロテルwwww

素敵だなー!こんなに喜んでもらえて!

伸びる、この環境は伸びる!

僕の職場にもこんなに喜んでくれる上司がほしい!


つづいては日本から登場の友野一希クン。世界選手権の代表入りを逃したことで、ここは一戦集中の構え。冒頭の4回転サルコウはやや傾き、流れを失い回転も不足となります。トリプルフリップからのコンボも転倒でコンボにできないなど、ショートにおいては痛いミスが出てしまいました。スコアや順位はいきなり厳しいところに追い込まれましたが、ここは踏ん張りどころ。フリーでの巻き返しに期待です。世界選手権5位、基本ずっと表示されているその字幕に偽りはないのですから。

「時を消し飛ばす能力」でひとり飛ばしまして、中継には日本勢から田中刑事さんが登場。全日本の試合演技は中継からバイツァ・ダストされ(※カットの意)、メダリスト・オン・アイスの模様をたっぷりとお届け。刑事さんは東方仗助に扮しているのに「これまでの自分を壊す!壊す!壊す!壊す!全部壊す!」という仗助に一番似合わない字幕をつけてくるあたり、フジテレビ中継班には「ジョジョ」の住人はいなかった模様。刑事さんは悪い演技を壊して、本来の演技へと「直す」方向で今大会に臨みます。

全日本で「感覚を取り戻した」という4回転サルコウは、着氷で大きく乱れますが軸も悪くなく、跳べているなかでの乱れ&回転不足といった感じ。つづくコンボもしっかりと決めて悪くない滑り出しです。下半身にも張りがあって、いいフィットネスで試合に臨んでいる様子。動きにキレ、勢いがあります。も、もしや、コレはアチコチで言われた「ジョジョみたいに滑ろうよ!」という声が反映されているのか!ジョジョの動きをスケートでも意識すると、めっちゃポージングがキレてメリハリがつくという、あの効果がついに出てきたのかもしれない!GREAT!

↓田中巡査長、四大陸選手権でまずはサルコウをひとつ確保!

このこらえたサルコウでこの点数なら、決まればもっと上が狙える!

シーズン終盤にかけて、ジョジョによくなってきました!


ジェイソン・ブラウンが工夫のあるジャンプ着氷や美しく速く回るコンビネーションスピンで地元の観衆を沸かせ、グッと温まってきたところで登場するは宇野昌磨クン。全日本での負傷も含めて右足を複数回捻挫したとかで、調整は十分ではないとのこと。どんなに注意していても、アスリートには怪我がつきもの。怪我をしても出る、という機会もあるでしょう。負傷箇所を守るには、キレイに跳んでキレイに降りるのが一番。怪我したときこそ、いい演技をしていきたいもの。

構成は抑えて、冒頭の4回転はトゥループに。やや乱れますが、こらえて出来栄えのマイナスを最小限に止めます。痛みはない、くらいの状態だという言葉はその通りのようで、ジャンプ以外の部分はさすが宇野昌磨という演技。練習ができないと体力が落ちそうなものですが、ステップであったりつなぎであったりは演技終盤にかけてむしろ勢いを増すかのよう。さすが、五輪でコケても「笑えてきた」という大物。怪我の影響を感じさせない演技でした!

↓タイトルを狙うにはやや出遅れも、まだまだ表彰台は狙える4位発進!

これでまた2位フィニッシュだと「狙ってる」かのような調整具合!

「ずっと1位」よりもある意味難しい!


何回聞いても本人は「ジョウ」と言っているのに、「ガンバルゾウ!」「ヨンカイテンキメルゾウ!」とゾウ表記推しで紹介された地元アメリカのビンセント・ジョウは、ショートに4回転2本を組み込む構成。しかも4回転ルッツからのコンボ。これを美しく決めて冒頭から大きく得点を重ねます。ゾウというよりはチョウのようにリンクをよく跳ねる演技。高難度のジャンプはもちろん、つなぎやステップでもピョンピョンと跳び、非常に軽やか。100点超えの演技で、一気にトップを狙うジョー!(※実際にやってみると、ジョーよりはゾウのほうがまだいいかな…/ジョーは赤塚漫画とかに出てくる語尾ってイメージ)

↓五輪6位から順調にステップアップしてきている!


毎日:「ビンセント・ゾウ」
報知:「ビンセント・ゾウ」
産経:「ビンセント・ゾウ」
デイリー:「ビンセント・ゾウ」
日刊:「ビンセント・ジョウ」
フジテレビ:「ヴィンセント・ゾウ!」

惜っしいなwww

「ヴィン」を許容するなら「ジョウ」にしたれwww

「ビン」は気にしてないと思うから「ジョウ」を!


↓なお、煽り映像にはいなかったボーヤン・ジンは、いました!

ハブられてるわけじゃないと思う!

もっと雑な何かが裏で蠢いているに違いありません!

「忘れた」「エントリーとか見ないで作ってる」「別に合ってても違ってても気にしてない」のどれかが…!




