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ヌルッと開幕しました2019年のJリーグ!

野球の練習風景を毎日お届けするテレビという垂れ流しメディアから一定の距離を取り、動画配信という未来に舵を切ったJリーグ。僕の周辺の野球オジサンは、すでにいつぐらいからどのくらいまでJリーグがやっているかわからなくなってきています。VリーグとかBリーグとかがいつからいつまでやっているかよくわからない感覚で開幕のことなど知る由もないようです。

しかし、今年のJリーグには大きな目玉があります。一昨年はポドルスキ、昨年はイニエスタと世界のビッグネームを集めてきたヴィッセル神戸が、ついに第三の男招聘に動いたのです。スペイン代表歴代最多得点記録保持者にして、バルセロナで欧州を制したスーパースター、ダビド・ビジャ。ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ、彼らの頭文字をとって「VIPトリオ」の爆誕。野球のほうで呼んでくるのはデーブ大久保とかが中心で、せいぜい浅村栄斗を獲るくらいなのに、サッカーのほうでは容赦ない補強の連打です。

「ひとりじゃ足りないか…」
「よし、もうひとり獲ろう…」
「ふたりでもダメか…」
「ならば、もうひとり獲ろう」
「よし、どうせなら監督も獲ろう」
「ついでに山口蛍も獲ろう」
「足りなければもっと獲るぞ!」

スタメン紹介の配置図で前線に腕組みをしたVIPトリオが並ぶと、そこだけチャンピオンズリーグの様相。ひとりだとさほど動かなかった心もグッと引き寄せられていきます。大相撲で言ったら三横綱が揃った場所のよう。華やかでワクワクします。「いっそ11人全部こんな感じになったらいいのに」「ヴィッセル神戸じゃない別の何かになってもいいから!」「とりあえず2021年までにスター5人制にしよう!」とさらなるお買い上げの未来に夢も膨らみます。

まぶたを閉じれば浮かぶ、明日の朝刊。土曜競馬くらいしか伝えることのない横並びの紙面のなかで、アクセント的に出てくるニッカンあたりの「J開幕 ビジャ弾」の大見出し。三横綱の巡業に各地はわき、「さすがに三人いれば誰かは出るだろ」という見込みからチケットはどこも完売御礼。そんなにスゴイものなら一度見てみたいとうっかり足を運ぶ人や、DAZNの無料体験を試す人も続出するだろう…そんな期待感を抱かずにはいられません。

↓41億円の価値がある超豪華スリートップ!

ジャージ姿だと福屋不動産販売に就労した外国人労働者みたいな感じですが、違います!

世界のVIPトリオです!


↓あと、猛烈に「アンリ」もいる感じがします!

ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ、アンリ、アンリ、アンリ、アンリ、アンリ、アンリ、アンリ、シャルパンティエ!

新外国人がくるたび「へぇ、アンリ・シャルパンティエっていうんだ」と毎回誤認の予感!


↓開幕ということで、お客様には限定ベースボールシャツをプレゼントしちゃいます!

サッカーだからこそベースボールシャツ!

サッカーのシャツは着てきてるんでしょ?

だから、ベースボールシャツ!



開幕戦、これだけの豪華な顔ぶれ、ベースボールシャツ。平日とはいえ4万2000人もの大観衆が集まるのも当然でしょうか。ヤンマースタジアム長居では両チームのサポーターが開幕を喜び、大歓声で後押しをします。しかし、試合自体は静かなもの。ボクシングでガードの上をジャブで叩く時間のように、互いの間合いをはかり、出方をうかがうような時間が多くなります。

ボールを持つのは神戸。VIPトリオは一旦ボールを持つとさすがの上手さで、身体を壁にしてボールを隠し、足を出す隙を与えません。持ったボールは足から離れず、「先に動けばかわされそう」な気配しかない。たまに思い切って突っ込んでみても、案の定かわされ、ふたり、三人の間をヌルヌルとすり抜けられることさえ。そんなVIP力量に十二分な敬意を払ったためか、セレッソは5-4-1の形で、しっかりと神戸のボール回しを見ていく構えです。にらみ合います。

攻守代わると今度は、神戸のVIPトリオは激しくボールを追い回すようなことはないので、セレッソはじっくりと後ろから組み立てを図ることができます。その結果「どっちがボールを持っているかはともかく、じっくりとボール回し」をすることが可能に。神戸は動き自体も少ないので、これまたにらみ合いとなります。ボールを大事につないで、にらみ合う。両チームの思惑はガッチリと噛み合っちゃっています!

〜〜前半開始〜〜

「ボール取りました!」
「VIPトリオさん、どうしましょう!」
「とりあえず渡しますね」
「さぁ、どうしましょう!」
「あ、一回戻すんですか」
「改めてVIPトリオさん、どうしましょう!」
「とりあえず渡しますね」
「おおおおおさすがイニエスタさん」
「おおおおおさすがポドルスキさん」
「おおおおおさすがビジャさん」
「あ、一回戻すんですか」
「さて、今度はどうしましょう!」
「おおおおおさすがイニエスタさん」
「あ、一回戻すんですか」
「さて、今度はどうしましょう!」
「おおおおおさすがポドルスキさん」
「あ、一回戻すんですか」
「さて、今度はどうしましょう!」
「おおおおおさすがビジャさん」
「あ、一回戻すんですか」
「さて、今度はどうしましょう!」
「キターーーーー!チャーーーーーンス!」
「さぁ、お願いしますポドルスキさん!」
「渡しますね!!」
「あ、ポドルスキさんいなかった…」

