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孔子の弟子の言葉がベストセラーになる構造!

「羽生結弦氏LINEスタンプが発売される」と聞いて、浮足立っているみなさんこんにちは。「誰が勝とうが僕も勝ちますスタンプ」や「今日はプルシェンコさんの誕生日なのでスタンプ」などのラインナップを検討しては、「それ、いつ、どこで、誰向けに使うのかまったくわかんねぇな…」などと頭を悩ませていることと思います。

そんななか僕は、本当にクズと言いますか、才色人柄のひとつも備えていないなと改めて思うのですが、240円・100コインの羽生結弦氏スタンプを買うためにLINEレンジャーを始めました。12ステージまでクリアすると100LINEポイントがいただけるということで、LINEレンジャーを始めました。

「えっ…そこは自分の財布から出すべきでは…?」というお考えも当然あろうかと思いますが、会社で働くのもLINEレンジャーを頑張るのも一緒なんじゃないか理論に基づき、LINEレンジャーを始めました。人間性って、こういう些細なところに出てしまうものですね…。今までコツコツと広告などを見て溜めていたポイントは、ついこないだ「うざい三国志スタンプ」を買うのに使ってしまったのです…。

↓「OK」とか「ごめーん」とかも欲しいけど、使い道のない40種類が入っている感じでもいいぞ!

「あれ?3分の1くらいブライアン・オーサーなんだけど?」みたいなパターンもあるのか?

送る相手はふたりくらいしかいないけど楽しみです!



このような「周辺」の話題で盛り上がるのが羽生氏界隈は本当に上手いなと思います。本人が毎日テレビの生出演…たとえば『いいとも!』の司会でもしていれば周辺の話題云々には鈍感になるかもしれませんが(※「見た?タモリの新スタンプ!」とか会話した記憶ゼロ)、本人不在の期間が基本的に長いという構造は、ファン側のそうした能力を開花させる要因かなとも思います。

「あそこにポスターがあると聞けば行って写真を撮り」「あそこで写真展があると聞けば行って写真の写真を撮り」「あそこでポスターや写真展の写真を撮った人の講演があると聞けばポスターや写真展の写真を撮った人の写真を撮り」…本人とつながる周辺のほかのものも含めて愛でていく。それにより、関連商品やらイベントやらの反応も活性化され、結果的にさらに周辺の話題が増えていく。その結果、本人はスケートや治療に集中する期間を作ることができ、話題も途切れずに済む。ウィンウィンの好循環です。

本人も「周辺」の仕込みのために夏頃に膨大な監修作業をこなしているのだなと思うと、そのマメさと思いやりというのも改めて浮かび上がります。極端な話、ずっと「おこもり」で何もしなくてもいいわけでしょう。CM出演などは活動資金捻出という側面もあるとは思いますが、今回のLINEスタンプなどは本人のサイフとしてはやってもやらなくても一緒のもの。「売上」が寄付になるということは、儲けは取らないという意味です。自分のサイフにお金が入らないのに、誰かのためになら行動できる。誰かのためだからこそマメに作業ができる。そういうタイプなのだなと。

「そんな人を前に、ワシはLINEレンジャーを始めた…」
「そのLINEレンジャーすら、ステージ攻略が面倒…」
「面倒過ぎて、いっそ円で買ったほうがラクとか思ってる…」

「逆に円のほうがラクというクズの思考…」

そして、ファンたちが身につけてきた周辺への能力が、ようやくメディア側にも開花してきたのかなと近頃は思います。メディア側の本来の能力は「この人の話題で盛り上がりたいと思ったときに、本人にアプローチして引っ張り出す」ことなわけです。取材なり、番組出演なりで。そこにメディアの本来の存在意義やパワーがあるわけですが、出演料や宣伝といった報酬では動かない珍しいタイプの御仁に対しては、実はあんまり打つ手がなかったりします。「出てください」「お断りします」、「お金払います」「いらないです」で話が終わってしまう。

そんな事態を何とか打開するべく開花する能力こそが周辺ネタへの感度。来週の6日に放送されるNHK「ねほりんぱほりん」ではまさにド直球ですが、羽生氏本人がいないぶん「羽生結弦選手に出会って人生が変わった人」でワンテーマ番組を作るといいます。最近でも「ネトゲ廃人」「トップオタ」「腐女子」など特定の1ジャンルに入れ込んでいる人を特集してきた同番組ですが、その切り口が「世界選手権で話題性がある今、羽生氏で何かをやる」ことに活かせると気づいてしまった。開花してしまったのだろうと思います。美しい開花なのか、あだ花なのかはともかくとして!

