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コパVSバヌーシーの菜七子ちゃん争奪戦!

僕は日曜日、所用により外出し、外出先で悪戦苦闘していました。その日の午後、どうしても馬券を買いたい競馬のレースがあったのですが、インターネットで馬券を買う仕組みのIDを忘れてしまったのです。本来なら家で投票してから出掛けるべきだったのですが、すっかり忘れており、やむなく外出先からの投票に。もちろん近くにWINS(※馬券を買うためだけにジャンパーを着たオジサンが集まる闇の施設)などありません。これまでもこういうことは何度もありましたし、何の問題もないはずでした。しかし。

「あ、ID忘れた…」

僕がこれだろうと思って打ち込んだINET-ID(※馬券投票システムにログインするための英数字が入り乱れた何の根拠も覚えやすさもない8ケタの文字列)では、システムにログインできなかったのです。ちょっと数字の前後を入れ替えたりしてトライするのですが、ウンともスンとも言いません。

その番号がわからない時点でどうにもならないのですが、実はこのシステムは本当にクソ…ではなくボロ(※馬糞のこと/つまりクソ)でして、仮にそのINET-IDを偶然にも突き止めることができたとしても、さらに「加入者番号(※8桁の数字なので約1億回トライすれば当たる)」「P-ARS番号(※4桁の数字だからとっても簡単/P-ARSって何?)」「暗証番号(※覚えていれば一発)」という3つの謎暗証キーを突破せねば馬券を買えないのです。

「だから、ジャンパーはWINSに集まるのだ…」
「ジャンパーは長い文字列を覚えられない…」
「銀行口座もあるんだかないんだか…」
「そのかわり時間だけは無尽蔵にある…」
「行ったほうが早いとなるのは当たり前…」

ジャンパー族をわずかに見下ろしながら馬券投票システムと格闘する僕。しかし、一向に思い出す気配はありません。「覚えてるつもりのもの」が違ったのですから、その時点で当然ながらダメなのです。しかも、何とか解決したいと思ってネットで調べものをするとき、その馬券投票システムの名前(※IPATと言います)を含む音声認識でググろうとすると、グーグル様のほうでご丁寧に「おやおやiPadのことをお調べですね」と全部打ち替えてくださるのです。iPad持ってないけど、iPadのパスワードを忘れたときの解決策をたくさん調べさせられました。ぐぬぬ。

ようやく見つけた解決策、そこでは「IDをお忘れの方は登録したメアドを入れてね」と言います。メアドを入力すると、そこに再設定用のアドレスが送られてきたのですが、そこにさらなる罠がありました。「IDをお忘れの方は本人確認のため名前その他と、登録したゆうちょ銀行の口座番号を入れてね!」ときやがりました。あーーーーーー、ゆうちょの口座はほとんど使ってないから覚えてないし、キャッシュカードも通帳も家に置いてきてる…。

そこから僕は休眠中だった楽天銀行の口座を墓場から甦らせ、その口座に紐付ける形で、すぐさまその場で馬券を購入できるシステム「即PAT」への新規登録を行ないました。思い出すより新しく作ったほうが早いという、入口の広さ。こんなとき楽天銀行は神です。どこにでもつながるとんでもないオサセのように、あらゆるシステムにつながり、金を引き落とすことができる。ホント、1口座くらい持ってても損はないですね!今さっきダウンロードしたばかりのアプリで簡単に口座の金をいじくれるんですから!

↓そこまでして僕が買いたかったレースは、東京11レースGIフェブラリーステークスでした!

菜七子ちゃんぐわぁんばれーーーー!!

オイ馬!勝手に爆走して菜七子ちゃんを勝たせろ!!



日本競馬界における女性騎手の歴史を作っている藤田菜七子ジョッキー。女性騎手としてのJRA年間最多勝記録、通算勝利数記録などを次々に更新する彼女は日本競馬界の大勢を占めるジャンパーたちの絶対アイドルです。普段は口汚く「タココラ!」「金返せ!」「福永!」と罵声を浴びせるジャンパーたちも、彼女にだけは別。キュンキュンしながら「あとでお金返してくれたら嬉しい!」とマイルドな罵声を浴びせるのです。

そんな彼女はデビューから4年目を迎え、通算勝利数を50にまで伸ばしてきました。JRAの内規にある「通算勝利度数31未満のものはGI級競争に騎乗できない」という制限を突破し、GIへの騎乗も可能となった彼女をジャンパーが放っておくわけはありません。目先の金にこだわりがあれば「やっぱ賞金が欲しいし…馬主としての名誉も欲しいから…理想はルメールで…」などということも考えるのでしょうが、無念無想の世界から無限の金を引き出せる男は、敢然と菜七子ちゃんのバックアップに乗り出しました。

↓それがDr.コパとしておなじみの風水師・小林祥晃馬主だ!

馬主としてもコパノリチャード(高松宮記念)、コパノリッキー(フェブラリーステークス、JBCクラシック、帝王賞、南部杯、東京大賞典)などを所有した大物!