〜〜前半終了〜〜

う、うーん、神戸の豪華な前線が相手の守備を打ち砕いていくとイイ感じに攻防も激しくなるのでしょうが、そうじゃなかった場合はこんなにらみ合いとなってしまうのか…。ビジャのミドル、ビジャの突破、セットプレーからのチャンスなど、いくつかゴールに迫る場面はありましたが、基本はジャブVSガードという感じに。「上手い」のですが、「怖い」まではいかない攻防となりました。

そして後半。両チームとも交代はなく、前半のつづきのような試合に。「すごいのがひとりだけいても勝てないよ」はまぁそうでしょう。「すごいのがふたりいても勝てないよ」もまぁわかります。しかし、「すごいのが三人いたら」サッカーがときめく玉回しの魔法が生まれると思っていただけに、そうでもないという現実をまざまざと見せつけられるかのよう。上手いけど、何も起こらない…。すごい上手いけど、あとひとりリスクを負って仕掛けるすごいのが足りない…。さばく担当と受ける担当はいるけど、こじ開ける担当が足りない…。

「やっぱトーレスも買っときゃよかった!」

そうこうするうちに試合は残り30分を切ってきました。「まさかこのまま終わるのでは…」という予感も漂うなか、セレッソ大阪は都倉投入で攻めへのくさびを打ち、試合を動かしにきました。強い体躯で前線に構える都倉は、相手を背負ってもひとりで踏ん張り、攻撃の起点となります。息を潜めていたセレッソの柿谷も1トップから一列下がって試合を作り始め、「本当に一番上手いのは誰なのか教えてやる」とばかりに長く正確なパスで次々にチャンスを生み出します。後半27分には都倉、後半30分にはソウザが惜しいシュート。「耐えて、しのいで、刺す」というプラン通りにセレッソが攻め込んでいきます。

そして、後半32分。セレッソはまたも惜しい攻めから右CKを獲得。ここでゴールに向かって巻いていくボールを送ると、最初から最後まで真ん中で待っていた木本が何故かフリーとなっており、GKより早く手で弾いて後ろにすらすと、そこに飛び込んだのは山下!「どこかでコレやってやろう」と準備を重ねたのであろう狙い澄ましたセットプレーで、神戸のゴールをこじ開けました!

↓たぶん、ハンドですけどね!


DAZNはあるけどVARはないのじゃ!

DAZNがあるならその場で見りゃいい気もするけど、DAZN判定はルールにありません!

とにもかくにもセレッソ先制!




「そういうとこやぞJリーグ…」と僕は唇を噛みます。何故、こんなことになってしまったのか。どうせどの組み合わせでもサッカー好きは見るしかない「1試合のみの金曜開幕」なのに、サッカーに興味がそんなにない人でも見るだろう貴重なVIPトリオを何故気持ちよく躍動させてやらなかったのか。

セレッソにどうこうというんじゃないですよ。セレッソはしっかりしのいで、狙い通りに刺したのですから、お見事です。「な?」「フォルラン、な?」「史上最攻、な?」という気持ちが、単なる一試合以上の意欲を引き出していたとしても、それをどうこう言うわけにもいきません。勝負ですから、勝利を目指すのは当たり前。

だからこそJリーグ、Jリーグのほうで、もうちょっと何とかならんかったものか。「リージョ監督とロティーナ監督のポジション修正の妙が…」「スペイン同士の高度な戦術の差し合い」「ハーフスペースを制する者は…」みたいな見方をするのなんて、結構なマニア層じゃないですか。そこじゃないでしょう、今はまだ。開幕戦なんですからドーンと景気よくいけばいいのです。ジャパネットVS楽天市場のお買いものダービーとかで。

「ビジャビジャデビュー弾!」
「VIP揃い踏み」
「魅っせる神戸」
「モーとまらん」
「楽天スーパーポイント2倍」

そんな見出しを躍らせるイメージで、日程を組んだっていいじゃないですか。ビジャ弾が出ていれば、NEWS ZEROだって「ヨーロッパリーグ、南野出場のザルツブルクの試合です」より先に開幕戦を紹介したかもしれないでしょう。芸能マスコミだって持ち上げてから落とすのです。先に価値を高めて、すごいチーム風に見せてから、それを乗り越えるようにしたら、いろんなチームの価値が高まってウィンウィンだと思うのです。持ち上げてから落とす、その順番が大事だろうと。

最終的にセレッソが勝ったとき、これまで繰り返してきたのと数だけが違う「やっぱ三人いるぐらいじゃダメだな…」という気持ちが開幕初日にわいてきてしまったじゃないですか。「有名なグアルディオラ監督も師とあおぐ」と評判のリージョ監督も、VIPトリオよりいい選手が手元にいなかったことで、「交代カードを使い切らずに負ける無能」みたいになっちゃったじゃないですか。動けなくなるまでVIPトリオに代える選手なんかいないんだから、そりゃそうなるでしょうが。

暑くなる前に、疲れる前に、何とか一回持ち上げておきたい。

腕組みをしながらへの字口のサポーターにも、「これが日本のバルセロナや!」とイイ気分の時期を過ごしてほしい。

それがJリーグ全体にとってもメリットだと思うのです。

「すごい人」なら見たいと思う、はじめましてさんは少なからずいるのですから。

せめてゴールデンウィークくらいまでは日本のバルサ、上げていきましょう!

↓なお、金曜日に1試合だけ先にやったため、得失点差の関係でVIPトリオ擁する神戸は暫定最下位となりました!

「一度も最下位を譲らない」への挑戦権、獲得!

とりあえず、夕方4時くらいまでは最下位独走です!




前に3枚じゃなくて縦に3枚のほうが交代も小回りがきいてよかったかも!