↓これまでと同じ感じでいくとなるとやべー感じしかしませんが、僕は出ませんので安心してください!

僕が羽生氏のファンになって人生が変わったことって、「LINEレンジャー始めた」くらいですしね!

「国境なき医師団に参加(今すぐ治療に行きたい系)」とか「南北首脳会談を実現(北でも羽生氏が見たいのじゃ系)」とかが出るんじゃないかと思います!




そして昨日2日のTBS「炎の体育会TV」では、ロシアの皇帝エフゲニー・プルシェンコさんと、その息子サーシャくんが登場。「開花しすぎや…」と震えるような想いです。いかにフィギュアスケートが人気とは言っても、外国の選手の子どもをメインにドンと据えてゴールデンで一本いこうという話になるとは。「専門メディア」ならやるかも…ということを、全国民向けでやってくるとは「攻めてるな…」と。

これもまた「周辺」への感度が開花したということなのかなと思います。世界選手権を前にフィギュアスケートが盛り上がっているのはわかる。いっちょ噛みしたい。しかし、安藤美姫さんなどを起用すると、テレビ側の意図通りに番組が進まないかもしれない。そして、できれば安藤美姫さんじゃなく羽生結弦氏がいい。その手詰まり感を「羽生氏の推しを出す」ということで解決してきた。開花してしまった。

サーシャくんはスタジオに登場するや「ねむい…」とパパに抱きつくなど、テレビ局の無茶をいきなり感じさせつつも、「表現力対決(※本人だけ曲を聴いている状態で、周囲の人に何の曲で踊っているかを当てさせる)」では華麗にオースティンマホーンの曲(※ブルゾンちえみの曲)を表現。プルシェンコさんが踊る「俺ら東京さ行ぐだ」についても見事に正解。親子での「二人三脚対決(※二人三脚でスケートを滑るスピード勝負)」でも当然ながら楽勝。大活躍を見せます。

そして、最後の「氷上鬼ごっこ対決(※5人を相手にスケートで60秒間逃げ切る)」でも圧勝するわけですが、その合間にはテレビ局が何とかして「周辺」としての活躍にも期待したいと、ひとつのVTRを挿入してきました。開花しすぎていて、界隈以外の世間にこの複雑な設定がどこまで伝わるのか非常に心配ですが、絶対にどうにかして羽生氏の名前も出したいというその意欲は伝わってきました。たぶん伝わらないであろう推したちの相互関係とともに!

↓推しの推しが父親で、推しの推しの息子の推しが推しで、推しの推しの息子の父親の推しが推し、という輪廻転生構造が推しの推しの息子本人から語られた!
アナ:「サーシャくんは対決前に憧れのスケーターについてこう話していました!」

番組:「好きな選手はいるんですか?」

サーシャくん:「ユヅルとパパ」

アナ:「昨年、日本で一緒にアイスショーに出たときの写真ですね!」(※写真を紹介しながら)


番組:「そのユヅルはパパに憧れてオリンピック目指してますから」

プルシェンコさん:「パパの憧れもユヅルだね!」

番組:「グルグルまわってる!」



推しに息子が生まれてもう一周したら、「推しの推しの息子が推しの息子の推しで…」になるのか…!

あと二世代くらいまわしたら、お経くらいの長さになりそうな人間関係!




このようにして本人がいないぶん、どんどん周辺への愛が広がっていき、新たな話題や発見が生まれていくという「周辺」構造。推しの話題を毎日求める気持ちはありつつも、推しを毎日引っ張り出すのは気が引ける。そんな矛盾を埋め合わせていくためにも、メディア側にもそういった能力を高めていってもらえると具合がいいのかなと思います。

「羽生氏の衣装を作った人の話」とか「羽生氏をよく知る人が語る羽生氏の話」など、「周辺」だけに全精力を投じた場合は本来のメディアが持つよさもしっかりと発揮された好番組になるという感触もあります。孔子の論語も本人は書いてないように、本人がいないと成り立たないというものでもありません。「周辺」への感度の開花、世界が広がるいい方向性だと思います!

「推しの周辺はみな推しだ」「世界に広げよう、周辺の輪!」