風水で競馬は勝てることを証明した傑物です!


「クッソー…金もしくは適当な気休めをもっともらしく言う能力さえあれば僕だって…」と唇を噛みつつも、Mr.コパには感謝の気持ちもあります。ジョッキーというのはどれだけ能力があろうが、最終的には馬主様に依頼を受けて初めてチャンスを得られる受け身の商売です。Mr.コパは若き女性騎手にチャンスを与えた、それだけでもチャンスをくれない馬主よりははるかにナイスガイです。

もちろん、スケベ心というのを感じないわけではありませんよ。「JRA女性騎手初GI騎乗」という称号を獲りにいきおったな、という。ただ、そのスケベ心は「GIに出られるくらいの馬を、まだ早いのではないかと世間が不安視する騎手に預ける」リスクを負ったものであり、実際にその立場になれば簡単に決断できることではありません。

菜七子騎手は「GIで騎乗することができる」ようにはなりましたが、重賞と呼ばれる競争…GIよりも格下にあたるGII、GIIIといったレースを含めても重賞勝ちはなく、掲示板にすら載っていません。デビュー間もない騎手に適用される負担重量の軽減もGIでは無関係ですので、そういった恩恵もありません。勝算があっての起用というよりは、「応援」の気持ちがそうさせたものでしょう。

それを「スケベ心」と言うならばそうかもしれませんが、スケベであろうが正々堂々と自分のリスクだけを背負って「僕の●●に騎乗してください!」と言えるのならば、それはピュアなラブコールと言うしかないでしょう。自分の馬に誰を乗せるかは馬主の裁量なのですから、そこで「金と名誉が欲しいからルメール…」となるのも、「菜七子ちゅわぁぁぁぁん」となるのもどちらも同じというか、むしろ愛のみで動いているのは後者でしょう。これに対して怒っていいのは馬だけです。「アタシのキャリアよりも菜七子のキャリアを優先したのね!」という嫉妬以外は、何の文句を言う筋合いでもないのです!

「えーい、うるさい!」
「黙れ、馬の分際で!」
「ワシがワシの馬に誰を乗せようが」
「ワシの勝手じゃ!」
「それにお前には前走でいい騎手を乗せたじゃろ」
「欧州の天才、オイシン・マーフィーじゃ」
「マーフィーが根岸ステークスで勝ったから」
「確実にGIに出られる賞金に達したんじゃ…」
「別にワシがマーフィーの初重賞勝ちを」
「欲しかったというわけではないぞ…」
「とにかく、ワシはいつも最善を尽くしておる!」
「今日のラッキーアイテムはチキンじゃ!」

そして迎えたGIフェブラリーステークス本番。中継するフジテレビは、中継冒頭からコパノリッキー号の思い出を振り返り、Mr.コパの…いや菜七子ちゃんの勝利を薄っすらと期待しています。パドックでは菜七子ちゃんが騎乗するコパノキッキングに熱視線を送り、「JRAで女性騎手が初めてGIに騎乗する」アニバーサリーを盛り上げていきます。ギャンブルとしての公平性を欠かない程度に、最大限のイレコミで。

中継に登場したMr.コパは、大抜擢の理由を問われ「去年から決めていた」と何の返答にもなっていない風水的言い回しで応じると、すぐさま「黄色の髪留めをしていた!」「馬の尻尾にも黄色のリボン!」と風水の話に。「クソー…楽しそうだな…」「来年は菜七子乗せようぜ会議とか、めっちゃ楽しそう…」「あーーーーー金!金!金!」と嫉妬に狂いながら僕は応援馬券を購入します(※前半の苦労話がココ)。金額は100円です。それが僕の身の丈です。あーーーーーー!!風水やりてーーーー!!

さらにスタジオ解説では、おなじみの井崎脩五郎先生が堂々と菜七子騎手が騎乗するコパノキッキングに本命二重丸を打ちニヤニヤしています。コパノッキング以外の馬券は一切買わないという潔さ。「予想が外れてもいい立場になったあとの予想屋」という気楽さが全身から滲み出ています。クーーーーーー!!風水やりてーーーー!!

パドックから返し馬、雰囲気は決して悪くありません。騎手もゆったりと構え、歴史的な大舞台にアタフタする様子はありません。ハートが強い。ファンファーレが鳴り、ゲート入りも何とかこなします。迎えた発走では、出遅れもなく好スタートから作戦通りに後方待機へ。もともと1600メートルの距離には不安がある馬でもあり、最後方待機から直線勝負というのが陣営の指示なのでしょう。やることが明快なぶん、騎乗もラクです。

直線入って最後方のコパノキッキング&藤田菜七子。大外に持ち出して、ムチを使って追い出していきます。先頭の1番人気インティが余裕を持って逃げた展開のため、後方待機の馬にはハマりづらい展開ではありましたが、それでもコパノキッキング&藤田菜七子はしっかり伸びて、最後は掲示板にも載る5着で入線しました。フェブラリーステークスの5着本賞金は1000万円。菜七子騎手、初のGI騎乗でスケベに応える1000万円お持ち帰りです!

