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師匠、今回も無事に死亡です!

武道を学ぶ主人公が師匠から言い渡された最終試練。「これから現れる敵を倒せ」「決して容赦してはならぬ」「非情をもってトドメを刺すのじゃ」と告げられて向かった不毛の荒野、現れた黒い影は手強く、恐るべき敵です。しかし、主人公は学んできた武道を操り、さらには戦いのなかで目覚めた新たなチカラでこの敵を討ちます。闇に差す月明かり。そこで見えた敵の正体はほかならぬ師匠でした。「よくぞワシを倒した…これが最後の試練だったのじゃ…ぐふっ」と言い残し、師匠は死にました。「し、師匠ーーーー!」。

これが我が埼玉西武ライオンズが卒業生に課してきた、伝統の最終試練です。手塩にかけて育てた弟子に「非情さ」という戦いに欠かせない最後のチカラを伝えるため、自ら敵となって立ちはだかり、そして死ぬ。その今際において、師は弟子の成長に頬をゆるめ、満足して死を迎えるのです。

9日、この最終試練に臨んだ愛弟子・浅村栄斗さん。何の因果か師匠と出会い、一人前の武道家へと成長を遂げてきました。昨年は自身二度目の打点王にも輝き、押しも押されぬ「一流」となりました。だが、本当に免許皆伝を認められるのか。「非情さ」を備えているのか。師匠自ら弟子のチカラを確かめねばなりません。そのために師匠は大宮くんだりへと浅村さんを呼び出します。「師匠は何故こんなところに…」「高校生が使う草野球の球場みたいな場所だな…」「およそプロの戦いの場とは思えんが…」と訝しむ浅村さん。早速、不穏な空気が漂ってきます。

↓「なんだこの場所は…敵意が充満している…」と浅村さんも警戒せざるを得ない雰囲気!


腕に覚えはあるが、決して油断はできない!

観光客は行ってはいけないストリートの気配!


↓ストリートからは「オリックスに電話しろ」などの敵意が向けられてくる!

オリックスには電話はしたぞ!

「話を聞きに行くって言ったけど、やっぱり行くのやめた」って電話を!



そして現れた敵。敵は驚くべきチカラで襲いかかってきます。トロールみたいな巨体で棍棒を振り回しているヤツもいます。トロールがひとたび棍棒を振り回せば、白いボールがドーンと飛んでいく。「さすが、こんな不毛の地に住んでいるだけのことはある…」と浅村さんもその怪力には舌を巻きます。

しかし、浅村さんも負けてはいません。鍛えた棒術は敵が投じる球をものともせずに弾き返し、トロールよりもさらに先、荒廃したコロシアムの外まで飛び出す大放物線を描きます。これにはストリートに渦巻く悪意も沈黙し、逆に怯えたような目で身をひそめていきます。文字通り、チカラで黙らせた。さすが一流の武道家です。

↓浅村さんの棒術が荒廃したストリートの悪意を黙らせた!


「プシューーーーー」(※悪意が黙る音)

「あぁーーーーーー」(※悪意が黙る音)


その後も敵との一進一退の戦いはつづきます。しかし、浅村さんの棒術は敵に致命傷を負わせており、また敵の攻撃時には何故かものすごく頼りない「9番でも物足りない棒術だったのに3番がいないという理由だけで1番にまわってきた金子」とか「代走の選手がそのまま入りまして9番水口」とかいう攻め手が、一打逆転の満塁チャンスに出てきたりします。「思ったより強くない敵だ…」「攻撃も言うほど大したことないし…」「出てくる球投げは普通…」と浅村さんは余裕でこれをさばいていきます。

やがて戦いは終わり、敵は倒れます。浅村さんの振り回した棒が深々と突き刺さり、躯と化したその敵を見たとき浅村さんは気づいたことでしょう。「し、師匠…」と。師匠は浅村さんに語りかけます。「よくぞワシを倒した…」「その非情さこそがワシの最後の教えじゃ…」「もう教えることは何もない…」と。そうです、浅村さんは師匠を超え、武道家として独り立ちを果たしたのです。

ストリートからの祝福を浴び、浅村さんは新たな戦いへと向かいます。振り向くな。進め。振り向いても師匠の死体と荒廃したスタジアムとストリートの悪意があるだけ。浅村さんの進む先には毎年チョコチョコ改修される居心地のいい球場と、笑顔をくれる楽しい仲間と、単年9億とも言われる莫大な財宝が待っている。おめでとう浅村さん、埼玉西・武道場の免許皆伝を許す!

↓「立派になったのぉ…」と師匠も天国で喜んでいる!



「浅村ーそれで満足かー」(※悪意からの祝福)

「ブーーーブーーーーー」(※悪意からの祝福)

二度とこの荒廃したストリートに戻ってくるんじゃないぞ!

最終試練、見事合格じゃ!




師匠はやがて起き上がります。普通ならこの手の話は一回で終わるものですが、この武道場には最終試練を待つ門下生が毎年いるのです。涌井門下生に初めての勝ちをつけてやったあとも、岸門下生に初めての勝ちをつけてやったあとも、師匠は血だらけの身体に鞭打って再び立ち上がり、新たな弟子の最終試練に臨み、そして死んできました。

来年は秋山門下生の最終試練が待っています。「あと3年くらいこの武道場にいるか?」という師匠の問い掛けを振り切って、秋山門下生は広い世界に目を向けています。できれば一気に海外へ羽ばたいてもらいたい。海外なら最終試練に師匠が出張り、死ぬ必要もなくなるので。師匠は弟子の成長を喜んではいますが、痛いことは痛いのです…!


「もう最終試練は済んだから、今日明日は勘弁して…」とは師匠の言葉!