ここで中継は時をさかのぼって日本時間早朝の女子シングルのショートプログラムへ。地元マライア・ベルのセリーヌ・ディオンの唄にのせた伸びやかな演技から中継は始まります。長い脚をさらに長く見せるスピンはポジションも個性的で魅力的。地元選手のイイ演技で沸いたリンクは、次なる新生・紀平梨花さんの登場を待ちます。何だか「地元選手のイイ演技のあと」にわざわざ最初から置いてあるみたいに、男女とも似たような並びです。

練習中に指を亜脱臼したという紀平さん。集中を欠き、演技に影響もあるでしょう。実はこれを書いている僕も今、小指を痛めているのですが、それだけで仕事には身が入らず、やる気も減退気味。紀平さんのトリプルアクセルが抜けて1回転…ショートではノーカウントになるジャンプになったとしても仕方ないでしょう。足の痛みは「今自分が痛くない」のでわからないけれど、指の痛みにはすごく共感できます。これは跳べない。指が痛いのマジきつい。うむ。

しかし、紀平さんがすごいのは「ノーカンの要素」がありながら、それを補ってしまうだけの全面的なチカラ。本来なら「10点」、悪くても「4点」ほどは取れたであろう要素が抜けながらも5位で「止まった」のはさすが新時代。望んでそうなっているわけではないでしょうが、むしろこの位置からの追い上げが勝ちパターンでもあります。十分に「いい位置」につけました!

↓頑張れるメッセージ動画を置いておきますね!ガンバッテ!

「ワシの動画やないかーい」
「ワシもオカシイと思うけどー」
「ワシの応援を呼びかける動画で」
「何でワシが応援してんねーん」


つづいて登場は坂本花織さん。実際の演技順でも日本勢が連続ということで、何となく火花も飛び散る感じ。濱田組なる組織と中野組なる組織の激突は、仁義なき戦いでも流れそうな「二大勢力」感があります。「世界一」という本人の器に見合った目標をようやく公言し始めた坂本さんは、ドーンと跳ぶ素晴らしく大きなコンボから入ると、三回転を跳ぶ余裕があるように見えるダブルアクセルをつづけ、順調な滑り出し。

演技後半のトリプルループも含めて、ジャンプはどれも余裕と大きさがある出色の出来。最後のレイバックスピンにやや乱れがあるものの、73.36点は今季の…つまり自己ベストとなる高得点。ルールの違いはありますが、平昌五輪でマークした旧ルールでのスコアも超えました。「世界一」はしっかりと視界にあります!

↓その辺の溝でもまたぐくらいの感じで、ヒョイっと大きく跳んでいく!


ループの入りはわかってないと読めない「いきなり」具合…!

「あ、気がついたら跳んでた」という、演技への理想的な「溶け込み方」!

再びの「よろこびのまい〜」期待してます!


その坂本さんを上回ったのがブレイディ・テネル。ほんのわずかな部分ではあるものの、少しでも得点が高いルッツからのコンボを入れているぶん、最後はその差が順位に反映されました。紀平さんがノーカンがありながら5位で「止まった」こともそうですが、得点が高いほうのジャンプである「ルッツ」「フリップ」をしっかり跳び分けたうえで決められるのが、勝ち負けへの重要な基準のひとつ。坂本さんはルッツの習熟が真の「世界一」へのカギとなるでしょうか。

さぁ、そして女子の最終滑走は2年前のこの大会を制した三原舞依さん。ハマり役「It's Magic」の魔法少女は、この日もチャーミングな演技で和ませてくれます。冒頭のコンボはセカンドジャンプが両足着氷となりますが、まるで最初からそうするつもりだったかのようにキレイに両足で着氷しました。美しいツーフットは妖精の着地のよう。本人は不満でしょうが、意外に見ているほうは失敗のなかにも魅力を感じたりするものです。

点数的には8位発進ということで、演技後は自分の弱さを感じて涙を流したと言いますが、上位との差はわずかです。「何をしたいかわからない」なら、まずはひとつでも上の順位に向かって「勝ち」にいこうじゃないですか。ここは世界の強豪が集う大きな試合。泣いているのはもったいないし、同じ泣くならイイ演技で泣きたいもの。三原舞依はもっとできる!

↓演技後の「やってしまったなー」のポーズもチャーミングです!



山村美紗サスペンスの時間に現地に念を飛ばしておきます!

何で山村美紗サスペンスをダブルでやるのか本当に謎なんですが、心だけ飛ばします!

巻き返して、笑顔で終わるぞ!

山村美紗もアナハイムに行け!




ショートプログラムでの日本勢は怪我であったり、ミスであったり、なかなかチカラを出し切れないような演技がつづきましたが、世界選手権を見据える選手が多いことを考えれば、仕方ないのかなと思います。全日本で一度ピークに達したものを、少し緩めてまた上げていく、その中間点が今時分なのでしょう。ショートよりフリーを上げていく、その意気込みでアゲていきましょう!


そして、エキシビションで一番スパークするという刑事的展開に!