↓「最初からこうするつもりだし、これしかしない」という明快な展開を見事にやり切った!


これは100点騎乗でしょう!陣営の作戦通り!

最高の騎乗位置取り!騎乗位置取り最高!騎乗位置取りイイ!

よく乗った、よくやった!


競馬の頂点に立つには、長い長い道があります。依頼を受けて、仕事をこなし、そのなかで「望外の結果」を出すことで少しずつステップアップしていく。より強い馬の騎乗依頼が集まり、より大きなレースに乗るようになっていく。その途中にはさまざまな障壁があります。単純に言えば「所詮は女」という古い意識も残る世界でしょう。馬のほうは幾多の名牝に蹴散らされてそれなりに意識も変わったでしょうが、人間のほうは男が何でも上かのように思っているフシがまだまだあります。疑いの目は常に向けられているはず。これまで少しずつ乗り越えてきたように、菜七子騎手はこの日もまたひとつその壁を乗り越えました。

今後はさらにその上…状況を見て自ら動いていく判断であったり、内を割っていくようなコース取りであったり、より痺れる判断をレース中に行ない、そこで勝ったり負けたりすることで、「金返せ!」と野次られながら、より大きな信頼を獲得していくことになります。そうした信頼の先にGIでの勝利というものも待っている。すごく気が遠くなりますが、確実にまた一歩、そこに近づくようなレースでした。堂々たる乗りっぷり、見事な5着入線でした。

さぁ、そんな菜七子騎手に僕から提案です。

僕は特別な気持ちを持って菜七子騎手を応援しています。「うわ…やっぱコイツもスケベだった…」とかいうことではありません。実は僕も細々と馬主風のものをやっているのですが、僕の最初の愛馬アイワナシーユー号の引退レースは、菜七子騎手に乗っていただいたものでした。「ここで勝てなければ引退」というレース、すでに愛馬は競走への意欲を失くしていましたが、菜七子騎手は最後まで勝利を目指して騎乗し、無事に戻ってきてくれました。感謝しています。

全馬主のなかで一番スケベとして知られるDMMバヌーシ、ぜひ我々にやらせていただきたい。「藤田菜七子の重賞初勝利、GI初勝利」という仕事を。ハッキリ言ってバヌーシーには信頼はありません。競馬サークルの忌み子といってもいい存在です。最近も「お前のところはDMMドリームクラブという馬主名なのに、サービス名の『バヌーシー』の横断幕をめっちゃ場内に掲げているな?」「それって宣伝になるからダメやぞ」「そういうの許さんからな?」とJRAに怒られたばかり。まともに相手にされていないor総スカンといった雰囲気です。ただ、そのぶん我々はしがらみもありませんし、面倒臭いことも言いません。そして夢だけはめちゃめちゃ大きい!

「ダービーに出たい!」
「ルメール!武豊!デムーロ!」
「福永でもえぇか…」
「菜七子ちゅわぁぁぁん!」
「凱旋門賞に出たい!」

そういう気持ちを持った同志たちの集いです。そんな我々だからこそ、ためらいなく騎乗依頼も出せるのです。「菜七子ちゅわぁぁぁん!」という打算なき真っ直ぐな愛で。幸い、今季は大変に好調です。ドバイターフ勝ち馬リアルスティール号の全妹ラヴズオンリーユー号は新馬・500万下と連勝で、春からのGI戦線に乗り込むことが期待されます。今季デビューがまだ4頭なのに、そのうち3頭が新馬勝ちという、めちゃめちゃ有能馬主として評判です。

我々バヌーシーとともにGIを目指そうではありませんか。最近、ちょっと会合などには足を運んでいませんが、次の機会には僕から悪の代表に直接言っておきます。「菜七子で勝とう」「馬名もナナココマンドールとかにしよう」「だって、そういうのやるためのクラブでしょ!?」と。「そこそこいい馬」と「節操のなさ」、それが両立する可能性があるのは我々DMMバヌーシーであります!Mr.コパもまぁまぁそんな感じだとは思いますが、節操と常識のなさでは絶対に我々のほうが上です!今後のオファーをお待ちください!

↓バヌーシーこそこういうことをやるべき!だって、こういうのがやりたい人が集まる場所だから!

やめろコパ!それはバヌーシーの仕事だ!

菜七子ちゃんに騎乗依頼してバヌーシーが重賞を勝つ!

そのバヌーシーの取り分を宣伝広告費にまわして盛大にパーティー開催!

菜七子ちゃんを呼んで歓喜の集い!

そして、凱旋門賞へいっちゃう!

短距離馬でもいけそうならいっちゃう!

我々バヌーシーは、それができるドリームクラブなのです!




節操のなさと金があれば大抵のハードルは超えられる!